めぞん一刻 二次小説 時計坂通信   作:今津晶

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第06話  それぞれの帰宅

手紙をカバンに入れて、走って行く八神さん。

それは自分の家へと向かう足であった。

家に着いた八神さん。

 

(久し振りだな~。お父さん、居るかな)

そっとドアを開けた・・・・。

 

#ガチャ#

 

「ただいま~~」

台所から、急いで母親が出て来た。

 

#バタバタバタバタ#

 

「お帰り、いぶき!どうしたの、突然・・・・」

 

「ちょ、ちょっとね。あ、あのさ。パパいる?」

 

「珍しいわね~。あんたから、お父さんに会いたいって言うのは」

 

「どうでもいいでしょ。で、どこ?」

 

「今、出掛けてるわよ。ちょっと待っておきなさい」

 

「分かった・・・・」

そう言い残すと、八神さんの母は台所へ、八神さんは自分の部屋へと・・・・。

 

八神さんの母は台所に着くと、の洗い物の続きを始めた。

「ふふふふ・・・・・」

 

一方、八神さんは・・・・。

 

#ガチャ#

 

「うわあ、久し振りだな~。あれ、以来だもんナ~」

「疲れたな~。少し、寝よ」

 

そして、夕方の5時・・・・・・。

「・・・・・・・うん?」

時計を見る八神さん。

 

「え!もうこんな時間!」

慌てて、一階へ向った。

 

「ママ、パパはまだ帰ってないの?」

 

「え、え~。まだ、みたいよ」

 

「そ、そう・・・。せっかく帰って来たっていうのに・・・・」

 

「そうね~」

 

「それじゃあ、また来る」

 

「え!ちょっと、待ちなさいよ!いぶき」

 

「私にもいろいろ都合があるから・・・・・」

そう言って、靴を履いた。

 

「それじゃあね」

 

「う、うん」

 

#ガチャ#

 

「!!!!!!!」

 

「!!!!!!!」

何と、八神さんの父が帰って来た。

 

「お帰り!パパ。ずっと待ってたのよ」

 

「・・・・・・・・・・・」

しかし、父の様子がおかしい・・・・・。

 

「どうしたの?」

 

「・・・・・・・いぶき!!今日はお前に特別、仕事を与えただろ!!」

 

「そのことなんだけね。パパ・・・・・」

 

「何だ?・・・・・・・・ま、まさか。あの男とデートで、会社に来れなかっただと!」

 

「何言ってるの。会社に行ったわよ」

 

「来て、何もせずに帰ったのか!!このバカモノ!」

 

「何ですって~~!!手紙読んだら、反省してると思ったら、これですって!!」

 

「何だ?その手紙って?」

 

「え?・・・・・あの、私の机に置いてあった手紙よ!」

 

「知らんな。そんな物・・・」

 

「はあ???じゃあ、一体だれが手紙を・・・・・」

静まり返ったその時・・・・・

 

「私よ!」

意外や意外。何と、その人物は八神さんの母親だった。

 

「え!ママなの?何でまた・・・・」

 

「どうしても、二人を会わせたかったのよ!こうでもしなくちゃ、いぶきは帰って来ないと思って・・・・」

 

「で、またどうしてだい!母さん?」

 

「あのね、二人とも、今日ははっきり言うわよ」

 

「な、なによ。改まっちゃって・・・」

 

「あなた達、・・・・・・・・・・・・・・・・・・いい加減にしなさい!!こんな事が許されると思ってるの!!」

 

「か、母さん・・・・・・」

 

「いぶきも、いぶき。あなたもあなたよ!どうしてこうなるわけ!?」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

「だって・・・・・」

辺りがまた静かになった・・・・・。

 

「とにかく、二人とも、リビングにいらっしゃい。一緒に話し合いましょ」

こんなお母さんは見たこと無い。

二人とも、そんな事を思いながら、リビングへ重い足を運んでいった・・・・・・。

 

 

リビングで話し合う八神一家・・・・・・。

しかし、誰の口も開かない。

その中、お母さんが口を動かし始めた。

 

「あなた。そろそろ、いぶきの年齢を考えていったらどうなの?」

 

「そうよ。パパ、私、もう20代なのよ!」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

一方的にお父さんを責める・・・・・。

 

