【3章投稿中】東方妖滅録   作:ミズヤ

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 はい!どうもみなさん!ミズヤです



 それでは前回のあらすじ

 威迅が能力を発動し、芭露を追いつめる。

 それを見た恋は何かをたくらみ、何かのボタンを押そうとする。

 もちろん周囲のみんなが止めようとするものの、間に合わずに恋はボタンを押してしまった。

 その瞬間、アジトが崩れ始め、咲夜は慌ててみんなを助け出そうと時を止めて黒葉と茉衣を連れ出したが、そこで能力が切れてしまい、時が進んでしまう。

 それによって咲夜、黒葉、茉衣以外のみんなはがれきの下敷きになってしまった。



 それではどうぞ!


第108話 旅芸人

side三人称

 

「なんで……どうして……今まで一度も勝手に能力が切れるなんてこと無かったのに」

 

 これは咲夜にとって初めての事象だった。

 今まで幾度となく時を止める能力を使用してきた咲夜だったが、今まで一度も咲夜の意志とは関係なく能力が解除されて時が動き出すなんてことはなかったのだ。

 だが、今回は勝手に能力が解除されてしまった。

 でも咲夜はその後すぐに冷静に能力を再発動しようとした。

 しかし、能力が発動することはなく、アジトは完全に崩壊してしまった。

 

 中に残されてしまった人達は全員瓦礫の下敷きとなってしまったのだ。

 

「お兄ちゃん……? お兄ちゃん!!」

「お父さん!! お母さん!!」

「ちょ、二人とも!」

 

 そこでようやく黒葉と茉衣も状況を理解し、慌てて咲夜の腕を振りほどくと、瓦礫に駆け寄り、必死になって瓦礫を避け始めた。

 瓦礫の下にはみんながいる。黒葉と茉衣はみんなを助け出そうとしているのだ。

 

 だが、この崩壊に巻き込まれたのだから、下敷きになっている人は無事では済まないはずだ。下手したら打ち所が悪くて即死ってことも考えられる。

 しかし、咲夜もみんなのことを諦めたくはなくて、両頬をパチンと叩いて気合を入れると立ち上がった。

 

「私は紅魔館の完全で瀟洒なメイド。諦めるものですか!」

 

 咲夜も瓦礫に駆け寄って瓦礫剥がしを始めようとしゃがんだ、その瞬間だった。

 

『メイドさん、瓦礫の上にいる人達全員を避けて』

「!? この声は……」

 

 突如として咲夜の頭の中に声が響き渡った。

 だが、黒葉も茉衣も一切の反応を見せないことから、これは咲夜にしか聞こえていない声だと言うことが分かる。

 それにこの声は咲夜の知っている声で、あんまりこの声に従うのは気が進まない相手の声だった。

 

 どうやって咲夜に声を届けているのかは分からないが、何か策があるのだろうと自分を納得させた咲夜は再び黒葉と茉衣の二人を両脇に抱えると瓦礫の上から降りて少し離れた。

 

「な、何するんですか! あの中にはお父さんとお母さんが!」

「や、やっぱり本性を表しましたね泥棒猫!! 離して下さい! でないと力ずくで――」

『ありがとう』

 

 咲夜自信も何が起ころうとしているのか分からないため、二人からの苦情を完全にスルーしていると、脳内にお礼の言葉が響いてきた。

 その瞬間だった。

 

「壊れろ!!!」

 

 周辺に響き渡るような力強い声。

 その声に反応するようにアジトが崩れたあとにある瓦礫がカタカタと音を鳴らし始めた。

 何が起こっているのかと警戒した咲夜は二人を地面に下ろすとナイフを構えて二人を庇うように前に出た。

 

 すると、1個の瓦礫が突然弾けるように粉々に砕け散った。

 それを皮切りに次々と同じように粉々に砕け散っていく瓦礫たち。

 その瓦礫はまるで、今聞こえてきた壊れろという命令に従っているようだった。

 いや、実際にこの瓦礫たちは意志を持つかのようにその命令に従って壊れて行っているのだ。

 

