私が征夷大将軍⁉~JK上様と九人の色男たち~   作:阿弥陀乃トンマージ

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論戦終えて

「上様、本日はお疲れ様でした」

 

「あ、会長、本日は司会進行ありがとうございました」

 

「こちらも大役を仰せつかり、大変恐縮でした」

 

「つつがない進行ぶりで流石でしたよ。また何かお願いするかもしれません」

 

「ははっ、まあお手柔らかにお願い致します」

 

 万城目が一礼して、去っていった。葵はしばらくその様子を目で追っていた。すると光ノ丸がわざとらしく咳払いをする。葵がそちらに振り返る。

 

「ああ、氷戸さん、お疲れ様でした。御勝利おめでとうございます」

 

「ふん、そなたらに乗せられただけの気もするが……全く有意義では無かった、という訳でもない。一先ずは礼を言っておこうか」

 

「建設の成功をお祈りしています」

 

 葵の言葉に光ノ丸は一応ではあるが軽く頭を下げ、その場を後にした。

 

「お疲れ様でした」

 

「ああ、有備さん、お疲れ様でした。五橋さんも本日はお疲れ様でした」

 

「……結果はどうあれ、これで貸し借り無しですわ。それではごきげんよう」

 

「あっお嬢様! ……すみません、失礼します」

 

 一言だけでさっさと行ってしまった八千代を憂が慌てて追いかけていった。

 

「葵様、お疲れ様でした」

 

「ああ、サワっち、今日はありがとう」

 

「設営などは黒駆君ですから……後で声を掛けてあげてください」

 

「でも段取りはほとんどサワっちでしょ? 本当にお疲れさま」

 

「いえ……ディベートを行うというご提案には驚かされましたが、結果として将愉会をアピールするという目標は達せたと思います。これしきのこと、なんということはありません」

 

「アピール出来たのかなぁ」

 

「十分に出来たと思いますよ」

 

 葵と爽が話す様子を北斗と南武が遠巻きに眺めていた。

 

「へっ、どうやらまんまと利用されたって訳だ」

 

「そのわりには何だか嬉しそうですね」

 

「話し合い自体は有意義だったと思うからな、今回みたいな機会を与えてくれたことにはむしろ感謝しているぜ。どうしてなかなか面白そうな公方さまじゃねーか、それに……」

 

「それに……?」

 

「単純に好みだ、顔が」

 

「な、何を言っているのですか⁉」

 

 

 

 公開ディベートから数日後の放課後、二年と組の教室に集まった将愉会の面々。

 

「伊達仁、支持率調査はまだなのか?」

 

「前回からそれ程日が経っておりませんから、もうしばらく後でしょう……ただ、ネットの反応を見ると将愉会の評判は上々です、あくまで一部を見た限りではありますが。そうそう、赤宿君に対しても好意的な意見をいくつか見かけましたよ」

 

「本当かい? 嬉しいねえ」

 

「ち……おい、爽ちゃん、今度は俺様に見せ場用意してくれよ」

 

「……黒駆君とイケメン腕相撲勝負でも配信しますか、きっとバズると思いますよ」

 

「……受けて立ちましょう」

 

 爽の言葉に秀吾郎がよく引き締まった腕をまくって見せた。弾七が慌てて首を振る。

 

「何で俺様=相撲みたいになってんだよ! 大事な商売道具を壊されたら堪んねえよ」

 

「バズると言えば、ご覧になりました、昨日の自由恥部のこの動画?」

 

 小霧が自身の端末を皆に見せるようにした。動画には北斗と南武が映っていた。

 

「……じゃあ真面目な話はここまで! ここからは南町奉行のプライベートな部分に迫っていこうかな~♪ ズバリ最近気になっている女性はどんな人?」

 

「な、なんですか、その質問は⁉ 答えるわけないでしょう!」

 

「答えづらいだろうから俺から答えようか、そうだな~凛としていて、しっかりと自分の意見を持っている女性かな~どう?」

 

「……ノーコメントです」

 

「え~そこは『あにうえとおなじのにする~』じゃないの~?」

 

「ノーコメントです!」

 

「これは……どう思います、若下野さん?」

 

 小霧が葵に問いかける。

 

「うん? あ、それより見てみて、関連動画の欄! 『何でも五七五で答えてみた』だって! 何それ、受ける~」

 

「ふむ、平常運転ですわね……」

 

 小霧が溜息を突き、他の皆も苦笑を浮かべた。


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