あっ、ダンまちの世界なんだ…   作:あろえよーぐると

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|д゚)チラッ……ヨシ、ミテナーイミテナーイ(投稿)


第9話

 吹き飛ばされ、瓦礫に埋もれていたルークは勢いよく姿を現した。

 

「だぁあああ油断した!でも、あそこは男同士の意地の張り合う場面だろうに!」

「ストレイさん、ご無事ですか!」

 

 消化しきれない感情を声に出していると遠くからリューと、少し後ろから輝夜が駆け寄ってくる。

 

「ああ問題ない」

「信じられんが、どこも怪我が無いようだな」

「衝撃は逃したからな。あ、マナポーションあったら貰えるか?」

「あるぞ、ほら」

 

 ルークは輝夜からマナ・ポーションを受け取り一気に飲み干す。2人が近づくまで感情を吐き出したため、気持ちは落ち着いた。ならばと次の行動を考える。

 

「俺はもう大丈夫だから仲間の元へ戻ってくれ」

「ストレイさんはどうされるつもりですか?」

「そうだなぁ……」

 

 突如、ルークから覇気とでも呼ぶべき圧が放たれているのを2人は感じた。

 

「なっ……」

「これは……」

 

 余りにも強い覇気に輝夜とリューは思わず声を漏らす。

 

 

 

「敵を一掃する。そのための準備をちょっとな」

 

 

 

 

 

◆◇◆◇

 

 

 都市から光の柱が一本、また一本と天の向こうまで伸びていく。その光が指し示すは神の送還。光の柱は次々と天へ昇り、計9柱の神がこの地上から消えた。

 そして事を起こした存在がついに舞台に躍り出る。

 

 

 

       ──聞け、オラリオ。

       ──聞け、ウラノス。

  時代が名乗り暗黒の元、下界の希望を摘みに来た。

   『約定は』待たず。『誓い』は果たされず。

 この大地が結びし神時代の契約は、我が一存で握り潰す。

    全ては神さえ見通せぬ最高の『未知』。

      純然たる混沌を導くがため。

         傲慢?──結構。

         暴悪?──結構。

     諸君らの憎悪と怨嗟、大いに結構。

      それこそ邪悪にとっての至福。

 大いに怒り、大いに泣き、大いに我が惨禍を受け入れろ。

 

         我が名はエレボス。

     原初の幽玄して、地下世界の神なり。

 

「冒険者は蹂躙された!より強大な力によって!神々の多くが還った!耳障りな雑音となって!貴様等が『巨正(きょせい)』をもって混沌を退けようというなら、我等もまた『巨悪』をもって秩序を壊す!」

 

   告げてやろう。今の貴様等に相応しい言葉を。

    ──脆き者よ、汝の名は『正義』なり。

        滅べば、オラリオ。

     ──我等こそが『絶対悪』!!

 

 

 

 

◆◆◆◆

 

 ルークはリュー達と別れた後、《天駆(アキレス)》を使って空中に立っていた。それは2人宣言した通り、闇派閥(イヴィルス)を一掃するためだ。

 

「【ディスチャージ(放電)】+【ソニック(音波)】……」

 

 2種類の魔法を重ねて生み出すは新たな魔法。

 

「《二重詠唱(デュアル・アリア)》──【レーダー(索敵)】」

 

 範囲内にいる生物を感知する魔法。規格外な範囲の規模によって敵と味方を識別していく。足元から『魔法陣(マジック・サークル)』が展開してさらに強化を施す。

 

「……ッ」

 

 膨大な情報量ゆえに額から汗が吹き出し、頭にバチバチと痛みが走るも目を閉じて耐えながら続ける。街にいる民衆、冒険者、神、闇派閥(イヴィルス)を正確に把握していく。

 

「識別完了。

ライト()】+【ヒート()】+【インパクト(衝撃)】+【ブースト(強化)】+【アクセル(加速)】……」

 

 

 五芒星を描く魔法の光は一つとなり、邪悪を穿つ魔法の名を叫ぶ

 

 

「《五重詠唱(クインティブル・アリア)》──【ミーティア・レイ】ッ!!」

 

 杖先から放たれる光の流星は絶え間なく地上に降り注ぎ、闇派閥(イヴィルス)のみを貫いていく。例え民衆を、冒険者を盾にしても光は闇を逃さない。

 

「押し返せ!」

 

 敵にとっての絶望の光は味方にとっての希望の光となる。希望は活力となり四肢に力が甦る冒険者達。

 

『『『ぉぉぉぉおおおお!!』』』

 

