LastStand   作:カニほっち

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卒論とか試験とかやってたらめちゃ遅れてしまいました 申し訳ね~
あとちょっとアンケートしたいことがあるんでよかったら最後まで読んでくれると嬉しいです


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 絶え間なく聞こえる足音で、耳が塞がれる感覚。

 視覚と触覚だけしか頼ることのできない、緊張感。

 そして何よりも、前を走るアイツらの圧が、どっ、と全身に襲い掛かってきた。

 びりびりと肌が震える。アイツらのターフを踏みしめる衝撃が、実際に空気を揺らしていた。

 ここまでは、いつも通り。あまり好きじゃない、けど嫌いにはなれない、レースの感覚。

 だけど、いつもと違うのは。

 

「……重く、ない」

 

 ふと思ったそんなことを呟けるくらい、今のアタシの体は軽かった。

 緊張感は伝わってくる。プレッシャーだって、確かに感じられる。

 でも、それはオグリキャップやタマモクロスと走った時のものより、遥かに軽いもので。

 きっとアイツらと走らなかったら、アタシはいつも通り、気圧されてたんだろうな。

 久しぶり、でもいつもとは少し違うレースの感覚に体を慣らしながら、第二コーナーへ。

 ここまでのペース配分はいい感じ。コースの取り方も悪くない。スタミナも有り余ってる。

 問題があるとすれば――

 

「ッ……!」

 

 前が、見えない。

 そりゃそうだ。オグリキャップたちと走った時は、たったの四人しかいなかったんだから。

 模擬レースの人数は九人。倍以上の人数がいるんだし、前が見えないもの当然か。

 もっと背が高かったら、見えたんだろうけど。今更そんなことを言っても遅い。

 ……どうする?

 先頭を確認せずに走り続けるなんて、できるわけがない。

 だからといって、今になって走り方を変えるなんて、それこそ不可能だし。

 考えろ。体力はまだ余ってる。ペースだって乱れずにここまで来れてるんだから。

 あと一つ、今の順位をキープしたままで、先頭の様子を伺う方法。

 それさえ見つけられれば、勝てる。

 

「はッ……クソッ……!」

 

 ……ホント、こんなことになるんだったら、ちゃんと身長伸ばしておくんだった。

 そうすれば前のヤツの背中から、ひょい、ってのぞき込めるし。

 というか、アタシ以外のヤツらが軒並みデカいのが悪い。なんなんだ、ホント。

 いつもの授業だってそうだ。黒板見えないから、机をちょっと横にズラさないといけないし。

 体が小さかったら板書すらマトモにできないのか。あーもう、イライラする。

 ……ダメだ。余計な方に考えが寄って行ってる。レースに集中しないと。

 とにかく今は、先頭の様子を伺う方法を……。

 …………。

 ……あ。

 

「横、か」

 

 コースを大きく膨らませながら、集団の外側、斜め後ろの位置へ。

 足音と空気の揺れる音が遠ざかって、レースから弾き出されたような感覚になる。

 だいぶスタミナを使うことになったけど、スパートをかける分は残ってるから問題ない。

 

「……見えた」

 

 先頭は……ハヤヒデか。やっぱり、というか当然というか。

 チケットは真ん中あたり。そのすぐ後ろくらいにマチカネフクキタル。

 ……うん。ペースはつかめた。それにハヤヒデなら堅実に、コーナーで勝負してくるはず。

 だったらアタシは、それに正面からぶつかるだけ。

 第四コーナーに差し掛かると同時に、脚に力を込める。

 前に並んでるのは、八人。ハヤヒデとの距離も、そこまで離れてない。

 ――いける!

