アンタとはもう戦闘ってられんわ!   作:阿弥陀乃トンマージ

88 / 104
第20話(2)激戦!準決勝Aブロック

「……準決勝Aブロック、試合開始!」

 

 一回戦の翌日を迎え、審判のアナウンスが試合会場に響き渡る。

 

「さて、オーセンよ、初手はどうする?」

 

「電光石火に合体しよう、大洋」

 

「分かった」

 

 三機は合体し、電光石火となって会場を移動する。

 

「もうちょい慎重に進まなくてええんか?」

 

「狙撃に特化した機体はいないからこちらから仕掛けていくのはありだと思うよ」

 

 閃の言葉に大洋は頷く。

 

「俺も悪くない判断だと思うぞ……ん⁉」

 

「レーダーに反応あり!」

 

「誰や!」

 

 すぐに電光石火はその反応の主と接敵した。

 

「『機法師改』か!」

 

「金銀銅と派手なカラーリングでうろつきよってからに、大した自信やな……」

 

 回線がオープンになっており、機法師改のパイロット、鳳凰院胤翔の言葉が聞こえる。

 

「こそこそ隠れるのは性に合わないんでな!」

 

 大洋が電光石火を思い切り前進させ、刀で斬り掛かる。

 

「ふん!」

 

「くっ!」

 

 電光石火と機法師改が刀と錫杖で数合打ち合う。金属音が鳴り響く。

 

「思ったより筋は悪ないが……そんなもんかいな?」

 

「なにっ⁉」

 

「こちらからいくで!」

 

「どおっ!」

 

 機法師改が鋭い突きを数発繰り出すと、電光石火はそれを防ぎきれずに喰らってしまい、後退を余儀なくされる。

 

「追い討ちをかけさせてもらうで!」

 

「ぐはっ!」

 

 重量の加わった強烈な一撃が電光石火の胸部を突く。電光石火はバランスを崩し、後方に弾き飛ばされる。隼子が堪らず叫ぶ。

 

「うおおっ! 流石に強いで!」

 

「大洋、代わって! 射撃モードで遠距離から削る!」

 

「し、しかし……」

 

「近距離戦は向こうに一日の長があるよ! ある戦力を駆使するのは恥じゃない!」

 

「わ、分かった! 任せたぞ、閃!」

 

 大洋がスイッチを押して、電光石火は射撃モードに変更する。

 

「む……銀色に変わりよったか」

 

「出し惜しみしている場合じゃない! 一気に決める!」

 

 閃が左腕のガトリングガンや頭部のバルカンなどを一斉に発射させる。

 

「ナイスや、オーセン! 照準ピタリ! これは避けきれんで!」

 

「ほんなら避けなければええ!」

 

「⁉」

 

 胤翔が機法師改の錫杖を地面に突き立てて叫ぶ。

 

「破!」

 

 機法師改の周辺に衝撃波のようなものが発生し、銃弾を全て消し飛ばしてしまった。

 

「なっ……疑似バリアを作り出せるのか……」

 

「こういうのもあるで……『光輪波』!」

 

 錫杖の先端部分に当たる輪っかの部分から眩いレーザー波が放たれる。

 

「なっ⁉ レーザー⁉ ぐおおっ⁉」

 

 レーザー波を左肩部に受け、電光石火は再び体勢を崩す。隼子が閃に問う。

 

「ど、どうする⁉」

 

「一旦撤退だよ!」

 

「な、なんやて⁉」

 

「あんな遠距離攻撃武器も備えているとは予想外だった! 一度体勢を立て直そう!」

 

「隼子、飛行モードに変形して、戦線を離脱するぞ」

 

「わ、分かったで!」

 

 飛行モードに変形した電光石火は機法師改から一気に距離を取った。

 

「左肩部は半分吹っ飛んじゃったけど……戦闘継続には支障はないよ」

 

 閃が冷静に分析する。大洋が悔しそうに呟く。

 

「ここまで実力差があるとはな……」

 

「切り替えよう、まだ負けたわけじゃない。最後に勝てば良いんだ」

 

「ええこと言うやないか、オーセン……どわっ⁉」

 

 突如、電光石火の左脚部辺りが爆発する。隼子は戸惑いながらも、電光石火を人型に戻し、地上に着地させる。大洋が叫ぶ。

 

「攻撃か、誰だ⁉」

 

「ふふふっ! 油断して低空飛行し過ぎだ! 『手裏剣型爆弾』の良い的よ!」

 

「やったわね! 雷蔵さん!」

 

 木々の陰から青いロボットと赤いロボットが現れる。

 

「慈英賀流忍術保存会か! ジュンジュン、分離しよう!」

 

「ええんか⁉」

 

「ああ! 3対2と数で優位に立てる!」

 

「そういうことなら!」

 

 電光石火が分離し、電、光、石火となる。

 

