ドラゴンボールゼノバース2 ~神威~   作:みるちー

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序章・遭逢
No.??? 神々の暴走…?


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ここはコントン都。全宇宙の時間と歴史を管理する”時の界王神”が治める都だ。ここには様々な時代から戦士が集い、歪んだ歴史を修正するタイムパトローラーとして働いている。

 

 そのタイムパトローラー達の中心人物であるトランクスとそのパートナーは、朝早くに時の界王神から呼び出されていた。

 

「どうかしたんですか? 時の界王神様。」

 

「来たわね、トランクス。ちょっとこの歴史を見てほしいのよ。」

 

 小柄でピンク色の肌をした少女のような人物。彼女こそが時間を司る神、時の界王神だ。彼女は何やら難しい顔をしてトランクスに巻物を差し出した。トランクスがそれを受け取り、広げると紙面に映像が映し出される。その巻物に収められた歴史が流れているのだ。

 

「こ、これは………!」

 

 映っていたのはトランクスの故郷、第七宇宙だ。歴史の歪みといえばこれまでのケースでは、起きるはずのない戦いが起きていたり、本来交わるはずのない歴史同士が混ざってしまったり、そういったものだった。今回の歪みもそういった類のものだ。しかし、その対象となる人物が特異だった。

 

「大界王神様…!? ビルス様まで!」

 

 時代は遥か昔。孫悟空どころか魔人ブウが生まれるよりもさらに過去、第七宇宙の神々の頂点に立つ二人、大界王神と破壊神ビルスがたった一人の少女を追いかけまわしていた。その逃走劇はいくつもの星々を舐り、壊し、第七宇宙がどんどん荒れ果てていく。

 

 歴史の歪みで、彼らのような神々が対象となっていることは極めて珍しい。彼らくらいの高位の存在だと滅多なことでその在り方が歪んだり、歪められたりしないものだからだ。

 そして、歪んだ歴史の中で彼らが行っているのがたった一人の少女を殺すことなのだから明らかに異常である。破壊神ビルスが破壊を行うことは自然なことであるが、それは第七宇宙をより良い宇宙にするという前提があってこそ。彼らの戦いを見ていると、宇宙がどうなろうが少女だけは必ず仕留める、そういった印象を受ける。事実、こうしている間にも戦いの余波で星が、銀河が、次々に消滅していっている。

 

「時の界王神様! ビルス様達は一体何を…!?」

 

「…よく分からないわ。何故彼らがあの子を殺そうとしているのか。そもそも、あの子が一体誰なのかも分からない。他の歴史でも見たことない子だもの。」

 

「うーむ、じゃがこれが歴史の歪みであることは間違いない。何者かがビルス様達に何らかの影響を与えたと考えれば…」

 

 この時の巣にて、時の界王神の手伝いをしている老界王神があごを撫でながら推測を語る。その推測も、情報が少なすぎるためひどく曖昧なものだ。唯一確かなのはこれが歴史の歪みであること。『大界王神と破壊神ビルスが宇宙を巻き込んでたった一人の少女を殺した。』、この事実を修正しなければ歪んだ歴史が他の歴史に影響を与え、最悪歴史そのものが消失してしまう事態になりかねない。

 

「ビルス様達の相手となると、俺では力になれません。どうか、修正をお願いします。」

 

 トランクスはその歴史が収められた巻物を隣に立っている男に手渡した。赤髪で、背中に剣を背負ったその男。彼こそがかつてトランクスがドラゴンボールで召喚し、魔神ドミグラの野望を打ち砕いて全宇宙を救った英雄だ。英雄は力強く頷くと巻物を受け取り、早速その時代へと転移した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハァ……! ハァ……!」

 

 ある星を、一人の少女が走っていた。長い銀髪を振り乱して必死に走るその少女は来ている服もボロボロで、身体もかなり傷ついている。

 

「っ!」

 

 そこへ、紫色の気弾が来襲した。気弾は彼女の足元に命中し、ボンッと爆発した。少女はその衝撃に吹き飛ばされ、地面をゴロゴロと転がる。

 

「…もう観念したらどうなんだい。」

 

 その気弾を放った人物が空から舞い降りる。古代エジプト風の衣装を身に付けた、痩せた猫のような人物。破壊を司る神、ビルスだ。

 

「今の君じゃ、とても僕から逃げることなんて出来ないんだ。」

 

 少女は顔を上げてビルスを睨みつける。立ち上がろうとして、そこで身体がまるで動かないことに気が付いた。

 

「すまないね。動きを封じさせてもらったよ。」

 

 彼女の後ろでは、大界王神が彼女に金縛りの術をかけていた。必死に抜け出そうとするも、術は強力でまったく動くことができない。上空ではビルスが手のひらに黒いエネルギー弾を出現させていた。”破壊”、すべてを無に帰す破壊神の権能である。

 

「…昔のよしみだ。せめて苦しませないで破壊してあげよう。」

 

 ”破壊”、ビルスの一声と共に黒いエネルギー弾はゆっくりと少女に放たれた。迫りくる自身の終焉に少女は目を瞑って顔を背ける。

 

ガキィンッ!

