アンタとはもう戦闘ってられんわ!   作:阿弥陀乃トンマージ

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第22話(4)古墳、逆立つ

「な、なんて大きさよ……」

 

「FtoVの3倍はあるわね……」

 

「ふふふ……」

 

 絶句する殿水や火東らを笑いながら志渡布の姿が消える。その直後に、大富岳が動き出す。

 

「う、動いたで⁉」

 

「まさか古墳型のロボットだというのか!」

 

「型ちゅうか……古墳を模していたっちゅう方が正しいかな?」

 

 隼子と大洋の驚きに志渡布が反応する。声は大富岳の中から聞こえてくる。

 

「古墳は世を忍ぶ仮の姿ってこと? 何の為に?」

 

「来たるべきときの為や」

 

 閃の問いに答えつつ、大富岳は数mほど移動する。それだけでも地面は大きく揺れ、大富岳から木々や土石などが剥がれ落ち、徐々に前方後円墳のシルエットを露にする。

 

「どうやら丸い部分が頭部で、下の方形が胴体のようだな」

 

 落ち着きを取り戻した土友が呟く。小金谷が疑問を口にする。

 

「あの陰陽師が操縦していやがるのか? どうやって移動している?」

 

「こうやってや!」

 

「どわっ⁉」

 

 方形の先端部分から突風が吹き荒れ、電光石火の三体、仁尽、そして奇異兵隊の四体が後方に吹き飛ばされる。土友が納得する。

 

「なるほど、風力ブースターを使っての移動か……」

 

「む……うおっ! なにさあれ⁉ 山田ちゃん、起きて!」

 

「ん……なんですか、どわっ⁉ ぜ、前方後円墳が逆立ちしている⁉」

 

「ちょっと気を失っている内に、とんでんなか事態になっているでごわすね……」

 

 シーサーウシュと鬼・極が立ち上がる。銀が舌打ちする。

 

「FtoVは俺たちと百鬼夜行で片づける! 百鬼夜行、動けるな! 機妖を多数呼び寄せ、後方の雑魚どもに当たらせろ!」

 

「……」

 

 百鬼夜行がゆっくりと右腕を掲げ、機妖を呼び寄せようとする。

 

「させるか!」

 

「!」

 

 そこに美馬の駆るテネブライが飛び込み、百鬼夜行の右腕を切断する。

 

「これであの黒いのを呼び寄せることはできまい!」

 

「いや待て! よう見てみい!」

 

 テネブライに同乗するマッチョなフェアリー、ナー=ランべスが叫ぶ。美馬が視線を向けると、切断されたはずの右腕が生えはじめていたのである。

 

「再生が出来るのか⁉」

 

「しかもその速度が異常に速いで!」

 

「それならば、再生不可能になるまで切り刻む! !」

 

 テネブライが再び飛び立ち、百鬼夜行に斬り掛かろうとするが、テネブライとよく似たフォルムをした紫色の機体がそれを防ぐ。

 

「……」

 

「『アルカヌム』! シャイカ=ハーンか!」

 

「ふん!」

 

 アルカヌムに力強く押し返され、テネブライは後退を余儀なくされる。

 

「くっ……なんのつもりだ、シャイカ! 奴らの手下に成り下がったのか!」

 

「目的を果たす為に手を組んでいるだけだ……」

 

「目的だと⁉ それはなんだ⁉」

 

「貴様が知る必要はない!」

 

 アルカヌムとテネブライは空中で激しく剣を打ち合う。銀が忌々し気に呟く。

 

「やっと来たか、全くあの女め……」

 

「無駄にカッカするな。とにかく厄介な敵は奴に任せよう」

 

 金が銀を落ち着かせる。銀が頷く。

 

「そうだな……百鬼夜行!」

 

「させるか! ぐっ⁉」

 

 小金谷がFtoVの上半身を動かそうとするが、動かない。土友が声を上げる。

 

「エネルギー切れです!」

 

「流石に無理させ過ぎたかな……」

 

 木片が頭を抱える。小金谷が叫ぶ。

 

「下半身はどうだ!」

 

「上半身に同じ!」

 

 火東が即答する。その様子を見た金と銀が笑う。

 

「計画の大きな障害の一つだったFtoVをここで討てるとは……予想外の戦果だ」

 

「ふふっ、行くぞ!」

 

「くっ!」

 

 殿水が舌打ちする。

 

「そうはさせないさ~」

 

「おらおらあ!」

 

「ぐっ⁉」

 

 シーサーウシュと仁尽がTPOの二機を殴り飛ばす。

 

「ちっ……百鬼夜行、早く機妖の群れを……⁉」

 

 百鬼夜行に電光石火の三機が一斉に攻撃を仕掛けている。閃が叫ぶ。

 

「思った通り! 再生しようとしている部分を集中的に攻めれば、再生は遅らせられる!」

 

「しかも、防御力も低下しているようやで!」

 

