だから僕は、ドラゴンボールを使った。   作:亜刀

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チチの口調に自信がありません……。
間違っているところがあったら教えてください。


最大の敵はお母さんかもしれない

「は? 何を言ってるだ?」

 

 いやまあそうですよね、と僕は苦笑いしながら心の中でつぶやいた。

 

「ですから、僕は十三年後の未来から記憶と力だけを持ってきた今までとは違う孫悟飯なんです。ちょっとのっぴきならない事情がありまして……」

 

「……悟空さ。ちょっときてけれ」

 

「ん? なんだ?」

 

 お母さんに手招かれ、お父さんがとぼけた顔で近付く。

 

 そして思いっきり頭を引っ叩かれた。

 

「いってぇ!? なにすんだよチチぃ!」

 

「それはこっちのセリフだべ! 悟飯ちゃんに何があっただ!」

 

「何がって言われてもなぁ」

 

 お父さんが助けを求める目でこちらを見てくる。お父さん、嘘が下手だからなぁ……ここは僕が真偽を交えつつ上手く説明しないと。

 

「いきなりこんなこと言い出すなんてどう考えてもおかしいべ!? あ! さては悟空さ、オラに隠れて悟飯ちゃんに武道を教えてただな!? それで頭を強く打っておかしくなっちゃったんだべ! ああ、かわいそうな悟飯ちゃん! どっか痛いとこねえか? 怖い思いしなかっただか?」

 

「あ、ええと、大丈夫です、ハイ」

 

 お母さんったら若い分パワフルなんだから……とと、負けてる場合じゃあないぞ。ここで説得できなきゃベジータさんたちには勝てないんだから。

 

「こほん。えっとね、お母さん。僕は本当に未来からきたんだよ。だからお父さんを怒らないであげて」

 

「悟空さ!!」

 

「だからオラは何もしてねえって!」

 

 お父さんは拳を振り上げるお母さんから一気に飛び退く。

 

「はぁ〜……」

 

 超ド級のため息をつき、テーブルに突っ伏すお母さん。僕とお父さんはしばらく静かにそれを眺めた。

 

 やがてお母さんは元の姿勢に戻り、眉間を親指と人差し指で揉む。

 

「そもそも情報量が多すぎるだ。宇宙から悟空さのお兄様がきて? 悟空さは実はサイヤ人っちゅう宇宙人で? お兄様の仲間になるのを断ったから闘いになって? 悟飯ちゃんが攫われたけどピッコロと協力して取り戻して? 一年後にさらに強いサイヤ人がくるから悟空さも悟飯ちゃんも修行を始めたいから家を空けるって?」

 

「なんやかんやちゃんとまとまってますね」

 

「すげえなチチ」

 

「感心してる場合じゃねえだ! いっぺんにいろんなことが起こりすぎだべ!」

 

「「ひぃっ」」

 

 やっぱり昔のお母さんも怒ると怖いなぁ……。

 

 超サイヤ人になりそうな勢いのお母さんはもう一度大きく息を吐くと、仏頂面で腕組みして椅子の背にもたれかかった。

 

「オラは反対だ。悟空さはともかく悟飯ちゃんまで闘うことはねえ」

 

「で、でもよ、悟飯はとんでもないパワーを秘めてんだ。悟飯がいなきゃ地球を守れねえかもしんねえぞ?」

 

「大の大人がなに子供に縋ってるだ! 悟空さは悟飯ちゃんの父親だべ!? 自分の息子を危険な目に遭わせてなんにも思わねえべか!?」

 

「っ……誰もそんなこと言ってねえだろ!」

 

 あ、まずい。お父さんの気が乱れている。

 

「…………」

 

 しかし、お父さんは深呼吸と共に気を整えていった。お母さんに剥き出しの感情をぶつけるつもりはないのだろう。ましてや今は緊急事態。下手にヒートアップしたところで話が膠着するのは目に見えている。闘うときも意外と冷静なんだよね、お父さん。

 

「オラ、ラディッツに悟飯が攫われたときすごく怖かった……い、いつもみたいに闘いを楽しむ余裕なんてこれっぽっちもなかったんだ。ピッコロが協力してくれなきゃ今頃オラも悟飯も死んでたかもしれねえ……」

 

「悟空さ……」

 

「それによ、悟飯が未来からきたってことは、そうしなきゃならねえような悪い出来事が起こったってことだろ? だったら悟飯の言うとおりにしてやりてえんだよ。そうするのが一番いい気がする」

 

「お父さん……」

 

 そこまで僕のことを信じてくれているんだ。長らく味わうことのできなかったお父さんの暖かさにうっかり泣き出してしまいそうになる。

 

「…………」

 

 いつになく神妙なお父さんの様子にさすがのお母さんも怒りを維持できないみたいだ。

 

 僕たちのあいだに重苦しい沈黙が広がる。外で鳴いている小鳥のさえずりがやけに大きく聞こえた。

 

「でも、おらは……」

 

 消え入るようにか細い声。

 

「悟飯はイタズラでドラゴンボールを使うような子じゃねえ。それはチチ、おめぇだってわかるだろ?」

 

「…………。……とりあえず飯にするだよ。二人とも腹減ったべ?」

 

 結局、それ以上話が進むことはなかった。

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