 こんな光景は他で見ることは無い。

 そのため、黒葉と茉衣はポカンとほうけた様子で固まってしまい、咲夜も冷や汗を垂らして目を見開いて驚愕していた。

 

 まるで花火のように砕け散っていく瓦礫は壊れる時のパコンという音が重なり、まるで火花が散っている時のような音が大音量で鳴り響いていた。

 まさに瓦礫の花火とも呼ぶべき状況。

 

 それが30秒程続き、大量の瓦礫が粉々に砕け散って砂のようになっていた。

 これならばみんなを探し出すことが出来る。そう考えた咲夜は再びみんなを救出しようと一歩踏み出した瞬間、砂場のあちこちが盛りあがってきた。

 

「がぁぁぁぁっ! 死ぬかと思った」

「私は死を覚悟しました」

「うぅ……怖かった」

「怖いのはいいんだが、感情が高ぶった状態で抱きつかないでくれ。凍え死ぬ」

 

 次々と砂を払いながら砂の中から出てくるみんな。

 それぞれが突如としてアジトが崩れ落ちたことによる恐怖を語っているが、約1名だけ別の恐怖を味わっているようだ。

 4人は砂から起き上がってきたが、あと3人いたはずなのに起き上がってくる気配がない。

 

「あと1人は確実に起き上がってくると思ったのだけど」

 

 咲夜の考えが正しければ全員で5人は起き上がってもいいはずだというのに1人足りない。

 瓦礫が壊れた時の衝撃で死んじゃったのかとも咲夜は考えたが、直ぐにその考えは否定した。

 

(あの子はそんな簡単に死ぬたまじゃない)

「おーい」

「噂をすれば何とやらかしら……」

「た、助けてぇ」

 

 咲夜が呆れた様子で声が聞こえてきた方へと歩み寄って足元を見た。

 するとそこには顔だけを外に出てほとんど埋まってしまっている天音の姿がそこにあった。

 

「あなた、カッコつかないわね」

「いいもーんだ。あたしは別にヒーローになりたいわけじゃないしー」

 

 不貞腐れたように言う天音の顔は真っ赤に染まっていた。

 どうやら思ったよりも自分に乗っかっている砂が重たくて身動きが取れなくなっている様子。

 

「このまま置き去りにしたら敵の戦力を減らせるかしら」

「な、なんて恐ろしいことを!?」

「そもそもあなたはものに命令できるんだから能力で避ければ良いでしょ?」

「もう霊力が残ってません!」

「あなた、それ自信満々に言うことじゃないと思うわよ。はぁ……」

 

 咲夜は溜息をつきながらどうして敵を手助けしているのだろうという不思議な心境で天音の手を取って引っ張りあげた。

 

「ありがとう! あたし優しいお姉さんは好きだよ!」

「あなたに好かれてもねぇ……」

「ちょっとちょっと、それどういう意味ですか!!」

 

 咲夜は天音の素性を知っているため、天音をどうしたものかと頭を悩ませていた。

 いっその事、埋まっているところでナイフを突き立ててやればおとなしくなったかもしれないなと咲夜は少しだけ後悔してきてしまっていた。

 だが、一度助けられたことは確かなので、無下にすることもできなかったのだ。

 

「助けに来てくれてありがとうお兄ちゃん」

「ちゃんと自分の身は自分で守れよ」

「うん、ごめんなさい。皆さんもありがとうございました」

 

 ペコリと頭を下げて申し訳なさそうながらも少し嬉しそうにはにかんでいる茉衣の姿を見てこの場にいる全員がホッと胸をなでおろした。

 

 ほかにもまだまだ下敷きになってしまっている人たちもいるはずだが、これ以上起き上がってくる気配がない。

 だが、残っている人は全員盗賊団の団員となっている。敵なのだから助け出す義理はなく、このまま放置して帰った方が盗賊団は壊滅して好都合のため、そのまま放置して全員で帰ろうとしたその時だった。

 

