アンタとはもう戦闘ってられんわ!   作:阿弥陀乃トンマージ

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第17話(2)関門海峡の迎撃戦

「うおっ!」

 

「きゃあっ!」

 

 アレクサンドラがブリッジに戻ってきたところで、艦が大きく揺れる。

 

「お嬢様!」

 

「状況は⁉」

 

「右舷に被弾しました。エンジンに異常発生! 緊急着水します! 席に座って、耐ショック体勢を取って下さい!」

 

「くっ⁉」

 

 アレクサンドラは急いで席につくと、やや間を置いてビバ!オレンジが海に着水する。

 

「大丈夫ですか⁉」

 

「なんとかね! 敵は⁉」

 

「タエン帝国です! ラワイスタ級一隻! プロッテが十機向かってきます!」

 

「対空射撃用意! 出られるロボットは全機出て頂戴!」

 

 アレクサンドラの指示を受け、電と光と石火、ヂィーユエとファン、トリオ・デ・イナウディトの三機、奇異兵隊の四機が出撃し、艦の上部で相手を迎撃する体勢を取る。

 

「こちらは十二機、数の上では一応こちらが優位だが……」

 

「そうなんだよ、飛行機能を持っているのがジュンジュンの石火しかないんだよね~」

 

 大洋の呟きに閃が反応する。隼子がやけくそ気味に叫ぶ。

 

「一機でもやったんで!」

 

「落ち着け、隼子。電光石火に合体して戦おう」

 

「奥の手はなるべく取っておいた方がいいわ。前回の戦闘でもそうだったけど、連中はまだ部隊を残していそうだもの」

 

 ユエが通信に割って入ってくる。

 

「そうは言ってもだな……」

 

「大丈夫、行くわよ! タイヤン!」

 

「分かった!」

 

「何⁉」

 

 ユエの乗るヂィーユエとタイヤンの乗るファンが人型の形態から戦闘機に変形し、空に舞う。大洋たちは驚いた。

 

「そ、そんな形態あったんかいな⁉ 聞いてないで!」

 

「聞かれなかったからな……」

 

 隼子の叫びに対し、タイヤンが静かに呟く。白色と青色の戦闘機は旋回しながら、プロッテの群れに突っ込んでいく。ユエからの通信が全機に入る。

 

「機動力ならコイツらを圧倒出来る! ただ、戦闘機形態だと武装が貧弱なの!」

 

「何だって⁉」

 

「機銃とミサイル数発しかないのよ! 上手く掻きまわすから、撃墜よろしく!」

 

 そう言うと、二機はプロッテ十機を巧みに翻弄し、ダメージを与える。バランスを崩したプロッテが数機、高度を下げる。松下が叫ぶ。

 

「よし! 後は任せろ!」

 

 松下の搭乗するイナウディト・ロッソがミサイルやガトリングガンを発射し、プロッテを確実に撃墜していく。隼子が称賛する。

 

「流石です! 後半分!」

 

「……いや、体勢を立て直している!」

 

 松下の言葉通り、プロッテの部隊は戦闘機二機による迎撃にはじめは面食らった様子だったが、すぐに落ち着きを取り戻し、対応しはじめる。

 

「ちぃ! 慣れてきたか!」

 

 タイヤンの苦々しい声が各機に聞こえてくる。大洋が叫ぶ。

 

「隼子! 閃! 行くぞ!」

 

「おおっ!」

 

「了解!」

 

「よし! スイッチ、オン!」

 

 強い光が周囲に放たれ、電と光と石火が合体し、電光石火となる。

 

「『三機合体!電光石火‼』……だから! お前ら何故掛け声を言わないんだ⁉」

 

 大洋が二人に疑問を投げ掛ける。

 

「いちいち言ってられへんやろ……」

 

「なんてことを言うんだ、隼子! 閃! お前、最初は言っていたじゃないか!」

 

「ん~冷静に考えるとやっぱり恥ずかしいからな~」

 

「だから恥ずかしくなどない!」

 

「……か、かっけー! フンドシ兄ちゃん、かっけーな、それ!」

 

 回線をオープンにしているのか、玲央奈の大きな声が戦場に響く。

 

「見ろ、良き理解者がいるぞ!」

 

「良き理解者にフンドシ兄ちゃん呼ばわりされてるで……」

 

「ジュンジュン、飛行形態に変形するよ!」

 

「了解!」

 

 飛行形態に変形した電光石火はすぐさま浮上する。閃が指示を飛ばす。

 

「キャノンで牽制して、ブーメランだ!」

 

「分かったで!」

 

 電光石火は両肩のビームキャノンを発射する。プロッテたちはその砲撃を躱す。電光石火はすかさず背中の両翼を外し、プロッテが避けた方にブーメランとして投げる。

 

「!」

 

 鋭い軌道を描いた二つのブーメランによって、プロッテは脚部や肩部、または頭部を切断され、コントロールを失って、次々と海に落下していく。電光石火は戻ってくるブーメランをキャッチし、すぐさま背中に戻した。

 

「やったで! ⁉」

 

 別の方向から射撃が飛んでくる。隼子が視線をやると、プロッテよりはやや小型の茶色いカラーリングの機体が六機、電光石火に向かって襲いかかってきた。

 

「新手か! 注意しろ、隼子!」

 

「言われんでも!」

 

 隼子はビームキャノンを発射し、ついでブーメランを投げ込もうとする。先程と同じ戦法である。しかし、背中に手をやった瞬間に、既に茶色い機体は砲撃を躱すだけでなく、電光石火との距離を詰めてきた。

 

「早いぞ!」

 

「ぐっ!」

 

 電光石火は茶色い機体のライフルによる攻撃を続けざまに受ける。

 

「……セバスティアンさん、あれらはどういう位置づけの機体なの?」

 

 閃が冷静に回線を繋ぎ、セバスティアンに説明を求める。

 

「『コミシ』という機体です。プロッテと同様にタエン帝国内で広く用いられている量産型で様々な種類がありますが、あれらは空中戦特化の高機動力タイプですね」

 

「主な武装は?」

 

「プロッテと同じく、ライフルと近接戦闘用サーベルに肩部に備えられたバルカンです」

 

「了解! どわっ⁉ 大丈夫、ジュンジュン⁉ なんか喰らいまくってるけど⁉」

 

「迎撃しようと思っているんやが、なるほど、すばしっこいで! 動きが捉えられん!」

 

「……見てられねえ! オレらが助太刀すんぞ!」

 

 玲央奈が叫ぶ。太郎が慌てて制止する。

 

「落ち着いて下さい! 獣如王には飛行機能がありません!」

 

「んなもん、根性でどうにでもならあっ!」

 

「そ、そんな無茶な……」

 

「無茶も過ぎると只の蛮勇だ……ここは任せてもらおう……」

 

「⁉ 誰だ⁉」

 

「行くぞ、ナー!」

 

「楽しい異世界観光もこれで終いか……アーレア ヤクタ エスト!」

 

 海岸の方から叫び声が聞こえたかと思うと、何もない空間から鳥と人が合わさったようなフォルムをした小さな黒色の機体が姿を現して、手にしたサーベルでコミシの集団に斬りかかり、あっという間に六機を撃墜した。

 

「テネブライ⁉」

 

 大洋がその機体に驚く。モニターが繋がる。

 

「……相も変わらずフンドシ姿か……元気そうだな、大洋」

 

 黒色の機体に乗る青年が苦笑交じりの微笑を浮かべる。

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