だから僕は、ドラゴンボールを使った。   作:亜刀

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こんにちは! いやぁ、戦闘描写に凝り出すと時間がまあかかる……!
それに加えて仕事やら気圧やらで体力&集中力を削がれる日々です。
みなさんは大丈夫ですか?
現実は嫌な問題ばかりですが、この作品がちょっとでもみなさんの娯楽になれば幸いです。それではどうぞ!


パワーアップへの布石!

「はぁぁぁーー!!」

 

 僕はナッパの動きに合わせて大きく前進した。最初から怯んでちゃ話にならない。

 

「おらぁ!」

 

 ナッパが左拳を振り下ろす。僕はそれを掠るか掠らないかのところで避け、一気に懐へ潜り込んだ。

 

「だりゃりゃりゃりゃりゃ!!」

 

 殴る、蹴る、殴る、蹴る、殴る、殴る、蹴る──。

 

 僕の放つ攻撃がナッパの急所を捉え、怯むたびさらに重なっていく。

 

 しかしタフさが売りのナッパは攻撃を喰らいながら反撃してくる。僕の顔面めがけての膝蹴りだ。当たれば脳漿をぶちまけることになるだろう。わずかな恐怖が火種となり、全神経が発火。脊髄反射で体をひねりどうにか事なきを得る。

 

 そのまま回転の勢いを利用してナッパの後ろへと回り込み、膝裏に手刀を入れると、ナッパの巨体がガクンと崩れた。この拳では分厚い筋肉の鎧を破ることはできなさそうなので、僕は狙いを関節に絞って連撃を組み上げていく。

 

「ちょこまかとうざってえヤロウだ!」

 

 うるさい。だってそうしないと勝てないじゃんか! 回し蹴りを後ろに跳んで避け、ナッパが息を整えるのを確認してから、僕もひと息入れることにした。スタミナ管理でしくじると死ぬ。

 

「いいぞー! 悟飯!」

 

「さすが孫の息子だ……」

 

「悟飯のやつ、あんなに強くなっていたのか」

 

 クリリンさんが応援し、天津飯さんが感心し、ヤムチャさんが驚嘆した。

 

「だがパワー不足は否めない。悟飯……」

 

「あいつにも何か考えがあるんだろ。今は信じようぜ、ピッコロ」

 

 ピッコロさんが苦言を呈し、お父さんが静観を促す。

 

 確かにそうだ。ナッパの戦闘力は4000。僕の戦闘力は3500。足りないパワーは格上との戦闘経験で補えているようだし、加えて体格差による狙いにくさが小柄な僕へのアドバンテージとなり、今のところは有利に運べている。

 

 だがそれもいつまで続くか。ナッパだって戦闘民族サイヤ人なのだ。このまま削り切らせてくれるとは思えない。

 

「このぉ!」

 

 休憩し終えたナッパの大振りな右拳が迫る。パワー、タフネス、スタミナ、リーチでは明らかに不利。防御しようとも当たればタダでは済まない。この攻撃は両手で受け流しつつ避ける。

 

「たぁぁぁっ!」

 

「がはっ……!?」

 

「だっ!」

 

 攻撃後の隙を突いてまた懐に潜り込み、ナッパのみぞおちを蹴り上げる。苦しげに呻くナッパの上体が折れ曲がり、下がってきた顎をさらに上段回し蹴りで打ち抜く。

 

「舐めるな!!」

 

「!」

 

 ナッパは勢いよく体勢を戻しつつ掬い上げるようにエネルギー弾をぶつけてきた。それは手から離れないまま僕の真正面に迫る。ほとんど零距離。避けられそうにない。しかし、どうしようかと考えるより早く体が勝手に反応し、溜めなし魔閃光によってかろうじて相殺できた。

 

 今のを防がれると思ってなかったのか、ナッパは戦闘中にも関わらず呆けていた。絶好のチャンスだ。僕は可能な限り気を爆発させ、ナッパの横っ面を殴る。

 

