自己供給するスレイブ   作:ボッチメン

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2話

ハジメが引き篭もる、数ヶ月前。

 

 

「アンタらもコレが目当てなんだろ」

 

プログライズキーをクルクルと回しての中で遊ぶ。いろんなところがこれを欲しがった。これは現行の科学技術からどう考えてもオーバーテクノロジー。何せその気になったらヒューマギア・・・アンドロイドですら作れるのだから。

 

 

「私達であればもっとそれを有効に活用出来ます。また、技術職の長として当社にポストを用意します。損はさせません」

 

「帰れ、論外」

 

どこでバレたのかは大体検討がつく。アイツ嫌がらせのつもりか?最近こういう輩が増えた。今は正直言って何もやる気がない。色々燃え尽きた感じだ。来客対応用のソファーに横たわっているとチャイム音と足音が聴こえてくる。

 

 

「次は誰だよ」

 

「君が東ハジメ君かい?」

 

ごっついおっさんが来た。営業すんならせめて美少女か美女で来いよ。

欠伸をしつつ、横たわったまま対応する。それを気にせずおっさんはバッチを見せてきた

 

 

「公安って。何用ですか?えーと尾形さんもコレ寄越せって言うんですか?」

 

プログライズキーを見せるが、公安の尾形さんは首を振った。技術協力か?或いは捕まえに来たのか?と聞くがどれも違った。

 

 

「ハジメ君君は・・・」

 

期待はしないどうせやりたくない事の強要だ。正直発明は二の次だ、俺が本当にやりたい事は・・・

 

 

「ヒーローにならないかい?」

 

「ぶはッ」

 

思いっきり吹き出した。何せヒーローつまり仮面ライダーになる事は俺の本当にやりたいことだったのだから。とりあえず話だけは聞こうと思い、座り直し、改めて向き合った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・なんでヒーローなんですか?」

 

「君だろ、この通りすがりは。仮面ライダーなんて昭和の遺産、若いのによく知ってるな」

 

そう言って何枚かの写真を出す、そこには1型が醜鬼と戦う姿が写っていた。そしてもう一つは仮面ライダーの写真、くたびれていて私物のようだ。

 

「私は好きだったんだが、リアリティが無いと打ち切られたシリーズ。まさか現実で作っちまう奴がいるとはな」

 

「あははは(この世界、平成ライダー無いもんな)」

 

転生前に大好きだったと言えず乾いた笑いしか出来ない。

この世界で平成仮面ライダーは生まれていない、魔都の影響だ。魔都が出現し実際に化け物、醜鬼が現れ人々を襲った。しかしヒーローは現れなかった。桃で力を得た女性が倒したのが現実だった。だから男の夢は現実に屈したのだ。

 

 

「なんです?ヒーローになって世界でも救えですか?」

 

「当たらずとも遠からずってとこだな」

 

タバコ吸いに行かないか?と聞かれる。いや俺まだ、未成年。と言いかけて気づいた。尾形さんは場所を変えたいのだ。この案件、東家の人間にすら聞かれてはならないのだ。最低限の荷物だけ持って移動する。喫茶店、その奥の部屋に通された。

 

 

「ここなら平気だ」

 

「それで家の人にすら聴かれちゃダメって何ですか?魔防隊関連なんでしょうけど」

 

東の家は魔都での貢献で食べてきた家だ。何だったら祖母は先代の総組長、正直それしか思いつかない。

 

 

「君は魔防隊の戦力をどう評価する?」

 

「比喩表現無く、世界最強の精鋭部隊。組長が4〜5人いれば他国の首都を落とせる。なんならその国のトップすら狩れる、現総組長なら1人で同じことできる」

 

それだけ他国と比べて隔絶した戦力がある。組長一人で出来るやつなら一人で地形すら変える。魔都から産出される桃の配給の差もある、単純に日本は能力者の数が段違いなのだ。

 

「君が考える日本にとって最悪のシナリオは?」

 

「魔防隊がクーデターを画策」

 

なら諦めるしか無いと皮肉気に笑う。実際、本気でやられたらどうしようもない。でもありえない組長全ての意見が一致するわけない。京香ちゃんとか絶対反対するだろうし。しかし事態はもっと簡単だった

