【3章投稿中】東方妖滅録   作:ミズヤ

109 / 284
 はい!どうもみなさん!ミズヤです



 それでは前回のあらすじ

 崩壊したアジトに巻き込まれてしまったと思った妖夢、威迅、烈夏、雪姫、天音の五人だったが、瓦礫を砂にしたことによって脱出に成功する。

 その時、七人の前に怪しい男が現れた。

 男は旅芸人の霊導司と名乗ったが、その真意は如何に?



 それではどうぞ!


第109話 報告

side三人称

 

 時は盗賊団騒ぎが始まる3日前に遡る。

 ここは博麗神社。幻想郷では有名な博麗の巫女が管理している幻想郷最果ての神社である。

 そしてここには妖怪や妖精たちがたむろしていることが多くあるため、人が近寄りにくい環境になっていることもあり、初詣の時期となっても閑古鳥が鳴いていることで有名な神社でもある。

 

 そんな神社に珍しく人の姿があった。

 

 花柄の和服を着ていて、髪をツインテールにまとめた少女。

 その少女はおもむろに賽銭箱に近づくと硬貨を一枚賽銭箱の中に落とした。その際に発生したチャリンという音が人気のない神社に響き渡り、すぐに本殿の中からどたどたという慌てたような音が聞こえてきて音を超えた速度で一人の人物が少女に駆け寄った。

 

「ありがとう! ありがとう! あなたは私の命の恩人よ!」

「え、えーっと……」

 

 勢いよく少女の手を取って握手をした人物はこの博麗神社の管理人、博麗霊夢。

 幻想郷の人々に博麗の巫女としてあがめられているその人である。だが、この神社には参拝する人が全然いないため、資金繰りに苦労しているという反面があるため、霊夢はお賽銭をくれた人にこうして猛烈な感謝を伝えるのだ。

 若干相手は引いてしまうのが玉に瑕だが。

 

「あなたが博麗霊夢様ですよね」

「そうよ。あなたは?」

「私は銀河天音と言います」

「銀河……っ!」

「えぇ、銀河天魔は私たちの父ですよ」

「そう……」

 

 天音が天魔の娘だと告げた瞬間、霊夢の興奮は冷め、天音の手を放して少し距離を取った。

 

「で、どんな目的で来たのかしら。博麗の巫女である私のことが邪魔になったから消しに来た? なら、今ここでやりあう? 正直に言ってあんたの霊力じゃ私の足元にも及ばないわよ」

「でしょうね~本気でやりあうつもりなら、お父さんを連れてきますよ」

「それもそうね。で、何の用かしら。本当に参拝しに来ただけならとっとと願いを祈って帰りなさい。ここら辺は妖怪がいっぱいいて危ないわよ」

「ご心配なく……自分の身は自分で……あり、守れるかなぁ?」

「何よあんた、ぱっとしないわねぇ」

 

 霊夢は相変わらず塩対応をしているが、とりあえず戦う気はないということをしたたため、縁側に腰を下ろしてお茶を啜り始めた。

 だが、警戒をやめることはしない。なにやら天音が変な雰囲気をまとっており、実力が知れないためである。

 感じ取れる霊力に関してはそこら辺の人里のみんなよりも弱いものの、なぜだかよくわからない自信を持っている。そうでなければ幻想郷最強と唄われる霊夢に凄まれてこれほど冷静に対話ができるはずがない、そう霊夢は考えた。

 

 だが、その実、天音の心臓はすでに張り裂けそうなほどに早く脈を打っていた。

 霊夢に凄まれて心臓がバクバク言っているのだが、それを隠すことが出来るほどの話術を操っている。それも、勘のいい霊夢から隠し通せるほどの話術だ。

 

「で、そろそろ本題を話してもらおうかしら」

「りょーかいでーす。えっとですね、単刀直入に言います。霧雨魔理沙が……死にま――」

「っ!?」

「かはっ」

 

 緩いテンションから急にまじめな口調になったと思ったら天音の口から放たれた一言は霊夢をひどく動揺させるには十分すぎるほどの一言で、冷静さを失ってしまった霊夢は目にもとまらぬ速度で湯呑を投げて天音の服の襟を鷲掴みにして近くにあった木へと押し付けた。

