【3章投稿中】東方妖滅録   作:ミズヤ

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 はい!どうもみなさん!ミズヤです



 それでは前回のあらすじ

 威迅は芭露に化け物と呼ばれたことで昔のことを思い出す。

 まだ黒葉がこの里に居なくて、白愛がこの里では最強と呼ばれていたころの話。

 威迅は全く持って白愛に手も足も出なかった。

 だが、それから六年後、旅から帰ってきた白愛は当時よりも圧倒的に弱くなってしまっていた。



 それではどうぞ!


第107話 決着……?

side三人称

 

(これ、形状は多少違うけど、初めてあった時に使っていた力に似ている。刀を伸縮させる力、そして刀をしならせる力)

 

 妖夢は威迅の力を見て能力を考察し始める。

 今と同じように初めて会った時も威迅は刀を伸ばして盾の能力者にとどめを刺していた。そこから同じ力を使っていると考えられるものの、前に使っていた時には鞭のようにしなったりなどはしていなかったのだが、今はまるで鞭のようにしなっている。それでいて鋭く刃物の体裁を保っているのだから意味が分からない。

 

「その鞭、気持ち悪いな。お前が手を動かしていないのに独りでにうねうねと動いている」

「独りでに動いているわけじゃねぇよ。今も常にこの刀の中には俺の霊力が廻っている。俺の霊力に反応してこいつは動いているんだ」

 

 そう言ってわざと自分の周りを腕を動かさずにひらひらと動かして見せる威迅。

 一見、あほそうに見える行動なのだが、実際は攻防完ぺきな動きである。なにせ、このリボンの様にひらひらと動くこれは全て刃物なのだ。

 攻撃しようと下手に近づくと切り刻まれ、攻撃を放ってもこの斬撃のバリアに防がれてしまう。

 

「なるほどな……それがお前の隠していた力っていうわけか」

「そうだな。これは結構神経使うから疲弊感がすげぇんだ。だが、お前とは違って俺のこれは奥の手ってわけじゃねぇぞ。これが俺の本来の戦い方だ」

「そうか、だが、その程度で俺の能力を攻略したと思ったら大間違いだ!」

 

 その瞬間、さらに強い冷気が辺りを包み込み、さっきよりも離れた位置でもその冷気によって凍り始めるようになってしまっていて、衣服と道具、武器なんかは体温などというものがないため、すぐに凍り始めてしまい、威迅の刀の動きが鈍くなってしまう。

 バリバリバリという音を立てながら動いてはいるものの、それでもさっきまでのような俊敏さが失われてしまった。

 

「どれだけ相手がでたらめな能力を持っていようとも、凍らせてしまえばおしまいなんだよ!」

「お前、本当にだるい能力者だな」

「このままこの冷気に当たり続けていたら凍死してしまいそうですね」

「あぁ、だから俺たちは凍死する前にあいつを倒さなければいけないってわけだ」

 

 周囲に放たれているとてつもない冷気。

 その寒さは尋常ではなく、真っ赤に染まってフライパンのような温度にまでなってしまっている壁や地面の温度が下がる暇はなく、真っ赤になった状態で凍り付いていっているという異常自体を引き起こしていた。

 熱いのに冷たい。冷たいのに熱い。

 妖夢と威迅の温度感覚はとっくに狂ってしまっていた。

 

「凍死する前に俺を倒すだって? 凍りかけのお前たちでどうやって倒すんだ? 足も地面にくっついてきているだろう。体も思うように動かせないだろう。それで、どうやって! 俺を! 倒すん、だ!」

 

 芭露はどうやら奥の手に相当な自信があるようで、威迅の能力を目にしても勝利を確信している様子。

 それもそのはず。この温度ならば常人は動けなくなるというもの。

 ただでさえ人間は温度が低くなっただけで動きが鈍くなるというのに、冬の寒さを超えるほどの冷気をずっと浴びていて平気なはずがない。

 それに熱気と冷気を交互に浴びている状況だ。

 

「知っているか? 温度差が激しいと人は体を壊すんだぜ?」

 

 芭露の言う通り、すでに妖夢と威迅の体はその温度差によってボロボロになっていた。

 体力を無駄に奪われ、その上今は厳しい冷気にさらされて思うように体を動かせなくなっている。この状況で、誰がこの二人が勝てると考えるのかという状況。

 

