アンタとはもう戦闘ってられんわ!   作:阿弥陀乃トンマージ

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第27話(3)御用改めである

「え⁉ あのだんだら羽織って、まさか、新選……」

 

「いや、真誠組って言っていたわよ?」

 

 興奮する太郎にユエが水を差す。タイヤンが駄目を押す。

 

「それにどう見ても女だな」

 

「状況から判断するに、歴女の集まりか?」

 

「ワーオ、コスプレガール⁉」

 

「刀はマジモンっぽいけどな」

 

 ウルリケが首を傾げ、ベアトリクスと玲央奈が見つめる。ショートボブの女性が困惑する。

 

「あの、すごく、見られてますが……」

 

「衣服が我々のものとは違うな……」

 

 ポニーテールの女性が淡々と呟く。ショートボブがはっとする。

 

「そう言われると確かに……これは一体……?」

 

「かなり妙な状況に巻き込まれたということだろうな」

 

「どうしますか、副長?」

 

「知れたこと、女性たちが囲まれている。不逞浪士どもを取り締まる!」

 

「了解!」

 

「!」

 

 ショートボブの女性が刀を抜くと、凄まじいスピードで突進し、侍たちを貫く。

 

「はっ!」

 

 その脇でポニーテールの女性が刀を振るい、一人の侍を斬って捨てる。

 

「‼」

 

 侍たちの注意がだんだら羽織の二人組に向く。侍たちが素早く、二人を包囲して出方を伺う。ポニーテールの女性が苦笑を浮かべる。

 

「集団戦法、いつも我々がやっていることをやられるとは……」

 

「ふむ……」

 

 ショートボブがすぐさまポニーテールと背中を合わせ、お互いの背後を守る体勢を取る。

 

「冷静な判断ね」

 

「手慣れているな」

 

 ユエとタイヤンが感心する。

 

「……!」

 

「ふん!」

 

「……‼」

 

「それっ!」

 

 斬りかかった侍をショートボブとポニーテールが返り討ちにする。

 

「すげえ!」

 

「ヒュー♪」

 

 玲央奈が歓声を上げ、ベアトリクスが口笛を吹く。

 

「な、なんていう剣さばき……」

 

「軍でもなかなかお目にかかれないな」

 

 太郎とウルリケが分析する。ショートボブが苦笑する。

 

「……なにかやりにくいですね」

 

「そうか? 褒められているのは悪い気はしない」

 

「どこでもブレませんね、副長は……」

 

 髪をかき上げるポニーテールを見て、ショートボブがさらに苦笑する。

 

「お、おい、金! これはどういうことだ⁉」

 

「……分からん。どうやら同じ世界から余計な奴らまで紛れ込んでしまったようだな……」

 

「ど、どうする⁉ あの女たち、相当出来るぞ!」

 

「数で圧倒すればいい……」

 

「なに? おおっ!」

 

 裂け目から次々と侍たちが現れ、二人組だけでなく、ユエ、玲央奈たちまでも包囲する。

 

「ちっ、流石にマズいか……」

 

 ポニーテールが刀を構えながら舌打ちする。

 

「‼」

 

「うおっ⁉」

 

 包囲していた侍たちが一斉に斬りかかる。ポニーテールはなんとかそれを防ぐが、体勢を崩して転んでしまう。そこに侍が追い打ちをかけようとする。

 

「……」

 

「副長!」

 

「くっ……!」

 

「はっ!」

 

「うおおっ!」

 

「⁉」

 

 そこに同じく浅葱色のだんだら羽織を身に纏った女性が二人駆け付け、侍たちを勢いよく切り捨てる。青みがかったロングのストレートヘアーの女性が笑う。

 

「菱形さん、尻餅なんかついちゃってみっともないな~」

 

「うるさい、放っておけ、司……」

 

「トシ、池田屋の時とは逆になったな」

 

「ふっ、そうだな、権藤さん……」

 

 長く赤い髪をお団子ヘアでまとめた女性がにこやかに笑いかける。玲央奈が驚く。

 

「サムライが増えたぞ⁉」

 

「貴様ら……何者だ!」

 

 銀が叫ぶ。赤髪の女性がふっと笑う。

 