「いぶき。あなたもあなたよ。急に男の人を連れてくるなんて、言い訳ないでしょ!」

 

「だって・・・・・・」

八神さんとお父さんは下を向いた・・・・・・。

 

「はあぁ・・・・・」

お母さんは、溜め息を一つ・・・・。

 

その時、口を一つも開かなかったお父さんが、

「・・・・・・・わかった。もう、好きにしろ」

 

「パパ。そんな言い方しないでよ」

 

お父さんはお茶を一口・・・・・・。

「小さい頃は、可愛かった・・・・」

 

「何を言い出すのよ?」

 

「娘というのは、大きくなるにつれて、親の気持ちも分からなくなるようだな」

 

「そ、そんな事、無いわよ。でも、娘の気持ちもパパは分かってないでしょ!」

 

「ああ、分かってないんだろうな。娘の気持ちなんて。・・・・・・・・・・もう、どうしたらいいか分からん・・・・・・」

遂に泣き出してしまったお父さん、それを見て八神さんは

 

「ちょっと、パパ。そんな・・・・・・・パパが、泣いたら、わたしも・・・・・・・・」

八神さんも泣き出して、二人で話し合うのは、ここまでだと、確信したお母さん。

 

「いぶき。あなたは、もう20代。一人で生きていきなさい。」

「それから、あなた。何も、いぶきがいなくなる訳じゃないんだから、会社でも会えるでしょ?」

しかし、泣いている二人に何も言っても返事が言えない。

 

「じゃあ、いぶき。今日は泊まって行きなさい。一刻館には電話しとくから」

こうして、暗い、暗い夜が終わった・・・・・。

 

 

そして、一刻館での次の日の朝・・・・・・・・。

管理人室で五代家一家が朝食を食べていた。

 

「ほ~ら、春香。お茶碗は手で持たないと」と響子さんが嗜める。

 

「いいじゃないか。響子。まだ春香は小さいんだし・・・・」

 

「あなたは本当に優しいのね。でも、こういうことは、早目からしておかなくちゃ。ね?」

 

「そうかもな」

流石は響子さん。躾はとても上手・・・・。(春香ちゃんだけでなく、五代君にも)

 

「で、八神はどうしたんだ?」

 

「え~。何でも、家に戻っているとか。昨日、仕事行ってからそれっきり」

 

「昨日は日曜日だろ?」と意外そうな五代君。

 

「特別に仕事だったみたいよ」

 

「何か、あったんだろうな~」

 

「うん・・・・・」

どことなく暗くなっていく。

 

「それじゃあ、行って来るよ」

「ええ、はい。いってらっしゃい」

響子さんは台所から弁当を取った。

 

「はい!頑張ってね」

 

「うん。じゃあ、行ってくるね、春香~」

しかし、食事に夢中なのか、一生懸命食べていて、パパのお出掛けに気付かない。

 

「ははは・・・・」

 

「いってらっしゃ~い」

今日は庭や玄関じゃなくて、管理人室からお見送り・・・・・。

 

でもそのお蔭で、響子さんからお出掛けの・・頑張って下さいねの、外ではちょっとどころか絶対に出来ないくらいの甘いディープキスをして貰い、有頂天で五代君はご出勤。

響子さんも春香ちゃんの躾や、いろいろあって、管理人の仕事もだいぶ少なくなってきた。

しかし、それで普通くらいなんだろう・・・・・。

 

(さあ。今日一日頑張らなくちゃ!)

その時、一通の電話が・・・・。

 

#ちりちりち~~ん#

 

「はいはい!!」

桃色電話へ小走りで行く響子さん。

「はい。もしもし一刻館です」

 

「あ、八神です」

 

「あら、八神さん。どうしたの?」

 

「え~と、やっぱり、うちが一番だと思い、家に戻ることにしました。あ、一刻館がイヤなわけじゃないですよ」

 

「そんな。気にしないでいいんですよ」

 

「ということで、荷物は近いうち取りに行きますから」と殊勝な口調の八神さん。

 

「はい。分かりました。また、一刻館に寄って来て下さいね」

 

「はい。それでは・・・・」

 

「はい」

 

#ガチャン#

 

(八神さん、偉いわね~。私ならきっと・・・・)