 ぐらり、とよろけた。

 

 しかし、ナッパは倒れない。

 

「へ、へへ、クソガキが……思ったよりやるじゃねえか」

 

 その上、笑みを浮かべる始末。つまりそれだけの余裕があるということだ。予想以上に響いてなかったのは悔しいけど、気にする前に僕は距離を取った。リーチの都合、離れるほど不利になるけど一旦仕切り直しだ。

 

「さすがサイヤ人の血を引いてるだけのことはあるぜ……なんだが楽しくなってきちまったなぁ!」

 

「くっ!」

 

 ナッパは血走った目で再び僕を捉えると、今度はパワー重視の大雑把な攻撃からスピード重視の鋭い攻撃に切り替えて襲ってきた。

 

「くそ……!」

 

「さっきまでの威勢はどうした!」

 

 当然、僕は防戦を強いられる。キレ味を増した拳と蹴りは一度ガードすれば立て続けに僕を攻め落とすだろう。だから結局避けるしかない。

 

 先ほどまでの優勢はナッパが怒り心頭だったのと僕を舐めきっていたから成立していたのだ。僕を倒すべき敵と認め、冷静さを取り戻し始めたのなら戦況はいとも容易くひっくり返る。挑発すればまだやれたかもしれないが、お父さんの半分以下の強さしかない今の僕では無理だ。挑発しても口だけになってしまう。

 

「悟飯!」

 

「はぁ、はぁっ──大丈夫です!」

 

 ピッコロさんが叫ぶ。僕もそれに叫んで応える。

 

 二人がかりならナッパを倒せるだろう。でも、まだです。作戦はむしろ上手くいっている。だからもう少し待っていてください。

 

「そこだぁ!」

 

「お、ぅ……ぁ……!」

 

 受け流しきれず体勢が崩れたところにナッパの蹴りが刺さった。巨大な足裏で胸から腹にかけてを潰された僕は吐瀉物を散らしながら後退、たまらず地面に膝を突く。

 

「ほら立てよ。大丈夫なんだろ?」

 

 ナッパは僕の頭を片手で掴んで無理やり立たせると、容赦なく腹を殴ってきた。ぱきん、と骨の折れる音が内側から聞こえた。たぶんいくらかの肋骨が逝ったのだ。

 

「が、は」

 

「おや、おねんねの時間か? 優しいオレさまが寝かしつけてやろう」

 

 世界が逆さまに──次いで全身に衝撃。

 

 意識が飛び、激痛で目が覚め、また気を失いそうになる。

 

 どうやら頭から地面に叩きつけられたようだ。

 

「……ぁ、あ」

 

「あと10年早く生まれてりゃ勝てたかもなぁ! ぐははははは!」

 

 まずい──意識が──死ぬ──。

 

「ピ……ロ、さ……」

 

「っ! たぁりゃあああっ!!」

 

「うおっ!?」

 

 僕の合図をナメック星人特有の聴覚が捉えた。ピッコロさんがナッパに飛び蹴りを浴びせ、僕との戦闘で疲労を溜めていたナッパと互角のやりとりを始める。

 

 そのあいだに僕は餃子の超能力によって仲間のもとに回収される。念のため太陽拳を使えるクリリンさんと天津飯さんに控えてもらっていたが、ベジータさんは特に邪魔してくるようなことはなかった。

 

「悟飯、仙豆だ」

 

 ヤムチャさんが僕を体全体で隠しつつこっそり仙豆を食べさせる。

 

 仙豆を飲み込んだ瞬間、全身の痛みが引いた。同時に今まで以上に湧き上がる気をスカウターに感知されないよう抑え込む。ベジータさんはその天才的な戦闘センスによってナメック星に着く頃には気のコントロールをマスターしていたけど、今はまだスカウター頼りのはずだ。僕の復活にはおそらく気づかない。

 

 これで仙豆は残り三つ。

 

 貴重な回復手段を減らしてまで叶えたかったのは、サイヤ人の特性を活かした僕のパワーアップだ。

 

