「定国サン、助けに来ました。」
「あぁ、本当にお前は!
――俺の最高の親友だよ。」
3時間前『浦原商店』
「お主も戸魂界にいくのか、喜助!?」
「シィーッ!まだこれ誰にも言ってないッスから、あまり大きな声で言われるのはちょっと困るッス。」
「いや、しかしお主は今回は同伴しないという約束じゃったじゃろ。何故今さら‥‥‥‥‥‥もしやお主、ルキア救出の裏であやつの事を助けようという算段か。」
「‥‥まぁ、そうッスね。」
「そんなことが無茶な事くらい、お主もわかっておるはずじゃ!!それに、瀞霊廷には藍染がおる。お主が不用意に動く事は、あまり許された行為ではない事くらい知っておるじゃろ!!」
「そんなことわかってますよ!!でも、この機会しかないんッス。この機会を逃せば、定国サンを救うことは叶わない。勿論、策に関しては何千、何万通りと用意してありますから、そこは安心してほしいッス。」
定国サンが牢獄へ投獄されてから約100年。
ボクはそれまでの間に、幾つも幾つも定国サンを助ける為の策を考えた。そうすることによって、ボクはボクをどうにか抑え込んでいた。いつも彼を助けるために戸魂界に乗り込もうだなんて、無茶な事をしようとしていた。その度に、ボクは策を考えた。そうすることで、なんとか自分を抑え込めれていた。
しかし、そんなボクに対して転機が起こった。
それこそが、ルキアサンだ。
彼女が現世に来た時点で、いつしかボクはボクを抑えられなくなっていた。いや、これは少し違うッス。正確には、なりふり構っていられなくなった。というのが、正しいッス。
現世に大虚が出てきたとき助けなかったのだって、ボクは「まだバレる訳にはいかない。」なんて表向きには、そうしていました。しかし、それも実際とは違って、ボクの真意としては『ルキアサンの死神の力を、一護サンに譲渡させる事』が本当の目的でした。そして其処に追撃を仕掛けるように、ボクはルキアサンの中に崩玉を隠したんッス。そのお陰と言えば良いのか、戸魂界から朽木サン達がやって来た。正にボクの読み通りでした。
一護サン達に『ルキアサンの処刑』の事を話せば、彼等は絶対に行く事も分かってたッス。
「今のお主に何を言った所で無駄か。‥‥儂から言うことは一つだけじゃ。
――気を付けるんじゃぞ。」
「それは夜一さんも、ッスよ。」
この後、この事は鉄裁さんにも話しました。
「って、事があったんッス。ボクも定国サンを助けるために必死だったんっすからね?」
「‥‥‥喜助ってさ、やっぱすげぇな。」
あの後何があったのかと言うと、喜助によって牢獄からの脱獄に成功した俺は、その後直ぐに
‥‥それにしても暗く閉ざされたあの空間が、一瞬にして光に包まれた時は何事かと思ったが、それはただ俺の事を喜助が助けに来てくれただけだった。俺の入れられていた投獄までの道のりは、兎に角罠だらけでだった筈なのに、どうにも起動していないっぽかった。まぁ、喜助がなんかすんごい発明でどうにかしたのだろう。あくまで話してくれたのは、戸魂界にくる三時間前までの事を少しだけ話しただけで、まだ肝心な所は話してもらっていない。‥‥まぁ、話したくないのなら、それでいいのだがな。
「!彼処ッスね。」
「そうそう、確か彼処だ。俺の斬魄刀があるって、京楽隊長がなんか前に言ってたわ確か。」
俺と喜助の目の前に見える蔵。
名前を『
「これをこうして、これをこうして。おっ!開いたッス。」
「‥‥なんでこんな難しそうな物をものの数秒で解けるんだよ。って、そうか。喜助だもんな」
「その言い方はちょっとひどくないッスか!?まるでボクがヤバい人みたいになってるじゃないッスか!?」
「まぁいいじゃねぇか!!」
「そう、ッスね。もう100年も前ッスからね。こんなやりとりをしていたのも。」
そんなやりとりをしながら俺の斬魄刀を二人がかりで探す。この場所は罪人の斬魄刀が保管されていると、確かに俺は言った。しかし、それにしたってちょっと数が多すぎやしねぇか!?何だよマジで、目茶苦茶にあるじゃねぇか!?凡そ10万はあるぞ!?
「お!あったッスよ!!」
喜助が片手を上げ見せてくる斬魄刀は、確かに俺のものだ。それは、見ただけでわかった。何故か分かったかって言うと、それは俺の斬魄刀が少し他の者よりも特殊だからだ。
俺の斬魄刀の鍔は、金色の龍の顔だ。きめ細かに刻まれた龍の顔、目の所に傷がある。それは、前に戦った時に鍔についたものだ。だから俺の斬魄刀だって言うことがわかった。
「ありがとな、喜助。そんじゃ、次に行くか。」
「‥‥次って、何処ッスか?」
「あー、そっか。喜助は知らなかったっけ。
――俺が斬魄刀をこれ含めて二振り持ってることをさ。」
「成る程、つまり定国サンはその二つ目の斬魄刀を取りに行くって事ッスか。」
「まぁつまりそういうこと。そんじゃあ、早く行こう。技術開発局に。」
俺と喜助は、禁庫をあとにした。
私にとって古風定国とは、私の敬愛する夜一様の次に良き上司であった。だからこそ彼が牢獄へ投獄されたと聞いた時、私には理解する事など到底出来なかった。
しかし、私には薄々そうなるのではないか。という考えはあった。
古風定国は、あの憎き浦原喜助の親友だ。彼に何かあったとき、何か噂されたとき、一番にそれが嘘であると言っていたのは、他でもない彼だ。だからこそ、彼が魂魄消失事件の首謀者が浦原喜助だと言われて、何もしないはずがなかった。
これは後で聞いた話だが、彼は浦原喜助や夜一様達を逃がすための足止めとして、たった一人で挑んだのだ。あの山本総隊長や京楽春水、浮竹十四郎を含む隊長格数名と他数名の死神達がいるなかで、対等に戦ったのだ。
誰一人殺すことなく。
「古風定国。いや、定国様‥‥‥‥。私はこんなにも、強くなりました。」
今も牢獄に囚われている定国様、私は貴方を救うために隊長へとなったというのに、それは叶わなかった。
私を含めた他の隊長達も彼の刑を軽くしてもらおうと、彼を牢獄から出してもらおうとしたというのに、それはダメだった。
「待っていてください。私が貴方をいつか、救いだしてみせます。」
この時の私は知らなかった。もう既に定国様はあの憎き浦原喜助の手により、脱獄しているなど。