ゴロッ……ゴロッ……パアァァンッ!!
一年中、分厚い雲に覆われ頻繁に雷が落ちる地域。人々はそこを雷平原と呼んでいる。あまりにも危険な地域で住む人は誰もおらず、一日に何度も雷が落ちてそれが一年中。それが原因か草木も生えず砕ける岩すらもない荒れた土地。
雷平原に来る者は物好きか自分は大丈夫だと根拠の無い自信を持つ愚か者だけだけだろう。そしてそんな場所に好奇心と実験のために二年間も通い続けている
「雷のエネルギーを手に入れようと失敗を繰り返してもう何度目だろうか。
◆◇◆◇
ルークはフローラと出会ったあの時から一年後に目的地に着き、欲しいオモチャが目の前でずらりと並べられた子供のように眼を輝かせて知識を貪る。そして実験と資金稼ぎがてら日常に役立つマジックアイテムを路上で売っていたらそれが切っ掛けで国の研究機関に招待されて、さらに己を高めた。
ちなみにだが、この時にはすでにレベル2にランクアップしている。理由はとある街でゼピュロスという神が、ルークのことを旦那様と慕っているフローラを目撃したからだ。
「やあ。久し振りだね、フローラ」
「あら~確か貴方は……ゼピュロスかしらぁ?」
「いかにも。まさかキミも下界に降りてきていたとは知らなかったよ」
「最近、降りて来たばかりなのよぉ。それから素敵な旦那様と出会って一緒に旅を楽しんでるのぉ」
「そこが不思議だ。貞淑で美しいキミが、あろうことか下界の子に現を抜かすなんてどういうことだい?」
「運命の出会いをしただけよぉ。私は旦那様とずうっと一緒にいることにしたのぉ」
「フンッ……。その運命、後悔せぬよう気をつけることだ。キミを慕っていた連中は多いからな」
フローラは男神達の中でも非常に人気が高く、しかし周りの神友に守られていたこととゆるふわおっとりの割りにはガードが固いので玉砕された男神は多い。過去に数は少ないがフローラと情を交わした神物はいるが、一度きりの関係で続くことはなかった。
そんなフローラが下界の子とイチャイチャしているのを見て嫉妬した。そして眷属の何人かに命令して襲わせたのだ。
女神とその眷属の男を連れてこい。そうすればあとで女神の身体をお前達にも味わわせてやる。男は生きてさえいればかまわん。
その言葉を聞いて歪んだ笑みを浮かべる眷属達は足取り軽くルーク達の元へ向かう。ゼピュロスはあの女神が自分の前でどんな声で鳴くのか、それを見る女神の眷属はどんな顔をするのか想像しながら待つ。
しかし、待てども待てども我が子達は帰って来ない。レベル1の男に何を手間取っているのかと苛立っていると唐突に眷属達に与えた恩恵が途切れた。暫く呆然とするが意識を取り戻して家から飛び出し、我が子を向かわせた場所に足を走らせる。
「どういうことだッ!何が起こったッ!」
ゼピュロスは必死に走りながら考える。彼の眷属達の中にはレベル3も一人いた。相手はレベル1が一人。ならばこの現実はあり得ないと。たどり着いた先には上半身を脱いで
「ん?増援が来ると思って念のためステイタスを更新して貰ったけど、あれで打ち止めだったんだな」
「どうしてっ、どうしてこんな惨いことする!?」
ルークは上着を羽織る。
「先に手を出したのはそっちだろ。何を今さら」
「何も殺さなくてもよいではないか!」
「……あ?」
ルークは怒気とともに言葉を発すると腰の剣を抜き放ちゼピュロスの片腕を斬った。
「ぐわぁあああっ!?」
「確かに…。かなり難しいが殺さず戦闘不能にすることも出来たかもしれない。でも連携が上手かったし、リーダー格の男は強かった。おまけに自分を含めて仲間達の能力を上げる魔法なんか使うから此方も本気になるしかなかった。人を殺すのは初めてじゃないけど進んで殺したいとは思わない。だけどさ、
