私が征夷大将軍⁉~JK上様と九人の色男たち~   作:阿弥陀乃トンマージ

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真犯人究明

「あら? 見つかっちゃったわね……」

 

「お前の仕業だろう! ルーシー=クラーク!」

 

「デニスさん、ご存知なのですか?」

 

「あ、ああ、ちょっとな……」

 

 ルーシーと呼ばれた女性は首を傾げる。

 

「仕業ってなんのことよ?」

 

「とぼけるな! この長崎の町で出回っている女性の絵……お前の力によるものだろう!」

 

「絵?」

 

「これのことだ!」

 

 デニスが絵を投げつける。それを受け取ったルーシーが頷く。

 

「ああ、これね……」

 

「何を考えている⁉」

 

「別に……」

 

「何だと⁉」

 

「単なる暇つぶしよ」

 

「ひ、暇つぶしだと……」

 

「アタシはアンタがどうなろうと興味がないもの……組織の落ちこぼれには」

 

「く……」

 

「ただ……アンタに懐いている双子ちゃんは別よ?」

 

「! お前、それが狙いだったのか⁉」

 

「暇つぶしがてら適当に騒動を一つ二つ起こせばひょっこりと顔を出すと思ったわ」

 

「くっ……」

 

 ルーシーがデニスの陰に隠れる双子を覗き込む。

 

「ティム、エマ、良い子だから、ルーシーお姉ちゃんと一緒にお家に帰りましょう?」

 

「い、嫌だ!」

 

「あら?」

 

「あ、あのお家には帰りたくないの!」

 

「あらら……仕方がないわね、少々強引にでも……!」

 

「……」

 

 ルーシーがティムとエマに近づこうとしたところ、葵が薙刀を突き出して、それを制する。

 

「……どういうことかしら? サムライガール?」

 

「貴女悪い人なんでしょう? 英語で何を言っているかほとんど分からなかったけど!」

 

「わ、分からんじゃったんかい……」

 

「葵様……」

 

 葵の言葉にヒヨコはずっこけ、爽は頭を軽く抑える。ルーシーが笑顔のまま尋ねる。

 

「アタシにこういう物騒な物を向けたらどうなるのか分かる?」

 

「あ、日本語だ……えっと、分からないけど……」

 

「お仕置きが待っているのよ!」

 

「!」

 

 葵が驚く。ルーシーの視線の先から西洋甲冑に身を包んだ騎士が現れたのである。

 

「……少し遊んであげなさい」

 

「……!」

 

「ちょ、ちょっと、鎧騎士って!」

 

 鎧騎士の繰り出した槍を葵は薙刀で器用に受け止める。ルーシーが口笛を鳴らす。

 

「~♪ やるじゃないの、サムライガール」

 

「サムライじゃないっての!」

 

 葵の薙刀が鎧騎士の槍を弾き飛ばす。ルーシーの顔色が変わる。

 

「! ふ~ん、そろそろ本気で行きなさいよ」

 

「……‼」

 

 鎧騎士が今度は剣を取り出す。葵が困惑する。

 

「こ、今度は剣⁉ ちょ、ちょっと待って!」

 

 ゆっくりと迫りくる鎧騎士に対し、葵が後ずさりをする。デニスが叫ぶ。

 

「ヒヨコ! 鎧騎士に火を放て!」

 

「い、いや、そがんことをしても無駄やなかか⁉」

 

「いいから早く!」

 

「ええい!」

 

「⁉」

 

 ヒヨコの放った火で、鎧騎士はあっという間に燃える。ヒヨコが不思議そうに首を傾げる。

 

「こ、これはどがんことや……?」

 

「ルーシーの持つ力は『念写』……心の中に思い浮かべている観念などを紙などに画像として焼き付けることの出来る力、いわゆる『超能力』!」

 

「ちょ、超能力⁉」

 

 葵が仰天する。

 

「大きな画用紙を用いているのが分かった。それならば、ヒヨコの火が極めて有効だ」

 

「ふん、発火出来るやつがいるとはね~ここは分が悪い、退散させてもらうよ、デニスと奇妙なサムライガールたち……」

 

「サムライじゃない! 私はれっきとした将軍よ!」

 

「⁉ へえ、ショーグンとこんなところで遭遇するとは……アタシついているかも!」

 

「なっ⁉」

 

 十数羽の鳥が出現し、それらが引っ張る椅子に優雅に腰かけたルーシーは空高く舞い上がっていく。唖然とする葵たちに向かって手を振りながらその場から去っていく。

 

「鳥をあがん使い方するとは……」

 

「鳥も念写によるものだろう。しかし、一度にあれほど大量に……力の精度を高めているな」

 

「! サワっち!」

 

「はい……ばっちり撮れております」

 

 物陰から爽が撮影機を持って現れる。デニスが驚く。

 

「そ、それは……」

 

「よし、これで弾七さんの無罪を証明出来る!」

 

 葵の言葉通り、絵の作者が弾七ではないということが分かり、弾七は晴れて釈放となった。

 

「……いや~良かった、良かった。一時はどうなることかと思ったが……」

 

「……弾七さん、お願いがあるんだけど……」

 

「なんだい? 上様?」

 

「この長崎の町を絵に描いてくれないかな?」

 

「ええっ⁉ なんでそんなことをしなきゃならないんだよ! 手錠はめられたんだぜ⁉」

 

「せっかく、当代きっての人気絵師が訪れたんだからさ、町の人にも喜んで欲しくて……」

 

「そんなことを言われてもな……」

 

「橙谷様……」

 

「な、なんだよ、爽ちゃん……」

 

「葵様からの好感度上昇チャンス……」

 

 爽の囁きに橙谷が目の色を変える。

 

「⁉ そ、そう言えば、下書きは済ませていたんだよな~完成させるか!」

 

「さすが、弾七さん!」

 

 そこからわずかな時間で、弾七は見事な風景画を完成させる。周囲の人々は感嘆とする。

 

「なんと見事な……しかし今回の誤認逮捕、奉行所としてなんとお詫びして良いか……」

 

「あ~もういいよ、ある意味貴重な体験だったからな……」

 

「これをどうぞ……ささやかですが長崎名物『カステラ』でございます」

 

「ささやかっていうか、ベタだな。一人でこんなに食えねえよ……上様たちにも分けるぜ」

 

「いいの⁉ ありがとう!」

 

 葵たちは弾七と別れ、公園でカステラを食し、その美味しさに舌鼓を打つ。

 

「美味しい~って、うわあっ⁉」

 

「ティム! あれはルーシーの念写か! しまった!」

 

 デニスが叫ぶ。空を飛ぶ魔女のような存在にティムを攫われてしまった。

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