「──申し訳ありません、ボス!」
「さっきぶりっすね元首様」
片膝を立て己へ頭を下げる男と、にへらと顔を崩して手を振る女。その対比を楽しそうに見つめると、やがて少女は快活に笑う。
「構わないわ、ガルシア!貴方達が元気そうにしてるのは、私も嬉しいもの!!けど、やり過ぎかもしれないわね!!これから気を付けて貰えれば大丈夫よ!!
──それと、ララノア!!」
ビクッとララノアが震える。コノが呆れたように首を振り、ため息を付く。そして、ララノアと少女の間へ向かおうと歩き出した。
本来なら『コノちゃんあたしのこと心配してくれんすかマジすかいつもツンデレのツンしかなかったから怪しんでたんすけどやっぱあたし達親友っすね!』と口撃をかましかねないララノアだが、その事すら目に入らないほど、今彼女は焦っていた。右に左に視線を揺らし、やがて観念したのかニコニコと笑む少女へ向き直る。
「……あー、えっと……元首様、怒ってます?」
そして、ララノアが右手を擦りながら曖昧な笑みを浮かべる。
それを認め、少女は大きな笑顔を形作った。
「──いいえ!言ったじゃない!!『貴女はどうせ言わなそうね!』って!!予定通りよ!!ありがとね!ララノア!!」
「……おおう、マジすか」
「マジよ!!」
驚きの表情を浮かべるララノア。その至近距離にはニコニコとした少女の顔が浮かんでいた。緊張が解け、それをやっと認識し、思わず後ずさろうとするが後ろの壁に激突。ガルシアがそれを鼻で笑った。
そこまでの風景を目に入れ、半ばほど進んだところでコノは歩みを止めた。そして、安堵のため息を漏らすと席へ戻ろうと──ふと途中で思い立つ。
「王、一つ伺いたいのですが」
「コノ!久し振りね!!会えて嬉しいわ!!それで?!何かしら?!」
勢い良く瞳を向けてきたその少女に、コノは思わず唾を飲む。何度見ても、コノにとって『王』は圧倒的な存在であり、忠誠を誓わざるを得ない者でもあった。何度か深呼吸をすると、やがてゆっくりと動き出す。
「王は……私達四人は、此度別途に集められたと言われました。その目的はなんなのでしょうか?」
すぐさま少女は満面の笑みを形作る。
「さあ!何故かしら?!何でかしら?!どうしてかしら!!気になるかしら?!気になるわね!ここで謎かけも一種の風情なのだけど、今はそんな時間ないから割愛するわ!!あなた達四人だけ別に呼んだ理由!端的に言うとね!!」
そこで一旦言葉を止める。ぐるりと部屋を見渡し、全員を視界に入れたところで、少女は叫ぶ。
「──対『聖国』の要だからよ!!」
それを聞き──空気が凍った。