誰に手を出そうとしたか分かってるの?」
ルークは主神であり妻であるフローラが醜い欲望に汚されると言われて冷静でいられるほど大人でないし、愛情が薄い訳でもない。たった二人だけの
「フローラ。何かこの神に言うことはあるか?」
「と、止めてくれフローラッ!キミの眷属が大罪を起こそうとしてるぞ!」
「大罪?なんのことぉ?天界に戻ったら私は素敵な旦那様を見つけたって皆に伝えてねぇ」
「短い付き合いだったけど、おかげでレベル2になったよ。ありがとう、さようなら」
「ま、待っ」
ルークは苦しませないように一太刀で首を跳ねた。
◆◇◆◇
その後、
この頃にはマジックアイテムの功績で頭角を現していたルーク目当てで言い寄ってくる者達もいた。二人はいい加減に相手をするのも面倒になりルークの勉学と資金も一段落したので国を出ることにした。多くの者が物理的に出国を阻止しようとするが、チートな一族の血筋で鍛練を毎日かかさず、ランクアップ前の最終ステイタスがいつもカンストしてるルークを止めることは叶わなかった。
そして今に至る。
「杖が完成したらオラリオでがっつり稼ぐしかないかなぁ。一応、カジノで儲けたから生活に支障はなくなったけど、資金が本当にやばいもんなぁ……」
雷平原の中心地に機材をセッティングしながらルークはぼやく。容赦なく襲ってくる雷を魔法で防ぎつつ、準備を終えた。
「調べた結果。一年中、毎日雷が降り注がれている大地は永続的に帯電してることが分かった。そして掘り起こすと魔法石のような鉱物が見つかり、おそらくそれが原因。その石から電気を帯びた力を放出するのに成功…すぐ砕けたけど。それに眼を着けてどうにか自在に操れないものかと考え試行錯誤した結果、作り上げたのが〝魔昌石〟」
ルークは丸い窪みがあるところに魔昌石を入れた。
「前回は上手くいくと思ったら七日目の最後にあんなにでかい雷が落ちるなんて思わなかった。だから今回はあの威力が何度来ても良いように自分でもドン引きするくらいの容量のものを作った。だからお願いだから成功して壊れないでくださいッ!」
懇願するように両手を合わせて祈り、装置を作動させる。後は一日毎に経過を確認するだけなのでフローラが待つ仮住まいの家に戻ることにした。
「ただいま」
「お帰りなさい、旦那様ぁ。お風呂にします?ご飯にします?それとも…わ・た・し?」
「そんなのフローラに決まっとるやろがいっ!」
エプロン姿で嬉しそうに微笑みながら話すフローラをお姫様抱きして家の中に進むルーク。
「きゃあー。まだ日が沈んでないのに恥ずかしいですわぁ」
「よく見れば裸エプロンで迎え入れといて何が恥ずかしいだよ。夕飯前に一汗かいてお風呂入ってご飯に食べた後、フローラにたっぷり水やりするぞ」
「あらあら、そんな頻繁にお花にお水を上げたら普通は枯れてしまいますよぉ?」
「フローラは枯れるの?」
「いっぱい
「なら問題ないな。それより喉渇いたんだけど?」
「すぐお持ちしますわぁ。椅子に座ってちょっとお待ちになってぇ」
「いや。水じゃなくて甘いものが飲みたい」
「甘いもの…そんなの家にありましたぁ?」
疑問を浮かべるフローラを顔に近づけてルークは耳元で囁く。
「俺の腕の中に甘い蜜を蓄えてる花がいるだろ?」
「ぁ…」
三年経って益々、夫婦仲が良くなってる二人である。
◆◆◆◆
「やった…。ついに完成したぞ!」
いやはや、まさか二年もかかるとは思わなかった。最初に杖作りする時は魔法力上げて魔力も貯蓄できて杖術ができるくらい丈夫なやつをと考えてたけど、いつも通ってる串焼き屋のオッチャンと世間話してたら雷平原のことを知った。だってそれ、前世のゲームで出てきた場所だったから。この地ってスピラって名前じゃなかったよな?ザナルカンドあったっけ?ちなみに俺はル○ルーが好きだ。そう考えたら自分でもフローラのこと好きすぎだろと思ってたけど元から年上の胸が大きい女性が好きだったんだな。うん、納得した。
