【前回までのあらすじ】
キマシの塔に巣食うブルーウォール四天王のうち1人を打倒し、残り3人が自滅したことで勝利を収めたマジカル☆アカネだけど……大変!自滅の中でも特に自滅ポイントの高い自滅をキメたと思われていた揺籃のエタニティゼロが突然襲い掛かってきた!あまりに突然で対処できず闇の宝珠を奪われてしまい、放たれた漆黒のオーラに包まれて……気付いたら立っていたそこは、マジカル☆アカネ第1話の時代!?基本フォームしか使えなくなったアカネ、一体どうなるの!?
◇
「ノワル―――ッッッ!」
アカネは息を吸い込む。今も昔も―――いや、今は過去なので、
そんな思いを胸に抱いて、アカネは精一杯吸い込んだ橙色の空気を、標的めがけ―――
「ストリィィィィィムッッッ!!!!」
これでもかと、撃ち放った。
「ぐべ」
「さ、サンラクーっ!」
また別の声が響く……外道衆が一人、カッツォの物だ。フィジカル☆シルヴィアに挽き肉にされて以降なので、結構久しぶりに見ることになる。
「……撤収するよカッツォ君、バカみたいにデカいイレギュラーがいる」
言い放ったのはこれまた外道衆が一人、鉛筆である。渾身の自爆を決めて以来なので、久し振りというほどでもない。
「オーケー……デコイにとかしないよね?」
「……」
「しないよね?」
「……まだね」
「デコイとかに
する。(無印第38話参照)
「…………」
「否定して!?ねえ否定してよ!!」
無言を貫く鉛筆と、未だ己の運命を知らぬカッツォは、開かれた謎ゲートへと去っていった。
「……ふぅ」
ゲートが閉じると同時に変身を解除すると、アカネは思わず溜息をついた。
「……何がどうなっているのだ」
ポケットからひょこりと首を出したノワリンも、同じく溜息をついた。
◇
「…………タイムトラベル、ですか?」
「うむ」
アカネの問いに、湯舟をぷかぷかするノワリンが答えた。
「えっと、それは……」
ざばん、と妙に透明度の低い湯に浸かりつつ、
「どういう……ことでしょう?」
アカネは聞いた。
「
「そうなんですね!」
相槌が打たれ、水面を波紋が駆ける。
ノワリンは水面から飛び立つと、妙に透明度の高い水が汲まれた桶のふもとに立つ、どうやら、例え話に使うらしい……アカネはそれを見るために湯船から乗り出し、謎の光の面積を増やした。
「光と闇は……言うなれば、
「ふむふむ」
「器の対極にそれぞれ位置し、波及し合う波紋である」
「なるほど」
「例えば……お前と我の関係で例えよう。お前は光、我は闇の……」
「ノワリンさんはどちらかというと光だと思います!」
「口を慎むのだ!我が闇と決めたからには闇である!」
「はい!」
「……とにかく、このように」
ノワリンは桶に前足を伸ばすと、直径上の互いに向かい合う二つの点を示す。
「光の波紋と闇の波紋が存在し……」
そして軽く水面に触れさせた前足で、両点を中心に波紋を生み出す。
「見よ……二つの波紋は外側に影響を与えつつ、内側で打ち消し合っている……これが、光と闇の
「なるほど!」
「ほとんどの場合、このバランスが極端に偏ることは無い……ほとんどの場合偏りと言えるほど属性の
ノワリンは水面に軽く触れ、さざ波にも満たないような波紋を作り出した。
「総数が多かったとしても、例えばお前の『リミットオーバー』のように……」
ノワリンは桶に飛び込み、水柱と共に巨大な波紋を作り出した。
「……
そして桶から飛び出し、再び作り出した波紋によって両者を相殺させた。
「だが」
「だが?」
「あのエタニティゼロとかいう輩は……極端なほどに
「闇に偏ると何が起こるんですか?」
「うむ、簡単に言うとだな……」
ノワリンは電脳魔法も交えた全力の加速で桶にこれでもかと突っ込み、
「こうなる」
そして、そう言った。
「なるほど、タイムトラベルくらい起こっても不思議じゃないって事ですね!ありがとうございます!ところでこの桶どうしましょう!?」
「……む?何か不都合があるか」
「結構ありますね!」
その時。
「何だ、と―――!?」
突如として……
驚いて湯船から飛び出してノワリンの傍に駆け寄り、謎の光をさらに増やしたアカネが見たものは―――
「……これ、は」
湯舟を走る、巨大な波紋だった。
◇
服を着て、何かを両親に謂われる前に外へと飛び出したアカネの前には……彼女の大方の予想通り、揺籃のエタニティゼロが立ちふさがっていた。
「え、えっと……こんにちは!」
確実に自身をタイムトラベルに巻き込んだ相手に行うものではないアカネの挨拶を、ある種当然、ある種意外にもエタニティゼロはスルーし……代わりに、
