だから僕は、ドラゴンボールを使った。   作:亜刀

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 ごきげんよう。(╹◡╹)
 今回と次回はサブストーリー的な話になりそうです。
 ベジータ&ナッパの地球襲来まで残り3ヶ月……まだまだ予断を許さない状況ですが、悟飯は戦い以外の部分でもがんばります。
 ちなみに今の戦闘力ですが、以下の通りです。
・悟飯2500(常時怒り開放)
・ピッコロ2600
・ラディッツ2000(瀕死パワーアップ済み)
(↑ここまで当作独自の数値)
・クリリン1770
・ヤムチャ1480
・天津飯1830
・餃子610
(↑原作準拠)
 重力修業をしていますが、現在のZ戦士はまだ気の開放の技術を安定させる段階にいると考えます。気の開放については<超非公式>合点版さんを参照としています。よってみなさんが思っているよりも戦闘力の伸びは少ないかもしれませんが、今後はさらにわかりやすく伸ばしていくつもりです。よろしくお願いします。


ヤジロベーから仙豆を守れ!

 超特急でカリン塔に向かい、仙豆を隠れて貪っていたヤジロベーさんを現行犯逮捕。事情が事情だからいっぺん叩き落として地面にぶつかるギリギリでキャッチしてやろうかとも思ったけど、なんとか理性が勝ってくれた。

 

「悟飯、おみゃーいつからそんなに怖くなった? やっぱピッコロの影響か?」

 

「地球の存亡がかかってるのに勝手に仙豆食べちゃうヤジロベーさんが悪いんですよ。っていうか神様のところで修業してたんじゃ?」

 

 反省の色が見られないので気を多めに開放して威圧しながら白い目を向ける。

 

「は、はは……上でもここでも大したもん食えねえでよ、仕方なかったっちゅーやつだって。それに──」

 

 ヤジロベーさんは引きつった笑みでごちゃごちゃ言い訳を並べ始めた。これくらい脅しておけば余計な真似はしないだろうし、もう許すことにする。前の世界では大猿になったベジータさんの尻尾を斬った実績もあるし。

 

「ところでカリン様、仙豆はこれだけですか?」

 

「うむ」

 

 杖を持った二足歩行の大きな猫、可愛い見た目だけどちゃんと偉い仙猫のカリン様が厳かにうなずく。

 

「仙豆を育てるのもなかなか難しくてのう。おぬしの持っておる四粒で最大じゃ」

 

 四粒……。

 

 もし、前の世界と同じように事が進むとしたら。

 

 まずナッパの攻撃から僕を庇って死んだピッコロさんに一粒。ドラゴンボールのこともあるからこれは最優先事項だ。

 

 次に界王拳の反動と大猿になったベジータさんの攻撃で瀕死になったお父さん。戦力的に考えればこれも優先すべきだろう。

 

 三粒目はお父さんが遅れて到着したときに僕とクリリンさんに食べさせてくれた分。あとで神様経由でサイヤ人襲来の日に間に合うよう界王様に言っておかないと。

 

 四粒目は予備で。サイバイマンの自爆で死んだヤムチャさん、気功砲の使いすぎで死んだ天津飯さん、ナッパの背中に取り付いて自爆した餃子さん。彼らが死なない状況を作るつもりだが正直厳しい気もするので四粒目は彼ら用に取っておきたい。

 

「残り3ヶ月で作れるだけ作ってみるが期待はするな。またそこの馬鹿者が盗み食いするとも限らん」

 

 ヤジロベーさんがギョッと目を剥いてあとずさる。それから腹立たしげに牙を剥いて地団駄を踏む。

 

「そんなに言うならまともなもん食わせろ! 仙豆は確かに腹いっぱいになるが味がなくて食った気しねえ! それでヤケ食いしちまうんだ!」

 

「贅沢なやつめ……」

 

「カリン様だってオレが寝てる隙にこっそり地上に降りて果物とか食ってるでしょーよ! オレ知ってんだからな!」

 

「ぎっくぅぅ!?」

 

 今度はカリン様があとずさった。

 

「むむ……バレておったとは……」

 

「いったい何年ここで暮らしてると思ってんだか……当たり前だろ」

 

「くぅ……!」

 

 カリン様は僕のほうに向き直る。

 

「このままでは面目丸潰れじゃ! 悟飯よ、すまんがヤジロベーが満足するような食べ物を運んできてくれんか?」

 

「自分で行くって選択肢はないんですかね」

 

「飛べねえんだよ、オレは……もし足でも滑らしたら死んじまう」

 

「それは……嫌だな」

 

 青ざめるヤジロベーさん。クセのある人だけど、れっきとしたお父さんの友人だ。見殺しになんかできない。

 

 仕方ない、行くしかないか。まあ最近ずっと重力修業ばかりだったし体を休めるにはちょうどいいだろう。よく動き、よく学び、よく遊び、よく食べて、よく休むのがお父さんが教わった亀仙流の教えだ。僕もそれに倣おうと思う。

 

「わかりました。じゃあ何か見繕ってきますからもう仙豆のつまみ食いはしないでくださいね?」

 

「おお! 美味いもん食えんならあんな豆なんかいらねえよ!」

 

「おまえ仙豆をなんだと……まあいい、悟飯、頼んだぞ」

 

「はい! それじゃ行ってきます!」

 

 僕はカリン塔から飛び降り、ひとまずカプセルコーポレーションに戻ることにした。

 