話を戻すが、雷平原のことを知って興味が沸いたから実際に行ってみたら、もうなんか凄かったね。あの地域一帯だけが雲で覆われて一定の感覚で雷が落ちてんの。あそこだけ終末かってくらいヤバかった。その時にふと思った。〝これだけのエネルギーが地面に吐き出されるだけなのは勿体ない。活用できないか…?〟と。そこから実験の繰り返し。
「そして二年かけてやっと成功した!フローラ見てくれカッコいいだろ!」
「あらあら、うふふ。おめでとう、旦那様。ようやく完成したのねぇ」
「ありがとう、フローラ。七日間絶えず雷の力を蓄えた魔昌石を使って作ったこいつは雷の持つ特性を持ち、魔力を通すことでそれぞれの力を操ることができる。しかも複数同時の使用も可能で全て起動させると特殊な魔法を発動させられる世界最強の杖さ!」
「詳しくは分からないけど、とにかく凄いわぁ」
「フローラ、ステイタスの更新してくれ。多分レベル上がってる」
「私もそう思いますわぁ。だって旦那様は雷を手懐けたんですからぁ」
ルークは早速とばかりに上を脱ぎ出す。
「何度見ても素敵な背中ですわねぇ…。うふふ、じゃあ更新しちゃいますねぇ」
ちなみに恩恵を刻んだばかりのルークのステイタスは最初からおかしかった。
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ルーク・ストレイ
Lv.1
力 :I0
耐久:I0
器用:I0
敏捷:I0
魔力:I0
精神統一:H
神秘:I
鍛冶:I
《魔法》
【
・速攻魔法
・付与魔法
・無属性
<
・魔力以外、1.5倍強化
<
・敏捷アビリティ、2倍上昇
<
・障壁の展開
<
・傷、体力を回復
《スキル》
【魔力操作】
・魔力を自在に操る
【
・魔力を扱い、闘う者
・魔力、器用に成長補正
ーーーーーーーー
血筋と里の皆に鍛えられた能力の結果がこれ。刻んだばかりなのに発展アビリティの精神統一はしれっとH。そしてレベル4に更新後のステイタスがこちら。
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ルーク・ストレイ
Lv.3→4
力 :S999→I0
耐久:S999→I0
器用:S999→I0
敏捷:S999→I0
魔力:S999→I0
精神統一:C→A
鍛冶:C→B
神秘:C→A
魔導:E→C
調合:G→F
精癒:I
《魔法》
【
・速攻魔法
・付与魔法
・無属性
<
・魔力以外、1.5倍強化
<
・敏捷アビリティ、2倍上昇
<
・障壁の展開
<
・傷、体力を回復
【
・速攻魔法
<清浄(クリーン)>
<小火(ティンダー)>
<軟水(ウォータ)>
《スキル》
【魔力操作】
・魔力を自在に操る
【
・魔力を扱い、闘う者の証
・魔力、器用に成長補正
ーーーーーーーー
「発展アビリティの上がり具合が凄いな」
「ステイタスのカンストに関してはもう見慣れちゃったわねぇ。発展アビリティは前に言ってた通り〝精癒〟にしましたよぉ」
「ありがとう。じゃあ杖もできたことだし、そろそろオラリオに行くとしますか」
「そうですわねぇ。でも、その前にすることがあるとは思いませんかぁ?」
「お祝いだろ?」
「それもそうですけどぉ、久しぶりにゆっくりできるんですから、
フローラはそう言って両腕をルークの首に回し、身体を密着させる。
「ん~どんな風に?」
「周りの
「仰せのままに、俺の
精神統一…気持ちを一つの物事に集中させることなどを意味する表現。
刻んだばかりなのにこれだけHなのはフローラが原因。