プッチ in 亜総義市   作:男漢

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初二次創作です。
初小説です。
至らないところもありますが、勘弁して下さい。



#1 黄金の精神

「お前は()()に負けたんだ!

 ()()()()を歩むことこそ運命なんだ!!」

 

「やめろォォォオオ!!

 知った風な口をきいてんじゃあないぞオオオオオオオオ!!!」

 

血混じりの叫び声が狭い部屋の中に反響する。

千切れ千切れの白い雲をベールの如く纏う青いスタンド『ウェザー・リポート』。それを操る、白い野球服をところどころ鮮血で染めている金髪の少年『エンポリオ』。

ウェザーリポートはゆっくりと、人の身では抗いようのない力で私の頭をコンクリートの床に押し付ける。頭蓋はバキバキと嫌な音を立てて割れ、脳漿と血の混じった液体が床を紅く染める。

 

世界を一巡させるスタンド、メイドインヘヴンは完成した。

憎きジョースター家の血は絶った。

なのに今、私はこうして小汚い金髪のガキに追い詰められている。

 

希望だろうと絶望だろうと、運命は一寸の違いもなく訪れる。

しかし絶望の未来を吹き飛ばすのは盲目的な逃げではない。立ち向かう()()なのだ。

メイドインヘヴンは、世界中の生物がその絶望の未来を知ることができるスタンド。

絶望の未来に対して()()をすることで、人は真の幸福を得ることができる。

人類は救われるのだ。

 

なのにジョースターの一族と、それに関わる者はそれを頑なに理解しようとしない。そして、執拗に私の邪魔をしてくる。

故に、新しい世界に奴らは連れていけない。

彼奴等との因果をここで断ち切り、私と世界は幸福へとつながる道を歩むはずだったのだ。

 

しかし現実は非情である。私の命はあと数秒で尽きる。

私が死ねば、不完全な一巡を迎える世界と運命はねじれてしまい、人類は誰も知らない未知の未来へとたどり着くことになる。人々が絶望の未来を知ることもなくなり、覚悟をすることもなくなる。

 

怨嗟を籠めて、憎き少年の声を叫ぶ。

 

「エンポリオォォォオオオオオオオッ!!!!」

 

走馬灯。頭の中を今までの人生の記憶が駆けるように蘇っていく。

そして、蘇るその記憶の中でひときわ眩しく輝く記憶が二つ。

 

一つは、愛する友人「DIO」の記憶。

 

そしてもう一つは.....憎きジョースター家とそれに連なる者達の記憶。

 

何度も念入りに、執拗に潰したのに立ち上がってくるゴキブリのような奴らだ。

そしてようやく立ち上がらなくなったと思えば、すぐ隣にいる奴がより眩しい光を放って新たに立ち上がる。

 

()()()()()と呼称されるその光は、ついには私とDIOの崇高な世界を壊すほどの大きさに至った。

......なんと忌々しい。

私たちの世界を壊したのもそうだが。真に忌々しいのは、私が奴らの黄金の精神を眩しいと感じていることだ。

 

眩しいわけがないのに。

メイドインヘヴンは世界を一巡させ幸福な世界(天国)を作るスタンド。

万人がただ受け入れるしかない変えられぬ運命の中、私だけが運命を変えられる力を持つ。

 

その強大な力を前にしても立ち向かう奴らの姿を見て、私は。

腹立たしかった。忌々しかった。煩わしかった。

だが本当の本当に、深い深い心の底で。

私は何を思っていたのだろうか。

考える時間は、ない。

 

 

まばゆい光を放つエンポリオがとどめと言わんばかりに、右手を上から下へ振り下ろす。

 

ウェザーの拳が私の頭を完全に砕き、貫いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー▶︎

 

 TO BE CONTINUED...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「......」

 

 ふと気がつくと、チカチカと虫のたかる街灯の下に立っていた。

 空は暗闇で覆われていて、月の姿はどこにも見当たらない。地面はよく乾燥したレンガで舗装され、足先で軽く叩くと心地よい音が返ってくる。道幅が約五メートルはある道の脇にはいくつもの店が連なり、温かなオレンジの光が窓から漏れ出している。街灯はその店と店の間の隙間に肩幅が狭そうに立っている。街灯と店は向こうのほうに見える駅の方までずうっと続いていた。