「幼児に何かしたいんじゃなくて幼児になりてぇんだ……!」
そう呟いた。
「え、えっと」
「幼児に何かしたいんじゃなくて幼児になりてぇんだ…………!」
「エタニティゼロさーん!」
「幼児に何かしたいんじゃなくて幼児になりてぇんだ………………!」
「ノワリンさん、エタニティゼロさんがヤバいです!どうしましょう!」
「闇に呑まれているな」
「呑まれるとかあるんですね!」
「時間遡行を起こすほどの強大な闇であるからな……我が全力状態ならばともかく、一介の人間にはとても耐えきれんだろう」
「ノワリンさんはどちらかというと光だと思います!」
「口を慎むのだ!我が闇と決めたからには闇である!」
「はい!……ちなみに、どうして時間遡行なんてしようと思ったんでしょう?」
「幼児に何かしたいんじゃなくて幼児になりてぇんだ………………!」
「……分からないならば、それでいい」
「……?」
「ええい、とにかくエタニティゼロを討伐するのだ!奴を倒せれば、時間遡行も無効化されてすべてが元通りになるはずだ!」
「なるほど、わかりました―――じゃあ、行きますよ!」
「うむ!」
アカネはポーズを決めると、
「ドラゴン―――インストールッッッッッ!!!」
◇
「つ……強くないですか!?」
「幼児に何かしたいんじゃなくて幼児になりてぇんだ………………!」
マジカル☆アカネ、端的に言ってピンチであった。
アカネの力は、現在かなりの制限を受けた状態にある。
とにかく、現在の彼女には
「くっ……えいやっ!」
かなりの力を込めたはずのパンチを、
「幼児に何かしたいんじゃなくて幼児になりてぇんだ………………!」
弾かれる。
「……それならっ……!!」
「幼児に何かしたいんじゃなくて幼児になりてぇんだ………………!」
受け流される。
「こ、困りました……!」
このままだとダメだ……アカネは、そう確信しつつあった。
「ええと、何か弱点を狙うとか……」
これがもし第2話時点でのアカネならば、そのような考えは一切抱かず、目の前のエタニティゼロに突進し続けたかもしれない。
「いや、単純に火力が足りないんじゃダメですよね……」
だが……2回のスピンオフ、1回の劇場版、1回の続編、そして0.5回(放送中)の
「他の魔法少女に頼る、とか……?」
アカネは、ノワリンに、サンラクに、サイガ―ゼロに、ルストに、モルドに、京極に、シルヴィアに……少なからざる、影響を受けていた。
「あ、でも……この時代だと、魔法少女はまだ私しかいませんよね……」
だからこそ彼女は、ここで『一度
「…………
そして、その作戦は成功する。
◇
「ええと……この角を右!」
アカネは街を駆けていた。
エタニティゼロのステータスは、確かに続編の四天王がさらに最強アイテムの片割れで強化されただけあって高いものだ……だが、
「よし、ここを直進して……この公園!」
影すら置いていくような、或いは自分自身が影になるかのような速度で駆け込んだその空間で、アカネはある一点を、マジカルパワーで強化された視力により探索する。
「―――あった」
「幼児に何かしたいんじゃなくて幼児になりてぇんだ………………!」
背後から迫る声にも構わず、アカネは
それは本来決して活躍しない刃。破壊を運命として持ち、抗わせても抗いはせず、呑み込んだ光と共に砕け散った―――いや、今は過去なので、
「ドラゴン、
その妖刀、名をバクマツムラマサという。
◇
最初に発生したのは呪いだった。
妖刀だのなんだの言っているが、結局のところバクマツムラマサは呪いの装備に他ならない。持つものの精神を狂わせ、血に飢えさせる……アカネにとってもそれは例外ではなく、闇のオーラを放つバクマツムラマサから闇の感情が流れ込むのを、アカネは確かに感じていた。
だが―――
アカネには光の宝珠がある。本竜は光属性を認めないがノワリンもいる。何より―――
衣装の細部が変化する。
光を踏まえ、カラーリングが白を基調としたものに変更される。
バクマツムラマサそのものが、溢れ出る
「電脳少女マジカル☆アカネ―――ブライト✩☆✩エンチャント!」
変身を終えた光属性の戦士は、そう名乗った。
◇
「幼児に何かしたいんじゃなくて幼児になりてぇんだ………………!」
突進、バクマツムラマサを投擲する。エタニティゼロの高い防御力はしかし、本質的に
光に包まれて吹かれる夜風の快感に浸りながらパンチを入れる。それは端から見れば確実に
再び太陽を拝むのに、夜明けを待つ必要は無さそうだった。
「これくらいのボリューム少なめで30分くらいで書ける奴で問題ないよ」みたいな例を示すつもりが普通に5000文字書いてしまった