 

「おぉぉぉおおおッ!」

 

 大地を蹴って前へ突き進むと、景色がぐん、と背後に引っ張られる。

 並ぶ背中を追い抜いて、そのまま先頭集団に。一瞬、ハヤヒデの視線がこちらに向いた。

 驚いてる。初めて見るハヤヒデの表情(かお)だ。

 そりゃそうか。先頭を走ってたら、急にアタシが並んできたんだから。当然か。

 ……はは。

 

「悪いね」

 

 アタシの呟きが聞こえたのかは、分からないけど。

 過ぎ去っていくハヤヒデの口元には、どうしてか笑みが浮かんでいるのが、見えた。

 

 

「走り方、変えたのか?」

 

 レースを走り終えた、その直後。

 ターフで息を整えていると、ハヤヒデが後ろからそんな声をかけてきた。

 

「まあ、ね」

「あの位置から追い上げてくるなんて、正直思わなかった。驚いたぞ」

「みたいだね。追い抜いた時のアンタの顔、面白かったよ」

「そうだな。今回ばかりは、何も言い返せない」

 

 呆れたように肩をすくめるハヤヒデに、思わず笑みが零れる。

 ……レースで一着をとったの、いつ以来だろう? 少なくともここ数ヶ月はなかった気がする。

 そう考えると、さすがに飛んで喜んだりはしないけど、じわじわと達成感が込み上げてきた。

 勝てるんだ、アタシ。アイツの言ってること、ウソじゃなかったんだ。

 ……よかった。

 

「そういえば、チケットは……」

「タイシーーーン!!!」

「うわっ!?」

 

 振り向いた矢先、全力で飛びかかってきたチケットに抱き着かれた。

 

「タイシンおめでとー! あの追い上げ、ほんと凄かったよ!」

「ちょっと! 暑いから離れろ!」

「これで退学しなくてもよくなったね! アタシ、まだタイシンと走れるんだ! よかったー!」

 

 ……ああ、そっか。

 そんな話も、してたっけ。

 

「自分のことなのに、忘れてたのか?」

「レースに集中してたから」

「か」

「か……?」

「かっこいいーー! かっこいいよ、タイシン!」

「あーもう! 事あるごとに抱き着いてくんなって!」

 

 こちらのことなどお構いなしに迫ってくるチケットを、いつもみたいに無理やり押し退ける。

 

「二人とも、じゃれ合うのはいいが場所を移すぞ。次のレースが始まる」

「じゃれ合ってないんだけど?」

「それにタイシン、君には結果を報告する人がいるんじゃないか?」

 

 ハヤヒデの放ったその言葉に、先にチケットが何かに気づいたように声を上げて、

 

「そういえばタイシンのトレーナーさんは?」

「……知らない。どっかで見てたんじゃないの?」

「探しに行った方がいいんじゃないか? きっと待ってるぞ」

「だったらアタシ、探してくるよ! きっと向こうの方にいるかも!」

「勝手に行くなって!」

 

 それにチケットが行くの一番意味わかんないでしょ! 行くならアタシが先だって!

 なんてアタシの言葉なんてアイツに届くはずもなく、走り始めたチケットを二人で追う羽目に。

 レース直後なのに、どこにあの体力が余っているのかは、未だにわからなかった。

 

「あ、いたよ! ほら、あそこ!」

 

 声を上げたチケットの視線の先に、レースの観客の中で誰かと話しているアイツの姿が見えた。

 相手は人込みに紛れて分からないけど、なんだか疲れている様子は、遠くからでも伺えた。

 ……というか、レースに勝ったアタシより、誰かと話す方が先?

