傲慢な天才トレーナーと一番星のアタシ   作:渡邊ユンカース

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ハロウィンイベントのライスシャワー可愛いですね。スキルもスタミナ吸収系のスタミナスキルで良いと強そう。
あとクリークは刺激が強すぎるよ……。そして地中から短期間だけ復活するタマモクロス。


一番のアタシは夏祭りを楽しむ

 夏合宿も終盤に差し迫って来た頃、定番のイベントがやってきた。

 これまでにバーベキューや肝試しといったイベントがあったけど、今日行われるイベントの夏祭りには及ばない。

 この夏祭りは代々トレセン学園の合宿の恒例イベントであり、毎年トレーナーとウマ娘が交流や愛情を深めるには絶好のチャンスで、多くの子が気合を入れていて着物を着ていたりする。

 ちなみにわざわざマックイーンさんが全員用の浴衣やトレーナーのジンベエなどを用意してくれたわ。だから下駄の鼻緒が切れてしまうというアクシデントは起きないはず。

 

「見てくださいましトレーナーさん。メジロ家がわざわざ仕入れてきましたのよ」

「それはすごいなマックイーン、とても可愛いぞ」

「うふふ、髪色に合うよう薄めの色にしましたの。トレーナーさんもカッコいいですわよ」

「わざわざ用意してくれたんだから着ないとな」

「見てよトレーナー、似合ってるでしょ!」

「うん。とてもよく似合ってるよ。赤い浴衣が映えるね」

「にしし!そういうトレーナーも普段見せない姿でカッコいいからね!」

「ありがとうテイオー、じゃあ行こうか」

「うん!」

「おいおいトレーナー、どうよゴルシ様の着物は」

「……黙っていれば完璧だ」

「あぁ!?それどういう意味だよ!」

「……外見は綺麗なのに言動がなぁ」

「へっ、ただの美人じゃつまらねぇだろうよ。まっ、さっさと行くぜトレーナー!」

「うわー!襟を掴むな!はだけるから!」

 

 各トレーナーとウマ娘は浴衣やジンベエを着て夏祭りに向かう。ウオッカとそのトレーナーは道中でカブトムシ狩りをしたいがために着物を着ずに先に行ってしまった。どうしてこういう時にも昆虫採集をするのかしら、不思議を通りこして呆れるわね。

 にしてもうちのトレーナー遅いわね。待つことには慣れてるけど、一緒に楽しめる時間が減っちゃうじゃない。流石にパチスロやナンパには行ってないみたいだけど、ホントに時間にルーズなんだから。

 

「おいダスカ」

「遅いじゃないトレーナー!」

「ははっ、どうせ遊べるんじゃ。急いても関係ないきに」

「まったく、いつもそうなんだから」

 

 のこのことトレーナーが宿舎から出てきた。やっぱり紺色のジンベエを着ていつもの首巻を巻いている。普段着と色合いが同じだから違和感こそ覚えないし新鮮味がない。だけどやたらと似合っていてカッコよくて、そのことを言ったら図に乗りそうだから言わないでいた。

 

「ふん、ジンベエだったらすぐ着替えられるでしょ」

「わしに合う服がなかなか見つからんくてのう」

「へぇ、アンタが服選びねぇ」

「こういう時に適当な服を着ちょったらおまんに怒られるぜよ」

「あら、よくわかってるじゃない」

「こんな時まで蹴られとうないわい」

「で、どう?」

「ん?わしのか」

「そうじゃないわよ!アタシの浴衣のこと!」

 

 本当に変なところで察しが悪いんだから!

 アタシは勝負服と同じ色合いじゃなくて、髪色に合った浴衣を着ている。ところどころに朝顔が描かれていてすごく可愛い。胸元を少し締めているから違和感はあるけど支障はない。

 トレーナーはジッとアタシを見ると頭をボリボリ搔いた。

 

「まあ、似合っとるぞ」

「……それだけ?」

「おまんのカラーに合っていてえいぞ」

「もっと」

「あ、朝顔がえいな」

「もっと」

「……帯を青くするのはえい塩梅じゃ」

「もっと」

「わしにそんな求めんなや!あー、綺麗じゃ綺麗!」

「ふふん、当然でしょ!」

「図に乗りおって、面倒じゃのう」

「何が面倒なのよ!」

「下駄でわしを踏むな!サンダルなんじゃ!」

 

