私が征夷大将軍⁉~JK上様と九人の色男たち~   作:阿弥陀乃トンマージ

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予算認可

 それから数日経った放課後、と組の教室に進之助が入ってきた。

 

「聞いたぜ、しょうゆ会に特別予算が付くんだってな!」

 

「ええ、それにしても随分耳が早いですね」

 

 爽が答える。

 

「もうそこら中で噂になっているぜ!」

 

「そこら中ですか……?」

 

 考え込む爽に対して傍らに立っていた小霧が声を掛ける。

 

「伊達仁さん? どうかなさいましたか?」

 

「こちらの意図したタイミングよりも早く情報が出回っている……?」

 

「伊達仁さん? 何をぶつぶつおっしゃっているの?」

 

「ああ、いえ、何でもありません」

 

 爽は首を横に振った。

 

「……で、我らが将軍さまは何をやっているんでい?」

 

 進之助が自分の机にへばりつくように座っている葵に目をやる。小霧が答える。

 

「反省文を書いている所ですわ、原稿用紙百枚分」

 

「百枚分⁉ オイラでもそこまでは無いぜ……なんでそんなことに?」

 

「今回は大分強引な手段を用いてしまいましたから、主に不法侵入とかプライバシーの侵害とか……会長として諸々の責任をとっていただくということで、反省文提出が予算認可の条件の一つでもあります」

 

 爽が眼鏡の縁を触りながら答える。

 

「そ、そうなのか、大変だな……」

 

 進之助が気の毒そうに呟く。

 

「ああ、上様……やはり自分が忍び込むべきだった」

 

「いや、だから不法侵入前提で話を進めるな……」

 

 肩を落とす秀吾郎に景元が呆れる。

 

「おい、爽ちゃんよ!」

 

 今度は弾七が教室に入ってきた。

 

「あら、どうしました?」

 

「どうしました?じゃねえよ! こないだのライブ動画だよ!」

 

「ライブ動画?」

 

「ああ、結局あの後、緑眼鏡は動画を見てなかったんだろ?」

 

「ええ、そうですね」

 

「じゃあ、あのどこから連れてきたか分からねえマッチョ二人組の絵を描く必要は無かったんじゃねえかよ!」

 

「あ~確かに」

 

「今気付きましたみたいに言うなよ!」

 

「まあ、良い経験になったということで一つ……」

 

「そういう経験値は別に貯めたくねえんだよ!」

 

「まあまあちょっと落ち着きなって、弾七ちゃん~」

 

 弾七の後ろから北斗が声を掛ける。

 

「ライブ動画自体は結構な閲覧数だったよ? 第二弾を希望しますって類のコメントもチラホラあったよ」

 

「やらねえよ!」

 

「え~じゃあ、今度はさ、南武をモデルにとかどう~?」

 

「な、なんで僕が⁉」

 

 北斗についてきていた南武が驚く。

 

「ふむ……案外悪くはねえかもな?」

 

「ええっ⁉」

 

「冗談だよ! 本気にすんな!」

 

「出来た! 反省文百枚!」

 

 葵が叫び、皆が葵の席に近づく。

 

「本当に書いたのかよ百枚も……?」

 

「まあ、それが条件の一つだからね。自業自得みたいなところもあるけど」

 

 そう言って葵は苦笑する。

 

「……では受け取りましょう」

 

 いつの間にか光太が教室に入ってきていた。

 

「ああ、新緑先生すみません、お待たせ致しました。でも、締め切りにはギリギリ間に合いましたよね?」

 

 光太が反省文を葵から受け取る。

 

「……確かに百枚ですね、中身は後で精査するとして……」

 

「予算の方は……」

 

「……認可しましょう」

 

「良かった~」

 

「何故です?」

 

「? 何がですか?」

 

「何故そこまで一生懸命になれるのですか、貴女は?」

 

「それは決まっているじゃないですか、『この学校をより良いものにしたいから』ですよ」

 

「……!」

 

 葵の言葉に光太は目を見開いた。

 

「その滅私奉公の姿勢、実に素晴らしい……」

 

「はい?」

 

「もっと貴女のことを深く知りたくなりましたよ」

 

「「「⁉」」」

 

「先生、それってつまり……?」

 

「ええ……」

 

「将愉会の顧問になって頂けるんですね⁉」

 

「はっ?」

 

「いや~良かった~やっぱり顧問の先生がいないと色々都合が悪いんですよね~」

 

「あ、あの……?」

 

 光太は葵の周囲を見た。皆一様に首を振った。

 

「将愉会また一歩前進! 視界は良好!」

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