 ふーん。

 

「ちょっと」

 

 気づけば、チケットとハヤヒデよりも先に、アイツに話しかけていて。

 振り向いたアイツは、ああ、と思い出したように、手を挙げて返してきた。

 

「勝ったのか?」

「勝ったけど。見てなかったの?」

「人探しをしていたから、見れなかった」

「は? 何それ、言い訳?」

「そんなつもりはない」

「だったら、自分の担当の走りくらい、見とけっての」

「だが、勝っただろ」

「……うん」

 

 するとアイツは、自分の拳をアタシの前に突き出して。

 

「よくやった」

「……ありがと」

 

 こつん、と。

 アタシも自分の拳を、合わせた。

 

「アツアツだねえ、お二人さん」

 

 なんて、急に声をかけられて、初めてアイツの話し相手の方へ目を向ける。

 男だった。背はアイツよりも低いけど、そもそもアイツが高いから、十分高い方。

 長い髪を後ろでまとめていて、なんだからとろんとした、気の張ってない目元が印象的だった。

 トレーナー、なんだろう。アイツと話してたし、胸にトレーナーバッジついてるし。

 そして何よりも、コイツの隣にツインターボがいるのが、決め手だった。

 

「勝ったんだな! えーと……」

「……ナリタタイシン」

「そうか、タイシンだな! さすがはカジウラが可愛がってる娘だ!」

「だから何なのさ、それ」

 

 ってか。

 

「カジウラって、アンタのこと?」

「ああ」

「……名前、今初めて聞いたんだけど?」

「聞かれていないからな。実際、今まで問題はなかっただろう」

「…………」

「…………」

 

 …………。

 

「け、ケンカか……?」

「違う。呆れてるだけ」

「ごめんなー。コイツ、昔っからこういうヤツだからさ。何となく分かると思うけど」

 

 ははは、なんて頭の後ろに手をやりながら、ソイツは続けて、

 

「僕は桐谷。梶浦とは昔っからの付き合いでね。よろしく」

「……よろしく」

「今はチームの運営の相談をしてたんだ。すまないね、彼を引き留めてしまって」

「別に……」

「ところで、向こうの二人は君のお友達?」

 

 何かに気づいたコイツ――キリヤの視線に、首を傾げながら振り返る。

 するとそこには、遠くでアタシのことを見つめている、ハヤヒデとチケットの姿があった。

 

「なんでそんな遠くにいんの」

「まあ、その……何だ」

「タイシンとトレーナーさんの邪魔しちゃダメだと思って!」

 

 どいつもこいつも変な誤解ばっかりしてて、怖いんだけど。

 しばらくすると二人は一度顔を見合わせてから、こっちに歩いてきて。

 そこでアイツが、ようやく二人に気づいたように手を挙げた。

 

「君たちか」

「タイシンのトレーナーさん、こんにちは! タイシンの走り、すごかったでしょ!」

「すまない、人探しをしていたから見てない」

「え」

「だが、勝ったのは分かる」

「そうなんだ! つまり、以心伝心ってやつ!? すごい!」

「よく分からないが、多分そうなんだろう」

「ってことは、今タイシンが考えてることも分かるの!?」

「ああ」

「んなわけないでしょ」

 

 出会うたびに漫才するの、やめてほしいんだけど。

 

「君が、あのツインターボのトレーナー?」

「そうだよ。君はハヤヒデちゃん……だったっけ。長い付き合いになると思うから、よろしくね」

「……というと?」

「実はターボたちのチーム、もう一人募集してるんだ!」

「そのスカウトを今回の模擬レースでやろうと思っててさ」

「でも、一着のタイシンはカジウラにとられちゃったからなー」

「……そこで、だけどさ。二着の君、どう?」

 

 なんだかアタシを置いて、話がどんどん進んでる。

 ただでさえ人が多い上にそれぞれで変な会話をしてるから、ごちゃごちゃしてきたし。

 というか、メンバーを募集してるチームって確か、もう一個……

 

「そのスカウト、ちょっと待ったァー!」

「げ、タマちゃん!?」

 

 あーもう、またうるさいヤツが!

