私が征夷大将軍⁉~JK上様と九人の色男たち~   作:阿弥陀乃トンマージ

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鎌倉殿と十二人の戦う女

「うん⁉」

 

 洞窟の入り口に出てきた葵たちだったが、新たに駆け付けた多数の覆面をつけた女性たちに囲まれる。小霧が声を上げる。

 

「囲まれてしまいましたわ!」

 

「見張りの人たちより強そうな雰囲気を漂わせているね……」

 

 葵が険しい顔で呟く。紅が笑う。

 

「ははっ、流石にその警棒じゃあ分が悪いかもね?」

 

「ク、クレちゃん! 笑っている場合じゃ……」

 

「こんなこともあろうかと……!」

 

「え⁉」

 

 紅が指をパチンと鳴らすと、ジェットスキーを運転していた、こんがりと日焼けした肌が印象的な大柄な体格の男が両手一杯に抱えた武器を葵たちに差し出す。

 

「こ、これは……」

 

「貴女たちも一応警戒して、各自武器は携帯していたのね。この連中、ご丁寧に武器まで回収してきてわざわざ一か所に集めてくれていたから、取り返させてもらったわよ」

 

「あ、ありがとう! 助かるよ! 皆!」

 

 葵の呼びかけに従い、各自が男から武器を受け取る。金銀が苦笑する。

 

「皆武器を持ってきていたとは……これでは私は足手まといですね」

 

「そんなことはなイ」

 

「え?」

 

 イザベラに金銀は顔を向ける。

 

「私たちは戦いに専念しなければならなイ……冷静に大局を見据えられるのはお前だけダ……チェックメイトまでの道筋は頼むゾ」

 

「! ええ、お任せあれ!」

 

 金銀が声を上げる。女性たちが葵たちに襲いかかってくる。

 

「体育会のお二人! まずは一掃を!」

 

 金銀の指示で雪鷹とクロエが前に進み出て、それぞれ木刀と軍配を振るう。

 

「上杉山流奥義……『凍土』!」

 

「『風林火山・火の構え』!」

 

「!」

 

 雪鷹によって周辺に氷が発生し、クロエによって周辺が火に包まれる。

 

「軍配で火を放出するとは、相変わらず見事な奇術だな……」

 

「奇術ではありません! それに軍配は我が武枝家に伝わる由緒正しい武具です!」

 

「一条みなみさん! 土地勘のある貴女に頼みます! 非戦闘員の五橋さまを連れて、戦線からの離脱を! 有備さんも続いて下さい!」

 

「は、はい! こちらです!」

 

 金銀の指示に従い、みなみは八千代たちを連れて、凍り付いた地面や火が燃え盛る場所を避けて、戦線から離れようとする。しかし……。

 

「! ま、回り込まれてしまいましたわ!」

 

 みなみたちが素早く反応した相手の一団に囲まれ、八千代が声を上げる。

 

「くっ、高島津さん、援護を!」

 

「は、はい!」

 

 金銀がすぐに指示を出し、小霧がそれに呼応して動くが、それよりも早く、相手はみなみたちの身柄を抑えようとする。憂が内心舌打ちして苦無を取り出そうとする。

 

(お嬢様の前では、あまり目立つことはしたくないのだけど……⁉)

 

「こ、来ないで下さ~い‼」

 

「なっ⁉」

 

 憂だけでなく、その場にいた皆が全員驚く。みなみが足元の大岩を思い切り持ち上げてみせたからである。

 

「はあっ!」

 

「え、えい!」

 

「ふっ!」

 

 駆け付けた小霧が戸惑う相手を木刀で倒し、八千代も竹刀を相手に打ち込み、八千代の死角を突こうとした相手を憂が苦無を用いて一瞬で叩き伏せる。

 

「あ、あれ……?」

 

 目をつむっていたみなみは目を開けると、周囲の相手が倒れていたことに首を傾げる。

 

「ご苦労様、もういいですわよ」

 

「は、はあ……」

 

 八千代に声をかけられ、みなみは大岩を元に戻す。

 

「自らの三倍はありそうな大岩を軽々と……大した力持ちですわね」

 

「わ、私、そんなことをしていました⁉」

 

「無自覚⁉ お、恐ろしい娘ですわね……」

 

 八千代が引き気味に呟く。憂がすかさず声をかける。

 

「さあ、道は開けました! 急ぎましょう!」

 

 みなみたち四人が戦線から離れる。それを見て金銀が頷き、次の指示を出す。

 

「左翼に隙が生じています! 風見さん、伊達仁さん、中目さん、距離を詰めて!」

 

「はっ!」

 

「了解しました!」

 

「それ!」

 

「! ‼ ⁉」

 

 絹代と爽と雀鈴がそれぞれ古武術と柔術と少林寺拳法を繰り出し、左翼に陣取る相手の一団を次々と打ち倒す。

 

「よし、今度は右翼ですわ! 西東さん! 2時半の方向に連続射撃を!」

 

「分かっタ!」

 

「‼」

 

 イザベラが銃を発砲し、右翼に陣取る相手の一団は次々と倒れる。イザベラが呟く。

 

「ゴム弾だガ、当たるとかなり痛イ。しばらくは満足に動けんだろウ……」

 

「流石! これで相手は崩れた! なっ⁉」

 

 金銀が驚く。凍った地面や燃える場所をわずかにすり抜けて、見るからに屈強そうな相手の一団が正面から葵たちに向かって迫ってきたからである。爽が叫ぶ。

 

「葵さま!」

 

「……そうはさせないわよ!」

 

「……‼」

 

 紅が弓矢を連続して放ち、その正確な射撃が屈強そうな相手の一団を次々と射倒す。

 

「今更だけど、矢じりの部分は丸めてあるから安心して。それでも痛いと思うけど……さて、大柄で一番強そうな女が残ったわね! 次の一手は⁉」

 

「! こ、ここは恐れながら……上様、お願いします!」

 

「よしきた! ええい!」

 

「‼ ⁉」

 

 飛び込んだ葵が薙刀を横に薙ぎ、大柄な女が崩れ落ちる。金銀が間髪入れず叫ぶ。

 

「大将格は倒しました! これで詰みです! 潔く投了なさい!」

 

「……」

 

 女たちは次々と投降の意思を示す。そこに秀吾郎たちが駆け付ける。

 

「上様、ご無事でしたか!」

 

「うん、特に問題はなかったよ」

 

「……それじゃあ、私はこの辺で失礼するわね」

 

「クレちゃん、本当にありがとう!」

 

「これくらいお安い御用よ。葵っちと江戸の撫子たち……また会いましょう」

 

 葵と紅は互いに手を振って別れる。紅はジェットスキーに跨って颯爽とその場から去って行く。ジェットスキーを操縦する男を含め、真坂野紅にも頼れる仲間、色男たちがいる。ただ、それはまた別のお話……。

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