「あはは、なんか小さくて可愛いねこれ。うけるんだけど」
「〜〜〜〜〜〜っ(どうしてこうなったっ!)」
巨大化した駿河朱々捕まってひん剥かれた和倉は声にならない悲鳴を上げた。
数日前、和倉は清掃中たまたま風呂場を覗いてしまい、その瞬間を駿河に写真を撮られてしまった。弱味を握られてしまい渋々彼女の奴隷となった。遊び相手をしていたのだが、ゲームに負けてしまい罰ゲームで服を脱がされてしまったのだ。
「「!!!」」
そんな時だった。外からドォォン!!と大きな音がした!慌てて外に出た2人、寮の外には巨大合体した醜鬼がいたのだった・・・
「男子は弱いんだからじっとしてないと!」
その言葉に返す事が出来ない和倉。実際京香の能力"
"
「はい、どーん」
巨大化した駿河は拳を振るう。その大きさに相応しいパワーによって一撃で醜鬼を蹴散らした。
「はぁー、大きくなるのは疲れる疲れる」
余裕だ。この程度ならば彼女ならば脅威にはならない。だからこその油断だった・・・
「朱々ちゃん後ろ!!」
「えっ?あぐっ!」
背後から接近し隙を伺っていた醜鬼達、巨大醜鬼を囮に背後で合体し能力の息切れに合わせて奇襲したのだ。どんどんと醜鬼達が集まりその体をより大きくしていく。その大きさは駿河の2倍程の大きさまで至った。
「ひゃーそんな事も出来るんだ、面白!」
強がる駿河だが内心、ちょっとやばいかもと考えていた。合体した事で醜鬼の基本能力もかなり向上していた。今はまだ平気だが時間切れが迫ってきていて彼女を焦らせていた。
「ピンチじゃないか!アイツ!」
変身する事が出来ない和倉、そこで一つ妙案を思いつく。京香への口づけで奴隷化出来るのならば彼女の持ちものに口づけしても可能では無いのかと?
「・・・変身しない、でも取っ掛かりはあった!」
彼女の手袋に口づけすると何か身体の中で反応したのがわかる。もっと刺激の強いものを探す。tシャツでかなりの物を感じ、更なる物を探すべく彼女のロッカーを開けたときそれはあった・・・
「これって・・・変身ベルト?」
偶然だった。ロッカーを開けた時、引っかかったのだろうフォースライザーとプログライズキーが彼の足元に落ちる。それはこの前みたあの人、ハジメさんがつけていたものと同じものな気がした・・・
「これならいける・・・のか?」
思わず見比べしまう。今彼は京香のブーツを舐めようとしていた。人としてどうなんだと葛藤があった。しかも彼の前にもう一つの選択肢が生まれてしまった。
「くっ・・・」
外では駿河が徐々に追い詰められているのがわかる。息切れが近いのだ。迷った彼が取った選択肢は正史とは違っていた。彼がとったのはフォースライザー、そして二つあったプログライズキーの一つアメイジングヘラクレスプログライズキーだった。彼は走り出し外に出る
「これでいいのか?ぐっぐぁぁああああ」
フォースライザーを身体につける。ここで自分の選択の失敗に気づいた。激痛が身体に走った。彼は知らないがコレが初期型の欠点、量産出来なかった理由だ。身体への負荷が大き過ぎるのだ。一般人では使えない。使うならば相応に己を鍛えねば耐えきれないのだ。
「管理人さん!」
「・・・うぉおおお!」
不安がる朱々ちゃんの顔を見て根性を出しプログライズキーを起動する
ベルトにセットしレバーを引いた。オーバーロードされたヘラクレスオオカブトのライダモデルが出現、バラバラに分解し体に纏とわりついていく。被弾し易い部分に重点的に装甲がついていき、上半身は特に膂力を強化される。最後にヘラクレスを模した角が形成された。
「なんだよ、これ・・・」
仮面ライダーハーキュリー。後にそう名付けられる本来なら存在しないはずのライダーが今ここに誕生した。醜鬼に向き合い睨みつける。
「朱々、ちゃん!」
[アメイジング・ディトピア]
「っわかった!」