 商店街は活気に満ちているとは言えず、少し寂れているように見える。人通りは全くないわけではないが、多いとも言えない。そのため人混みに紛れ込むということができず、時折黒人のような肌を持つ私に奇異の視線が向けられるのを感じた。

 

 空気を鼻から深く吸い込むと、泥のように濁った思考がクリアになっていく。それと共に体の感覚が戻り始めた。

 そして感じる肌にじめっと粘つくような暑さ。まるで温水の中にいるような湿気の多さと暑さに、額にじとっと汗が滲む。額から頬に垂れた汗を右の手の甲で拭った。

 

 キラリと光る、手の甲にある汗に目を向ける。

 あまりに少ない汗の量、反射するはずもないだろうに。なぜか私の顔が汗に映ったのを見えた。

 今にも死にそうな顔をした、血だらけの、私が......。

 

 

 

「.......ッ!?」

 

 

 足から力が抜ける。

 死のショックからか、はたまた突然の未知の光景からなのか。十数秒の間、唖然としてしまっていたようだ。

 その場に倒れ込みそうになるのをなんとか堪え、右手で自分の頬を触る。べちょりと濡れた手に咄嗟に視線を向けるが、そこには汗しかついていなかった。

 目元を手で押さえながら、近くの建物の壁に身を預け、ずりずりと頬を壁で擦りながら地面に座り込む。

 

(私、は......。一体どうなったんだ......?)

 

 現状を理解するために頭を動かそうとするが、まったくといっていいほど働かない。

 脳裏にべっとりと張り付く、頭をすり潰され砕かれる死の体験。その痛みと記憶は、トラウマとなって私の心を強く蝕んでいた。

 冷や汗でじっとりと汗ばむ服の胸を右手で掴み、ごひゅーごひゅーと息を荒げながら呟く。

 

「落ち着くんだ....素数を数えて....。2、3、5、7、11.....」

 

 1と自分の数字でしか割ることのできない孤独な数字は私に勇気を与えてくれる。

 数字を数える声に合わせて、呼吸のリズムを整える。少しだけ頭の痛みが和らいだ。

 

 エンポリオに殺された後。

 そこだ。そこから先、どうなってしまったのかが一切わからない。

 なんとか思考をまとめて答えを出そうとするが、素数で多少抑えたとは言えいまだ頭はひどく痛む。この状態でいくら考えていようとも、答えは出てこないであろう。とりあえず、体を落ち着かせられる場所がいる。今の状態ではそこらのチンピラ相手だろうと少々危ないかもしれない。

 

「53、59、61、67、71......」

 

 壁を杖代わりに立ち上がる。

 汗を流しすぎたせいか、喉が舌と張り付くほど乾いている。

 飲用できそうなきれいな水を探すために歩き出そうとすると、二人組のアジア系統の顔立ちをした女性とすれ違った。

 

「ねー……今の、顔色ヤバくなかった? 助けた方がよくない?」

 

「バカ。()()()()にいるあんな感じの奴なんて()()()に決まってるじゃない。無視無視」

 

 女性たちが私の方を向いてひそひそと話しながら歩き去っていく。

 今のは……日本語?だろうか。

 

 DIOが日本の和歌を読み、その独特のリズムと感性の美しさを説いていたのを思い出す。私もその美しさの一端を少しでも理解しようと、ほんのちょびっとではあるが日本語を勉強したものだ。

 

 ……ここはアソウギシ?という町で、私はヒセイキ、という身分に値するらしい。

 彼女たちの厭うような視線から、ヒセイキというのはあまり好かれる立場ではないことを推測する。

 

 

「あー君、ちょっといいかな?」

 

 唐突に話しかけられ、後ろを振り返る。

 顔を覆うフェイスマスクに黒いヘルメット。防弾スーツを着込み、黒くゴテゴテとした小銃を両手で持っている男がいた。

 身長は私より多少低い程度だろうか。よく見ると、少し離れたところにも同じような背格好をした男が二人、こちらを伺っているのが見えた。

 

「黒人の、聖職者か……。()()()()は?」

 

「……シミン、バンゴウ?」

 

「チッ……外からか? なら()()()()()を見えるところにつけとけ。そら、今すぐだ」

 

