アンタとはもう戦闘ってられんわ!   作:阿弥陀乃トンマージ

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第28話(2)捻りがない

「あれは……『風神(ふうじん)』と『雷神(らいじん)』!」

 

 火東がモニターに映る二体を指差しながら叫ぶ。緑色の機体、風神は巨大な布のようなものをなびかせており、赤色の機体、雷神は自らの周囲に太鼓のようなものを巡らせている。

 

「千年の永い歴史を誇る大京都鋳物堂が生み出した最高のロボット二体、風神雷神……特殊かつ複雑な操縦機構の為、まともに稼働させることが出来るのは千歳一族の血を引くもののみ……操縦者は、『京の都が生み出した最強かつ最凶の美人双子姉妹~トレードマークはお揃いのおかっぱ頭~』の異名を取る、千歳姉妹の姉、千歳風(ちとせふう)と、その妹、千歳雷(ちとせいかづち)!」

 

「異名長っ!」

 

 土友に対し、殿水が思わず突っ込みを入れてしまう。

 

「長々と説明をご苦労はんどす、土友はん……」

 

 モニターに映った、おかっぱ頭の前髪に一部緑色のメッシュを入れた女性、風が微笑む。

 

「別に……確認は必要なことだからな」

 

「……この妙な巨大怪獣は貴様ら……志渡布一派の差し金か?」

 

「志渡布一派って……そこは『真大和国』と呼んで欲しいわ~」

 

 小金谷が前髪に一部赤いメッシュを入れた女性、雷が苦笑する。

 

「賊徒が国を名乗るな、おこがましい……」

 

「あらら怖い怖い……」

 

「まあ、それはいい……志渡布が術で生みだした巨大怪獣だな?」

 

「ふふっ、巨大怪獣とはなんとも捻りのない……」

 

 風が笑う。小金谷が顔をしかめる。

 

「なんだと?」

 

「あれは合成獣どす」

 

「合成獣?」

 

「そう、複数の獣や動物などを組み合わせて生成したものどす……キマイラと言った方が洒落てるんやろか?」

 

「どうでもいいけど……」

 

「うん?」

 

「それこそ捻りがないわね」

 

「むっ⁉」

 

「ええ、一周回ってセンスが無いわ」

 

「ぬっ⁉」

 

 殿水と火東の言葉に風の顔色が変わる。雷が少し慌てる。

 

「風姉さま、ちょ、ちょっと落ち着いて……」

 

「ふははっ! いいぞ下半身コンビ! もっと煽れ!」

 

「だから言い方!」

 

「アンタが煽るな!」

 

 殿水と火東が小金谷に反発する。風がため息をつく。

 

「ふう……」

 

「ふ、風姉さま?」

 

「ああ、失礼、落ち着きました……」

 

「それは良かった……さて、胴体部分も含めて六体に分裂した怪獣をどうするのん?」

 

「結局、怪獣って言ってるね~」

 

「う、うっさいわ!」

 

 木片の指摘に雷がムッとする。風が意地悪な笑みを浮かべながら尋ねる。

 

「そのデカい図体で、街を守り切れますか?」

 

「……問題ない」

 

「なんやと?」

 

 土友の答えに風が眉をひそめる。

 

「想定内だ……和さん」

 

「ああ、お前ら! 出番だ!」

 

 小金谷が指示すると、緑色の機体がFtoVの脇から飛び出し、合成獣の元左脚部を撃つ。

 

「この『イナウディト・ヴェルデ』はジャミングだけじゃなく射撃も得意な機体よ!」

 

 緑の機体の搭乗者、梅上愛(うめがみあい)が声を上げる。

 

「!」

 

 またも脇から飛び出した白い機体がブレードで合成獣の元胴体部を斬りつける。

 

「近接戦ならこの『イナウディト・ビアンコ』、そうは負けん!」

 

 白の機体の搭乗者、竹中大門(たけなかだいもん)が無駄にポーズを決めながら叫ぶ。

 

「‼」

 

 またまた脇から飛び出した赤い機体のミサイルが合成獣の元右脚部に命中する。

 

「火力の高さが売りの『イナウディト・ロッソ』だ!」

 

 赤の機体の搭乗者、松下克長(まつしたかつなが)が冷静に呟く。

 

「⁉」

 

「『トリオ・デ・イナウディト』か!」

 

「ま、まだ、三体おるで!」

 

「こちらもまだいるぞ! お前ら!」

 

 白と青のストライプが特徴的な機体が素早いスピードで合成獣の元左腕部にぶつかる。

 

「なっ!」

 

「『極東の快速列車』、『卓越(たくえつ)』をねぶるな!」

 

 卓越のメインパイロット、増子益子(ましこますこ)が叫ぶ。殿水が声をかける。

 

「かっこ良いよ! 増子さん! あとは……うん!」

 

「いや、うん!じゃなくて! サブパイロットの曽我部っす! いい加減覚えて下さい!」

 

 ケンタウロスを模したかのような、上半身が人型で下半身が馬型というフォルムが特徴的で全身のカラーリングは黒のロボットが、合成獣の元右腕部を後ろ足で蹴り飛ばす。

 

「なっ‼」

 

「キックさんの蹴りを喰らえるなんて羨ましい限りです!」

 

「アタシの名前は菊じゃ、小さいッば付けんな。これは後でお仕置きやな……」

 

「はい、光栄であります!」

 

「ははっ、『イノセントデストロイヤー』、『ダークホース』、頼もしいね……」

 

 ケンタウロス型ロボット、ダークホースのパイロットである梅原菊(うめはらきく)多田野一瞬(ただのいっしゅん)の独特なやりとりを聞いて、火東が苦笑する。朱色を基調としたカラーリングの大きめの戦闘機が合成獣の元頭部を撃つ。

 

「なっ⁉」

 

「この『彼方(かなた)』の機動力からは何人たりとも逃れられんぜよ!」

 

外原慎次郎(とのはらしんじろう)……流石は高名な『空援隊(くうえんたい)』の隊長だけはある……」

 

 外原の高い操縦技術に土友が感心する。小金谷が笑う。

 

「ははっ! どうしたお前ら? もう打ち止めか⁉」

 

「くっ、ここまで迅速な対応をされるとは……」

 

 風が唇を噛む。殿水が煽る。

 

「捻りも無ければ、手応えも無いわね!」

 

「! い、言わせておけば!」

 

 雷が雷神を操作し、強烈な雷撃を近くの通天閣タワーに落とす。殿水が慌てる。

 

「マ、マズっ⁉ 大丈夫⁉」

 

「……問題はないと言えばない」

 

「はっ⁉ どういうことよ、土友さん⁉」

 

「通天閣は無事だ……だが……」

 

 雷撃によって生じた黒煙が晴れてきたかと思うと、黒と白のシンプルなカラーリングをしたロボットのような機体が二機、そして、ファンタジー世界に出てくるような翼の生えたドラゴン数匹が通天閣付近の空に突如として出現した。

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