痛みを我慢してレバーを再度引く。更に負荷がかかり痛みが増す。しかしその代償としてベルトは彼に力を齎す。朱々片手を掴まれ動きを制限された醜鬼、その腹部に拳を叩き込む。ぐぎゃぁと醜鬼の悲鳴が上がるが倒すには至らない。しかし当然だ、この一撃は始まりだ。2撃、3撃と拳を放ちながら殴り上がる和倉。強化された膂力×過剰な攻撃速度、それがこの技の真価だ。
「ちょ管理人さん。もう死んでる」
「っあああッ」
醜鬼は既に絶命していたが攻撃を放ち続ける和倉。制御出来ていない、醜鬼は肉塊へと変化し原型を留めていない。最後の一撃まで放つと和倉は気を失い倒れ、同時に変身が解除された・・・
「優希の体は大丈夫なのか?」
「大丈夫だよ、京香ちゃん。短時間の使用で良かった。バックファイアによる軽度肉離れ・・・いや疲労と筋肉痛だな。これは」
魔都についたハジメはさっそく和倉の診察を始めた。人間の治し方、癒し方は今世、東家で嫌と言う程学ばされた。それにフォースライザーを作ったのはハジメだ。だから誰よりも正確に分かる。全治10日程、安静にしてれば治ると伝える。
「急に呼んですまなかったな」
「押し付けたのは俺だよ。気にすんな」
東式整体術を施す。筋肉をほぐし疲労を抜いていき、骨の位置を矯正し体調を整えていく。京香ちゃんと話しながらも流れるような手つきで施術していく。
「武器用のアメイジングヘラクレスで変身するとはな」
「・・・もう一つのなら大丈夫だったのか?」
「フライングファルコンか?それなら最悪制御効かず星になってたんじゃねーかな?結局力を制御出来てない反動がモロに身体にきてるのが原因だしな」
本来は人として鍛えあげられた京香ちゃんがフライングファルコンを使う事を想定していた。それなら多少疲労する程度、一般人から毛が生えた程度の和倉とは訳が違う。あっけらかんとそう言うハジメに京香ちゃんは納得するが、そうはいかない人もいる。
「・・・アンタが欠陥品を渡さなければユッキーはこんなことには」
駿河は納得はいかない。当然だ、押し付けられたフォースライザーの反動で和倉はボロボロになったのだから・・・。だかしかしそれはハジメにとっての地雷を踏んだ。
「欠陥品ね・・・ふーんへーそうか、そうか。試してみるか?」
「ストップだ、兄弟子」
ハジメの表情が変わる。声色は優しげだが目は据わっていて無表情、懐からドライバーを出そうとし京香ちゃんに止められる。駿河は威圧感を感じ気づかず後ずさっていた。
「朱々、そもそもお前が舐めた闘いをしているから優希は変身したんだ。一歩間違えば肉塊にされていた事を忘れるな」
「・・・反省しています」
納得がいかない朱々。明らかにわかる不貞腐れた態度だった。実際のところ自分が原因なのは事実でバツが悪い、しかしこの男の所為で余計な怪我をユッキーは負った。その事実の板挟みが態度に出ている。この場にいたく無いのかそそくさと部屋を出て行く。
「兄弟子、部下が失礼した。私からも謝罪する」
「・・・いいよ、こっちも熱くなりすぎた」
「・・・ここは?・・・痛ッ」
ちょうど和倉の目が覚めた。体を動かそうとして痛みが走ったようだ。一旦、2人にするため部屋を出る。外で待っていると10分程で京香ちゃんが出てきたので代わりに中に入る。そういえば和倉と面と向かって喋るのは初めてだ。
「ふむ、京香ちゃんにナース服いや女医姿で看病されたいと思わないか?」
「はい?」
おっと滑ってしまった。初手ジョークをかますハジメに対し、和倉はいきなり来たアホな質問に思考が止まった。
「はははっ、マジかお前。変身するために靴舐めようとしたとか」
「笑い過ぎですよ、ハジメさん」
和倉いや優希から裏話を聞き爆笑してるハジメ、それが恥ずかしいのかそっぽを向く優希。男同士だからこそ話せる話題もある。何せ魔防隊には女しか存在せず、内部を知る男は数が少ない。
「ブラかパンツなら完全変身できんじゃねーの?HKみたいに頭からかぶって」
「まだ死にたい無いです。京香さんにねじ切られますって、絶対」