「問われて名乗るのもおこがましいが……真誠組局長、権藤勇(ごんどういさみ)だ!」

 

「同じく副長、菱形歳子(ひしがたとしこ)だ」

 

「一番隊組長、時田司(ときたつかさ)で~す」

 

「三番隊組長、海藤黎(かいとうはじむ)……」

 

「怯むな! さらに囲め!」

 

 金の言葉に従い、侍たちが包囲網を厚くする。太郎が戸惑う。

 

「ど、どうしましょう⁉」

 

「こういう時は一点突破に限りますね~」

 

「うおっ⁉」

 

 時田と名乗った、ロングヘアーの女性が素早い足取りで侍たちとの距離を詰め、数人をいとも簡単に斬って捨てる。ユエが目を丸くする。

 

「目にも止まらぬ早業……」

 

「いや~お褒めに預かり光栄です~」

 

 時田がユエに向かって軽く会釈をする。菱形と名乗ったポニーテールが叫ぶ。

 

「司! 気を抜くな!」

 

「はい? おおっと……」

 

 斬られた侍たちがゆっくりと立ち上がる。玲央奈が驚く。

 

「なっ⁉ い、生きてやがる⁉」

 

「ワーオ、ジャパニーズゾンビ⁉」

 

「アホもトリクシーも落ち着け! こ、これは……⁉」

 

 ウルリケが目を疑う。侍たちが茶色い光に包まれたかと思うと、人体よりも五倍ほどは大きい機械の鎧を身に纏って現れたからである。海藤と名乗った女性が権藤と名乗った女性に目配せをする。

 

「局長……!」

 

「ああ! 真誠組、『御用改め』である!」

 

「「「了解!」」」

 

 真誠組の四人も光に包まれたかと思うと、機械の鎧を身に纏って現れる。太郎が驚く。

 

「ええっ⁉」

 

「あれは……ロボットというよりもパワードスーツのようなものか?」

 

 ウルリケが呟く。

 

「ミー知っているよ! あれはジャパニーズヨロイね!」

 

「いや、ベアトリ! あんなヨロイねえよ!」

 

 興奮するベアトリクスに玲央奈が突っ込みを入れる。タイヤンがユエに尋ねる。

 

「……どう思う?」

 

「……真誠組という組織名と言い、どうやら本当に私たちの知っている、日本の幕末とは違う時代からやってきたようね……」

 

「なるほど、『こうなっていたかもしれない』日本か……」

 

「そういうこと」

 

「‼」

 

 茶色い機体の内の一体が四体の機体に向かって飛びかかる。紫色の機体が刀で鋭い突きを繰り出して、相手の機体を貫く。海藤の声が静かに響く。

 

「『邪悪・即座・滅殺』……我々の合言葉だ」

 

「ぶ、物騒!」

 

 太郎が縮み上がる。

 

「海藤さん、『クニシゲ』の調子良さそうですね~」

 

「ああ……! 行ったぞ、時田君!」

 

「え?」

 

 青色の機体が自らの背後に迫った機体二体を一瞬の内に刀で切り捨てる。

 

「……⁉」

 

「なにかありました? 海藤さん」

 

「いや……『イチモンジ』、相変わらずの早業だな……」

 

 時田の戦いぶりを見て、海藤が笑みを浮かべながら小声で呟く。

 

「はっ!」

 

 黒い機体が刀で目の前に立つ茶色い機体を斬り倒す。時田が拍手を送る。

 

「うわ~菱形さん、よく出来ました~」

 

「茶化すな、司……」

 

「『カネサダ』も良い感じですね」

 

「そうだな、妙な状況……というか、我々の世界とは異なった世界に来てしまったようだが、問題なく動いている……」

 

「え? ここって違う世界なんですか?」

 

「気が付かなかったのか? 私たちの知っている京とは違うだろう……」

 

「まあ、どこでもやることは一緒ですよ」

 

「お前な……」

 

「司の言う通りだ! はあっ!」

 

 赤い色の機体が刀を振り下ろし、目の前の機体を両断する。菱形が笑う。

 

「ふっ、気合十分だな、権藤さん」

 

「まあな、今宵の『コテツ』は血に飢えているぞ……」

 

 権藤が機体に刀を構え直させて悠然と呟く。

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