「ブラボーブラボー、やるねぇ君たち」

「っ!」

 

 突如としてがれきの方から聞こえてきた声にこの場にいた全員が驚いて弾かれるように声の聞こえてきた方へと向いた。

 そこには黒髪和服で大きいバッグを片手に持っている好青年が立っていた。

 その真っ黒な髪はまるで静電気でも帯びているかのようにふわふわと逆立っていて、好青年で優しそうな瞳をしているというのに何かどことなく不気味な雰囲気をまとっている。

 

(全く気が付かなかった。足音とか霊力とかも全く聞き取ったり感じ取ったりできなかったっ!)

 

「いやー、君たちの戦いっぷりは見ていたよ。残念ながらわたくしは戦いは専門外でねぇ。眺めるだけにさせてもらったよ」

「あなた、随分と気配を消して歩いているようだけど、何が目的?」

「目的? そんな物騒な物はありませんよ。私はしがない旅芸人ですから」

 

 咲夜の威圧しながら聞いた言葉に対しておちゃらけながら答える男。この時点でこの男が咲夜の威圧に屈しないほどの実力者ということが咲夜のなかで確定して警戒心マックスだった。

 黒葉と茉衣を再び後ろに隠し、前に出てすぐにナイフを取り出すことが出来るようにナイフホルダーに手をかけた。

 

「旅芸人……ということはそのバッグの中身は当然その仕事道具ということだよな」

「もちろんでございます。少しお見せしましょう」

 

 威迅の問いに対して、そう言うと男は中から空気を入れていないゴム風船を取り出してみんなに見せ始めた。

 何が起こるのだろうかと警戒を強める咲夜、妖夢、威迅、烈夏の四人。

 

「それじゃあ、行きますよ!」

 

 すると男はそのゴム風船の口を空気も入れていないのに縛ると、それを真上に向かって投げ飛ばし、真上に手を掲げて指をパチンと鳴らした。

 その瞬間、ゴム風船は独りでに空気でも入れられているかのように膨らみ始め、完全な空気の入った風船となった。

 

「はーい! 3……2……1……、ドーン!」

 

 その掛け声とともに男が針を風船に突き刺し、パーンと小気味よく風船が弾け割れると煙がその周囲を覆い、その中から3羽のハトが出てきて男の左右の肩と頭の上に乗った。

 明らかに無理がある大きさの風船の中から出てきたハト、そして空気が全く入っていないのに急に膨らみ始めた風船。いろいろとツッコミどころは多いものの、誰の目から見てもすごいことをしていることだけはわかるという状況だった。

 

「みなさん、みなさん、みなみなさん! ごきげんよう。わたくしは霊導(れいどう)(つかさ)と申します!」

 

 これが司のキメなのだろう。

 名乗り、頭の上に乗っているハトを腕に移動させ、そしてその腕を胸に当ててお辞儀をした。

 

「それでは私はこれにて失礼いたします。まだ仕事が残っていますゆえ」

 

 これだけ見せると司は瓦礫から飛び降りてどこかへと行ってしまった。

 その様子を見て咲夜たちはようやく警戒を解き、司が向かって行った方向をじっと観察する。

 

「やっぱり足音がありませんね」

「あぁ、それにあいつからは霊力を毛ほども感じられねぇ。相当な霊力の使い手だ」

「警戒しておくに越したことはないな」

「えぇ、そうですね」

 

 妖夢、威迅、烈夏、咲夜の四人は異様な雰囲気をまとって気配を感じられない司に不気味さを感じていたものの、とりあえず目的は達成したため、人里へと帰り始めた。




 はい!第108話終了

 ついに盗賊編完結です。

 そして次回からは決別編に入っていきますよ。

 ここからますます戦いの激しさが増していきます!

 そして今回初登場した司は一体なんなのか?

 咲夜の威圧を食らってなんともないため、相当な実力があることは確かですよ。

 それでは!

 さようなら

銀河天音はどっち陣営だと思いますか?

  • 味方
  • 中立
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