 こういうときはブルマさんに相談するのが一番だ。

 

*****

 

 やはり舞空術を自在に使いこなせるのは便利だ。優先的に修業しておいてよかった。

 

 飛行機よりも遥かに早くカプセルコーポレーションに飛来した僕はブルマさんの研究室の戸を叩く。部屋の主からの返事を聞き、中に入る。

 

「おかえり、悟飯くん。仙豆はどうだった?」

 

「それがですね……」

 

 僕はかいつまんで事情を説明した。

 

「──なるほどね。ま、確かに仙豆だけじゃ味覚が満足しないわよね」

 

 ブルマさんは呆れ半分、納得半分といった様子で苦笑いする。

 

「何か情報を知りませんか? 場所さえわかればすぐ取ってくるんですけど……」

 

「それなら良いものがあるわ!」

 

 ブルマさんの作業机の上は、いかにも難しそうな資料の束、いくつかの工具、中に何が入っているかわからない小瓶で構成されている。

 

 ブルマさんが小瓶の一つを僕に手渡したので開けてみると、小さな赤と白の飴玉が二個転がり出てきた。

 

 見た目は普通だ。でもブルマさんのことだからきっと何かすごい発明品なんだろう。

 

「赤いほうを食べてみて」

 

 言われた通りにする。飴玉はすぐに溶けてなくなった。

 

「はいじゃあ次は水飲んで」

 

 水入りのペットボトルを渡されたので言われた通りにする。

 

「……なんですかこれ!? 肉の味がしますよ!?」

 

 濃厚な肉汁を飲んでいるみたいだ。液体なのにたくさん食べたあとのような満足感がある。やっぱりただの飴玉じゃなかった!

 

「PPキャンディを改良して作ったOICキャンディ(仮)よ! 食べると口の中がコーティングされて、今みたいにステーキ味のキャンディを食べたら魚や野菜を食べてもステーキの味になるの。白いほうは味覚を戻すためのキャンディね」

 

「すごいですね! でもこれだけなんですか?」

 

 ヤジロベーさんを満足させるには最低でも1ヶ月分、1日3食×30で考えたらキリよく100個ほどは欲しい。それくらいしないとまた仙豆を盗み食いしそうだ。

 

「息抜きで作ったものだから材料が足りないのよ。それを悟飯くんが取ってきてくれたらすぐにでも量産してあげるわ。コスパはいいからそんなに手間取らないはずだし、どうかしら?」

 

「わかりました。何を取ってきたらいいか教えてください。すぐ行ってきます」

 

「それじゃ、メモを渡しておくわね」

 

*****

 

 ブルマさんのメモを頼りに訪れたのは東の都の近くにある山だった。

 

 深い森と切り立った崖の多いここは開発がまったく進んでおらず、生粋の登山家くらいしかこないらしい。でも、山育ちの僕からすれば過ごしやすい環境だ。飛べるし。前の世界では珍しい鳥がいるという話を聞いて何度か見にきたことがあるので道に迷うこともない。

 

「えーと、このへんのはずなんだけど……」

 

 空からではよく見えない。着陸して地道に探す。森の中をどんどん進んでいき、たまに出てくる崖は跳び越える。

 

 ブルマさん曰く、材料はオレンジ色の派手な花なので結構簡単に見つかるそうだが、うん、一向に見つからない!

 

 場所が間違っているんじゃないか? 時期がズレているんじゃないか? ブルマさんに限ってそんなことはありえないと思いつつも全然見つからないのでつい邪推してしまう。

 

 一度戻って確認しよう……。

 

 半ば諦めムードに入っていた僕はこれで最後にしようと崖を登った。

 

 すると、なんたる奇跡か。

 

 目の前には一面の花畑が広がっていた──。

 

「うわぁ……」

 

 感嘆が漏れてしまうほどの美しさだ。色とりどりの花々はまるでカラフルな絨毯だ。

 

 僕はなるべく花を踏まないよう慎重に花畑に入り、もしかしたらと期待を胸にオレンジ色の派手な花を探すことにした。

 

「ん?」

 

 辺りを見渡していると、背後に気配を感じて振り向く。

 

 そこには、こちらを不思議そうに見つめる女の子が姿があった。短い黒髪で瞳は青い。袖のない道着を着ているので一瞬勘違いしそうになったが、性別は女の子で合っているだろう。そう言えるくらいには可愛らしい。

 

「あなたはだぁれ?」

 

「僕は悟飯。孫悟飯っていうんだ。君は?」

 

 声でさらに確信を得るとともに自己紹介をしてから訊き返す。

 

「わたしはビーデル。ねえ、悟飯くんはどこからきたの? このあたりは立ち入り禁止のはずなんだけど」

 

「そ、そうなの? 気づかなかったや」

 

「それに怖い猛獣がたくさんいるってパパが言ってたわ」

 

「へぇ」

 

「へぇ、って。まあいいわ。とりあえずついてきて。山を降りるにしても一人じゃ危険よ。迷子なんて初めてだけどパパに説明すればきっとなんとかしてくれるわ」

 

「あの、僕は……」

 

「何してるの? 早く!」

 

 強引な子だな……でももしかしたらオレンジ色の派手な花の在り処を知っているかもしれない。ここはおとなしくついていくことにしよう。

 

 そうしてビーデルちゃんに案内されたのは『サタンの城』と呼ばれるとても大きな道場だった。

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