精霊少女に『カッコいい俺』だけ見せていたら、いつの間にか最強になっていた   作:平成オワリ

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第六話 強さ

 愛おしきブラックダイヤモンドと俺は抱きしめ合い、お互いの愛を確かめ合った……はず。

 もう俺は彼女にメロメロだし、彼女も俺なしでは生きられない身体になった……はず。

 

「というわけで、ブラックダイヤモンドをもらい受けたい」

「えぇと……というわけでと言われましても……」

 

 あのゴミ屑野郎を退治してブラックダイヤモンドと心を交わし合った俺は、彼女を身請けするため孤児院のシスターへ挨拶する。

 

 いわゆる金髪清楚系と言われる感じのシスターだ。超絶美人ぞろいの精霊たちと比べれば全然だが、多分まあまあ美人。

 スタイルもそこそこ良いらしく、かなり大きな胸に太もものところにスリットが入っていてちょっとエロい格好だ。

 

 教会のシスターといえば聖職者であるはずなのに、なぜ彼女たちの正装であるシスター服はこうもエロいのだろうか?

 もしエメラルドやブラックダイヤモンドたちがこの格好をしていたら、俺は一瞬でも見落とさないために瞬きせずにガン見し続ける自信があるぞ。

 

 ふう……彼女が人間のシスターで良かった。

 

「ダイヤちゃんは私たちの家族なので、正直信用できる人でないと、その……」

「なるほど。私は信用に値しないと」

「貴方がどのようなお考えでいるのか、それがわからないのです」

 

 すみません。精霊たちがシスター服を着たら超エロイとか考えててすみません。

 

「孤児院の他の子たちもダイヤちゃんのことを慕っていますし……私も娘のように思っています」

 

 どうやら彼女は心の底からブラックダイヤモンドのことを心配しているらしい。

 俺の格好は正直ちょっと裏家業っぽいこともあって戦々恐々といった様子だが、それでも我が子を守ろうとする姿勢は素晴らしい。

 

 やはりブラックダイヤモンドのような心優しく清らかで強く素晴らしい精霊を育て親だけあって、俺の中のシスターの好感度は爆上がりである。

 

 エロい服着ている人とか言っちゃってすみません。

 

「マスターは素晴らしい人ですよ。この方と契約出来る精霊は、世界一の幸運です」

「ええっと……」

「エメラルド、シスターが困惑しているから少し下がっていなさい」

「はい……」

 

 普段は気立ての良い嫁のようなエメラルドなのだが、どうにも自分のことに関しては少しタガが外れるときがある。

 そのせいでシスターも困った表情を深めてしまう。

 

「シスターよ。貴方がこの子を大切に思う気持ちはよくわかる」

 

 なにせ俺も同じ気持ちだからな!

 ああ、さっきの抱きしめた感触を思い出しただけで俺は何度でもたぎってしまう! 収まれ、俺の心! 俺の身体! 今ここで滾ってしまうと色々と台無しだ! なにがとは言わないが! ナニがとは言わないが!

 

「この子は弱い精霊なんです。だから――」

「違う」

「……え?」

「この子はとても強い精霊だ。本来、精霊というのは他の精霊たちよりも強くなることを、一番になることを目指しているもの。これは個人の問題ではなく、生まれつき刻まれた本能でもある」

 

 精霊は生まれつき強い闘争本能を持っている。そのため己が強くなるために、より強いマスターを求める傾向にあるものだ。

 

 だから俺はマスターとしての適性こそ低かったが、それでも見た目だけでも強くなろうと思って、今の姿が辞められなくなってしまった。

 後悔がないと言えば嘘になるが、エメラルドの傍にいられるなら己の心を殺すなど苦でもない。

 

 そして――その闘争本能は人間が呼吸をするのと同じように、精霊が生きる上で当たり前であり、自ら『負けるために戦う』など、ありえない。

 

「この本能に抗える精霊などほとんどいない。だがしかし、ブラックダイヤモンドはそんな『精霊の本能』に抗って、この孤児院を『守るため』、他の精霊たちに敗北することを『選んだ』のだ」

「あ……」

「これを強さと呼ばず、なんと呼ぶ?」

 

 たしかにあのコロシアムで見たブラックダイヤモンドは弱かった。しかし俺の目には、どの精霊たちよりも強く、美しく輝いていたのだ。

 それこそ、彼女の名にある通り、ダイヤモンドの輝きを俺は見た。

 

「わかるかシスター? この子は決して守られるだけのか弱い存在ではない。それどころか、すべてを守る金剛の盾となることだろう」

「……ダイヤちゃん」

 

 俺の後ろでずっと黙り込んでいたブラックダイヤモンド。だが彼女はシスターに呼ばれて前に出る。

 