 気の利いた人ならネイルしたんだねとか下駄が可愛いねとか言うのに、本当にこのトレーナーは!……まあ綺麗って言ってくれたからいいけどね。

 

「ほれ、祭りじゃ祭り。とっとと行くぜよ」

「そのまま行くつもり?」

「あぁ?」

「他の子はちゃんと手を繋いで行ってたわよ」

「おまんもやりたいんか」

「今日は特別なんだから。ほら、ねっ?」

「しょうがないのう」

 

 やれやれといった感じに手を差し伸ばすトレーナーだけど満更でもない様子だった。素直に嬉しいとか言えばいいじゃない、気性難って面倒ね。

 アタシはそのゴツゴツした手を取った。普段だったら周りの目があって公には繋げないけど今日は無礼講、だからしても許してくれるよね。

 

「うわー、すごいわねトレーナー!」

「あぁ、わしの故郷と負けず劣らずの規模じゃ」

「たくさん出店があって飽きないわね!」

「どれから回るか」

 

 手を繋いで夏祭りの会場に来たアタシたちはその規模の大きさに驚いた。地方で行われているから前回の夏祭りは小規模だったけど、今年は百二十年の記念祭だったらしくて規模が大きくなっていた。

 たくさんの出店と人混みでごった返していて一度離れ離れになったら再開するのは大変そうね。よくトレーナーがブラブラ何処かへ行ってしまうから手をしっかり握らないとね。

 

「ダスカ、なんじゃ離れるのが怖いんか」

「はあっ!?どうしてそうなるのよ!」

「力強く握りよるから」

「これはアタシの親切心よ。アンタが迷子にならないため!」

「はっ、抜かせ。去年の肝試しで迷子になって泣きべそ掻いとったのはどこの誰だったかのう」

「もー!そんなことないんだから!」

 

 実はトレーナーが言う通り、謎の心霊現象(ニセフクキタル)で肝試しのパートナーだったウオッカとフクキタルさんと離れてしまって森の中を遭難してしまった。ひとりぼっちで暗くて不気味な森はとても怖くて座り込んでしまった。もう誰も見つけにきてくれないって諦めていた矢先、聞き覚えのある声が聞こえた。

 荒々しくて怒声交じりの声だけど安心感がある声、すぐに声の主の方へ走っていくとそこにはアタシのトレーナーが居た。安堵と感動のあまり抱き着いてしまい大泣きしてしまったのが今となっては恥ずかしいわね。

 

「今度も足踏むわよ!」

「これ以上、ウマ娘の力で踏まれとうないわ。行くきに」

「ふんだ。ちゃんと楽しませてくれないと踏むからね」

「わしは遊び人ぜよ。楽しめるんにゃあ長けてるきに、安心せい」

 

 そう言ってトレーナーは自信満々に笑ってみせた。本来だったら遊び人なんて信用ならない言葉だけどこういう時は別ね。

 最初に向かったのは金魚すくいだった。プラスチックの大きな箱には赤や黒の金魚が泳いでいて周りの人はポイ片手に金魚を獲っていた。

 

「金魚すくいよ、アタシこれやりたいわ」

「ほう金魚すくいか。まあ獲った金魚を川に流せばえいか」

「おバカ!どうしてそんな考えになるのよ!トレーナー室かアンタの部屋で飼えばいいでしょ!」

「じゃがのう、面倒じゃし」

「アタシも手伝うからいいでしょ。ねっ」

「……それならえいか。親父、二本くれ」

「あいよ、六百円ね」

 

 トレーナーはお金を払ってポイを手に入れるとうち一本を渡してくれた。しゃがんでどれを獲ろうかと悩んでいるとトレーナーは器用にポイを使って早速一匹ゲットしていた。

 

「へぇー、やるじゃない。もう一匹」

「ふん、こういうのは慣れてるからのう。まあ天才じゃし」

「うわっ、でた天才アピール」

「才能がある奴が誇示して何が悪いんじゃ」

「アタシも捕まえなきゃ」

 

 ポイを金魚の下に合わせて持ち上げる。だけど金魚は上げる前に逃げてしまい、悲しくも空振ってしまった。ちらりと横を見るとトレーナーがニタニタ笑っていて腹が立った。

 

「何よ!」

「まだまだじゃのう」

「いいじゃない!そんなにやったことないんだから!」

「ほれ見ろ。もうわしは五匹も獲ったぞ」

「マウント取らないでよ!アタシだって一匹ぐらいは!」

「あっ、外しよったし破れた」

「ッ!!」

 

 あー、ムカつくわね!ポイが貧弱なのと金魚が元気すぎるのよ!