 

「何やキリヤ、その反応は! ウチがいたらいかんのか?」

「だってタマちゃん、人が目ぇつけてた娘、ぜんぶ取っちゃうもん」

「そんなことないで? なあ、オグリ? クリーク?」

「強引だとは私も少し思うぞ」

「でも、そこがタマちゃんのいいところだと私は思いますよ?」

「否定しいや! 変なフォローはいらんねん!」

 

 とにかく、とオグリキャップとクリークの言葉を跳ねのけながら、タマモクロスが続ける。

 

「さっきの走り見とったで、ビワハヤヒデ」

「ああ……それはどうも」

「でな、単刀直入に聞くけどな? 自分、チームに入る気あるか?」

「勧誘があれば、喜んで」

「だったらウチ(センチネル)に来たらええ! ほらほら、こっちこっち!」

 

 珍しくハヤヒデが流されてる。そうしてタマモクロスにされるがままに、向こう側へ。

 ……やっぱり、かなり強引だと思うんだけど。

 

「決定やな! センチネル、五人目のメンバーはビワハヤヒデや!」

「ちょっとー、だから取らないでって」

「アホ、こんなん早い者勝ちやねん。チンタラしとる方が悪いわ」

「そういうところじゃないの……」

「うっさいタイシン! 元はと言えば自分がソイツの予約済みなのが原因なんやで!」

 

 びし、なんて効果音が聞こえてくる強さで、タマモクロスが指をさしてくる。

 でもまあ、ハヤヒデからすればよかったんだとは思う。

 前々からレースには出たがったし、それにタマモクロスのチームなら優秀そうだし。

 ……となると。

 

「じゃあ君……チケットちゃん、だったかな。ウチくる?」

「え、いいんですか!」

「君だって三着だったしね。素質はある。どうかな?」

「行きます! アタシも、ハヤヒデやタイシンと走りたいです!」

「うん、そっか。それなら一緒に頑張ろうね」

 

 そんな感じで、とんとん拍子に事が進んでいって。

 ようやく話も纏まったみたいだし、やっと落ち着ける……

 

「あれ、スズカ? おーい、スズカ! こんなところで何しとんねん!」

 

 ……頼むから、これ以上話をややこしくしないでほしい。

 なんてアタシの意志とは裏腹に、こっちらに振り向いたのはサイレンススズカだった。

 詳しいことは知らないけど、他のヤツらに疎いアタシでも知ってる有名人。

 そんなアイツは、こちらにやってくると、アタシたちを一瞥してから、首を傾げて、

 

「……えっと、これってどういうメンツですか?」

「ま、メンバーのスカウトしてたら色々あってな。スズカは?」

「私は友達の……フクキタルのレースを見に来てて」

 

 その言葉で初めて、彼女の背後で縮こまっているマチカネフクキタルに気が付いた。

 ……居たな、そういえば。すっかり忘れてたけど。

 

「あん? ああ自分、さっき八着だったヤツか」

「言わないでくださいよ! うう、これも四番を引いてしまったが故の悪運っ!」

「こればっかりは関係ないと思うけど……」

「せや、スズカ。ウチの新メンバー決まったで。コイツ、ビワハヤヒデや」

「よろしく」

「ああ……どうも」

「よかったな、スズカ。初めての後輩やんか。ちゃんと指導せえよ?」

「後輩って言っても、ほとんど同期ですけど……」

「だが、レースの経験は上だろう。よろしく頼む、先輩」

「どうしてそんなにノリノリなの?」

 

 ハヤヒデの言葉に、サイレンススズカはきょとんとした顔のまま首を傾げていた。

 というか、サイレンススズカってタマモクロスのチームメンバーだったのか。

 この時点でかなり強いメンツが揃ってる。残りのメンバーも気になるけど。

 なんてことを考えていると、縋るように周囲を見渡しているマチカネフクキタルと目が合って。

 ……まずい。

 

「タイシンさーん!」

「こっち来ないでよ……」

「そんなこと言わないでくださいよ! 一緒に走った仲じゃないですか!」

「……悪いけど、あんまり見てなかったかも」

「そんなぁ!」

 

