「兄は、何故死神になろうとしたのだ?」
「俺か?‥‥そうだな。俺は、只俺となんかまだ親友で居てくれる。そんなあいつの隣に立つため、かな?」
「そうか‥‥‥‥やはり、兄は凄いな。」
「そうか?‥‥‥‥まぁ、白哉にもいつかそんな存在が出来たら、きっと分かるさ。」
「‥‥そうか。」
やはり、兄は凄い。
私の理想、憧れとも言うべきか。兄の心は、志はいつも他人の為にある。兄のそんな所に、私は憧れたのやも知れぬ。もし仮に、私にその兄のいう存在ができたとして、私は兄のようにはなれぬ。それが、私には分かる。
私は兄とは違う。兄が自由なのだとしたら、私はきっと掟という呪縛とに縛られているのだろう。
「もし、もし仮に兄の友が罪を犯したとして、そのときはどうするのだ?」
「ん?そんなの決まってんだろ。
――助けるよ、掟を破ってでもな。」
「そうか。やはり、私と兄は何もかもが違うようだな。」
「そんなことはねぇと思うんだけどなぁ‥‥‥‥。あ、そうだ。お前にこれだけは言っておきたい事があったんだ。」
「それは、一体?」
「死神の掟を破る奴は罪人扱いされる。これは死神にとっては当たり前の事だ。だがな、それを重視するばかりに、友を、家族を見殺しにしちまうやつはそれ以上の罪人だ。特に、
真っ直ぐとした瞳で、そう断言する。
あぁ、やはり、兄は凄いな。
私は、心の底からそう思った。
これは、兄が牢獄へ投獄される三日前。私と兄の最後のやり取りとなった。
「ここか。」
「そうみたいッスね。」
俺達の前に佇む巨大な扉。
扉には厳重なロックがされており、ここが只ならない場所であることを醸し出している。この通路を進んだ先にあると涅は言っていたから、これに間違いないだろう。
‥‥それにしたって、涅は本当に厳重に保管してるじゃん。まぁ、俺の預けた斬魄刀が「消す」とかいう能力だったからな。それは当たり前か。
「ちょっと待ってて下さい、今解くッスから。」
「おう、行ってこい。」
「それじゃあ、行ってくるッス。」
喜助は扉の近くに設置されていたよく分からない機器に近づいていくと、あいつは懐から妙な四角て黒い物体を取り出した。そしてそれが急に変形し、喜助の周りを飛び回る。喜助はそれに別段気にする様子もなく、そのよく分からない機器にあったパネルのようなものを手慣れた様子で入力していく。
何て入力してるかはわかんねぇが、きっと俺には到底理解できないようなことしてんだろぉなぁ‥‥‥‥。
俺は喜助の行ってきたことを振り返り、心のそこからそう思う。
「できたッスよ。」
「いや、早いな。‥‥って、喜助だもんな。そりゃ当たり前か。」
「分かってもらえたようでなりよりッス。」
喜助によって開かれたあの巨大な扉。
部屋の中にはある一つの斬魄刀だけが透明な箱のような物の中に入れられており、それ以外に物は存在しなかった。まぁ、その斬魄刀っていうのは俺のやつなんだけども。
扉が開いたということなので、入ろうとした俺だったが、そういえば。と思い、俺は喜助の事を見る。
喜助の周りを未だに先程の四角て黒い物体が飛んでいる。
さっきもそうだったが、こいつはいったい何だ。ただの喜助の発明でも無さそうだし‥‥‥‥って、いつも喜助はとんでもない物ばかり作ってたな。じゃあこれもきっと、その内の一つであるのだろう。だけどこればっかりは俺が作った物ではないし、やっぱり喜助に聞いてみるのが手っ取り早いか。
「そういや、一つ気になったことがあるんだけどさ。」
「何ッスか?」
「それ、何?」
「あぁ、これッスか。これは『
「つまり、どういうことだ?」
「つまりですね、涅サンの見られたくないあれやこれを全て見ることのできる物だとでも思ってください。」
うーんと、こいつは一体何してんのかな?いや、本当に冗談抜きでさ。
「‥‥はぁ~、これだから涅に嫌われるんだよ。」
「そんなことないッスよ。何なら、涅サンなら嬉々としてボクに対抗心燃やしてくるでしょ。「これで貴様もハッキングできまい!!」なんて言って、今よりもセキュリティを上げて。まぁ、ボクはそれを嬉々として解いて"あげる"んッスけど。」
「‥‥取り敢えず取りに行くか。」
俺は部屋の中へと入り、透明な箱を壊して自身の斬魄刀を取る。取り敢えず分かったことは、俺の斬魄刀は預けた当時の状態と全く変わっていなく、傷一つすらついていないということだった。俺は自身の斬魄刀に、つい見入ってしまった。それほどまでに傷がなかったから。
「定国サン、そろそろ此処から出ましょう。」
「‥‥え?あー。そう、だな。」
俺は手に持っている二振り目の斬魄刀を一振り目同様に腰に携えると、喜助のいる部屋の外へと向かった。
喜助は黒船を使って何かしている様だったが、俺が来た途端にそれをやめた。そしてすぐにそいつ懐にしまうと、此方を見てくる。
「そろそろ時間ッスから、そろそろ向かいましょうか。」
双極の丘に、と喜助は言った。
『恋次:サイド』
「君はもう、用済みだ。
――殺せ、ギン。」
「‥‥しゃあないなぁ。
『
藍染隊長に指示された市丸隊長は、その指示に従ってルキアの事を確実に殺そうと始解を使用した。
俺ですら目に見えないくらいのスピードの市丸隊長の始解は、確実にルキアの事を殺した。と、俺も、一護もそう思う他なかった。そしてその直後、砂埃が発生した。きっと、市丸隊長の始解の衝撃によって発生したものだろう。何にせよ、ルキアが殺されたという結果は、変わらない。
「「ルキアァァァ!!!!!」」
俺と一護の声が重なる。
そりゃそうだ。あんなもの見せられて、叫ばないなんてできるはずがねぇだろ。俺は、糞ほど血を流して倒れ伏す体に、今俺の振り絞れる最後の力を使い、立ち上がろうとする。それは一護も同じようで、アイツも今もさっき藍染隊長に切られた腹を抑え、痛みに耐えながら立ち上がろうとしていた。‥‥だが、やっぱり無理だった。限界を迎えた体には、立ち上がる力すら残っていない。
「‥‥すんません、藍染隊長。外してしもうたわ。」
外、した?‥‥じゃあつまり、それはルキアは死んじゃいねぇってことか。だが、あのとき市丸隊長の始解は確実にルキアに当たったと、俺と一護にはそう見えた。
「今のは結構速かったな。ま、捉えられない速さではないけどな。
そして久しぶり、
――白哉。」
砂埃が晴れると、そこには人影があった。二人は朽木隊長とルキア。そしてそれ以外にもあと一人いた。
謎のコートを着た男。その人物の登場に、俺と一護、ルキア以外の死神が、顔を驚愕の色に染めていた。
あ、誤字報告はどんどんしたゃってください!!
自分自身ですら気づいてない事とかよくあるので!