 

「しゃあないのう、親父一本くれ」

「あいよ」

「ダスカ、これ持て」

「何よ、また痴態を晒させようっての?」

「違うわ。えいから持て」

「こう」

「それでえい」

「ひゃっ!?」

 

 トレーナーの言う通りにポイを持つと、トレーナーはアタシの背後に回って抱きしめるように手を持った。このシチュエーションは感謝祭で体験しているけど吐息や体温を間近で感じるから落ち着かない。ゲートに居るみたいにドキドキする。

 ドキドキするアタシをよそにトレーナーは耳元で囁いてくる。

 

「そもそもポイを水平にするなや。斜めにして水を逃がせ」

「う、うん」

「なるべく器を近くにして金魚を移せるようにするんじゃ」

「うん」

「そうすりゃ、ほれ獲れた」

 

 ……マズい、トレーナーがアドバイスしてくれてんのにドキドキして何もわからないわ。うぅ、卑怯よ。

 

「ほれ、もう一匹獲るぞ。やってみろや」

「こ、こうね」

「違うわ。じゃからな、ポイを傾けるんじゃ」

「こうね」

「あぁ、それ持ち上げろ」

「と、獲れたわ!」

「まあポイも破れたか。次回はこれで獲れるようになったのう」

「あ、ありがとうねトレーナー」

「別にえい。親父、わしの金魚は返すからこいつの分だけくれ」

「あいよ」

 

 店主からビニール袋に入れられた金魚を受け取った。中では二匹の金魚が狭い空間をすいすい泳いでいて可愛かった。なんか夏祭りって感じがするわね。

 

「次はあれがいいわ」

「わたあめか」

「久しぶりに食べるのよね。お祭りとかでしか食べれないし」

「……ただの砂糖で四百円か、ボッタクリもいいところじゃ」

「そんなこと言わないでよ。興が覚めるわ」

「まあ好きに買えばえい」

「すみませーん、ピンク色のください」

「はーい、どうぞ」

「ありがとうございます」

 

 受け取ったピンク色のわたあめを早速頬張る。口にした途端にふわふわのわたあめがシュワシュワ消えていく不思議な感覚がたまらない。あとには甘さが残ってとてもいいのよね。

 

「トレーナーにもあげるわ。千切ってちょうだい」

「いやわしはリンゴ飴があるからえいぞ」

「いつの間に買っていたのね。てか普通のリンゴサイズね」

「なんかミニゲームでこのサイズ当ててしもうた」

「珍しく運がいいわね」

「……飽きた」

「早すぎよ!」

「中のリンゴ美味しくないきに、やる」

「ったく仕方ないわね。アタシはリンゴ飴好きよ」

 

 トレーナーからリン貰って早速齧る。普通に切り分けた方が実がシャキシャキして美味しんだけど、リンゴ飴の実はボロボロしてるのよね。鮮度の問題かしら。まあコーティングされた飴と合って美味しいんだけど。

 ……あれ、これって間接キスになるんじゃないの。しかも強めのやつ。

 

「どういた。リンゴ飴のように真っ赤じゃ」

「完全に間接キスしちゃったじゃない!」

「……そうなるんかのう」

「エッチ!スケベ!」

「脛を蹴るな!この前はいっちょ前にキスねだっとったくせにのう」

「うっさいわね!」

「イテッ!?」

「……見なさいあれ」

「な、なんじゃ。ありゃマックイーンか?」

 

 アタシたちの視線の先にはマックイーンとそのトレーナーが居た。二人はベビーカステラを持っているけど、マックイーンさんの手元には大量のベビーカステラがある。それをパクパクと器用に片手で食べて量を減らしていく。

 

「流石、マックイーンさんね。あんなに器用に食べるだなんて」

「……食べすぎじゃろ」

「ウマ娘ならこのぐらいの……はず」

「翌週にトレーナーに太ったか聞いてやるか」

「やめなさいよ……拉致されるわよ」

「物騒じゃのう」

「あっ、スペ先輩たちもたくさん食べてる……」

「屋台潰しじゃ、店主が泣いとる」

 