「わざわざ分離しただと⁉」

 

「合体するまでもないということですか……?」

 

 赤いロボットから女性の声がする。閃が淡々と答える。

 

「どのように受け取ってもらっても構わないよ」

 

「なめるな!」

 

「よし、二人とも、手筈通りに!」

 

「!」

 

 閃の乗る電が銃火器を連発する。やや面食らった様子の二機のロボットだったが、立て続けにバック転を行い、左右に散開して、電の銃撃を躱してみせる。

 

「この『青炎(せいえん)』と『赤炎(せきえん)』の敏捷性を見くびるなよ! そんな射撃なんぞ喰らわんわ!」

 

「いやいや、ちゃんと敬意を払っているよ……」

 

「なんだと⁉ はっ⁉」

 

 青炎の避けた先に大洋の駆る光が、赤炎の避けた先に隼子の石火が回り込んでいた。

 

「もらった!」

 

「この近距離なら外さんで!」

 

「ぐはっ!」

 

「きゃっ!」

 

 光が刀を横に薙ぐと、青炎の両脚部が切断され、石火のキャノン砲を喰らった赤炎は右腕部と左脚部を吹っ飛ばされた。二機は崩れ落ちる。

 

「ぐっ……銃撃で回避方向を誘導したのか……妙に狙いが甘いと思っていたが……」

 

「よしっ! これで二丁上がりやな!」

 

 隼子が機体の背中を倒れ込んだ赤炎に向ける。閃が叫ぶ。

 

「まだだよ! ジュンジュン!」

 

「なにっ⁉ ぎゃっ!」

 

 赤炎の背部の箱から青炎らよりさらに一回り小柄な紫色の機体が飛び出し、石火に攻撃を加える。急襲を喰らった石火は俯きに倒れ込んだ。青色のロボットから声がする。

 

「でかしたぞ、太助! それでこそ慈英賀流の跡取りだ!」

 

「跡取りとか勝手に決めんなし……」

 

 紫色の機体から、少年の声が聞こえる。大洋が驚く。

 

「もう一機いたのか⁉」

 

「『紫炎(しえん)』……登録されていたのは分かっていたけど、姿が見えないからなんらかのアクシデントで離脱したのかと思っていた。まさか、機体に収納されているとは……」

 

 閃が自らの油断を悔やむように呟く。

 

「いけ、太助! 父さんたちは見ての通り、戦闘継続不可能だ! 後は任せた!」

 

「はあ? なんだよそれ? つーかそれならもう降参で良くね?」

 

「何を言う! せめて決勝くらいまでには進まんと、慈英賀流の存続が危ういのだぞ!」

 

「存続って、たかだか数十年の超マイナー忍術じゃん……」

 

「お前の代でメジャーにしてやるという気概をだな……!」

 

「どうでもいいし……まあ、母さんを痛めつけた借りは返すよ……」

 

 紫炎が苦無を振り上げ、石火に斬り掛かる。石火は頭部のバルカンを発射する。

 

「くっ!」

 

「当たらないよ」

 

「こ、この至近距離で躱しよった!」

 

「狙いが甘いって……まずは一機……なっ⁉」

 

 光の振るった刀が紫炎の腰部を切断した。大洋が叫ぶ。

 

「間に合ったか!」

 

「な、なんて剣速だよ……」

 

「青炎、赤炎、紫炎、戦闘継続不可能と判断!」

 

「よし! 手応えは掴んだ! 合体して、機法師改にリベンジだ!」

 

 審判のアナウンスを確認すると、大洋は合体を指示する。合体した電光石火は先程まで機法師改がいた方角に急行する。

 

「……おったで、機法師改! あれは⁉」

 

 そこには機法師改と鬼・極が対峙していた。両者とも回線をオープンにしているため、電光石火のコックピットにも両者のやりとりが聞こえてきた。

 

「金棒は使わんでええのか? 錫杖と剣ではリーチの差っちゅうもんがあるで?」

 

「……ちょうどいいハンデでごわす」

 

「⁉ なめるなよ!」

 

「……」

 

 機法師改の繰り出す錫杖の鋭い突きの雨霰を躱し、鬼・極が懐に潜り込む。

 

「なっ! だ、だが、この錫杖の発する衝撃波は防御にも応用が……⁉」

 

「……なにかしたか?」

 

 鬼・極の振った剣が機法師改の発生させた疑似バリアを破り、機体を袈裟切りにする。

 

「……機法師改、戦闘継続不可能と判断! よって、準決勝Aブロック、勝者、高島津製作所と二辺工業!」

 

「うっし! 終わり! 決勝じゃ!」

 

 幸村の自信に満ちあふれた声が響く。

 

「鬼・極も強くなっているな、これは手強いぞ……」

 

 大洋が腕組みをしながら呟く。


▲ページの一番上に飛ぶ
Twitterで読了報告する
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。