 

 

 

「総組長、山城恋が日本を裏切る。それだけで恐らく日本は解体される」

 

 

山城恋が日本を見捨てどこか別の他国に寝返れば日本は諸外国から侵略を受け、日本ひいては魔都を等分されると尾形は続けた。

 

 

「陰謀論だ、アイツが愛国心を失うとでも?あり得ない」

 

「"女心は秋の空"とも言うだろ?万が一を考えねばならんのだ」

 

「仮にアイツが国を売ったしたとしても!他の組長が・・・」

 

そこで言葉詰まる。果たして山城恋が裏切った場合、魔防隊は止める事が出来るのか?と言う点。何故ならば彼女は能力者の天敵だ。彼女の能力は"万物を総該した無限宇宙の全一"と呼ばれ、一つにして八つの力を有する。彼女以外に力を全てを把握する者は無く、その中の一つに能力無効化と思わしき能力があるためだ。それに加え同時に二つまで併用可能と言う万能性を誇る。

 

 

「一番勝ち目があるのは京香ちゃんだ。他の組長は能力が無力化されたらまず勝ち目は無い。だから他の組長は援護に徹すれば・・・」

 

組長に援護させれば常に一つは無力化を使わせ続けられる、流石の総組長も組長クラスは能力無力化を使わないと対処できない、はず。後は完全に運、もう一つが身体能力強化を使うならまだ勝ち目は・・・

 

「本当に勝てると思うのか??勝てたとして何人生き残る?」

 

「・・・勝てるわけないだろ!あの山城恋に!仮に勝てたとしても良くて半壊、次善で相打ちだ!」

 

「そうそして組長達が死ねば魔防隊は弱体化する。日本は魔都災害を待たず諸外国に滅ぼされるだろうな」

 

すでに尾形が言いたい事がなんとなくわかる。つまり尾形が求めるのは・・・

 

「俺が山城恋を倒せと?」

 

それならば京香ちゃん達は死なない。魔防隊は確かに弱体化するがそれでも組長の全滅よりはマシだ。ロリババアが仕切ってた頃の戦力に戻るだけだ。

 

「不可能だ!誰も望まない!そして俺がやる意味がない!」

 

何故ならば山城恋は生命の極み、地球の答え、運命を導く存在だ

 

 

「君ならば可能だ!君が望めばいい!そして君がやる意味ならあるだろう?」

 

何故ならば東一は転生者、摂理の外の存在ーーー

 

 

 

最後が決めてだった。

 

 

 

 

 

「君は彼女が大嫌いだろ」

 

ーーー因果を砕く存在だ。

 

 

「・・・ああ、そうだよ!俺はアイツが山城恋が大嫌いだ!アイツは俺の夢(仮面ライダー)をくだらないと笑ったんだ!気に入らない!だからアイツのその仮面(ツラ)砕いてやる」

 

 

ハジメの作ったライダーシステムは言ってみれば超高性能のコスプレだ。仮面ライダーになりたいと言う幻想(ユメ)を叶えるため、前世持てる全てをかけて開発し、死ぬ間際に完成した超非効率技術だ。本物と同じになることを夢見て作り上げた。だからその執念は幻想(ユメ)を笑う事は許さない。

 

 

「"山城恋(オマエ)を止められるのはただ1人俺だ!"」

 

こうしてプロジェクト01は始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アーク、システムチェック」

 

[了解、チェック開始。しばらくお待ち下さい]

 

飛電製作所にたどり着いた、ハジメはゼロワンドライバーの最終検証を行っていた。引き籠って細部の設計や計算は終わっている。本来ならば試作品を作るべきなのだか作るのは2(・)回(・)目(・)だ。前世での反省点のフィードバックは終わっている。

 

[ボス、来客です。尾形氏が6分38秒後来訪します]

 

「アーク頼んだ」

 

「了解、タイプDに換装します」

 

人口知能アークの返答を聞き流しつつ、冷めてドロみたいになったコーヒーを啜る。クソまずいが眠気覚ましにはちょうど良い。

 

「ボス、連れて参りました」

 

「ありがとう、アークちゃん。相変わらず閑散としてるなここは」

 