 空から聞こえた声を指示に答えるように冒険者達は叫んだ。

 

「お、主犯の奴ら見っけ。3人仲良く固まってるのか。うん……これじゃあ神に攻撃が当たっても仕方ないな」

 

 『いやぁ、まいったな~そんなつもりないんだけどな~ほんと仕方ないよな~』と白々しくぼやきながら(エレボス)を射線の中心に捉えて悪い笑みを浮かべていた。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇

 

 エレボスは上空から降り注ぐ光に穿たれ、味方が次々と倒れ伏す光景を間近で見て冷や汗をかく。

 

「……おいおい規格外(チート)過ぎだろ」

 

 予定外の出来事に戦慄する。今も流星に此方の同胞達を屠られていく。流星の主を唖然と見上げていると顔を此方に向けてきて視線が重なった。

 

「あ、やべ」

「良い殺気だ。どうや此方を捉えていたようだな」

「あの時に見込みがあると思ったがここまでとは。あの年増もこれくらいできれば評価してやったというのに」

「あの、冷静過ぎないお前ら?」

 

 ルークの殺気が自分に向けられ思わず足を後退させてしまったエレボスに対してザルドとアルフィアの温度差が酷かった。

 

「あの眼は〝絶対殺る〟って言ってるよ。俺が神とか関係無く完全に狙い撃つ気マンマンじゃん。えっ、あれだけ格好つけて登場したのに早々に殺られるとかマジで勘弁なんだけど」

 

 ルークの杖は完全にエレボス達に捉えている。先程まで降り注いでいた光は止んで今は杖先に集束して膨張していた。

 

「俺達はなんとかなるが……」

こいつ(エレボス)が邪魔だな」

「いやいや助けてくれよ。2人揃って〝めんどくせぇ〟って顔するのはやめてくれ。地味にくる」

 

 エレボスの言にアルフィアは溜め息をついて、やれやれと言わんばかりの表情なる。

 

「仕方ない、私が前に出る。お前達は下がれ」

 

 2人の前に出たのと同時にルークの魔法も3人──正確にはエレボス──目掛けて放たれた。正面に立ち、臆することなく彼女は魔法を唱えた。

 

 

 

 

「──【魂の平静(アタラクシア)】」

 

 

 

◆◆◆◆

 

「は……?」

 

 集束させた必殺の一撃は彼女の前で霧散していく光景にルークは唖然となった。しかし即座に何故なのか考える。

 

「魔法の無効化?同等の魔力で消し合ってる感じではないから……自身の範囲内に接触すると消滅してしまう……か?なら──」

 

 全方位からの攻撃ならばどうかと結論を出して行動に移ろうとするが、僅かに敵の方が速かった。

 

「しまっ───」

 

 爆音と共にルークの声は掻き消された。

 

「────ふんっっっ!!」

 

 ザルドの気合いを乗せた声が響く。ルークがアルフィアの魔法に唖然としてしまった僅かな時間で彼は近くにいる仲間達から火炎石を有無も言わせず掻っ払い、爆発寸前の状態の物をレベル7の豪腕でありったけ投げつけた。恐怖すらしない大胆な行動にエレボスは口笛を鳴らした。

 

「おお、流石だな」

「今の内に行くぞ」

「ああ」

 

 

 

 

◆◆◆◆

 

 翌朝。昨日の夜から続いた大抗争によって冒険者達による民衆の救出は未だに終わっておらず、気づけば朝を迎えていた。

 

「あっちに生存反応がある」

 

 ルークは遭難者の位置を特定すると、シャクティに伝える。

 

「急げ!まだ助けられていない者がいる!」

「魔導士の派遣を!誰か、誰かいないのですか!」

「手伝って!まだ瓦礫の下に人がいる!」

 

 アスフィやアストレア・ファミリア達の声を聞き、魔法で弱っる者や疲れている冒険者達を回復させていた。

 

「あー流石にキツい」

 

 昨日の夜から魔法を使い続けて今も救助活動を手伝っている。体力は問題なくとも魔力消費が激しく、頭痛もしており思考が鈍ってきている。

 

「まさか逃げられると思わなかった。やはりレベル7は経験値も違うな」

 

 昨夜、エレボス達を仕留めるつもりが逆にしてやられた形となった。余裕そうに見えて《並列思考(マルチタスク)》を使用して限界ギリギリの魔法行使をしてたと言い訳はできる。けれども隙を突かれて逃げられてしまったのはやはり悔しい。

 

「出し惜しみせず使えば(・・・)良かったか?でもランクアップのことを考えると使わない方が正解だし……」

 

