アンタとはもう戦闘ってられんわ!   作:阿弥陀乃トンマージ

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第19話B(2)死闘!Cブロック

「くっ!」

 

 白鳥が回避行動をとろうとする。

 

「遅い!」

 

 インフィニ二号機が薙いだ爪が白鳥の機体を損傷させる。

 

「ぬうっ!」

 

「もう一撃!」

 

「させへん!」

 

「っ⁉」

 

 水狩田はインフィニ二号機のもう片方の爪を薙ごうとしたが、黒鳥の射撃を喰らって、のけ反る。黒鳥のパイロットが白鳥のパイロットに声を掛ける。

 

「一旦離れるで! 飛べるか、包帯?」

 

「なんとか大丈夫や、ガムテ!」

 

 黒鳥が白鳥を護るように飛んで、二機はその場から離れた。水狩田は軽く舌打ちする。

 

「ちぃ……装甲も薄かったのに、仕留め切れなかったか……」

 

「水狩田! 結構な高度だから、着地に気を付けて!」

 

「その辺は大丈夫……⁉」

 

 インフィニ二号機が着地したと同時に、爆発が起こり、二号機の右脚部が派手に吹っ飛ぶ。

 

「水狩田⁉」

 

「なんだ⁉ 地雷⁉」

 

「ふふふっ! かかったな! 『まきびし型爆弾』に!」

 

 物陰からやや小型な青いロボットが姿を現す。

 

「やったわね! 雷蔵さん!」

 

 別方向の物陰から青いロボットの同型機と思われる赤いロボットが現れる。

 

「あーなんだっけ……なんとか流忍術保存会だっけ、三重県代表の……」

 

 海江田が後頭部を掻きながら呟くと、青色のロボットから声がする。

 

「慈英賀流だ!」

 

「は? じぇいが?」

 

「違う! じえいだ! ちいさい“ぇ”ではない!」

 

「はあ……」

 

「Iの伊賀でもKの甲賀でもなく、Jの慈英賀と覚えて頂ければ幸いです!」

 

 赤いロボットから女の声がする。

 

「万代! それではむしろ話がややこしくなるだろう!」

 

「はっ⁉ そうだったわね、雷蔵さん! 私としたことが……」

 

「……ごめん、ぶっちゃけどうでもいいわ」

 

 海江田が素直な言葉を口にする。

 

「ど、どうでもいいだと⁉ むむむっ、慈英賀流数十年の歴史を愚弄するか!」

 

「数十年って、案外短いじゃない、そりゃ知らないわけだわ……」

 

「お、おのれ、忍術を駆使した攻撃を喰らえ!」

 

「忍びが手の内を明かしていたら世話ないでしょ……」

 

「海江田……」

 

「えっ、水狩田⁉」

 

 二機とインフィニ一号機の間によろめきながらインフィニ二号機が出てくる。

 

「い、いや、水狩田、片脚を失ったその機体では!」

 

「むしろちょうど良いハンデだよ……」

 

「これは絶好のアタックチャンスだぞ、万代!」

 

「し、しかし、雷蔵さん、いささか卑怯ではありませんか?」

 

「そうも言っておれん! これは絶対に負けられない戦いなのだ!」

 

「……仕方ありませんね」

 

「では、行くぞ!」

 

「速い⁉」

 

 二機が姿を消したことに海江田が驚く。次の瞬間、二機は二号機の背後に回り込んでいた。

 

「後ろをとったぞ! もらっ……⁉」

 

「……なんか言った?」

 

 水狩田が鋭い反応を見せ、二機のロボットをクローで鋭く斬りつけたのである。

 

「ぐぬぬっ! 万代、ここは退くぞ!」

 

 二機のロボットが再び姿を消す。水狩田が珍しく興奮した口調で話す。

 

「忍術だかなんだか知らないけど……こっちはもっとエグイ連中とも戦っているんだよ」

 

「ふふふっ」

 

「何がおかしいの? 海江田?」

 

「いやいや、なかなか良い傾向だなって思ってさ」

 

「良い傾向?」

 

「そうそう……ん?」

 

 海江田たちが視線をモニターの上方向に向けてみると、二機の白鳥と黒鳥が再び戦線に戻ってきた。水狩田がまた舌打ちする。

 

「さっき始末しとけば良かった……」

 

「まあ、ここは私に任せといてよ」

 

 インフィニ一号機が上空で旋回する二機に向かって鞭を構える。

 

「ふん! また鞭で飛ばそうという魂胆やろう? もう分かっとんねん、なあ、ガムテ!」

 

「ああ、滋賀県代表として、恥ずかしい戦い方を続けるわけにはいかん!」

 

「そう……かい!」

 

「はっ⁉」

 

「自分に鞭を巻き付けて……コマの要領で飛んだ⁉ だが、それでは右腕が……」

 

 驚く包帯やガムテープの言う通り、コマを回すように空に飛んだインフィニ一号機だったのだが、右腕部が外れている。

 

「そ、そないな状態で何が出来る……ぐほっ⁉」

 

「包帯! がはぁっ⁉」

 

 高速回転の勢いに乗ったインフィニ一号機は立て続けに白鳥と黒鳥を破損させて、地上に落下させた。審判のアナウンスが響く。

 

「白鳥、黒鳥、戦闘継続不可能と判断!」

 

「あ~目が回った、回った」

 

 着地した一号機はよろめきながら、二号機にもたれかかった。

 

「コックピット自体は回っていないんだから、目が回る訳が無いでしょ……」

 

「冷静な突っ込みだね、水狩田」

 

「そんなことより来るよ……」

 

「モニターに強い反応! ……これは⁉」

 

 二機のインフィニの前に巨大な銀色主体の機体がそびえ立っている。

 

「我は島根県代表、『イズモティック』社渾身の機体、『ボウフウノスサノオ』だ‼」

 

 男のよく通る太い声が試合会場中に響き渡る。海江田が渋い表情で呟く。

 

「……そういえば残っていたな、こんなのも」

 

「手負いの相手に対し、手を抜くのもかえって失礼に当たる! かのツインテールの鬼神殿からも、二人はかなりの実力者だと聞いている! この大剣で、一瞬で終わらせるぞ!」

 

「そりゃあありがたい心遣いだね。えっと……」

 

「ボウフラのなんとか……」

 

「あ~そうそうそんなこと言っていたね」

 

「ボウフウノスサノオだ!」

 

 スサノオが前に走って、大剣を横に薙ぐ。しかし、そこには二機の姿が無かった。

 

「なっ、どこに……はっ⁉」

 

 二機のインフィニはスサノオの巨体の両脇に立っていた。

 

「水狩田、この機体、スペックも良いし、ポテンシャルは結構感じるんだけどね」

 

「それは同感、後は……乗り手の問題!」

 

「成程……ね!」

 

 二号機がスサノオの右肩部から斬り落とし、一号機が巻き付けた鞭で電流を流し、両脚部の駆動部に異常を発生させた。バランスを崩したスサノオは仰向けに倒れ込んでしまった。

 

「どうせくるなら覚えやすい名前になってからにして……」

 

「ボウフウノスサノオ、戦闘継続不可能と判断! よって、Cブロック、勝者、一八テクノと慈英流忍術保存の会!」

 

「さて、ノルマまでは後一勝か……」

 

 海江田が静かに呟く。

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