来客用のボディ、ヒューマギアメイドタイプに換装したアークがお辞儀するとお茶の準備をしに行く。飛電製作所にはハジメとアークしかいない。

秘密裏に進めなければならない都合上人手は増やせない。資金は特許料、プログライズキーはいい資金源になってくれている。

 

 

「魔都に捨てられたと聞いた時は肝を冷やしたぞ。何があった?」

 

「ロリババアに叩き出された」

 

実際、引き篭もってたのは事実だし、東の家訓的にいつ叩き出されても遅くなかった。だから持ち出せたのはベルトと研究データ、アークのバックアップくらいだった。

 

「"弱い東は必要ない"だとさ。ついでに男だから役満だったよ」

 

「セーフハウスがこんな時に役立つとはな」

 

ダミー会社件セーフハウスの飛電製作所、工作機器一式と何体かのヒューマギアのボディを置いておいて正解だった。

 

「こちらをどうぞ。ボス、チェックが完了しました」

 

尾形に少しだけ待ってもらいデータを確認する。問題ない、後は3Dプリンターで出力すれば完成する。ゼロワンドライバーがついに。アークに出力するように指示する。

 

 

「・・・あくまでこれは保険の策だが勝てるのか?」

 

「今じゃ良くて3割、せめてシャイニングまで作れれば」

 

強化フォームかい?と聞かれ苦笑し頷く。前世ではこれ以上いけなかった。データを集めきれなかったのだ。まさか不摂生が祟ってぽっくり逝ってしまうとは考えなかった。二度は同じミスはしないと肉体も鍛えて、健康にも気をつかっている。

 

「っとそうだった。尾形さん何のようですか?」

 

「君が家を出された事で問題が起きてな。狙われてるぞ、ライダーシステム」

 

ライダーシステムの存在は第二の桃になりかねない。何せ量産でき、能力者に対抗できる。オカルトとは一切関係ない純粋な技術、つまり兵器だ。

今までは東の家にいて手を出せなかったのだが離れた今がチャンスと動き出したのだ。

 

「プログライズキーはやり過ぎたかな、流石に」

 

プログライズキーの存在で様々な分野が発展した。生活用品から企業向けの技術、果ては軍事まで。膨大な資金をもたらしたが同時に厄介な組織き目をつけられてしまったのだ。

 

「ヒューマギア(それ)がバレたら、また騒ぎになるぞ」

 

「ヒューマギアは量産しないですよ、絶対」

 

ヒューマギアはこの世界に革命を起こせる。しかしAIがどのように進化するかは予想出来ない。もしかしたら本当に滅亡迅雷ネットが出来てしまうかも知れない。

 

「今回の要件は忠告とそれから警護の手配だ」

 

感謝を述べる。尾形達からしても保険の策が潰れるのは痛いのだ。何せ今だに山城恋に匹敵する能力者は存在せず、彼女が増長し続けているねは事実なのだから。

 

「1型はどうするんだ?もう使わなくなるんだろ」

 

「・・・そんな欲しそうな目してもダメですよ」

 

わかってるというが、チラチラ目がいっているのがわかる。誰しも男なら一度は変身ベルトは憧れる。しかし渡せない、何せ初期型のベルトには欠点があるのだ。それは・・・

 

[ボス、羽前氏からお電話が入っております]

 

「む?京香ちゃんから?」

 

電話に出る。二週間ぶりぐらいだ。和倉と一線超えたか?と冗談を言おうとしたところで本題を聞き、押し黙り通話が終わる。

 

「アーク、後何分で出力が終わる?」

 

[30分程で完了します]

 

「終わり次第魔都に向かう」

 

「・・・何があった?」

 

アークに指示を出しつつ移動の準備を始める、すると何かを察した尾形から質問される。

 

「和倉という隊員?が初期型のドライバーを使って倒れた」

 

「待て何故初期型のベルトがそこにある?」

 

「フォースライザー、京香ちゃんの為に作ったベルトを使ったんだ」

 

フォースライザー、それはサイクロンライザーを元に作られた量産型試作品だ。常人には負荷が大き過ぎ使えない。鍛え上げた人間にしか使いこなせない。京香ちゃんには説明してあった筈なのにいったい何があった?疑問を胸に7番組へと向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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