アンタとはもう戦闘ってられんわ!   作:阿弥陀乃トンマージ

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第26話(4)衝撃の乱入者

「グギャア!」

 

 ワニが雄叫びを上げ、電光石火に向かってくる。隼子が慌てる。

 

「く、首根っこ斬ったと思ったのに、まだ動けるんかいな⁉」

 

「隼子、モードチェンジだ!」

 

「ま、任せた!」

 

 大洋の言葉に従い、隼子は電光石火を最初のモードに戻す。

 

「喰らえ!」

 

「!」

 

 大洋は電光石火に刀を振らせる。突進してきたワニの右腕を切断する。閃が声を上げる。

 

「良いよ、大洋!」

 

「このまま畳みかける! むっ⁉」

 

 ヘイスーが新たに数機出現し、電光石火に向けてライフルを発射する。予期せぬ攻撃を受けた大洋は電光石火を後退させる。ヘイスーはワニを取り囲むように立つ。隼子が首を捻る。

 

「な、なんや⁉」

 

「あの機械化怪獣を守っている……⁉」

 

「なんの為に⁉」

 

「さあ、九竜黒暗会に何らかの関係があるのかもしれないね……」

 

「関係がある?」

 

「例えばビジネス的な何か……とかね」

 

 隼子の問いに閃が答える。大洋が声を上げる。

 

「とにかく捨て置けないだろう⁉」

 

「ああ、ここで始末をつけておいた方が良いね……」

 

「よし! ぐっ!」

 

 大洋は電光石火を接近させようとするが、ヘイスーたちの正確な射撃がそれを阻止する。隼子が声を上げる。

 

「ちっ! なかなかやりよるで!」

 

「さっきよりも手練れのパイロットたちのようだね! 大洋、モードチェンジだ!」

 

「! ま、任せる!」

 

 電光石火が銀色主体のカラーリングに変化する。ヘイスーたちが一瞬戸惑う。その隙を閃は見逃さない。

 

「射撃戦ならばこっちに分がある!」

 

「⁉」

 

 閃は電光石火にガトリングガンなどを連射させ、ヘイスー数機をあっという間に沈黙させる。その様子を見て隼子が快哉を叫ぶ。

 

「や、やったで! オーセン!」

 

「ふ、ざっとこんなもんだよ……」

 

「いや、まだだ!」

 

「なっ⁉」

 

 巻き上がった土煙の中からワニが突っ込んできた。閃の反応が遅れる。隼子が叫ぶ。

 

「ア、アカン!」

 

「……!」

 

「なに⁉」

 

 次の瞬間、緋銅色のロボットが滑空飛行で電光石火とワニの間に割って入り、ワニを胴体ごと切って捨てる。ワニは崩れ落ちて爆発する。その爆炎の向こうに緋銅色のロボットが着地し、電光石火の方に向き直る。隼子が閃に問う。

 

「オ、オーセン! あの機体は⁉」

 

「うん……私たちの機体によく似ているね……」

 

怪訝な表情でモニターを見つめながら閃が答える。大洋が首を傾げる。

 

「何者だ?」

 

「……電光石火を確認。最優先目標は無力化し、母艦に連れていく……無理なようならば、ここで破壊する……」

 

「な、なんだと⁉」

 

「うん⁉」

 

 緋銅色の機体から聞こえる声に大洋と隼子が驚く。

 

「行動に移る……」

 

 緋銅色の機体が電光石火に襲いかかってくる。背中に翼のようなものを広げた機体はあっという間に両機の距離を詰める。閃が舌打ちする。

 

「ちっ! 速い! ぐわっ!」

 

 赤銅色の機体と電光石火が交差する。すれ違い様に電光石火の腰部が破損する。

 

「……外したか」

 

「な、なんていうスピード……! そして、あの翼そのものが鋭利な刃……高速戦闘兼接近戦に完全に特化した機体か!」

 

「分析力もなかなかの模様……」

 

「ま、まさか……」

 

 隼子が戸惑う。大洋が閃に告げる。

 

「閃! もう一度、モードチェンジだ!」

 

「! た、頼むよ!」

 

 電光石火が接近戦主体のモードに切り替わる。緋銅色の機体から声が聞こえる。

 

「無駄なあがき……次で決める!」

 

「はっ!」 

 

「……何⁉」

 

 緋銅色の機体から驚きの声が聞こえる。交差した瞬間、翼の刃で電光石火の腰部を再び狙ったのだが、大洋は電光石火をジャンプさせ、股で刃を挟んでみせたのである。

 

「真剣白刃取りだ!」

 

「ウチの知っている真剣白刃取りと違う!」

 

 隼子が戸惑い気味に叫ぶ。

 

「くっ! 離せ!」

 

「離さん!」

 

「ちぃっ!」

 

「なっ⁉」

 

 電光石火が刀を振り下ろすが、翼の部分を斬ったのみで、緋銅色の機体は電光石火から距離を取ることに成功する。閃が舌を巻く。

 

「機体の反応スピードもさることながら……パイロットもすごい反射神経だね~」

 

「まったくだ、今の攻撃をかわすとはな……」

 

「……左翼を破損。これ以上の戦闘継続は困難と判断、大富岳(だいふがく)に帰還する……」

 

「なに⁉ 待て!」

 

「……!」

 

 緋銅色の機体は戦闘機形態に変形すると、高速で電光石火の前から離脱する。

 

「う~む、ジュンジュンの石火によく似ているね、戦闘機形態になれるというところも……」

 

「ウチ、知っているわ……」

 

「え? 股間で真剣白刃取りを?」

 

「いや、それは知らん言うとるやろ! あの機体のパイロットや!」

 

「誰なの?」

 

「それは……」

 

「隼子ちゃんの察しの通りや……」

 

 電光石火のモニターに隼子の母親が映る。隼子が問う。

 

「オカン! やっぱりあれは……」

 

「せや、貴女の姉、飛燕龍子(ひえんりゅうこ)ちゃんや……そしてあの機体は『烈火(れっか)』……我が家の研究グループと関係の深い企業が共同開発した機体や……」

 

「龍子姉ちゃん……聞き覚えのある声やと思ったら……って、待てよ! 大富岳⁉」

 

「経緯はさっぱり分からんが、どうやら真大和国に与しているみたいやな……」

 

「そんな……」

 

「貴女たちの技量はよく分かった……こんなこと頼めた義理やないかもしれんけど……龍子ちゃんのことをなんとかしてあげて……!」

 

「まさか、そないな展開になるとはな……」

 

 母親の悲痛な声に隼子は顔をしかめる。

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