 男が銃を手でカチャカチャと弄びながら、私に『ニュウシカード』なる物を提示するようにせかしてくる。おそらく身分証の一種か何かだとは思うのだが……。

 

「sorry、持っていない」

 

 私が右手を上げて謝罪する。

 すると男はすばやく小銃の先を地面に向け、何のためらいなく発砲した。バチン!と、ゴム弾らしきものが地面を少し抉って跳ねる音が響く。

 

「……こっちは疲れてるんだ。俺が疲労とストレスでトリガーハッピーになる前にさっさと済ませた方がいいぞ?」

 

 男がトリガーに指をかけた小銃をこちらに向ける。怒りのこもった早口な日本語のためよく聞き取れはしなかった。が、私に敵意を向けているということはわかった。

 実銃は少しキツいが、ゴム弾程度ならばどうにもできるだろう。メイドインヘヴンを使うにはちと矮小すぎる相手の気もするが。

 指の先に力を入れ、スタンドを出す準備をした瞬間。

 

 バン! と、先ほどのゴム弾とはまるで桁の違う弾丸の音が鳴り響いた。G.D.st刑務所で何度も聞いた、人を殺すことのできる実弾が発砲される音だ。

 

「抗亜だ!!」

 

 遠くで見守っていた男二人がそう叫ぶ。刹那、鉄の筒が投げ込まれたと思うと、ボフンと白い煙幕にあたりが包まれた。煙幕で視界が防がれる中、狂気的なエンジンの駆動音と何かを切り裂く音が響く。

 チンピラ程度もマトモに相手できないような体調の時に、テロまがいの状況に相まみえてしまうとは。心中でオーマイゴッドと唱えつつ、スタンドを前に出した。

 

 

「……ッ。ホワイトスネイク……!?」

 

 顕現したその姿は、人と馬が一体化した姿のメイドインヘヴンではなく。

 随分と前に、メイドインヘヴンへと進化する際に消えてしまった我がスタンド『ホワイトスネイク』。筋肉質な白い人間体にボーダーの如く足から頭まで文字が書かれている。そして頭部には、黒い王冠と顔の上半分だけを隠すマスクが一体化したようなものをかぶっている。

 

 しかし以前の透き通るような体の白色より、若干だが色がくすんでいる。体の先の方が少し崩れかかっていて、どことなく全体に活気がない。

 

「キラキラ、前に出すぎだ!」

 

「だいじょーぶだいじょーぶ!」

 

 ブルルルと吠えるエンジンの駆動音の合間に、少年と少女の声が挟まる。いまだに前で状況が呑み込めず、銃を構えたままオロオロしている武装した男をホワイトスネイクで突き飛ばす。

 

「あーらよっと! いっちょ上がり…っておわッ!!?」

 

 男の野太い悲鳴が上がったと思った瞬間。体の六割を露出したピンク髪のツインテールの少女が、チェーンソーで煙幕を切り裂いて現れる。

 ホワイトスネイクがその場で一回転し、右足でチェーンソーの横っ腹を勢いよく蹴り飛ばす。ガギィン!と甲高い音が響き、少女の体ごとチェーンソーが後方に吹っ飛ばされた。

 

「あっぶねぇ!! 何してんだキラキラ!」

 

「いや、私もわかんないってば! いきなりチェーンソーが吹っ飛ばされたんだって!!」

 

 

 煙幕が徐々に晴れ始める。

 広がる視界の先で、少年少女と言っても差支えのない五人組が立っているのが見えた。

 

「なんだァ!? 外国人じゃねえか!」

 

「……外からの人間か? 見たところ、武器も何も持ってないようだが……」

 

「キラキラぁ、お前やっぱり壁にでも当てちまったんじゃねーのか?」

 

 腕に鎖を巻き付けた筋肉質な金髪の男が驚いたように叫ぶ。その横で拳銃のトリガーに指をかけている、フードを被った細身の男が冷静にこちらを観察してくる。

 二メートル近くはある棍を持っている黄色と黒のしましま模様をした髪の男が、先ほど弾き飛ばした少女に向かって話しかけた。

 

「いやぁ、えぇー? こう、素手でバッコーン!ってやったんじゃない?」

 

「ん、さすがにむりがある」

 

