二人(五代と響子)の誤解も解け、幸せな日々をのほほんと暮らしている五代家。
二階堂君もようやく大工の資格を取りました。
そんな一刻館に春香ちゃんが来て、三年が経った。
春香ちゃんも立てるようになってからすぐに元気良く歩き回り、大分言葉も覚えてきた。
ある日、桜も満開に咲いた日曜日、今日はみんなで花見に行くことになったのである。
その日の朝・・・・・・・・
「管理人さん!あたし達、先に行って、場所取っとくから」
「お願いしますね、一の瀬さん」
「ほら、健太郎!荷物、持った持った」
「何で、俺が・・・・・・・」
健太郎君はブツブツ言った。
「何か言ったかい?」
「な、何も・・・・・」
「それじゃあ、行って来るね」と一の瀬さん。
「いってらっしゃーい」
見送った後、料理に取り掛かる響子さん。
「あなた、春香の面倒見ててくれる?」
「ああ、いいよ」
「春香~。こっちおいで」と五代君が優しく話し掛ける。
「うん」
「ママはね。美味しい料理作ってるから、邪魔しないようにね」
「うん。分かったぁ」
「春香は偉いな~」
五代君はそう言って、春香の頭を撫でた。
(今がほんとに一番可愛いのよね~。)
ニコニコしながら料理をする響子さん。
30分後・・・・・・
「あなた。出来たわよ」と響子さん。
「うん。じゃあ、行こうか。みんな待ってるし」
「パパ、おんぶして~」
「よし、いくぞぉ~」
と、いうことで五代君は左手で春香を支え、右手で料理を持った。
響子さんは惣一郎を連れて歩き出した。
「二階堂さん、資格取れて良かったわね」
「そうだよな。俺も保父の資格取るの随分と苦労したしな~」
「本当に色々あったわね、今まで」
「・・・・・・突然、どうしたの響子?昔のこと思い出して・・・・」
「何でもないけど・・・・・・。何かね、毎年、桜を見るたんびに時の流れを感じるの」
「ふ~ん。ま、時の流れの中、俺達は春香の教育に専念しなくちゃな」
「そうね」
そんな事を話していると、すぐに着いてしまうものなのだ。
「管理人さ~ん!こっち、こっち!」
五代君たちは早歩きで向かった。
「いいところじゃないですか。さすが、一の瀬さんだな~」
「そうだろ。それより、今日は、スペシャルゲストがいるんだよ。ワッハッハッハ!!」
「誰ですか?その、スペシャルゲストって?」
その時、五代君の背中をポンッと叩いた人がいた。その人は、
「や、八神っ!!」
「何で、そんなに驚くの。先生、ご無沙汰してました。こんにちは管理人さん」
「こ、こんにちは」
みんなはシートの上に座った。
「それにしても八神。おまえ、全然変わってないな~」
「失礼な!こう見えても、もう就職してるんですよ」
「どうせ、三友商事だろ?」
「バ、バレた?何とか、父のコネで・・・・・・。羨ましいでしょ?」
「別に全然。俺は今のこの仕事が一番気に入っているんだ」
「あら、そうなんですか。それにしても、うっわ~!春香ちゃんメチャクチャ可愛いですね~」
くるっと話題を変えた八神。
何となく、気まずい響子さん。ま、仕方ないだろう。
「ところで。何で八神がここにいるんだ」
「それがね・・・・・・・」
八神は悲しげな顔して、みんなに話し始めた・・・・・・・
「あれは確か、昨日の5時くらいだったわ・・・・・・」
~~ここから、八神いぶきの話に切り替わります~~
「ただいま~」
八神が会社から家に帰って来た。
母は台所で夕飯を作っている。
当然、父はまだ会社に勤務している時間帯だった。