 ベジータさんにはパワーボールがある。ナッパが生きているうちにこれを使われたら単純な数字で言うと戦闘力40000と180000の怪物を相手にしなくてはならなくなる。そうなればたとえ僕が大猿化してもナッパを抑えることができず、ベジータさんの圧倒的なパワーでみんな殺されてしまう。

 

 だから僕だけでもナッパと渡り合えるよう危険を冒してまで単独で戦い、瀕死の状態から仙豆による回復でパワーアップする必要があった。ベジータさんが大猿化するのは追い詰められてからだろうし、太陽拳などの搦手があればベジータさんの尻尾を切れる可能性だって生まれるだろう。この仮定はナッパが動けてしまうと成り立たないのだ。

 

 僕は少なくともナッパを超える戦闘力を得られたと思う。大体4500か5000くらいが妥当だろう。気を開放すればもっと具体的にわかるのだけど、手の内を晒すにはまだ早い。ベジータさんのことだ、隙を見て僕の尻尾をちぎってからパワーボールを使うくらいのことはしてくるはず。

 

「ぐぐぐ……ナメック星人ごときがこのオレと張り合うだとぉ!」

 

「ふん、悟飯との戦いでだいぶ消耗したらしいな? 思ってたほどじゃないぜ」

 

「ふざけんじゃねぇ!!」

 

 気絶したふりをしながら様子を見ると、ピッコロさんとナッパが組み合っていた。ピッコロさんのほうがやや優勢といった感じだ。ここに天津飯さんたちのサポートが加われば盤石だろうが、ベジータさんの妨害が入らないとも限らないので一斉攻撃するのはお父さんとベジータさんが戦い始めてからにしてほしいと伝えてある。

 

「おい、悟空。ちょっといいか」

 

「なんだクリリン。……わかった、そろそろオラも我慢できなくなってきたとこだ」

 

 クリリンさんがお父さんに耳打ちする。作戦通り、お父さんはベジータさんと戦ってくれるようだ。

 

「ベジータ! オラたちもやろうぜ!」

 

「最下級戦士の貴様が決闘のつもりか? はっきり言ってオレと貴様とでは戦いにならんぞ。それとも息子の仇討ちか」

 

 お父さんはまだ界王拳を見せてない。だからベジータさんの食いつきも弱い。

 

 そこで機転の利くクリリンさんの出番だ。

 

「悟空! こっちはオレたちに任せてあいつを倒してくれ! 悟飯のこともなんとかしとくから!」

 

「なるほどな」

 

 ベジータさんが嘲笑うかのように口角を歪めた。

 

「オレが参戦してはナッパを倒すチャンスが消えてしまうから最も戦闘力の高いカカロットが時間稼ぎをするというわけだ。いいだろう、貴様らの遊びに付き合ってやる」

 

 いいぞ、ベジータさんは賢いけど優位に立っていると調子に乗り始めるんだ。……いや、僕も含めてサイヤ人全般がそうか。

 

 と、とにかく! このままナッパとベジータさんが離れて戦ってくれるなら最高の展開だ!

 

「だが──だったらこっちの都合にも付き合わせてやる。はぁっ!」

 

「な、なにを!?」

 

 お父さんが空を見上げた。ベジータさんが凄まじいスピードで飛び上がったのだ。

 

 そして、ベジータさんは地上に向かってエネルギー波を放つ。着弾の余波でピッコロさんとナッパの戦いが中断された。

 

「ナッパ、今のうちにサイバイマンを出せ!」

 

「オ、オレ一人でもやれるぜベジータ!!」

 

「いいから早くしろ馬鹿者め! もう一発だけおまけしてやる!」

 

 再度、エネルギー波。今の僕たちでは誰も割り込めず、ナッパは悔しそうに歯を食いしばりながらサイバイマンの種を植える。

 

 もこもこと土が盛り上がり、現れるのは黄緑色の気持ち悪い六体の怪人。

 

 くそっ、嫌な展開になったな……!

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