なので本作は「子供の頃に失った悟空との日々を取り戻したい」と常々考えていた悟飯が悟天をきっかけに過去への干渉を決めたという体でやっていきます。
いろいろと至らない点はありますが生温かく見守っていただければ幸いです。悟飯じいちゃんのような気持ちで見ていてください。
セルゲームから七年──僕は自分のせいでお父さんを死なせてしまった後悔から一日たりとも休まず修行を続けている。パワー自体はそこまで変わらないが、より安定して超サイヤ人を超えた超サイヤ人になれるようになった。体も成長し、手足が伸びたことで戦いやすくもなった。
修行の相手はもっぱらピッコロさんかベジータさんだ。ピッコロさんはいつでも相手してくれるけど、一人で修行するのが好きなベジータさんにはたまにしか会えない。特にベジータさんは同じ超サイヤ人なので修行で全力を出しやすく、本人にそのつもりはないだろうけど、結果として力の安定に大きく貢献してくれた。ピッコロさんはどちらかといえば細やかな気のコントロールを磨いてくれた。僕が今の僕になれたのは二人のおかげと言っても過言ではないだろう。
もちろん勉強のほうもしっかりやっている。それが修行を続けるためにお母さんと交わした約束だからだ。
修行も勉強も手を抜かずがんばっている。でも本音を言えば、僕はお父さんを死なせてしまった苦い過去から逃避しているに過ぎない。あんな思いはもう二度としたくないという苦しみだけが原動力。僕は僕のままで、ずっと弱いままだった。
そんな僕が現実から逃れることをやめようと決意したのは、お父さんが遺した弟の悟天がいたからだ。
その日、僕は久しぶりにベジータさんとの修行を控えていた。僕がカプセルコーポレーションに行こうとすると、トランクスくんと遊ぶ約束をしていた悟天が一緒になってついてきた。兄弟で乗る筋斗雲はいつもより楽しい。僕も昔、お父さんにはこんなふうに乗せてもらったっけ……と落ち込みもしたけれど。
そうしてカプセルコーポレーションにつくと、ベジータさんの計らいで悟天とトランクスくんも交えての合同修行をすることになった。ベジータさんは時々適当な理由をつけてトランクスくんを修行に巻き込むことがあるのだが、それがたまたまこの日だったというわけだ。完全にとばっちりな悟天は膨れっ面になっていたし、トランクスくんは申し訳なさそうにしていた。
この二人は幼いながらにすごい力を持っている。お父さんとベジータさんの血を引いているのだから当然といえば当然だが、今からしっかり修行すれば未来で大切な何かを失わなくて済むかもしれない。そんな考えから、僕は二人の修行には肯定的だった。
──あの一瞬までは。
修行がひと段落してからの休憩中。僕は「また家電が壊れたからブルマさんに修理を頼んでけれ!」というお母さんの言葉を思い出し、一旦修行室を離れた。
そして手早く用件を終えて戻ると、不器用ながらもまさしく親子のやりとりをしているベジータさんとトランクスくんがいて、それを少し離れたところで羨ましそうに眺めている悟天を見つけてしまったのだ。
僕は後悔した。同時に自分への怒りでうっかり超サイヤ人になりかけた。
悟天があんな顔をしているのは、あのときすぐセルを倒さなかった僕のせいだ。なのに僕は悟天自身が強くなることで何も失わないようにと期待している。何もかも僕のせいなのに。
何が兄だ、不甲斐ない。お父さんなら「オラがなんとかしてやるさ!」と笑って背中を叩いたに違いない。
そう思ってからの行動は早かった。
僕はベジータさんに一言断りを入れ、再びブルマさんのところに行ってドラゴンレーダーを借り、カプセルコーポレーションを飛び出した。全力でドラゴンボールを探し回り、その日のうちにすべて集め終えると、パオズ山の奥で神龍を呼び出した。
神龍に願ったのは過去への干渉。意識はそのままで、今の僕の記憶とパワーだけを小さい頃の僕に送る。
未来のトランクスくんがこの時代にきて人造人間に滅ぼされる歴史を変えたように、僕もお父さんが死んでしまう歴史を変えたい。いや、変えてみせる!
神龍の瞳が赤く輝き、そんな決意がかつての僕に飛ばされた。
たとえ何が起こってもここにいる僕ではその変化を感じ取ることはできない。
でも、きっと未来を知った僕ならなんとかしてくれると信じている。
だって、僕は孫悟空の息子、孫悟飯だから。
だから僕は、ドラゴンボールを使った。
あとあんまりキツいこと言われると凹むので大量のオブラートに包むか心の中にひっそり隠して静かにブラバしてくださいね。