私が征夷大将軍⁉~JK上様と九人の色男たち~   作:阿弥陀乃トンマージ

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組織とは

                  参

 

「ティム……!」

 

「待て、エマ!」

 

 デニスがエマの肩を掴む。

 

「追いかけなきゃ!」

 

「葵様、落ち着いて下さい!」

 

 爽が走り出そうとする葵に声をかける。

 

「で、でも!」

 

「空を飛んでいったのです、闇雲に走っても追いつくことは出来ませんよ!」

 

「むっ……」

 

 葵は立ち止まる。爽が冷静に空を見上げながら呟く。

 

「北西の方に向かいましたね……」

 

「北西?」

 

「あちらは……対馬の方向でしょうか?」

 

「ツシマ?」

 

「……なにか思い当たることが?」

 

 爽がデニスに尋ねる。

 

「いや、連中はツシマにも用事があるようだったからな……」

 

「ほう……」

 

「連中って⁉ そもそもあのルーシーって何者⁉」

 

「超能力者ってどがんことや⁉」

 

 葵とヒヨコがデニスに詰め寄る。

 

「ヒッ……!」

 

 驚いたエマがデニスの陰に隠れる。

 

「お二方、エマさんがすっかり怯えてしまっています、大声を出さないように……どうか落ち着いて下さい……」

 

「う、うん……」

 

「お、おう……」

 

「……デニスさん、ご説明を頂けますか?」

 

「う、うむ……」

 

「これは大事なことです。情報を提供頂けないのであれば……」

 

「あれば?」

 

「協力関係はここに破綻することになります」

 

「!」

 

「当然のことだと思いますが……信頼の出来ないパートナーと行動をともにすることなど到底出来ません……」

 

「むう……」

 

「それでは……葵様、参りましょう」

 

「あ、う、うん……」

 

 爽と葵はその場を離れようとする。ヒヨコがデニスに声をかける。

 

「よ、よかか、デニス?」

 

「~~ル、ルーシー=クラークはイギリス人だ!」

 

 爽と葵が立ち止まり振り返る。

 

「ふむ、そのイギリス人の少女がこの長崎に一体何の用が……?」

 

「俺、いや、厳密にはエマとティムのことを狙っている……」

 

「あの謎の東洋人お二人……ユエさんとタイヤンさんも?」

 

「あの二人とは初めて会ったが、恐らく『組織』に関係する人間だろうな……」

 

「組織とは?」

 

「それについては言えない……」

 

 デニスは目を閉じて首を左右に振る。

 

「なんじゃ、それじゃあなんにもわからんやなかか」

 

 ヒヨコが両手を大げさに広げる。

 

「まあ、なんとなくの察しはつきました……」

 

「え⁉」

 

「ほ、本当! サワっち⁉」

 

「超能力者が組織の尖兵として動いているということは、超能力者の集まりか、もっと上の存在の集まりか……」

 

「もっと上の存在?」

 

 葵が首を傾げる。

 

「そういった存在に関しては、現在はまさに雲をつかむような話ですが……ルーシーさんとやらを追いかければ、組織の尻尾くらいは踏めるのではないでしょうか?」

 

「尻尾を踏む……」

 

「ええ、そこで何が飛び出てくるか……猛獣の可能性があるならば厄介ですね……」

 

「……や、やはり君たちはここで離れるべきだ!」

 

 デニスが首を振って声を上げる。爽が眼鏡のフレームを触りながら応える。

 

「出来ればそうしたいのは山々なのですが……」

 

「え?」

 

「その組織とやらが我が国に害を及ぼすというのなら、捨て置けません……」

 

「し、しかし……」

 

「なにより……」

 

「なにより?」

 

「上様にすっかり火が点いてしまいましたので……」

 

「えっ? うおっ⁉」

 

 葵がデニスの襟首をガシッと掴む。

 

「デニスさん! ティムを助けに行こう!」

 

「あ、葵……それは……」

 

「それは……なに⁉ この期に及んで⁉」

 

「貴女にも危害が及ぶ可能性が高まってきた。貴女は予定通りのスケジュールをこなすことに専念すべきだ。それなら奴らも手を出してはこないだろう」

 

「なにを今更!」

 

「本当に危険な連中なんだ!」

 

「ならばティムが危ないじゃないの!」

 

「ティムに関しては……」

 

 デニスが傍らに立つエマを見る。葵が首を捻る。

 

「?」

 

「詳細は言いたくないのだが、ティムとエマは二人揃っていなきゃ駄目なんだ……」

 

「ええっ? どういうこと⁉」

 

「とにかく! 連中がティムに対して無闇やたらに危害を加える可能性は極めて低い……」

 

「……だからと言って、悠長に構えてはいられないんでしょう?」

 

「それはそうだが……」

 

「ならば向かいましょう」

 

「どこに?」

 

「決まっているでしょう。対馬よ」

 

「ええ?」

 

 デニスが困惑気味に爽の方に視線を向ける。

 

「……ちょうど次の訪問先です」

 

「ええっ⁉」

 

「決まりだね」

 

 葵は戸惑うデニスに対し、笑顔を浮かべる。翌日葵一行は飛行機で対馬に降り立つ。

 

「……お祭りのリハーサルを行っているようですね」

 

「ふ~ん、あ、あそこの立派な舞台で踊っているのって……獅源さん⁉」

 

 中性的な雰囲気を纏い、舞台で舞い踊る涼紫獅源の存在を見て葵は驚く。

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