今回から東方妖滅録を投稿していきたいと思います。
なんか無性に書きたくなってしまったので。
今回の話は幻想入りではありません。元から幻想郷が舞台です。主人公は幻想郷で生まれ育っています。
それではどうぞ!
第1話 憧れ
かきぃぃぃん。
甲高い音が夜の森に響き渡る。
金属同士がぶつかり合って奏でた音色だ。
そしてこの音は僕たちから発せられた。
「お、私の刀を受け止められるようになったのね
「僕だって、成長してるんだよ。お姉ちゃん!」
この音は僕たちが稽古をしている音。実際に真剣を用いて寸止めで力較べをする。
だけど、僕がこれでお姉ちゃんに勝てたことは一度たりともない。何せ、お姉ちゃんはものすごく強いのだから。
この地域では剣の大会というものが存在している。
その大会にお姉ちゃんは出場して二度も準優勝をしている。だが、お姉ちゃんはこの結果に不満があるようだった。
僕的には凄い事だと思ったんだけど、お姉ちゃん的にはやはり一番が欲しいようで、毎回準優勝止まりなのが悔しいのだろう。
でも、こんなに強いお姉ちゃんは僕の誇りであり、憧れだ。
こんなこと本人に言ったら調子に乗るから言わないけど。
「私も頑張らないとなぁ。直ぐに弟に追いつかれちゃう」
「僕なんてまだまだ全然だよ。だって同年代で僕は一番弱いから……。だけど、お姉ちゃんは疾風の
「ありがとう、黒葉……っ!」
お姉ちゃんは感極まったのか僕の体をぎゅっと抱きしめる。
其れがなんだかとても安心できて、こんな日常がずっと続けばいいなと、そう思ってしまうほどだった。
僕の家は両親共働きでひとざとの中心部の方で働いているため、滅多に帰ってくることがないから僕はあんまり両親のことは知らない。
お姉ちゃん曰く、どうやら僕の父さんもすごく強い人だったんだとか。僕は父さんが戦っているのを見たことがないから知らないけど。
なので、今は僕とお姉ちゃんの二人暮しと言っても過言ではない状況だ。
僕とお姉ちゃんの二人で武器屋を切り盛りして、その収益と両親からの仕送りでまぁまぁ困らない程度にいい生活は出来ている。
僕は人里の中心部で見た鍛冶屋がカッコイイと思って、鍛冶屋の勉強を頑張ってついに自分で武器を作れるようになった。
その武器をお姉ちゃんと一緒に売っている。
ただ、僕らの家が人里の端っこのせいで中々客足は伸びないけど。
そんなある日の事だった。
なんかやけに外が騒がしいと思って真夜中に目を覚ましてしまった。
すると、周囲は火災によって火の海になっていた。
窓から見えるのは叫びながら避難していく人々。
その様子に僕は思わずいっしゅんだけ思考が停止してしまった。
慌ててこのことをお姉ちゃんに知らせようとお姉ちゃんの部屋に来ると、そこにはお姉ちゃんの姿は無かった。
代わりに聞こえてきたのは外で避難を促しているお姉ちゃんの姿。
僕も慌てて外に出るとすごい熱気が僕を襲った。
「黒葉!?」
「お姉ちゃん、これは?」
「分からない。分からないけど、確かなことはこれは自然発火ではない……」
「自然発火じゃない?」
それってまるで、これは放火による火災だって言っているように聞こえるけど。
まさか放火なんて……。
すると奥の方で炎の柱が上がるのが見えた。その事でお姉ちゃんの言った言葉に真実味が帯びてくる。
今のが何者かの"能力"なのだとしたら、これは確実に……異変だ。
「黒葉、みんなと一緒に逃げて」
「お姉ちゃんはどうするの?」
「私は……」
そしてお姉ちゃんは愛刀、
その目は覚悟の決まった目をしていた。
お姉ちゃんは強い。恐らくここら辺では一番強いだろう。
でも、なんだか胸騒ぎがして仕方がないのだ。
「私はあれを止めに行く」
「僕も行く!」
「だめ。黒葉じゃ勝てない」
「僕だってお姉ちゃんと特訓したんだ!」
僕も一応戦えるだけの力はある。
確かに僕は最弱かもしれない。だけど、それはやってみないと分からない。
それに……お姉ちゃんが心配だから。
「……黒葉、ごめんっ!」
「え? おねえ……ちゃん」
僕はお姉ちゃんの謝罪の声が聞こえた直後、意識を失ってしまった。
暗い森の中、お姉ちゃんが無数の異型の生物と戦い続けている。
だけど、そんな戦いは長くは続けられなくて、そしてやがてお姉ちゃんは――
「やめてくれぇぇぇっ!」
僕は思わず飛び起きてしまう。
どうやら三十分程、気を失ってしまっていたようだ。
近くには多くの避難してきたのであろう人達が集まっていた。
ただ、その中にはお姉ちゃんの姿は無かった。
「おう、起きたか坊主」
「あ、おじさん」
この人は僕らが小さい頃から世話してくれていたおじさん。
どうやら気を失った僕を介抱してくれていたのはおじさんの様だ。
「ねぇ、お姉ちゃんは?」
「白愛か……あの子は多分、まだ戦ってるよ。みんなを逃がすために」
その言葉を聞いて僕は心臓がはねた。
そして、反射的に刀を取り出して走り出していた。
「まて、黒葉! 行っちまった……」
僕は走り続ける。
ここは果たしてどこなのだろうか。それは分からない。だから僕が今、どこへ向かって走って行っているのか、それは全く分からない。
ただ、一つの目的へと向かって走り続ける。
そしてやっとたどり着いた。辿り着いたのだ。だが――
「か、はっ」
目の前でボロボロの女性がぶっ飛ばされて木に激突するのを目撃してしまった。
そしてその女性は僕の――最愛の姉、
はい!第1話終了
どうでしたか?
この後5分毎にあと2話投稿します。それでプロローグ完結です。
今まで書いた主人公の中で最も残酷な使命を持っている主人公になるかと思います。
それでは!
さようなら