「上がって・・・・・あ、『お邪魔します』は要らないから・・・・あ、それから靴も持って行って」
どうやら、誰かに話し掛けているようだ。
しかも、こっそりと・・・・・・・
八神と誰かは母に気付かれないように、そっと階段を上がり、自分の部屋に着いた。
#カチャ#
「これで、大丈夫よ」
「大丈夫ってな~。こんなの見付かったらどうすんだよ!」
「しっ!大声出さないで」
どうやら八神の家にあがりこんだのは、男性のようだ。
「大体だな。何で俺がこんなところに・・・・・」
「何言ってんのよ!あんたが、家出してきて、私に相談するから、こういう事になったのよ」
「でっ、でもっ!」
「あのまま、いたら、あんたは飢え死にしてたのよ」
「そんな大げさな・・・・・」
「とにかく、今日はこっそり泊まってもらいます。」
「えーー!!」
「しっ!大声出さないでって言ったでしょ!」
その時、一階から、母が・・・・
「いぶき~。帰ってるの~。上が騒がしいけど、誰かいるの~?」
#バタバタバタバタ#
慌てて八神はドアを開けて、母のところまで行った。
「でっ、電話よっ。ママ」
「そう・・・・・。男の子の声がしたような」
「何言ってるの?わたしが男の人なんて勝手に入れるはずか無いじゃん!」
「そ、そうね。あ、お母さんね、卵を買い忘れたから買ってくるから、お留守番お願いね」
母は、そう言い残すと、行ってしまった。
八神も自分の部屋に戻った。
「ごめんね。でも、これで大丈夫だから。」
「・・・・・・・・・・・・俺、やっぱり帰る」
「どうして?」
「どうしたも、こうしたも無いだろ!普通こんなの親に見付かりでもしたらどうすんだよ!」
「何よ、それ。あんたが困ってるから、助けてやってんでしょ!」
「誰も、助けてくれなんて言ってないさ。」
「なっ、何よ、それ!!」
とうとう、喧嘩が始まってしまった。
丁度、その時、八神部長こと父が帰って来た。
「ただいま~・・・・・・・・・・・返事が無いな。誰もおらんのか」
しかし、二人の喧嘩の声が一階まで聞こえないはずが無い。
「うん?上が騒がしいな・・・・・」
父は真っ先に階段を上がっていった。
しかし・・・・・・・・
八神たちは勿論、喧嘩中なので、
父の『ただいま~』の声も階段を上がってきている音も聞こえてない。
さあ。一体、どうなるのか・・・・・・・
階段を上がって来た八神の父・・・・・・・・・・・
しかし、その事に気づかない二人・・・・・・・・
「いぶき~。開けるぞ~」
「!!!!!!!」
「!!!!!!!」
二人はビックリし目をパッチリ開け、目を合わした。
(なっ、なんで!!・・・・・・なんでパパがいるの・・・・・)
「開けるぞ!」
「ちょ、ちょっと待って。今、着替えてるから・・・・・・・」
「そ、そうか・・・・・・・・」
八神は男にクローゼットに入るようにジェスチャーした。
「いいわよ、パパ」
#ガチャ#
「おい、いぶき。何を大声出してたんだ?」
「ちょっと、電話で友達と喧嘩してて・・・・・」
「そ、そうか・・・・・・・・それじゃあ、早く仲直りしろよ」
八神は母を誤魔化したように父も何とか誤魔化せた。
と、思った。
その時、クローゼット中から・・・・・・・
「い、痛!」
どうやら、男は変な体勢で入っていたので、足を攣ったらしい・・・・・・。
「??今、そこから声がしたような・・・・・・」
「!!!!!」
「な、何言ってるのパパ。気のせいよ気のせい・・・・・・」
「そうかな~」
「そうよ」