 

 しかし、滅びは少女に訪れなかった。少女が目を開けると、自分を守るように赤髪の青年が立っていた。破壊のエネルギーは彼に弾かれて空の彼方へ飛んでいく。

 

「…誰だい? 君は。」

 

 自身の破壊を跳ね返した英雄に、ビルスは鋭い目線を浴びせる。英雄は気に留めず、振り返って大界王神に強力な気功波を放った。大界王神は金縛りの術を解除してその場から飛んで避ける。すると少女にかかっていた術が解除され、動けるようになった。英雄は少女にこの場から離れるように言い、少女はこくんと頷くと、たたたっと走り、遠くの岩陰に身を潜めた。

 

『もしもーし! 聞こえてる?』

 

 英雄の装着している通信機から時の界王神の声が聞こえた。英雄は返事を返す。時の巣に残った面々は、こうやって英雄をサポートするのだ。

 

『ビルス様達は……操られているというわけではないようじゃの。とにかく、その子を連れて帰るんじゃ!』

 

『いい? 相手はビルス様よ。いくら君が強いといってもまともに戦って勝てる相手じゃないわ! なんとか隙を見つけてその子を連れて帰ってきてちょうだい!』

 

 英雄は頷くと、始めから全開で飛ばすためにいきなり変身をした。見た目は大きく変わらないが全身から気が白い炎となって吹き出ている。”潜在能力解放”、老界王神によって限界以上に引き出してもらった潜在能力を今ここで発揮したのだ。

 

「…返答はなし、だがその様子を見るに、僕らからそいつを守ろうとしてるみたいだね。」

 

「聞いてくれないか君、その子はね__」

 

「いいよ大界王神。僕らの前に出たんだ。どの道あいつ諸共破壊する。何も伝える必要はない。」

 

 英雄は二人の神を相手に殴り掛かる。それをビルスが難なく受け止めた。それをきっかけに、三人の戦いが始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 少女は英雄と神の戦いを岩陰から見ていた。あまりにも高レベルすぎてほとんど見ることもできないが、ビルスの圧倒的な実力と大界王神の献身的なサポートの前に、英雄は大分苦戦しているようだ。

 

 少女は一体何者なのか。それは彼女自身にもわかっていなかった。生まれも、親の顔も、名前すらも何もかも覚えていない。ただある時からポツンと、宇宙のど真ん中に少女はいた。どこにいき、何をすればいいのかも分からず、とりあえずその辺りの星をウロウロして少女は生きた。自分は誰で、何をするためにここにいるのか、その答えを探し続ける日々だった。

 

 そんなある日、あの二人が現れた。あの紫の猫と太った男である。二人は自分を見ると問答無用で殺しにかかってきた。少女は訳も分からず必死に逃げた。幸い少女は宇宙空間でも生きることができたので、あちこちの星を逃げ回った。だけど、その二人は恐ろしかった。彼らも宇宙空間を移動してきたかと思えば、お構いなしに星ごと少女を消し去ろうとしてきたのである。逃げ回るうちに、いくつもの星や銀河が消えてなくなった。そうまでして自分を殺そうとする二人の執着が何より恐ろしかった。

 

 そして今、消されそうになっていたところを一人の青年が助けてくれた。誰かに助けてもらうのは初めてのことだ。だけど、せっかく自分を助けに来てくれた唯一の人物は、恐ろしい二人に殺されそうになっている。

 

 …少女は怒りを覚えた。

 

 何故あそこまでして自分を殺そうとするのだろう。自分が一体何をしたというのだろうか。今まで心の奥底に溜め込んでいた怒りが沸々と湧き上がる。それに呼応して少女の身体に漆黒の痣が浮かび上がり、瞳は黒く染まり、額に闇の紋章が現れた。闇の力はどんどん高まっていき、やがてビルスも無視できない程のものとなる。

 

「っ! しまっ__」

 

 歯応えのある英雄との戦いに夢中になっていたビルスはそれに気づくのに一瞬遅れた。

 

「ああぁあぁぁぁあああぁぁぁああぁっ!!」

 

 

 

 

ズッ………!!

 

 

 

 

 

 少女の叫びと共に高められた闇が放たれる。幸い空にいたビルス達に向けて放たれたものだったので、英雄も、彼らがいる星も直撃は免れ無事だ。だが直撃を受けたビルスと大界王神、そして直線状にあった星々は闇に飲み込まれてすべて消え去っていた。

 

『う、嘘っ…!?』

 

『あやつ……ビ、ビルス様達を消しおった……!』

 

 それを見ていた時の界王神と老界王神は目を見開く。彼らも神だ。映像ごしからでも、宇宙の頂点に立つ二人の神が少女によって殺されるのを間違いなく確認した。並々ならぬ感情の高まりによって少女に秘められた力が解放された。そう捉えるのなら、彼女は第七宇宙最強の神すらも凌駕するとてつもない力を秘めていることになる。彼女が何者なのかはまだ分からないが、そのことを知って彼女を放置するわけにはいかない。

 

『…詳しく調べる必要があるわね。彼女が何者で、その力が何なのか。予定通り、連れ帰ってちょうだい。』

 

『今のが良かったのか分からんが、歴史の歪みもなくなっておる。何が原因だったのかも分からずじまいじゃ。』

 

 今ので力を使い果たしたのか、少女は気を失っている。英雄は彼女を抱きかかえると、その時代から転移して消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 闇の力を有する少女、彼女の存在が全宇宙の歴史を大きく変えていくことになるとは、今はまだ誰も知らない。

 

 

 

 

 

 

 

 

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