 変に高くて特徴的な声が、頭にがんがんと響き渡る。

 今日はもう疲れたから、あんまり関わりたくないんだけど。

 というか、今すぐここから立ち去りたい。人口密度がおかしくなってるし。

 だんだん話もこんがらがってきたし、どうやって収拾つけるつもりなの、これ。

 

「……俺たちも、誰かチームにスカウトする流れか?」

「話の流れ、一個遅れてるって」

「しかし、新設するにあたって人員は必要だろう」

 

 それは、そうかもしれないけどさ。

 でも、チームを募集してるウマなんて、そんな都合よくいるわけ……。

 

「あれ、タイシンさんのところ、チーム作るんですか?」

「そうだけど、何?」

「私、実はまだ未所属で……」

「そうなのか?」

「………………」

「………………」

「見つめ合うな見つめ合うな!」

 

 叫ぶアタシに構うことなく、マチカネフクキタルは手を合わせて、

 

「なんたる僥倖! シラオキ様のお導きとはこのことだったのですね!」

「だからそれ意味わかんないって……」

「決まりだな。それとオグリ、来てくれるか?」

「私か?」

「ああ。お前もチームメンバーに入れる。問題ないな?」

「……いいのか?」

「構わない」

 

 迷いのないアイツの言葉に、オグリもこちら側へ。

 そんな二人のやり取りを見ていたクリークも、何かに気づいたように手を叩いて、

 

「じゃあ、私はこっちに行った方がいいですかね?」

「……クリーク? あんた、もしかして仮メンバーの話って……」

「ウチだよ。ターボちゃんたちの相手をしてくれるから、すごく助かっててね」

「お世話のし甲斐がある子たちがいて、私も居心地いいんですよ」

 

 頬に手を当てながら笑うクリークの言葉で一度、会話が途切れる。

 そうしてアタシたちをぐるっと見まわしたタマモクロスが、口を開いて、

 

「なるほど、すっかりバラバラになってもうたなあ、三人とも」

 

 そこで初めて、アタシたちがそれぞれ三つに分かれていることに気が付いた。

 ハヤヒデのところには、タマモクロスとサイレンススズカ

 チケットのところには、ツインターボとクリークに、トレーナーのキリヤ。

 そしてアタシのところには、マチカネフクキタルとオグリキャップ、トレーナーのカジウラ。

 

「三國志でも始めるつもりなんか?」

「……アンタたちが勝手に取ってったんでしょ」

「僕はそんなつもりなかったんだけどねぇ」

「チケットを取っていったの、アンタでしょ」

「でも、これでタイシンもハヤヒデもアタシも、レースに出られるってことだよね?」

「そこは私たちの頑張り次第だろう。まあ、勝ち進めば最後は同じところに行き着くだろうが」

「……せいぜい早めに来てよね、二人とも。有記念で、待ってるから」

 

 チケットとハヤヒデ、それぞれと視線を交わすと、二人とも確かに頷いてくれた。

 

「有記念か。大層な自信やなあ、タイシン?」

「別に。アタシなら勝てるって、コイツが言ってたから」

「そーかそーか。ほんならウチらも負けてられへんな、ハヤヒデ! スズカ!」

 

 なんて、急に名前を呼ばれて驚いた二人へ、タマモクロスが声を張り上げて、

 

「今年のチーム『センチネル』の目標は、有でお前らを勝たせることや! ええな!?」

「ええと……加入するときそんな話は一度も……」

「返事ィ!」

「は、はい!」

「……ああ」

 

 ハヤヒデの返答に続いたのは、今までのやり取りをぽかんと見ていた、ツインターボで。

 

「なーなー、キリヤ? みんな有に出るのか?」

「みたいだね。ターボちゃんも出たい?」

「もちろん! 有に出て、みんなで走りたい!」

「じゃあ、ターボちゃんもタマちゃんみたいに言ってみたら?」

「それなら……」

 

 言われるがまま、というか流されるがままに、ツインターボは一歩前に出て、

 