八神の父が部屋から出て行こうとし、ドアを閉めようとしたその時、
「も、もう、我慢できな・・・・・・・・」
ついに、我慢ができなくなった男は、クローゼットから出てしまった。
#バタン#
「!!!!!!!!!」
(あちゃ~・・・・・・・・)
頭を抱える八神。
「いてててて・・・・・・・・・」
攣った足を抱え、ひたすら、もがく男。
「あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ」
開いた口がふさがらない八神の父。
「パ、パパ。これには理由があってね・・・・・・」
ひたすら言い訳する八神。
「そ、そ、そんな言い訳、聞きたくないわ!!」
ぶちぎれた父。
しかし、八神も引き下がるような娘ではない。彼女は八神いぶきなのだ。
このまま黙って収まる筈が無い。
「な、何よ!本当のこと言ってるのに!バカ!!」
「バ、バ、バカとはなんだ!バカとは!!」
「バカにバカって言って何が悪いのよ!!」
「な、な、な・・・・・・。お、お前なんて出て行け!うちの娘じゃないわ!!!」
「いいわよ!言われなくても出て行くわよ、こんな家!!!いきましょ・・・・・・」
男の手をきつく引っ張りながら、部屋を出て行き、階段を降り、玄関の前で一言、
「さ!よ!う!な!ら!!!」
#バタン!!#
ドアを思いっきり閉めた、八神であった。
~~ここから、元の話に戻ります~~
「それでそのまま・・・・・・・・・」
話終えた、八神であった。
「で、その男の人は?」
五代が尋ねた。
「家に帰った・・・・・・・・・。私達の親子喧嘩見てて、僕達の喧嘩なんて大した事ないって」
「あんたらの喧嘩が異常なんだよ」
一の瀬さんが突っ込む。
「それから八神さんは昨日はどこで寝てらしゃったのですか・・・・・・・」
「やだな、四谷さん。野宿なんてしてませんよ・・・・・・・・・」
それを見抜いた一之瀬さん。
「したんだろ。野宿・・・・・・」
「え!?何を言っているのですか・・・・・・」
しかし、みんなは『え!?』という発言を証拠に、一の瀬さんの意見が正しいと思った。
「な、何ですか?みんなして、じろじろ見て・・・・」
でも、もう言い逃れができないと気づいた八神だった。
「はい。そうです・・・・・・・・・・・・」
そんな、可哀相な八神の顔をしているのを見て、五代は、
「大変だったんだな」
「う、うん・・・・・・・・」
この気まずい雰囲気。
誰もがここから逃れたいと思った。
ところが、響子さんが、
「八神さん。一刻館にいらっしゃい」
「え!・・・・・・どうしてまた・・・・・」
「どうしてって、このまま放っておくわけにはいかないでしょ。空き部屋の3号室にいらっしゃい」
突然の響子さんの発言に、誰もが驚いた。
あ、あの響子さんが・・・・・・・
しかし、やはり一の瀬さんだ。
この発言の理由を、はっきりと見抜いていた。
(管理人さんは、五代君と一緒になって、自信がついている。
だから、八神さんを普通の女の人とみたんだ・・・・・・・)
「さあ、しーんとしないで。今日は花見だよ。パーといこーよ。パーとさ!!」
「そうですな。八神さんも入室した事ですし・・・・・・」
「それじゃあ、1番八神いぶき、歌いま~す♪」
すぐ立ち直れるところが、八神のいいところだ。
(一刻館・・・・・。何も変わってないわ。よ~し、ここで、当分の間、居着いちゃお!)
こうして、思わぬことで、八神いぶきが3号室し入室が決定した。(当分だけの予定?)