「ああ、これなら分離したままでもなんとか戦える!」

 

「面倒な奴らだ!」

 

「余所見しててよかとな?」

 

「ぐおっ!」

 

 鬼・極の剣がTPOシルバーを襲う。TPOシルバーが倒れ込む。

 

「銀!」

 

「金縁メガネ! てめえはこっちだ!」

 

「⁉」

 

「オーナー! 許可を求める!」

 

「う~ん、分離させられるリスクはあるけどそうも言ってられなさそうね……OKよ」

 

 アレクサンドラの言葉に玲央奈が頷いて叫ぶ。

 

「よっしゃ! 許可が出たぜ、お前ら、行くぞ! 太郎、指示を頼む!」

 

「か、各自、所定の位置に!」

 

「ストロングライオン、イケるぜ!」

 

「ブレイブウルフ、いつでもいい……」

 

「パワフルベアー、オッケー!」

 

「プ、プリティーラビット、よし! 皆さん、合言葉は⁉」

 

「「「「ケモ耳は正義!」」」」

 

「なっ⁉」

 

 小金谷が驚く。モニターに映る奇異兵隊四人の頭にケモノ耳が出てきたからである。玲央奈にはライオンの耳、ウルリケの頭には狼の耳、ベアトリクスの頭には熊の耳、そして、太郎の頭にはウサギの耳がそれぞれ生えるように出てきた。殿水も驚く。

 

「な、何⁉」

 

「あ~それでみんな頭を隠していたんだね~」

 

 木片は納得する。太郎が叫ぶ。

 

「合体!」

 

 眩い光とともに、奇異兵隊の四機が合体し、一つの大きな白い二足歩行の機体となる。

 

「「「「獣如王、見参!」」」」

 

「なっ⁉ 奴も合体機能持ちか! 志渡布、なんとかしろ!」

 

「おっと、その前に狩ってやるぜ! 喰らえ、『獣王爪刃』!」

 

「ぐはっ⁉」

 

 玲央奈は叫ぶと同時に獣如王の右腕を振るう。鋭く大きな爪から放たれた衝撃波がTPOゴールドに直撃する。TPOゴールドはその場に膝を突く。

 

「……!」

 

 一方で電光石火三機の攻撃を喰らい、百鬼夜行はその巨体を傾かせる。大洋が叫ぶ。

 

「よしっ! 集中攻撃が効いた! いけるぞ!」

 

「どうやら旗色悪いようやな~せめて大物だけでも……」

 

 大富岳が頭部の円形をFtoVに向ける。土友が叫ぶ。

 

「エネルギーの上昇を確認! ビームの類を発射する模様!」

 

「ちっ! 動かねえんじゃあ良い的だ!」

 

「ちょっと失礼しま~す。エネルギーの供給口は……これね!」

 

「な、なんだ⁉」

 

 ユエが手際よくFtoVの上半身側部にある供給口にヂィーユエの背部にあるバックパックから取り出したホースを繋ぐ。土友が驚く。

 

「その機体は補給機能付きなのか⁉」

 

「補給艦船なんかに比べれば、気休めみたいなものですが! これでも無いよりはマシなはずです……ほい、充填完了! 確認お願いします!」

 

「満腹ではないけども、三分の一以上は貯まったよ!」

 

 木片が叫ぶ。火東が応える。

 

「こっちもさっき補給してもらったわ! 故障箇所も青い機体に直してもらったし!」

 

「……あくまで応急処置レベルですが」

 

 青い機体、ファンに乗るタイヤンが冷静に呟く。志渡布が笑う。

 

「今更動けたところでどうにもならんで!」

 

「それはどうかな! 全員フュージョン!」

 

「なっ⁉ そ、そんなアホな!」

 

 志渡布が驚く。FtoVの上半身と下半身が合体したからである。殿水が叫ぶ。

 

「よし、戻ったわ!」

 

「あの術、数日間は解けへんはずなのに……これも百戦錬磨の強者の成せる業か……」

 

 FtoVは両膝に収納されていたキャノン砲を取り出して構える。大量のエネルギーの粒子がキャノン砲の砲口に充填されていく。

 

「ツインメガビームバスターキャノン、発射‼」

 

 次の瞬間、凄まじい威力のビームが放たれて、大富岳に命中し、大爆発を起こす。

 

「ぐううっ!」

 

「撤退を進言する……」

 

 いつの間にか、大富岳の近くにいたアルカヌムに乗るシャイカが志渡布に告げる。

 

「……それもそうやな、百鬼夜行らを回収して……大富岳、空中戦艦形態に移行!」

 

「⁉」

 

 大富岳が浮上し、横向きに、さらに透明になってその場から飛び去る。

 

「ロボットではなく、戦艦が真の姿か、しかもステルス機能付きとは……あれでは追撃するのは困難だね。もっともこちらにも余裕がないけど……ん?」

 

 閃が呆然としながら、あることに気付くがとりあえず、味方とともに帰投を優先する。

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