【3章投稿中】東方妖滅録   作:ミズヤ

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 はい!どうもみなさん!ミズヤです



 それでは前回のあらすじ

 恋がやられそうになったことで妖夢と威迅の勝利が濃厚になったが、芭露が奥の手を披露。

 威迅が防御しようとした瞬間に腕を凍らせて防御をさせないことに成功し、威迅は為す術なく攻撃を受けてしまう。

 さすがに黒葉はどうすればいいのか分からなくなったが、信じろという威迅の言葉を信じて、何とかしてと威迅に指示した。

 そして威迅は本当に何とかし、攻撃してくる芭露をぶっ飛ばすことに成功した。


第106話 冬夏白愛

side三人称

 

「てめぇのその武器、一体なんなんだ!」

「これか? これは爺さんから貰った普通の安物の刀だ」

「嘘つけ。普通刀ってのはな! そんな風にしなることはねぇんだよ!」

 

 妖夢は近くで見ていたから何が起こったのか、その全てが見えていた。

 妖夢の視界には恐らく突如として刀が勝手に動いて伸び、そして曲がって芭露の事を弾き飛ばしたと。

 全くその通り、何も間違っちゃいない。

 実際に突然伸びて動いたのだ。

 

 そして今も、まるで鞭のように地面に刀身が垂れ下がっている。

 

「てめぇの能力は一体なんなんだよ! ナイフによる攻撃を防ぎ、今度は刀を鞭のように扱う。てめぇは化物かよ」

「化け物……か。俺が化け物だとしたら俺よりつえーヤツはなんだ? 神か?」

 

 猛抗議するように言う芭露に対し、少し悔しそうに言う威迅。

 威迅の脳裏にはある1人の人物が思い浮かんでいた。

 威迅がどれだけ修行しても届くどころか、逆に距離がどんどんと離れていく威迅の目標のような存在。

 


 

side威迅

 

「そこまで!! 勝者、冬夏白愛!!」

 

 審判が白愛の刀を握っていない方の腕を掴むと、天高く掲げて勝利宣言をした。

 そしてその目の前にはみっともなく地面に倒れ伏せている俺、分郷威迅が居た。

 

 この人里で定期的に開催される剣術大会。

 参加希望者を募って行われるこの剣術大会では剣術と謳ってはいるが、殺さない限りは自由に戦ってもいいというものだ。

 つまりは霊力オーケー、能力オーケー。

 

 そんな大会で俺は霊力も能力も全力で使用し、そして決勝で白愛に敗北した。

 それも霊力も能力も使用せず、単純な剣術のみで戦ってきた白愛に手も足も出ず、圧倒的敗北を喫した。

 

 ここまでの大敗をしてしまうのは初めてだった。

 

 白愛は強かった。

 何度挑んでも、どれだけ修行しても決して届くことはなく、むしろその背中が離れていくような気さえする程だった。

 

 白愛は俺より1つ下の9歳だと言うのにその剣の技術は凄まじく、目にも止まらぬ斬撃、そして重い一撃を放ってくる。

 この里の大人たちでさえ、誰も本気を出した白愛には勝てないと言うほどの実力だった。

 

 1度だけ本気の白愛と戦った。

 だが、あれにはさすがに勝つことが出来ないと、白愛が本気を出して1秒で悟った。

 周囲を一瞬にして雪原に変化させ、猛吹雪が起こり、あいつからはとんでもない食物連鎖の上位の気配を感じた。

 

 ――あいつの力は異常だった。

 

 修行したからだとか、良い師範が居るからだとか、そんなちゃちな力じゃなかった。

 あれは間違いなく神の寵愛を受けている。そうとしか思えないほどの実力に、俺はものすごく感動した。

 

 悔しいとか、勝ちたいだとかそんな感情はとっくに全て消え去っていた。

 もちろん見かけたら手合わせを申し込んだが、勝ちたいという感情ではなく、ただその実力を見たいと、そして白愛と手合わせをしたら自分もどんどんと強くなっていっている気がしたから、だから俺は戦い続けた。

 

 憧れだったんだ。

 あれこそが俺の目指している高みだと、そう感じたんだ。

 いや、今思うともしかしたら憧れと言うよりも崇拝の域だったかもしれんが。

 

 だが、それから1年後、俺が11歳、白愛が10歳の頃、突如としてそいつは里に現れた。

 そいつは黒い髪で、いかにもひょろひょろそうな5歳のガキだった。

 