八神が一刻館に入室することが決まった、今日の夜。
花見に行って、たくさん飲んだはずなのに、一の瀬さん希望で、5号室で宴会することになった。
響子さんは管理人室の電話で、八神の母親とこの事を話していた。
五代君と春香ちゃんは管理人室にいた。
「・・・・・・・・・・・という事です」
「そうですね。いぶきもお父さんも頭が冷えるまで、その方がいいですね。それじゃあ、宜しくお願いします」
どうやら、OKのようだ。
「あ、それから、家賃の方は・・・・・」と八神の母親。
「いいえ、結構ですわ」
「いいえ、そういう訳にはいきません。払わさせて下さい!」
「そ、そうですか。それでは、10000円です」
「分かりました。それでは、今度、お伺いします。それでは・・・・」
#チン#
「おい、響子。10000円でいいのか。本当は20000円だろ?」
「いいわよ、どうせ、すぐ出て行くと思うし、そんなに高い家賃は頂けないわ」
「響子らしいな~」
「そうかしら」
一方、五号室では・・・・
「八神さん。あんたは今日から一刻館の住人なんだよ」
「何だか、照れるな~。・・・・・・・・あれ?一の瀬さん、朱美さんは?花見にもいなかったみたいだけど・・・・・」
「あ~。あんた、知らないんだね。あの人は茶々丸のマスターと結婚したんだよ」
「へぇ~。知らなかった。で、茶々丸で暮らしての?」
「うん。そうさ。茶々丸の二階でね。でも、6号室に荷物置きっぱなしみたいだけど・・・・」
その時、一階から五代君と響子さんが上がってきた。
当然、春香ちゃんも。
「入りますよ~」
#ガチャ#
「何してたんですか?五代先生?」
「何って、八神。お前の母親に話をつけてきたんだよ」
「で、どうでした?」
「OKだって。それから、おまえのお父さん、すっごく怒ってるらしいぞ」
「それじゃあ、一刻館入室、本当に決定ね。やった~!」
「やった~、じゃないだろ。それから、当分の間だからな。忘れるなよ!」
「は~~い」
春香ちゃんは当然この話の意味が分からないでいる。
それより、八神のことを少しも知らないのだから。
「ママ~。この人、誰~?お花見の時からいたけど・・・・・」
「この人はね、八神さんって言うのよ」
「宜しくね。春香ちゃん」
そう言うと、八神は春香ちゃんと握手した。
「宜しくね。八神お姉ちゃん!」
一の瀬さんはお酒と扇子を持ち出した。
「そうと決まれば、パーといこう。パーとさ!」
一刻館の入室が決定すれば、必ずやる入室祝いの宴会。
結局、今日の宴会は夜0時まで続いた・・・・・・・・・。
そして、次の日の朝。
#サッサッサッサ#
響子さんはいつもの通りに庭掃きしている。
(はあ。今日から、住人も一人増えて賑やかになりそうね)
#ガチャ#
玄関のドアから五代君が出て来た。
「それじゃあ、行って来るよ」
「あなた、お弁当は持ったのかしら?」
「あ!」
慌てて管理人室にお弁当を取りに帰った五代君。
(昨日、あんなに遅かったのに・・頑張って2回もエッチしたから・・・・・・寝不足よね。大丈夫かしら・・・・?)
(・・まあ・・・あたしも・・八神さんが来るもんだから何かこう・・・対抗したくなっちゃったから・・ね)
お弁当を取ってきた五代君は再び、
「いってきま~す」
「いってらっしゃ~い。しっかりね~」
笑顔で見送った響子さん。
こうして、五代君は職場の保育園に行った。
続いて、二階堂君は大工へ
健太郎君の父は知らぬ会社へ
健太郎君(20歳)は大学へ
四谷さんは???へ
そして、八神は三友商事へと向かった。
(八神さん、大丈夫かしら。何しろ、部長が自分の父だからね~)
(それにしても、一刻館にいるのは、春香と一の瀬さんだけなのね~。昼間は静かなのよね一刻館って・・・・・)
「バウ、バウ!」
「そうね、惣一郎さんもいるわよね」
響子さんは惣一郎さん話し掛けた。その時
#チリチリチ~ン#
黒色電話が鳴っている。
慌てて、電話へ向かう響子さん。
「はい、一刻館ですが」
「あたしよ、あたし・・・・」
「お母さん!?」
「そんなに、驚くことないでしょ」
(今日は何なんだろう・・・・・。何か嫌な予感が・・・・・)
響子さんは、お母さんから電話が来るたびに、嫌な事が起きる。
と、そういう気持ちで電話をするのが、習慣になっているのである。
しかし、今思えば、
もう、母に何も言われることも無いはず・・・・。
音無家からも籍を抜いて千草響子に一旦戻った。
五代裕作と言う男性と再婚もした。
可愛い子供も無事産まれて、すくすく成長している。
全て、結果的とは言え母の望んだことを無事こなしているはずなのに・・・・・・
今回はどんな事が起きるのか・・・・・・・
「で、今日はなんなの、お母さん?」
以下、次回