「今年のチーム『ホライゾン』の目標は、有に出て、みんなと走ることだ!」

「……走るだけでいいんですか? 勝つとかじゃなくて?」

「もちろん、勝つよ! だってターボ、走れば絶対に勝てるもん!」

「ほとんどターボちゃんの目標になっちゃったねえ」

「でも、私は賛成だよ! 有に出て、タイシンやハヤヒデと走りたいもん!」

「そうか、チケットは賛成か! おまえいいヤツだな!」

 

 ……あそこのチームとはあまり関わらないようにしよう。明らかにノリが合わない。

 とにかく、どういうノリかは分からないけど、二人のチームの目標は決まったわけで。

 

「そういえば、私たちのチーム名は決まってるんですか?」

「さあ。私は何も聞いていない。というより、私がチームに入るのを今知ったからな」

「そこのとこ、何か考えてるの?」

 

 問いかけると、トレーナーは少しだけ考えてから、小さく呟いた。

 

「……ラストスタンド、というのは……どうだろう?」

「ふーん」

「そうか」

「なるほどですね」

「……すまない。変だったら全員に任せる。こういうのはあまり慣れてなくて……」

「いいじゃん、チーム『ラストスタンド』で」

 

 ラストスタンド(最後方に立つ者)。アタシの今の走り方と合ってて、いい感じ。気に入ったかも。

 そう考えていると、ふとタマモクロスとツインターボが、こちらを見つめていることに気づく。

 ……だから、そういうノリは苦手なんだってば。強要するの、普通にダルいんだけど。

 でも、そうか。このチームは実際、アタシとコイツで始めたようなモンなんだ。

 じゃあ、アタシ以外にいないか。

 

「チーム『ラストスタンド』の目標は、有で一着を取ること。これでいい?」

「はい、賛成です!」

「私もだ」

 

 二人も遠慮してるわけじゃない。アタシの掲げた目標に、ついてきてくれるみたい。

 むずがゆくなった頬をかいていると、またタマモクロスが大きな声を張り上げて、

 

「よし、決まりや! 新生『センチネル』、今からトレーニングしに行くで!」

「い、今からか? 私はこの後、少し用事が……」

「そんなもん後でええ! スズカもや! 今年はお前ら二人、ビシバシいくから覚悟しとき!」

「ええ……」

「思いっきり走らせたるから! しっかりついて来るんやで! ええな!?」

 

 そうやって二人を引き連れて、タマモクロスたちがその場を後にする。

 

「ターボたちもいこ! 有で走るために、たくさんトレーニングするんだ!」

「うん! アタシも今日から頑張るよ!」

「……元気な子がまた増えたねぇ。どう思うよ、クリークちゃん?」

「私はいっぱいお世話できて嬉しいですよ?」

「言うと思ったよ」

 

 なんて会話を広げながら、ツインターボたちもトレーニングのために立ち去っていく。

 

「さて、私たちはどうする?」

「やっぱりここはトレーニングでしょう! 私たちだって負けてられませんし!」

「二人はやる気みたいだけど。どうするの?」

 

 そうやって投げかけた言葉に、アイツはアタシたちの目を一度見てから、言った。

 

「……焼肉、行きたくないか?」

 

 




スマブラ並みの人数に増えて読みづらくなってしまった もっと考えて流れを作ります

アンケートなんですけど、投稿頻度に関してです
今まではキリのいいところまで書いたらすぐに投稿してたんですけど、それだと文字数が多くても5000とかになっちゃうんですよね。それで、もしかしたら一話あたりの文字数もっと多くしてほしい(多分そうしたら今回くらいの文字数になるかも)とか、あるいはもう少し書き溜めてから定期的に投稿してほしいみたいなお声があったら、そっちの方向に執筆の仕方を変えたいと思います(まあエタるときはエタるんですが……)。
よろしければ投票の方お願いします~ 自分で決めれなくてすまん

投稿頻度に関してのアンケート

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