あの後目を覚ました俺は、目の前の光景を見て驚愕した。それは何故か。
‥‥俺の部下達が全員病室の中へとおり、その全てが眠っていたのだ。俺へ寄り添うようにしてな。
俺は、泣いたよ。みっともなく、惨めにな。
今まで誰か(喜助は除く)に心配される、なんて経験はほとんどなかった。だから、嬉しかった。こんな俺の元にいるこいつらに。
それから暫く一人で泣いていたら、いつのまにやら顔を驚愕の色に染めた卯ノ花隊長が病室の中にいた。そんでもって、包容された。訳が分かんなかったが、俺はそれを受け入れた。
その後、俺の病室を訪れた砕蜂がこの光景を目の当たりにし、目を虚ろにさせながら殺そうとしてきたが、それはまた別のお話だ。
――
俺が四番隊隊舎での暫くの療養を終え、三番隊の執務の仕事を再開させてから約二日がたった。
本来なら今日も執務の仕事をしようとしたのだが、それは白哉との約束により、無きものとなった。まぁつまり、今日は休暇だ。
「兄はもう、大丈夫なのか?」
「そりゃ勿論!体ももうこんなに元気だしな。」
「そうか。」
白哉は少し口角を上げ、嬉しそうな表情をうかべる。それに対し、俺も笑顔をうかべてやれば、白哉は更に嬉しそうな表情をうかべる。もうニッコリと、平子さん位の笑顔を浮かべている。‥‥あの白哉が、これ程までの笑顔を浮かべる事ができるなんてな。と、俺は思う。
百年前。その当時の白哉は、正に優等生と呼ばれる奴だった。それほどまでに掟というものに固執しており、白哉の祖父。詰まるところ銀嶺隊長を憧れの対象としており、白哉に対し『掟、絶対遵守』を教えたのはあの人である。―まぁあの人もなんやかんや言って、掟を破っている時はあったけどな。
それで話を戻すが、もうその時の白哉は掟を絶対に守るようにしていて、何かをするにしてももしそれが掟に反していれば、絶対にしない。そんな奴だったのだ。
そんな白哉に『掟、絶対遵守』を教えた銀嶺隊長も手を焼かせていた。後に銀嶺隊長が、「まさか、あそこまで掟に執着するとは‥‥‥‥。教えなきゃよかった。」なんて言って、とても後悔してらっしゃった。その後、どうにかならないか。と考えていた銀嶺隊長はそこで名案を思い付いた。
それが、俺と夜一だ。
俺はまぁ、友の為に少し掟を破った過去(魂魄消失事件とはまた違う。)がある事から白哉の講師に選ばれた。何の講師か、についてだが、それは謂わば『掟』についての、だ。その当時の俺が一体どんな事を話したかなどの具体的な内容は一切覚えていない。それで夜一が選抜された理由だが、それはその当時の護廷十三隊の中で最も瞬歩が速かったから。後はあいつが四大貴族『四楓院』の当主であり、尚且つ同じく四大貴族の朽木家とは仲が良かったからだな。他に思い当たるとするなら、それはあいつがよく執務の仕事をサボるからだな。
という感じで、俺と夜一が選ばれた訳だ。
「それで、俺に話ってなんだよ?」
普段俺に関わることなどない白哉が、急に「兄に来てほしい」なんて言ってきて。こいつが俺を関わってくる時なんて、大抵が用があるときだ。だから、こいつが用もなく俺に関わってくることなんて到底あり得ないのだ。
「‥‥兄に迷惑をかけることを承知の上で、言わせてもらう。
――私の妹に、兄が稽古をつけてくれぬか?」
俺は二つ返事で了承した。
「あ、貴方が兄様がよく話しておられた、古風隊長ですか。」
「えーっと、確か君は白哉の妹のルキアさん、だったつけ?」
小柄で、何処か守って上げたくなるような姿をした白哉の妹。ルキアちゃんは、此方へ顔を向けると一礼してきた。それに対して、俺も一礼を返す。
この時点でそうだが、ルキアさんは白哉に似て礼儀正しいな。ということが分かる。まぁこんなの貴族からしたら当然なのかも知れないけどな。
「はい、そうです。‥‥まさか名前まで覚えてくださっているとは、恐れ多いです。」
「‥‥ちょっとその喋り方やめない?ルキアちゃん。何というか、なれてない感じがして、とても違和感があるよ。」
「いえ、しかし「しかしじゃない。‥‥それに、君のいつも通りの喋り方の方が、俺としても話しやすいからな。」
戸惑うような様子を見せるルキアさんは、一度振り替えると自身の後ろにいる人物。白哉の事を見やった。白哉は朽木家の庭の隅から此方。詰まるところルキアちゃんの事をそっと見守っていて、――ルキアちゃんにはもうバレてるみたいだけどな――当然自身の事が見つかったことに対し、僅かに驚きの色を見せる。
‥‥よく妹が~とか話は聞いてたけど、これは相当以上に過保護みたいだな。