「シスター……マスターさんがボクたちを助けてくれるって。真っすぐ視線を逸らさず、ほんのわずかな迷いもなくそう言ってくれたんだ。今までのマスターさんはみんな、この街の領主に逆らえずにいたのに、事情を全部知って、それでも助けてくれるって言うんだよ」

「……この人が」

「ボクね、分かるんだ。マスターさんは凄い人だって。精霊としての本能が言ってるの。この人について行けば、見たことのない景色が見られるんだって! だからね、この人のこと、信じたい!」

 

 ……なんか凄いこと言われてる気がする。

 こんなこと大きな声で言えないけど、俺のマスター適正ってぶっちゃけ超低いんだよなぁ……。

 まあでも、精霊愛に関しては誰にも負けないから、精霊大戦じゃぁ絶対負けないけど。

 

「ごめんねシスター。もうボク……弱いボクでいたくないんだ。だけど安心して。絶対、絶対皆は守るから!」

「っ――! ごめ、ごめんなさい! 私が、私が皆を守らないといけなかったのに、なのに……」

「ううん。シスターはいつもボクたちを守ってくれたよ。あの子たちがいつも笑顔でいられるのもみんな、シスターのおかげだもの。だから今度は、ボクが守るよ。シスターも、あの子たちも、そして……この孤児院全部を!」

「あ、ああ……本当に、大きくなって、強くなって……貴方って子は……!」

 

 抱き合う二人。人間と精霊の素晴らしい家族愛! たとえ血の繋がりが無かろうと、こうして育んだ愛情は本物なのだ!

 

 この光景を見れば俺も自信が付く。つまり、やはり精霊と人間の愛はあるのだ! 誰だ精霊好きになったら精霊趣味とか言って馬鹿にするやつ。ぶっ殺すぞマジで!

 

 ああ……尊い……ええ話や……これでシスターが男だったらなにがなんでも邪魔をしていたが、これは本当に素晴らしい光景である。

 

 手元に魔導カメラがあればめちゃくちゃ写真撮ってやったのに……。

 

「さて……話はまとまったということで、いいな?」

「マスターさん」

「……はい。ダイヤちゃんのこと、よろしくお願い致します」

「ああ。私が必ず、この子を最高の精霊にしてみせよう」

 

 そして、未来のお嫁さんにするのだ!

 

 おっと、そういえばこの孤児院がブラックダイヤモンドの生家、ではないにしても故郷になるわけで、今のうちに家族の印象を上げておかねば。

 

「とりあえず領主のやつがちょっかいをかけてこないように、こいつを渡しておく」

「え……?」

 

 懐から布袋を取り出すと、テーブルの上にドスンと置く。そしてヒモが取れて袋が開くと、そこには大量の金貨が零れ落ちた。

 それを見たシスターが慌てた様にこちらを見る。

 

「あ、あの⁉ この大金はいったい⁉」

「これで、この孤児院の経営悪化を付け入れてくる輩の牽制にはなるだろう」

「そんな! こんな大金、受け取れません」

「ふむ……」

 

 しかし受け取ってもらわねば困るのだ。なにせこれからブラックダイヤモンドは俺の女の子になるわけで、少しでも印象を良くしておきたいし……。

 

 お金の力で良く見せようとか最低? 財力は力だよ。魅力、体力と同じ力なのさ!

 

 とはいえさすがは教会のシスター。金で目が眩むような相手ではないらしい。

 仕方がない、作戦変更だ。

 

「それでは、一時的に貸しておくとしよう」

「え?」

「もし万が一、ここの領主がちょっかいをかけて来た場合は、これで追い返してくれ。その代わり、もし私がこの街から離れるときがきたら、返してくれればいい。私としても、この子の心配事は一つでも潰しておきたいのだ」

 

 あと、あのゴミ屑野郎はしっかり潰す。

 

「……分かりました」

 

 俺が退かないことが分かったのだろう。彼女は俺のことを見ながら少し顔を赤らめて微笑む。

 

「貴方はとても不器用な人ですね」

「ふ、そうだな。だがたとえそうだとしても、この生き方のおかげで出会えた者がいる」

 

 そう言いながら、俺は右手でエメラルドを抱き寄せ、左手でブラックダイヤモンドを抱き寄せる。

 やっべぇ両手に花ァァァァァァア! ヤッフゥゥゥゥゥゥゥゥ!

 

 両方とも柔らかいぃ! いい匂いぃぃぃぃぃ! ヤッベェ滾ってきたァァァァァァァァ!

 

「この二つの宝石を傍に置けるならこの人生、後悔などあるはずがないさ」

「ま、マスター……」

「マスターさん!」

 

 俺の抱き寄せをキモいとか言わずに受け入れてくれる二人マジ天使。

 

 俺はユルユルになりそうな表情だけはなんとか崩さまいと、キリッとした表情を維持しながら、シスターに向かって不敵に笑うのであった。




更新頑張ります。
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