 だが、そんな状況で威迅は不敵な笑みを浮かべて挑発するような一言を放った。

 

「やってみるか?」

「っ、どこから出てくるんだその自信は!」

「お前と同じさ。俺も俺の能力に絶対的な自信がある。嘘だと思うならば試してみろ」

「……そんなに殺されたいなら、まずはお前から殺してやる!」

 

 芭露は左腕に氷のグローブを作り出すとまた威迅に殴りかかった。

 そのグローブは周囲の温度がさらに下がったことによってより強靭なものになっている。さらには芭露が近づくことによって威迅の凍結が進行してしまい、更に威迅を氷の中に閉じ込めていく。

 

「白髪」

「なんですか」

「お前はあとどれくらい戦えそうだ」

「え? そうですね……5分。ですかね」

「そうか、それだけあれば十分だ」

「何をごちゃごちゃと言っている! さっさと俺に殺されろ!」

「いや、お前を倒す算段が付いた、ただそれだけのことだ」

 

 芭露は威迅をたたき割るくらいの勢いで拳を威迅に振り下ろした。

 

 がきぃぃぃぃん!

 

 だが、その攻撃が威迅に直撃することはなく、一瞬で動いた威迅の刀が完璧に芭露の攻撃を防いでいた。

 速さという威力をつけながら放たれた芭露の攻撃を防ぐほどのパワー、それを威迅は腕を一ミリも動かすことなく発揮することが出来、更には――

 

「ぐぅっ」

 

 そんな攻撃を押し返すことが出来るということを証明して見せた。

 さっきまでカチコチに凍っていて、威迅が動かそうとしてもロボットの様にガキガキとゆっくり動くことしかできなかったはずの刀が俊敏に動いたのだ。

 

「こいつは俺の能力だ。霊力を込めれば込めるほど力強くなる。お前程度の氷では俺のパワーを超えることはできねぇよ。知ってるか? 俺はお前よりも強い氷、強い冷気を生み出すことが出来る存在を知っている」

「俺よりも、だと? そんな出鱈目を言うな! 俺の氷こそが最強だ!」

「さて、白髪。ラストスパートだ。途中でへばるんじゃねぇぞ」

「あなたこそ、途中で力尽きないでくださいよ」

 

 そんな様子を見ていた恋は焦りを覚えていた。

 芭露の能力が強力なのは仲間である恋もよく知っているが、この状況、どう見ても追いつめられているのは芭露の方だった。

 そして芭露は戦いに必死で気が付いていないが、威迅も妖夢、どちらもまだ力を隠しているということは外から見ていたらすぐにわかるほど。

 

(まずいまずい。負ける、私たちが? こんな奴らに? 殺される……逃げる? どこへ? あの方はどこへ逃げても必ず見つけて追いかけてくる逃げ場はない。逃げたら確実にあの方に殺されてしまう!)

 

 さっきまでとは違い、恋は恐怖を覚えていた。

 それは咲夜や茉衣たちに囲まれて敗北してしまうということよりも、もっと別の相手に対して強い恐怖を覚え、震えてしまっている。

 

(こいつを人質にして狂犬をボコるだけの簡単な仕事だったはずなのに、どうしてこんなことに!)

 

 恋は逆恨みをして天音を睨みつけた。

 だが、この状況ですごまれたとして全く怖くはないので、睨まれていることに気が付いた天音はこの状況でもその態度をできるのかと呆れるばかりだった。

 

「ありゃー、これは勝負が決まったかな。頼みの綱である奥の手があんまり効果を成していないようだからね。それに、あれには致命的な欠点がある。まぁ、それはあの男の人も気が付いているみたいだけどね」

「欠点、だと?」

「あり? あなた、仲間なのに知らなかったの?」

「何なのよ、あんた、ムカつくわね」

「ごめんね~こういう性格だからさ。でも、あなたほどは質が悪くはないと思うけどね、悪女さん?」

「く、このくそアマ」

 

 煽る天音に対して悪態をつくことしかできない恋。

 頭をフル回転させるものの、恋の能力は天音に無効化され、芭露の能力は威迅に対してあまり効果がない。

 完全に詰みの状態だった。

 

