アンタとはもう戦闘ってられんわ!   作:阿弥陀乃トンマージ

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第8話(4)右脚の試練

 電光石火とピンクフットが対峙する。大洋が呟く。

 

「さて、どうするか……?」

 

「やっぱりあのスピード、機動力が厄介だよね~」

 

「ズバリ脚そのものやからな……」

 

「とはいえある程度は接近して戦わないといけないよね~。残念だけどこちらの射撃はそうそう当たらないだろうし」

 

 閃の言葉に大洋が頷く。

 

「結局は接近戦ということになるか……しかし、悔しいがやはり双方の力量差はどうしても埋めがたいものがある」

 

「そのためにココを使うってことだね~」

 

 閃が自身の頭をトントンと指差す。隼子が訝しげに尋ねる。

 

「なんぞええアイデアでもあるんかいな?」

 

「う~ん、こんなのはどうかな? ……」

 

 閃の提案に隼子は首を傾げる。

 

「そんなに上手くいくか~?」

 

「……とりあえずそれでやってみよう」

 

「ええっ⁉」

 

「お、話分かるね~大洋」

 

「どの道こちらから仕掛けなければジリ貧だからな」

 

「だってさ。どうする、ジュンジュン?」

 

「素直に多数意見に従うわ……」

 

 隼子は片手で頭を抑えながら、やれやれといった様子で呟いた。

 

「そんじゃ、モードチェンジ、行ってみよ~」

 

 閃が宣言し、電光石火はモードを変更した。殿水も即座に反応した。

 

「銅色がメインのカラーリングの形態……飛行タイプね」

 

 電光石火は上空に舞った。それを見て殿水は呆れ気味に呟く。

 

「やれやれ、なんとかの一つ覚えね……」

 

 殿水はピンクフットの機体を飛び上がらせる。

 

「やっぱり期待外れだったかしら⁉」

 

「オーセン、きたで!」

 

「モードチェンジ~!」

 

「!」

 

 電光石火が飛行中にも関わらず形態を変化させたことに殿水は驚いた。

 

「銀色メインのカラーリング……射撃特化⁉」

 

「この距離、しかも空中では避けられないっしょ~?」

 

 閃がガトリングガンをピンクフットに向けて発射する。

 

「ふん! あまり甘く見ないで頂戴!」

 

「⁉」

 

「なんだと⁉」

 

 大洋たちは驚愕した。殿水がピンクフットの機体を高速回転させて、電光石火の放った銃弾を風で吹き飛ばしてみせたからである。

 

「避けられないなら受け流せば良いじゃないってこと?」

 

「んな目茶苦茶な!」

 

 二体がほぼ同じタイミングで地上に着地した。ピンクフットは着地と同時に地面を蹴り、電光石火に猛然と突っ込んできた。

 

「ガ、ガードや!」

 

「遅い!」

 

 ピンクフットの膝蹴りが電光石火に直撃した。電光石火は堪らず後方に吹っ飛んだ。殿水は機体を操作し、追い打ちをかける。

 

「これで終わりよ!」

 

 ピンクフットは勢いよく飛び上がって、仰向けに倒れ込む電光石火を思い切り踏みつけようとした。

 

「ここまでか……な~んてね♪」

 

「何っ⁉」

 

 殿水は驚いた。電光石火が合体を解き、三体に分離したからである。ピンクフットは何もない地面を踏んだ状態となった。

 

「ちっ! 分離とは!」

 

「もう一丁~♪ ポチっとな」

 

「な⁉」

 

 殿水は続けざまに驚いた。分離していた電光石火が再び合体して、ピンクフットの背後に回ったからである。

 

「よし! 後ろを取った!」

 

「ちっ……!」

 

 近接戦闘モードになった電光石火がすぐさま刀を振り下ろす。回避行動をとろうとしたピンクフットだったが完全には間に合わず、攻撃を喰らう形となった。

 

「ぐうっ!」

 

「やった⁉」

 

「いや……浅い!」

 

 大洋の言葉通り、ピンクフットは機体を捻らせて、直撃はなんとか避けた。

 

「反撃が来る!」

 

 閃が叫ぶ。体勢を即座に立て直したピンクフットの蹴りが飛んできた。電光石火は刀でそれを受け止めた。隼子が驚いた。

 

「刀で斬れんのか⁉」

 

「足裏の装甲はかなり分厚いみたいだね~」

 

 刀と足の裏での奇妙な鍔迫り合いとなった。

 

「大洋!」

 

「分かっている!」

 

 電光石火の左肘から現れたブレードが、ピンクフットのくるぶし辺りを貫いた。

 

「ぐおっ⁉」

 

「よし……!」

 

 大洋は勢いよくブレードを引き抜いた。これによってバランスを崩したピンクフットは反転しながらうつ伏せになって倒れ込んだ。

 

「倒れたで!」

 

「今がチャ~ンスだね!」

 

「……ああっ!」

 

 隼子たちの言葉を受けて、大洋が刀を振り下ろそうとしたその時、ピンクフットの機体が急に縦方向になった。膝を下にして太腿と脚の部分を上に折り曲げ、一本の木のようにしたのである。

 

「なんや⁉ 縦になりよった⁉」

 

「守りを固めるということか?」

 

「縦になったかやけになったか、かな?」

 

「そんなアホな……」

 

「とにかく大洋、刀を振り下ろせばこっちの勝ちだよ」

 

「そ、そう……だな!」

 

 大洋が刀を振り下ろそうとした次の瞬間、

 

「!」

 

「な、何⁉」

 

 大洋たちは目を疑った。ピンクフットが上げていた太ももと脚を思い切り振り下ろして、その反動を利用して、上空に飛び上がったのだ。隼子は唖然とした。

 

「んなアホな……」

 

「そっから上に飛ぶ~?」

 

「! くるぞ!」

 

 大洋の言葉通り、空中で脚を伸ばした状態になったピンクフットは高速回転をして、電光石火目掛けて、鋭い蹴りを繰り出してきた。

 

「「‼」」

 

 互いの機体、電光石火の刀とピンクフットの脚が交錯した。その結果……

 

「あ~‼」

 

「ど、どないしてん⁉」

 

「光宗(仮)が折れた……」

 

「衝撃に耐えられなかったんだね」

 

「そ、そんな……」

 

「模擬戦用でしょ、作戦では本物を使えば良いじゃない」

 

 肩を落とす大洋に殿水が話かけてくる。

 

「は、はあ……ん? 作戦? っていうことは⁉」

 

「……合格よ、明日か明後日の作戦行動。頼りにさせてもらうわ」

 

「ホ、ホンマですか⁉」

 

「ありがとうございます!」

 

「頑張りま~す」

 

「ふふっ、今日はもう退がって良いわよ」

 

 大洋たちが居なくなったのを見てから、ピンクフットは文字通り膝を突いた。

 

「くそっ、脛の部分、いわゆる『弁慶の泣き所』を的確に狙ってくるとは! 疾風大洋……思ったより良いセンスしているじゃないの!」

 

「確認は終わった?」

 

 演習場の近くを走るジープから火東が殿水に話しかけてきた。

 

「わりと手こずっていたじゃないの。思わず左脚が駆けつけてあげようかと思ったわ」

 

「……これくらいやってもらわなきゃ困るわ。電光石火も、そして疾風大洋自身も!」

 

「まあ、彼のこれからを考えたらねえ」

 

「それよりそっちはどうだったんですか、火東さん?」

 

「ああ、全く問題なし!」

 

 火東の言葉に殿水は満足そうに頷いた。

 

「ならば迎撃作戦、何とか目途が立ちそうですね……」

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