 ピンク髪の少女がチェーンソーの腹を撫でている。煙幕なしで改めてみると、下乳から下腹部まで丸見えの穴が開いたピンクのラバースーツというとんでもない恰好をしている。見ているこちらが恥ずかしくなるような格好に、目を逸らすと。

 白い髪の、140cmもないような小柄な少女がさらにとんでもない恰好をしていた。白いベルトを上半身にグルグルと巻き、その両端をそれぞれ両腕からだらんと垂らしている。のはいいのだが、問題は下半身だ。腹は当然のようにさらけ出し、性器に至っは上半身の中心から背中の方へ一本、白いベルトを巻いて隠しているだけだ。

 

 痴女。露出狂。もはやそれすらも通りこし、冒涜的な何かまで感じてしまう。

 私が困惑し固まっていると、白髪の彼女が私の視線に気づいたのか、こちらを向く。

 

 彼女と目が合う。視線を逸らすことも敵わない惹きつけるような魅力に、スタンド能力にハマってしまったのではないかと錯覚してしまうほどだ。幾分も向き合っていたような気がするが実際は数秒程度だろう。彼女が白い肌から想像できないほど赤みのある舌をチロッと出し、唇を少しだけ湿らせた。

 その光景を見てしまった私は。

 

 

「ホワイトスネイクっ!! あの少女の記憶を私から抜き出せッッ!!!」

 

 ホワイトスネイクが即座に振り返り、私の頭部に向かって手刀をぶち当てた。あまりの衝撃にガクンと首が揺れ、勢いよく頭から先ほどもたれかかっていた壁に激突した。

 膝から崩れ落ち、ホワイトスネイクがこちらを見つめている姿を最後に、意識を手放した。

 

 

 

 

「……は? 何だ今の……」

 

 金と黒のタイガー模様をした髪の男が困惑した様子でそう言った。

 白髪の少女が親指の先を舌先で少し濡らしながら、話す。

 

「目が合ったから、すこし誘惑した。そしたら、壁に頭を当てて失神した。あんびりーばぼー」

 

「いやいやいやいやアンビリーバボーじゃないっしょ……。マジでヤバい奴じゃん……」

 

 ピンク髪の少女が顔を青くしながら、少しだけ後ずさる。

 

「うーん、どうすっか……。……よし。クマ、頼んだ!」

 

「……丸投げか?」

 

「適材適所ってやーつ。頭を使うのはお前に任せた!」

 

 腕に鎖を巻いた男が、横にいたフードにそう言った。

 クマと呼ばれたフードの男が、拳銃を腰に収め腕を組んで考える。数秒ほど静止したのち、顔を上げて話し始めた。

 

「おそらく、というより十中八九外からの人間だとは思うが……。キラキラのチェーンソーを弾いた件と、何かに殴られたように吹っ飛ばされて壁に当たり気絶した件。自分から壁に激突したのはともかく、チェーンソーを弾いた方法が全くわからない。シケイと揉めていたようでもあったし、まぁ……。厳重に拘束して話を聞きだした後、外に送り返すのが合理的じゃないか?」

 

 もし不可視の攻撃手段などがあった場合。それをシケイ、亜総義の犬に利用されると、何も対処できずにやられてしまう可能性がある。それを防ぐための情報を手に入れるのは、多少の危険を冒してでも敢行するべきだと判断した。

 

「おいおい、男をヒトカリってマジかよ? テンション下がるぜ……」

 

 タイガー風の男がわざとらしくうなだれてそう呟く横で、プッチを鎖の男が持ち上げる。

 

「よ……っと! クマ、縛るものはあるか?」

 

「……ザッパ、その鎖はダメなのか?」

 

「何ィ!? この鎖は……ダメだ! 俺のアイデンティティーだからな!!」

 

 ザッパと呼ばれた男がプッチを肩に担ぎ、夜空に向かって高笑いする。

 クマがその様子を見て、首に巻いていたマフラーを深くまき直し、腰に収めていた銃を抜いた。

 

「なら途中で何か手に入れる。ヒトカリはまだ続けるからな」

 

 

 

 プッチは誘拐(ヒトカリ)された。

 

 

 

 




活動報告にて細かい捏造設定や原作解釈、その他謝罪等を書き殴っております。
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