精霊少女に『カッコいい俺』だけ見せていたら、いつの間にか最強になっていた 作:平成オワリ
無事にブラックダイヤを身請けすることが決まり、孤児院を出てエメラルドと一緒に泊まっている宿に戻る道中。
その間、俺のテンションは最高潮!
俺の歩く右にはエメラルドティアーズ、そして左にはブラックダイヤモンド。
あの不本意な事件から五年、ようやく精霊ハーレムへの第一歩を踏み出せたのだ!
やったぞ! いつか精霊ハーレムを作るんだと意気込んでいた十年前の俺!
ごめんな、こんなに待たせちゃって。でもその分、最高に可愛い彼女たちと存分にいちゃいちゃするから許しておくれ!
「マスターさん! ふつつか者ですけど、よろしくお願いします!」
「……」
元々金に糸目を付けずに借りたこの部屋は、エメラルドと二人で泊まっていても全然余裕のあるくらいに広い。
宿の店主には十分な額を払っているので、今更一人増えたところでなにも言うことはなく、今は三人で部屋に戻ってきた。
そして部屋に入るなりブラックダイヤモンドが「不束者ですが、よろしくお願いします」って言ったんだけど、これってつまりそういうことだよな?
お嫁に来る的なそんな意味だよな⁉
いやーいいね。とってもいい。ブラックダイヤモンドは見た目はまだ少し幼さを残しているが、その身体はもう十分成熟しているし、俺を受け入れる準備も出来ている。
さっき抱き寄せたときも超柔らかかったし……あ、思い出しただけで滾ってきた。
うん、ヤバいな。俺まだ童貞なんだけど上手く出来るかな? やっべ超不安になってきた。
こういうときエメラルドなら優しく抱き寄せながら「いいんですよ。マスターのすべてを受け入れますから」とか言ってくれるんだろうけど、ブラックダイヤモンドはどうだろう?
「マスターさんにはがっかりです」とか言われたら俺、立ち直れる気がしないんだけど!
いや待て。どっちかというと「ボクと一緒に頑張ろ、マスターさん?」とかの方が彼女っぽい。
頑張る頑張る! めっちゃ頑張るしハッスルするぜー!
「あの……マスターさん?」
「……すまない、少し考え事をしていた」
不安そうに見上げてくるブラックダイヤモンドを見て、俺は冷静になる。
さすがにエメラルドを置いて先に、というのは良くない気がするのだ。
やはり十年以上一緒に過ごしてきた彼女こそ俺の初めての相手に……いやしかしこの十年でなにも進展がないのだぞ? 冷静になれ俺。ここはブラックダイヤモンドと勢いでイケルところまでイク方が正解なんじゃないか?
「改めて考えると、とても難しいことだ」
「っ――⁉ そ、そうだよね……やっぱりボクみたいな弱い精霊と契約するなんて……」
「全員に受け入れてもらうというのは、とても難しい」
「……え?」
そう、どちらが先とか考えるから難しいのだ。最初は両方、これが正解に違いない。そもそも俺の夢は精霊ハーレムを作ること。当然にして当たり前の話だが、ここからさらに精霊たちは増えていく。
その度に序列がなどと考えてしまえば、いずれその関係は崩壊してしまうかもしれない。だったら最初からマイルールを決めてしまえばいいのだ。
――俺は、全員を平等に同時に愛すると。誰一人、序列をつけることなく深い愛を注ぐと、そう決めた。
「それがとても困難な道のりだと言うことは百も承知。だがしかし、やらねばならない。そうでなければ、私はお前たちと契約をする資格などないのだから」
「マスターさん……そこまで考えて」
「マスターはすべてを見通しています。この人がこう言うなら、大丈夫」
「エメラルドさん……」
「……ん?」
なんだかいつの間にかエメラルドとブラックダイヤモンドが二人で話し合っていた。どうやらエメラルドが俺の言葉の意図を伝えているようだが、なにか違うことを言っているような気がして仕方がない。
まあいいか。この子が俺の不利益なことを言うとは思えないし。
とりあえずこうして個室で美少女精霊二人と一緒にいられる俺、間違いなく世界一の勝ち組!
今から意図も容易く行われるエチィ行為に俺のテンション爆上げイエェーイ! ヒーハー! カモンカモンカモンカモン!