 そのガキは今までの記憶を全て失っているらしく、金髪のヘンテコな格好をして箒に跨った女が連れてきて、冬夏家に押し付けていきやがった。

 白愛はその時、弟が出来たってすげー喜んでたか。

 白愛のおやっさんはだいぶ反対していたみたいだが、白愛とおばさんの説得で折れたみたいだ。女共は結託するとこえーからな。

 

 そこから全てが狂った。

 

 しばらくして前のように手合わせを申し込んでも「忙しい」と言って手合わせをしてくれなくなってしまった。

 白愛は戦うことが好きなようで、手合わせを申し込まれた場合は相手が誰であろうとも断ることなど無かったというのにどうしたのだろうかと気になった俺は少し観察してみて、目を見開いて驚いた。

 

 白愛の家の前、そこでは白愛は尻もちをつき、目の前には初老の白いおっさんが刀を手に立っていた。

 この状況から俺は察した。

 

 ――白愛が負けたのだ。

 

 それから白愛はそのおっさんに稽古をつけてもらうようになって里の中心の方にはめっきり顔を出さなくなった。

 だが、強くなろうと思う気持ちは誰だって同じなんだということを考えるとなんだか嬉しくなってきた俺はそっとしておくことにした。

 

 それから2年が経過し、俺も13歳になった。

 久々に白愛の家に訪れた時、その時既に白愛の姿は無く、すすり泣く黒髪のガキしかそこには居なかった。

 名前は黒葉って言うらしい。なんでも、白愛達がつけた名なんだとか。

 

 白愛の両親に白愛について聞いても突然身支度をしてどこかへと居なくなってしまったらしいと言うことしか分からなかった。

 さすがに7歳程になると、あのガキは色々できるようになっていて、飯とかも自分で用意出来るが、それでも心配という事でいつの間にか黒葉と仲良くなっていた茉衣が飯を持って行ったりしてたっけか。

 

 だが、直ぐに白愛は帰ってくるだろう、そう考えていたが、白愛は全然里に帰ってくる気配がなかった。

 中には神が連れ戻したんじゃないかとすら噂するやつもいた。

 だが、俺は信じない。神なんて……この世には居ないんだから。

 

 それから更に2年が経過した。

 俺は15歳、黒葉の奴は9歳、そして白愛は生きていれば14歳になっているであろう年。

 そいつは急に里へ姿を見せた。

 

 直ぐにその霊力に気がついて里の入口まで様子を見に行くと、確かにそこには2年前に姿を消した里最強の剣士、冬夏白愛の姿があった。

 だが、その姿は以前のものとはまるで違う。

 以前からは考えられないほどにボロボロになった姿に俺は挨拶もできず、ただ横を通っていく白愛を尻目にボーッと里と入口を見つめることしか出来なかった。

 

「そこまで!! 勝者、分郷威迅!!」

「あはは、負けちゃった。強くなったね、威迅君」

 

 以前とは違い、俺が立っていて白愛が地面に尻もちを着いているという状況。

 審判は俺の腕をとって天高く掲げるが、その状況に俺は怒りしか覚えなかった。

 目標としていた相手を倒し、超えたのだ。普通ならもっと喜ぶべきところなんだが、その白愛のヘラヘラとした態度と俺をイラつかせる要因だった。

 

 ――俺が強くなったんじゃない。お前が……弱くなったんだ。

 

 今回、俺は全く能力を使用しなかった。そして同じく白愛も能力を使用しなかったが、その動きは以前戦った白愛のものでは無く、かなりぎこちなくなっていた。

 それでも里の中ではまだ強い方なのだが、それでも白愛は大幅に弱くなってしまっていた。

 

 白愛が弱くなった原因は分かりきっている。

 この2年の旅で何かがあったに違いない。

 そしてタイミングから考えたら黒葉の奴が関係していることは明らかだった。

 それから俺は元々やさぐれた態度だったが、黒葉に対してはよりキツく当たるようになった。

 

 それから1年後、里は襲撃に遭い、俺が他の場所で妖怪の対処をしている間に白愛は力を使い果たして死んだ。

 最期はものすごく儚い伝説、俺の憧れの人だった。




 はい!第106話終了

 威迅の過去回想でした。

 今回は東方キャラは全然出てませんが、許してください。

 で、白愛はプロローグであっさりとやられてしまったんですが、本当はめちゃくちゃ凄い人なんですよ。

 威迅は手も足も出なかったくらいですからね。

 それでは!

 さようなら

銀河天音はどっち陣営だと思いますか?

  • 味方
  • 中立
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