 考えを巡らせるがボヤけた頭で良い答えが出る筈もなく──

 

「というか俺けっこう働き過ぎじゃない?」

 

 

 

◆◆◆◆

 

「あらあらぁ、お帰りなさい。ずいぶんとお疲れですわねぇ。……オッパイ揉みますぅ?」

「帰って早々、ネタをぶっ込むのやめてくれません?」

 

 ようやく解放されたルークをフローラは暖かく迎え入れた。

 

「本当に疲れましたのねぇ。ではでは膝枕はどうですかぁ」

「それは後で頼もう。他の皆は?」

「街のゴミのお掃除と治療のお手伝いに行かれましたぁ」

 

 

 

◆◇◆◇

 

「ルークがかなりの数を葬った聞いたが、まだまだ残っておるな」

「人ってこんなに酷いことができるのね」

 

 闇派閥(イヴィルス)達は散発的に街の区画を襲っていたが、エリスとノルンがいた場所は彼女達の手によって阻止されていた。

 

「無差別に破壊をもたらす畜生にも劣る小童どもめ、引導を渡してやろう!」

「私も流石に黙っていられそうにないわ」

 

 

 その場にガネーシャ・ファミリアが来た時には彼らの死体は山積みに固められていた。その後も同じ現象が何ヵ所かであり、街の住人は黒髪と銀髪の美しい女性の魔導士達のおかげで助かったと口々に語っていた。

 

 

 

 

    ────死の七日間、二日目────

 

◆◆◆◆

「昨日、あれだけ排除したのに外壁上にわらわらといるな」

 

 都市(オラリオ)は外敵から守るために周囲に分厚い外壁で覆われており、東西南北にある4つの扉から出入りしている。しかし今は完全に扉は閉じられており、外壁の上には闇派閥(イヴィルス)達が街から逃がさないように牽制していた。

 

「出入り口を占領して物流を抑えられているからオラリオから出られない。冒険者達のマンパワーで扉を解放しようにもザルドとアルフィア(レベル7)が出てきたら瞬殺されるから無駄に消耗させられない。だから此方からは中々手を出すことが難しい状況……」

 

 ルークは空中に立って(・・・・・・)扉に集まっている民衆を見下ろしながら誰に聞かせるわけでもなく考えを整理するために呟く。

 

「そして恐怖と不安に支配された民衆は逃げようと扉に集う。そうすると冒険者は駆り出され人手が減る。でもって集まった民衆に戦う手段はなく冒険者にとって守る存在。だから敵の攻撃に晒されたら庇うしかない」

 

 ガネーシャ・ファミリアとヘルメス・ファミリアの制止の声を聞かずに何とか突破しようと試みる民衆が増えてきている。すると壁上から闇派閥(イヴィルス)達が現れ…魔剣・火炎石・魔法を民衆に向けようとしていた。

 

「まあ思い通りにはさせないがな」

 

 1日休んですっかり体調が回復したルークは精力的に動いていた。あっちへ行っては殲滅。こっちへ行っては殲滅。『オラリオ、マジ物騒』と思いながらひたすら悪即滅をおこなった。一通り闇派閥殲滅活動(クリーンキャンペーン)が落ち着いたので、どこかで休憩でもしようかと考えていると聞き覚えがある声が響いた。

 

「欲しがりはダメよ、ネーゼ。清貧の心は正義の基本!ファミリアが小さかった頃の節約殺法を思い出すの!」

 

 どうやらネーゼ?という少女が渡された物資の少なさに何とか量を増やせないかとガネーシャ・ファミリアの眷属に詰め寄っていたのをアリーゼが宥めていた。

 

迷宮進攻(ダンジョン・アタック)で大赤字を喫して、野草と塩のひっどいスープを『いいのよ?』と微笑むアストレア様に七日七晩飲ませた時と比べれば、何てことないわ!」

「その話はやめろぉおおお!!」

「うわぁ……」

 

 ドン引きしながら思わず心の声が出てしまった。見なかったことにしてその場を去ろうとする────

 

「あら、ルーク!昨日は貴方のおかげでずいぶん助かったわ!調子はどう?」

 

 

 ────が、どうやら捕捉されてしまった。

 

「貴方の活躍は聞いたわよ。でも詳しく聞きたいから私達のホームまで来てくれない?歓迎するわ!」

 

 太陽のような眩しい笑顔をこちらに向けるアリーゼにルークも笑顔で応えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「いえ、結構です」

 

 

 

 

 

 

 

 

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