そんな事を考えながら、管理人室に戻った。

「あ!」

 

「へへへへへ・・・・」

 

「もう。春香ったら」

コップに入った、お茶をこぼしていた・・。

(でも、これが悪いことだと分かってるのね~。こうやって、成長していくのかな~)

 

とにかく、こうして、八神いぶきは一刻館から退室したのでした。

 

 

八神さんの事件も一件落着し、一刻館は、和やかな日々を毎日が過ぎていった・・・・。

そして、時計坂にも、そろそろ秋が近付いてきた・・・・。

そう。秋といえば・・・・・・・・

 

響子さんは夕飯を作り終わり、春香と一緒にご飯を食べている・・・・・。

春香ちゃんもかなりお行儀良くなってきた。

しかし・・・・

 

「パパ、遅いね」

 

「そうね」

(最近、あの人帰りが遅いわ・・・・・。何してるのかしら・・・・。)

どうやら、五代君はこの一週間帰りが遅いらしい。

 

「もう、とっくに保育園の仕事は終わってるはずなのに・・・・」

響子さんは、心配でご飯も喉を通らない。

 

そして、夜11時過ぎ。ようやく、五代君が帰って来た。

 

#ガチャン#

 

「お帰りなさい・・・・あなた、最近遅いけど、一体どうしたの??」と少し心配そうな響子さん。

 

「えっ、え?な、何でも無いよ」

 

「ホントに??」

 

「ほ、ほんとさ。運動会の取り組みとかで・・・・。ははは・・・・」

 

「そうなの」

 

「う、うん。あ~、お腹空いたな」と五代君。

 

「はい。今日はエビフライ。でも、もう冷めちゃったわよ」

 

「うん・・・・・・。ごめんな」

五代君が何かを隠しているのは響子さんが見ても、分かった。

しかし、しばらく様子を見ようと思ったのだった・・・・。

 

 

そして、次の日の夜・・・・・。

春香ちゃんはもう寝ている。

時計を2分置きに見ている響子さん・・・。

「もう。ホントに何してるのかしら?」

「ま、まさか・・・・」

五代君は浮気しているのではないかと、ふと思った。

 

その時、やっと五代君が帰ってきた。

時刻は11時10分・・・・・・・。

「ただいま」

 

「お帰り。ねえ。ホントに仕事なの?」

 

「う、うん・・・・」

 

「・・・・・・・・・・」

 

「あ~あ。今日は疲れたな~。もう寝よ」

 

「ご飯は?」

 

「あ!ごめん。忘れてた・・・・」

 

「無理しなくていいのよ。どうせ、食べてきたんでしょ?」

 

「い、いや!そんな事ないよ。あ~、お腹空いた」

こうして、今日も一日が終わっていった・・・・。

 

次の日・・・・・。

響子さんは、自分から一の瀬さんを管理人室に呼んだ。

そして、最近の五代君の様子を全て話した。

 

「・・・・・・・・て、事なんですけど」

 

「そうかい。あいつ、何してんのかね~~」

 

「はあ・・・・・」

 

「まさか、あいつ。また、ごずえちゃんと・・・・」

 

「ま、まさか」

 

「でもな~~。最近、あんたに、何か、こそこそしてるし・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

「まあ、今日、遅かったら、一回怒ってやんな!」と一の瀬さんがアドバイスしてくれる。

 

そして、夜が来た・・・・・。

やはり、いつも通り、帰ってこない・・・・。

あっという間に11時30分。

(まだ、帰って来ないわ!もう・・・・)

そして、時間は12時を過ぎて・・・・・

 

#ガチャン#

 

玄関の扉が開く音がした。

響子さんは玄関の方へと走って行った。

やはり、帰ってきたのは五代君であった・・・。

 

「どうしたの?響子・・・・」

 

「・・・・・・・・しらばくれて。もう。いいわ!」

それだけ、言うと響子さんは管理人室へと閉じこもってしまった。

 

(まあ、しょうがないな。毎日がこれじゃあ、怒られても)

そう思いながら、五号室に入る五代君。

 

(今日はここで、寝るか。でも、明日は・・・・・・)

不思議と五代君には余裕というものがあった。

その、理由とは・・・・・

 

 

 

以下、次回

 

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