 別のところではスペ先輩とそのトレーナーが目の前にあったお好み焼きさんを食べあさっていた。店主はせっせとお好み焼きを作るけど消費の量に追いついていなくて半泣きで作っていた。ちゃんとお金を貰っているから損はないけど苦労するわよね……。

 あれ?なんか見覚えのある姿があそこの出店にいるわね。

 

「ゴールドシップさんが何故か浴衣姿でケバブ作ってる……」

「なんでじゃ……」

「……しかもエプロンしないで作ってるのに一切汚れてないわ」

「器用じゃのう。わしには無理じゃ」

「そういや二日前にカレー食べた時、アンタ服を汚したでしょ。きちんと洗濯した?」

「あぁ、忘れとったわ」

「おバカ!汚いからあとで洗濯しなさいよね!」

「まったくもう。……あっ、テイオーたちだ」

 

 今度はテイオーたちがヨーヨー釣りに釣りに興じていた。やっぱり天才肌のテイオーはすぐにコツを掴んだのかポイポイ取っていく。テイオーのトレーナーはニコニコしながらその様子を見守っている。

 

「すごい上手わねテイオー」

「ふん、あれくらいわしにもできるわ」

「あら、それって焼きもちかしら」

「あぁ!?わしが焼きもちなんてするわけないじゃろ!」

「ちょっと怒鳴らないでよ、アンタの声は喧騒でもよく聞こえるんだから」

「知るか」

「まったくテイオーのトレーナーを見習いなさいよ。……あっ、テイオーの顔にヨーヨーが当たった」

「テイオーのリアクションは好きぜよ」

 

 ……リアクション、か。いつも優等生を演じていたからどんなリアクションをすればいいのかわからなくなちゃった。

 

「……ああいうリアクションが好きなの?」

「面白いからのう。なんじゃ、気にしてんのか」

「べ、別に。そんなことはないけどね」

「おまんは今のままでえい。気にするこたぁない」

「……なら安心したわ、ありがとうね」

「ふん、感謝されるまでもないわ」

 

 そう言ってトレーナーは口元まで首巻を上げてそっぽを向いた。よくトレーナーがやる照れた時の仕草だからクスリと笑ってしまった。すぐギャーギャー噛みついてきたけど怒りもないから怖くもない。きっと照れ隠しね。

 こうやっているとドンドンと上空から爆音が轟いてピカピカ辺りが光る。

 

「花火よ!」

「おおっ、派手に上げちょるなぁ。こりゃあえいのう」

「すごい綺麗……」

「花火は派手にやらんと楽しくないきに!ハハハ!」

「アンタの地元も花火はすごいの?」

「土佐人は祭りが大好きじゃ!酒も飯がバンバン出るからのう!」

「あー、そういうの好きそう」

 

 空中では火薬玉が破裂して多種多様な色や形の花火が咲いた。

 隣でゲラゲラ笑って花火を楽しんでいるトレーナー、その横顔はどこか幼くて可愛げあってずっと見ていたい。

 

「おん。なんじゃダスカ」

「ッ!?」

 

 ふとトレーナーと目が合ってしまい、アタシはとっさに顔を逸らす。

 だって今のアタシの顔は誰にも見せられないほど真っ赤になっていた。どうせバカにしてくるのは目に見えてるからね。

 

「けっ、変じゃのう」

「うるさいわね。でも綺麗ね」

「あぁ、まっこと綺麗ぜよ」

「……今度はアンタの地元の花火、見せてよ」

「えいぞ。じゃが先にURAに優勝せんとな」

「そうね。絶対に優勝したら行こうね、トレーナー」

「あぁ、約束じゃ」

 

 そう言ってアタシとトレーナーで約束を交わす。一度でもいいからトレーナーが産まれ育った地元に行ってみたかったから花火という動機付けをした。

 そうでもしないと恥ずかしくて言えなかったから。




サポカのスキルを上げるための結晶集めが大変そうですね……各イベントごとに取れても七か月は必要なんですよね。
とりあえずは頑張ってみようと思います。

それとヴァルゴ杯は決勝まで行ったのに出場し忘れてました。悔しい。
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