それで、ルキアさんは白哉の事を見るのだが、白哉は何やら自身の懐を探りだした。‥‥しかし、何やら見つからない様子で、表情には出ていないものの、焦っているな。ということは分かる。
やがて探る手を止めると、白哉は懐から取り出した。
現世では『カンペ』等と呼ばれる代物を。
んで、そのカンペには『俺の言うことに従おう!』という感じの内容のものが書かれていた。‥‥というか、今更になって思ったんだが。白哉が物影にひっそりと佇んで、それでいてカンペを無表情で掲げてる姿って、なんかこう、ジワるんだが。
「‥‥わかった。」
「うん!それでよし!」
最初は物凄い躊躇っていたルキアさんだったが、白哉のカンペの効果も相まってか、間はあったもののタメ口で喋ってくれた。それに対して笑顔で反応すれば、ルキアさんも笑顔になった。
‥‥因みに白哉は、そんなルキアさんの事を見て、うんうんと頷いていた。
「‥‥それで、定国殿。稽古をすると言っておられたが、一体何をするつまりなのだ?」
「ん?‥‥あぁそれは勿論、基礎だよ。」
「基礎、ですか。」
「そう、基礎からだよ。まぁ具体的に言わせてもらうなら、座学!に似た何かと、後は剣術。並びに斬魄刀についてを一時間程度、かな?」
「無茶ではないか!?」
「まぁ、そこは心配しないでもらいたい。そんなに難しいものじゃないし、それに通常十分もあれば、この3つなんて割と直ぐに終わるからね。
とりあえず、始めよっか。そっちの方が口答で言うよりも分かってもらえそうだし。」
取り合えず始めることにした。
それから幾らか時間経ち、始まった古風隊長による私の稽古。
まず、座学から行われた。
その座学で教えられた事は、『時には掟を破ることも大事』ということ。これは、古風隊長の過去の体験から分かったことだそうだ。古風体験が語られた過去の体験のお話は、そのどれもが私という死神の在りかたについて参考となった。古風隊長は兄様の語られていた数倍は素晴らしいお方であった。
そして話がかわり、次の稽古。
そこで行われたのは剣術の稽古。
より具体的に言わせてもらうなら、木刀を目で見ることなく、気配だけでかわす練習だ。
古風隊長曰く、『目に見える物が全てではない。見えたからと言ってそれが本当に正しいのかどうかなどわからない。』とのこと。
それから幾分か行ったのだが、その全てをかわすことなどできなかった。古風隊長は大丈夫だと言い、頭を撫でてくださった。
最後に行われた斬魄刀の修行。
この修行は、斬魄刀との対話を行うことが主な目的だった。私は精神統一をし、自身の精神世界の中へと入った。精神世界内で、袖白雪に修行をつけてもらった。
それから幾分か経った頃くらいだろうか、私は目を覚ました。自身を覆う布団を取っ払い、辺りを見渡せば此処が私の部屋であるということが分かった。そして部屋の隅に誰かいるな、と思いゆっくりと近付き確認してみれば、それは兄様だった。‥‥一体何がどうなって、と思っていると、古風隊長が「お、目覚めたか!」と言い、部屋へ入ってきた。
その後話してくださったのだが、何でも、私が斬魄刀との対話を始め、一時間を越えてしまったとき、急に体が糸をなくしたように倒れてしまったそうだ。
それで心配した兄様が、私を部屋へ連れていってほしいと古風隊長に言い、部屋まで移動させ、尚且つ布団の中へといれてくださったのだそうだ。
私は古風隊長の手を煩わしてしまった事、兄様を心配させてしまったことに対し、謝罪した。古風隊長は、笑って「気にしないで」と言い、兄様は「次また起きぬよう、気を付けろ」と言われた。
その後、古風隊長と兄様、私は共に食事を食べ、先に食事を終えられた古風隊長は、最後挨拶をして帰られた。
白哉)「お兄ちゃん心配しちゃうから)次また起きぬよう、気を付けろ。(じゃないとお兄ちゃん。心配で心配で仕方ないから!!)」
定国)「(白哉は妹思いなんだな~)」
激動の四日間について、詳細にやった方がいい?
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やってほしい。
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どっちでも。
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やらなくていい。
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作者の好きにしてください!!