「それじゃあマスター。とりあえずブラックダイヤモンドと一緒に物資の補給をしてまいりますので、ゆっくり休んでいてください」
「行ってきます!」
そうして二人は笑顔をこちらに向けながら、俺を置いて部屋から出て行った。
「……?」
……何故? 今から俺と彼女たちでまだ太陽は明るいけどフィーバーでハッスルなタイムが発動するところだったんじゃないの? ねえ、どうして? なんでこうなった? 誰か教えて……。
そう思っていると、控えめなノックが聞こえてくる。どうやら戻ってきてくれたらしい。なんだ、良かった。しかしなんでわざわざノックする必要が……?
ま、まあいい! 一緒にお買い物ならつまりデート! そう、そもそもいきなりエチィことから始めようするなんて方が間違っていたのだ。
まずは交流を深めるためにデートを繰り返して、愛を育むところからするのが当然だろう!
やっぱり過程って大事だよね! 両手を握りながら三人で並んで歩いて、周りから嫉妬の視線が超気持ちいいー!
「おいアンタ、邪魔するぜ」
扉を開けるとそこにいたのはハゲた筋肉だった。
「……なんの用だ禿げ頭殺すぞ?」
「急になんだよ怖ぇよアンタ⁉」
「すまない気が動転した。ところでどうやって死にたい?」
「言ってること変わってねぇからな!」
冷静に考えて欲しい。可愛い精霊かと思って開いた扉の先にいたのがハゲた筋肉だったら誰だって殺したくなるだろう? ならない? 俺はなる。
「それで、なんの用だガルハン?」
「あ、ああ……いやアンタ、俺を置いてっただろ? わざわざちょっと離れたところで待機してたんだぜ?」
「……」
存在を忘れていた、とは言えない。しかし仕方がないのだ。だってあの時はブラックダイヤモンドのことしか頭になかったし。
「とりあえず、これからどうするつもりなのか聞いておこうと思ってよ」
「どうするとは?」
「アンタ、逃げずに叩き潰すって言ってただろ? だけど現実的に考えて、あの子と契約したところでそれは難しいと思うぜ」
「何故だ?」
俺が見たところ、たしかにアマゾネスボルケーノは精霊としての能力は悪くない。だがしかし、それは地方都市で戦っている割には、という言葉が頭に付く。
精霊たちは戦えば戦うほど強くなる。それも、自分よりも格上の存在と戦えば戦うほどだ。
そう言う意味では、この地方都市ルクセンブルグで最強になった以上、本来なら次のステップに進まなければならないのだが――。
「領主の息子がマスターなら、この都市を盛り上げるためにも強い精霊は必要だろう」
「ああ、それにあのザッコスはクソ野郎だが、精霊使いとしての才能は本物だ」
「ザッコス?」
「……領主の息子だよ」
「なるほど」
正直興味が無さ過ぎて全然覚えていなかった。
「あいつのああ見えて『第六位』の精霊使いだ」
「ほう……」
精霊使いの実力は階位で十段階に分かれていて、第十位が最高位となる。
つまり、数字が低いほど弱く、数字が大きいほど凄いというわけだ。
これは単純に精霊使いとしての才能などとも言われるが、第六位と言えば少なくとも地方では神童や天才と呼ばれる部類の才能だ。
普通なら大都市か、中央都市で戦っているレベルであり、アマゾネスボルケーノの力と合わされば、たしかにこのような地方都市では無敵だろう。
「まあ、問題ない」
「問題ないって……そういやアンタの階位ってどうなってんだ? 第六位以上っつったら二つ名だって付いてるバケモノ揃いだし、俺も結構知ってるつもりだが……」
「ふん……」
どいつもこいつも階位階位階位と煩いやつらだ。階位なんてただの飾りだということを何故えらい奴らはわからないのか。
「お前も精霊使いは階位が全てだと思ってるのか?」
「あ? もちろん精霊自体の強さや、精霊との絆の深さとかも重要だって話だが……それでも精霊の力を発揮できるようにするには階位が上がらないと……」
「……二だ」
「あ?」
呆けた様子のガルハンに対し、現実を教えてやろう。
「俺の精霊使いとしての才能――階位は『第二位』だ」
まあ、だからと言って才能のあるやつが勝つとは限らないがな!
何故なら俺の精霊に対する愛は世界一だから! エメラルド! ブラックダイヤモンド! 俺はお前たちを愛してるぞぉぉぉぉぉ!
ちょっと書いてて納得できてない部分が多かったので、改めて書き直すことにしました。
そのためハーメルンでの更新を一時的にストップしています。