アンタとはもう戦闘ってられんわ!   作:阿弥陀乃トンマージ

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第26話(3)電光石火、参上

「なっ⁉」

 

「ウチらの戦いぶりをその目にしっかりと焼き付けや! 行くで、二人とも!」

 

 隼子が声をかけ、三人は部屋を出る。やや間があって、銅色の戦闘機が金色と銀色のロボットを乗せて、神戸港の方角へと向かう。母親が割れた窓からそれを見て呟く。

 

「見せてもらおうやないの、その戦いぶりを……」

 

 数分後、隼子たちは神戸港に到着する。黒いロボットが数十体、破壊活動を行っている。

 

「なんや⁉ 怪獣とちゃうんか⁉」

 

「どうやら怪獣は姿を消した模様だね、海にでも潜ったのかな」

 

 隼子の問いに閃がモニターを確認しながら冷静に答える。大洋が呟く。

 

「あいつらは確か……」

 

「『九竜黒暗会』の用いているロボットだね、機体名は『ヘイスー』」

 

「九竜黒暗会……」

 

「香港辺りを拠点に東・東南アジア地域で活動しているマフィアだね」

 

「そないな連中が何故ここに?」

 

 閃の説明に隼子が首を傾げる。

 

「さあねえ……とにかくこのままにはしておけないでしょう?」

 

「それはもちろんや!」

 

「双方のカタログスペックを対比してみても特に問題はない……相手の数が多いけど、こちらも分離状態でよかった。一気に片付けるよ!」

 

「よしきた!」

 

 大洋と閃の機体が飛び降り、地上に着地する。大洋が叫ぶ。

 

「この『(こう)』の攻撃、名刀『光宗(みつむね)』の切れ味をとくと味わえ!」

 

 大洋が駆る金色の機体が脚部に収納されていた刀を取り出し、横に薙ぐ。前方に立っていたヘイスー数機は脚部を切断され、あっという間に無力化する。モニターでその様子を眺めていた母親が呟く。

 

「あれは第四世代の機体か……近接戦闘に適した機体のようやな」

 

「さ~て、『(でん)』が蜂の巣にしてあげるよ!」

 

 閃が駆る銀色の機体が激しい銃撃により、ヘイスー数機は腕部や脚部を撃ち抜かれて、これもまた一瞬で無力化する。母親が頷く。

 

「銀色が砲撃戦闘用か……」

 

「とどめはウチや! 『石火(せっか)』の爆撃を喰らえ!」

 

 隼子の駆る銅色の戦闘機が人型に変形し、空中から爆撃を行う。ヘイスー数機は抵抗もまままならず、機体を沈黙させる。母親が顎に手を当てる。

 

「隼子ちゃんの乗っている銅色が飛行戦闘用か……しかし、港湾施設には余計な被害が出ないように、なおかつ相手のパイロットの命を奪わんようにしながらも優位に戦っておる……三人とも、なかなかの技量を持っているようやな」

 

 数十機いたヘイスーがすぐさま鎮圧される。石火を地上に着陸させた隼子が叫ぶ。

 

「よっしゃ! どんなもんじゃい!」

 

「! 前座は終わりだ! 来るよ!」

 

 閃の言葉通り、海から巨大なワニのような怪獣が姿を現す。隼子が驚く。

 

「ワ、ワニ型怪獣⁉ 以前遭遇したのよりもごっついのう!」

 

「! 後方に飛べ!」

 

「⁉」

 

 二足歩行のワニ怪獣が地上に上陸した途端、尻尾を振る。長い尻尾が隼子たちを襲うが、大洋のとっさの掛け声により、なんとか直撃は避けられた。隼子が胸をなで下ろす。

 

「あ、危なかった……」

 

「鋭く重い一撃だね、あれをまともに喰らうとヤバいかも……」

 

「こちらも対抗するぞ! 閃、隼子! 二人とも、準備は良いな⁉」

 

「了解~」

 

「あ、ああ! り、了解!」

 

「よし! スイッチ、オン!」

 

 強い光が周囲に放たれた後、大洋がゆっくりと目を開けると、自身のシートの足元に二つのシートが並んでおり、そこに右から閃と隼子がそれぞれ座っている。大洋が頷く。

 

「よし、合体成功だな!」

 

 そこには金銀銅の三色が混ざり合ったカラーリングをした流線形が特徴的なボディの機体が敢然と立っていた。

 

「『三機合体!電光石火(でんこうせっか)‼』……ちょっと待て! だからお前ら何故掛け声を言わない⁉」

 

 大洋が足元の二人に対し、疑問を投げ掛ける。隼子と閃が互いに顔を見合わせてから。大洋の方に向かって答える。

 

「「……恥ずかしい」」

 

「き、綺麗にハモるな! は、恥ずかしくなどない!」

 

「いや、やっぱり恥ずかしいって……」

 

「と、とにかく行くぞ!」

 

 大洋は電光石火に刀を構えさせる。モニターを見つめていた母親は驚嘆する。

 

「もしやと思ったが、合体を前提にしておったのか……それにしても、隼子ちゃんの乗っているあの銅色……まさか、そんな偶然が……」

 

「うおおっ!」

 

「!」

 

「むっ⁉」

 

 電光石火が斬りかかるよりも速く、ワニが長い尻尾を振り、電光石火の右脚に巻き付ける。

 

「し、しまった!」

 

「……!」

 

「どわあっ⁉」

 

 ワニがその尻尾を振り上げると、電光石火が機体ごと軽々と持ち上げられ、すぐさま地面に叩きつけられる。隼子が声を上げる。

 

「な、なんちゅうパワーや!」

 

「尻尾がほどけた! 大洋、一旦距離を取って!」

 

「あ、ああ!」

 

 閃の指示に従い、大洋は電光石火をやや後退させる。閃が呟く。

 

「あの尻尾は厄介だね、迂闊に近づけない……」

 

「どうするんや、オーセン⁉」

 

「慌てない、慌てない……」

 

「一休み一休み……してる場合ちゃうねん!」

 

「ノリツッコミが冴えてるねえ~地元凱旋だから?」

 

「ちゃうわ!」

 

「隼子! 馬鹿なことをやっている場合じゃないぞ!」

 

「褌一丁の奴に言われたないわ!」

 

「しかし、どうする、閃? 接近できなくては厳しいぞ」

 

「大洋も落ち着いて。こういう時の為にあれがあるんだからさ」

 

「あれ?」

 

「ポチッとな♪」

 

「おっ! モードチェンジか!」

 

 電光石火が銅色主体のカラーリングに変わる。隼子が一番上の席になる。

 

「銀色になっても良かったんだけど、ここはジュンジュンに譲るよ」

 

「よし! 隼子、故郷に錦を飾れ!」

 

「いつの時代の発想やねん! まあええわ、仕留めさせてもらうで!」

 

 隼子は電光石火の背部にある翼の片方を引き抜き、ブーメランのように投げつける。翼は鋭く弧を描き、ワニの首の辺りを切り裂く。大洋が叫ぶ。

 

「いいぞ! ……ん⁉」

 

 切り裂かれたワニの身体から、金属部分がさらけ出される。

 

「な、なんやあれ! 生物とちゃうんか⁉」

 

 隼子が驚きに目を丸くする。

 

「……機械化された怪獣?」

 

 閃が目を細める。

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