 その焦りを感じているのは恋だけではなく、今押されている芭露も同じだった。

 芭露も焦り、どんどんと霊力をつぎ込んで周囲の温度を下げていき、なんとか威迅と妖夢の動きを止めようとするものの、威迅のパワーにはあまり意味がなく、妖夢に至ってはどういうわけか凍りにくい。

 

「なんなんだよ、お前ら!」

「俺たちは悪の敵だ」

「行きます」

 

 威迅、妖夢両者共に刀を構えて芭露に攻撃を放つ体制を整える。

 

「二人とも、やっちまえ!」

 

 黒葉の声が轟いた。

 黒葉の目にも勝利が見えたのだ。

 

「己の罪に苛まれ、罰を受けやがれ」

「双剣《(しゅん)》」

「己ら!!」

 

 威迅、妖夢両者ともに双剣を使用し、威迅はパワーがある一撃を、そして妖夢は目にもとまらぬ速さの一撃を繰り出した。

 もちろん芭露もおとなしく食らうわけがなく、二人の攻撃に対抗しようと腕に氷をまとわせて二人の攻撃をガードするものの、二人の双剣をそんな防御で防ぎきることが出来るわけがなく、その腕ごと芭露の胴体を切り裂いた。

 

「ぐああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」

 

 芭露の断末魔が部屋中に響き渡った。

 それを聞いた瞬間、恋は何かを覚悟したような表情をした後、ポケットから何かの機械を取り出した。それは何かの装置を起動するためのボタンだった。それを恋は押そうとしている。

 その動きに気付かない人は居なく、全員が嫌な予感をしたため、急いでその動きを止めにかかる。

 

「やめろ!!」

 

 天音が叫んだものの、天音の声に従うはずもなく、恋はそのボタンを押してしまった。

 

「これでお前たちはおしま――」

「あなたもね」

 

 咲夜が恋の背中からナイフを突き刺し、心臓をえぐったことによって恋の生命活動は停止し、その場にぐったりと倒れ込んで静かになった。

 だが、その次の瞬間、ごごごごごごという地響きと共にこのアジトが謎の揺れに包まれた。

 最悪なことが起きている、この場にいる誰もがそのことはすぐに理解し、周囲を見渡した。

 

「て、天井が」

 

 最初に気がついたのは黒葉だった。

 黒葉の声につられて全員が天井を見ると、明らかに天井がひび割れて今にも崩れそうになっていた。

 この瞬間に誰もが理解した。今しがた恋が押したボタンはこのアジトを崩壊させるためのボタンだったということを。

 

「急いでみんなを脱出させないと」

 

 咲夜は時を止め、慌てて全員の回収を試みる。

 時を止めれば時間など関係ないため、みんなを回収して外に出るくらいの時間は稼げると考えたのだ。

 だが、その思惑は上手くいくことはなかった。

 

 咲夜がまず最初に近くにいた黒葉と茉衣を回収してアジトの外に出たその瞬間だった。

 なんと、勝手に能力が解除されてしまい、建物の崩壊が再開してしまったのだ。

 

(な、なんで、時間切れ? どうして? この能力は私の霊力が持つ限りは使い続けることが出来るはず!)

 

 突如として能力が切れてしまった咲夜は急いでほかのメンバーも回収しようと動くものの、時を止めずして間に合うはずもなく、咲夜がアジト内にもう一度入る前にアジトはものすごい轟音を立てて完全に崩れてしまった。

 

「あ、あぁぁぁあぁぁぁぁぁ……っ!!!!」

 

 黒葉と茉衣は咲夜によって助け出され、気が付いたら外にいるという状況で全く理解できていない様子で周囲を見回しているものの、咲夜一人だけが地面に崩れ落ちてしまい、咲夜の咆哮だけがむなしく周囲に響き渡った。




 はい!第107話終了

 ちょっと急いでしまった感はありますが、次回で盗賊編終了です。

 崩壊してしまったアジト、果たして崩壊に巻き込まれてしまったみんなはどうなってしまうのか?

 そして恋が心の中で言っていたあの人とは誰なのか?

 気になることは山積みですが、今後それらが明かされると思いますので、お楽しみに。

 それでは!

 さようなら

銀河天音はどっち陣営だと思いますか?

  • 味方
  • 中立
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