HKって何?と疑問符を浮かべる優希。変態仮面・・・はリブートされなかったから説明に困る。とりあえずヒーロー系と答えてお茶を濁すことにした。
「やっぱりあの時、俺がスレイブに・・・いや無いな」
「えっ、それって?」
「ああ聞いてないのか。俺もスレイブ候補だったんだぞ」
意外な話しに驚きが隠せない優希。あまり話したく無い話だ。何せ、あのメスガキとの対立のきっかけだからだ。
「簡単な話だよ。ベルトを捨てて、奴隷になれってなってな。当時総組長に就任したばかりのメスガ・・・山城恋に言われてな」
「総組長?」
「今のトップだよ。桃の力無しで醜鬼を倒せる男の存在が邪魔だったんだ。魔防隊の存在意義に関わるからな」
何せ魔防隊は魔都の管理をする為には能力者は必要不可欠であるという、前提の元成り立っている。それを覆しかねない存在が現れたのだ。既存利益を守るためどうにかしようとするのは当然だ。
「ハジメさんは凄いですね。男は生まれた時点で」
「劣っているかってか、女に」
頷く優希を見ると悲しくなってくる。この世界には女に産まれたかったと思う男は多い。それだけ桃には力があり、それが評価される世界だからだ。
"女に産んであげられなくてごめんなさいね"
今世の母に言われた言葉だ。・・・ふざけるなよ
「男に生まれて良かったと心の底から思ってるよ。だからこそのライダーシステムだ。能力どうこういう奴はコイツでぶっ飛ばす」
「強いですね。俺にも使えれば良かったんですが・・・」
「"鍛えてますから"・・・ある鬼のセリフだ。鍛えろ、フォースライザーの負荷に耐え制御できるくらいに」
仮面ライダー響、自らを鍛えて鬼となり人を守った。それに修行して強くなるのはライダーの伝統だ。
「ハジメさん、俺京香さんを守れるぐらい強くなりたいです」
「ならまず身体治せ。んで京香ちゃんの言うことよく聞くんだな」
「はい!」
気持ちの良い返事が返ってくると自然とこちらもなんとかしてやりたい気がしてくる。優希は悪い奴じゃない。むしろいい奴だ、この世界では珍しい前向きな男だ。ヒーローを目指してるってのもいい、専用のベルトを作ってやってもいい気がしてきた。部屋を出でゲートに向かう。
「くっくっく、ダブルライダー・・・同時変身の夢。素晴らしい逸材を見つけた気がするな」
まだ見ぬ未来を夢想し夢が膨らむ。その為には開発だなと頭を切り替える。怪しい笑いをしていると日万凛に見つかりキモいと言われ思いっきり凹む。
「・・・・・・」
「あり得ない!お前はいったい何なんだぁぁぁあ」
それが彼女の最後の言葉だった。それが放った蹴りが物理的にあり得ない曲がり方をして彼女の身体に直撃、内臓が破裂し即死した。それは次の獲物に狙いをつけ襲いかかった。現世、7番組保有ゲート近隣、ハジメの護衛を担当していた部隊が数分前、襲撃された。
「なんだ!こいつは!人か?醜鬼か?」
「いいから撃ち続け」
最初に襲われたのは2人の男、すぐに銃を向け放つがそれは力任せに腕を薙ぎ払い放たれた弾を弾き返した。弾き返された弾丸は男達に命中しその命を奪った。
「そんな私の爪が!効かない!」
「どいて!石柱よ!行って!」
現場に急行した能力者が能力を使う。伸縮した爪、鋭利な凶器しかし効かない。瞬間的な硬化と自動治癒によって生半可な力は意味をなさない。別の能力者が大地から石柱を生やし操る。囲むように四方から放たれた石柱をそれは身体を変形させ回避し2人に近づきすれ違いざまに打撃を叩き込む。
「・・・ばけ、もの」
「お願い、殺さ」
「・・・・・・」
能力者を始末し、標的を待つ。標的は東ハジメだ。それは人と醜鬼が混ざりあったような姿、巫女装飾を着ていて、身体の節々に陰陽術の施された帯が巻き付けられていた。
「仮面ライダーヘラクレス、はダメだな。語呂が悪いしヘラクスと被る。ドイツ語だとまんまだな、ラテン語ならハーキュリー
「何一人でぶつぶつ言ってんのよバカ兄貴」
「いや、折角の新ライダーだし。かっちょいい名前をだな」
「キモっ」
「ぐびゃー」