 その目は血走っており、明らかに怒りに満ち溢れた表情をしているため、さすがの天音もぎょっとしてしまう。だが、すぐにさっきまでの調子に戻って苦笑いを浮かべる。

 

「こ、怖いよ。いきなり凄まないで、ほら、冷静に」

「大丈夫よ、私は冷静よ」

「それ大丈夫じゃないですから! 言葉だけが先行して態度が伴っていないですから!」

「……っ」

 

 天音の叫ぶようなその言葉を聞いてやっと霊夢は今自分が何をしているのかに気が付き、天音から手を離すと後ろを振り返って本殿へと戻って行った。

 

「もう帰りなさい」

「どうして死んだのかとか気にならないのですか?」

「どうでもいいわよ、そんなこと。あいつはいつも無茶するからいつか死ぬと思ってたし」

 

(その割には取り乱してたけど)

 

「そうですか……じゃあ、最後に一つ。今から一週間後、少し離れた鍛冶師の人里にお父さんが攻め込むそうですよ。なんでも、武器を量産されて抵抗されたら面倒だから、だそうです。伝えましたからね」

「はいはい、さっさとどっかへ行きなさい」

「では、失礼いたしますね?」

 

 こうして天音は博麗神社を後にした。

 最後に天音がちらっと見たときは霊夢は投げ捨てて割れてしまった湯呑を箒で片づけている様子で落ち着いているようだったが、天音はその様子を見て冷や汗が止まらなかった。

 なにせ、今ならば近づくものを全て殺してしまいそうなほどの気迫があったからだ。

 

 そして4日後、鍛冶師の人里に着いた天音は盗賊を追っていく黒葉達を追って盗賊退治に一役買うことになるのだった。

 


 

side三人称

 

 時は戻り現在。

 ようやく家へ帰ってきた一行は家の惨状を見て途方に暮れていた。

 それもそうだ。家の壁にぽっかりと穴が開いてしまっており、すごく開放感がある感じになってしまっている。

 盗賊らが茉衣を攫う際に開けていった穴がまだ開いたままになっていたのだ。

 全員茉衣を助け出すことに必死になっており、こっちの対処を誰一人としてしていなかったため、そのまま放置されている状態。

 このままではこの家に今晩も寝泊まりするということが不可能に近い状態となってしまっている。

 

「ち、あいつら、とんでもねぇ置き土産をしやがって……次見かけたらぶっ殺してやる」

「いや、あいつらはもう死んでる可能性の方が高いけどね」

 

 恨み言をつぶやく威迅だったが、その恨む相手はすでにあの世に旅立っているため、いくら恨んでいても何もすることが出来ない。

 今のこの状況は今いるメンバーで何とかしなければいけないのだ。

 

「あれ? みなさんお揃いですね――え?」

「みんな帰ってきてたんだ――え」

「食べ物買ってきたよー――え?」

 

 そんな感じで途方に暮れていたところに三人メンバー追加。

 鈴仙とルーミアとフランの三人は共に並んで帰ってきて、そして三人とも黒葉達同様に固まってしまった。

 ルーミアとフランなんかはせっかく買ってきたと思われるいろいろなものが入った買い物袋を落として目を丸くしてこの状況を呑み込めていないとでもいうような表情をして驚愕していた。いや、驚愕というよりも困惑という方が近い。

 

 三人もこの状況を知らなかったのだ。

 

 黒葉、咲夜、妖夢の三人が砥石を買いに行っているその間に鈴仙はずっと仕事をしていないのはまずいと思い、薬を売りに、そしてルーミアとフランは茉衣に頼まれて食材の買い出しに行っていたのだ。

 そして帰ってきてこの状況、驚かないわけがない。

 

「なにがあったんですか……?」

「実は、私が警戒を怠ったせいで盗賊に攫われてしまいまして……みなさんに助けてもらってしまいました」

 

 茉衣が苦笑しながら言うと鈴仙はすぐに頭を下げた。

 

「すみません! 私たちが勝手な行動をしたから……泊めていただいている身だというのに助けられないなんて……」

「いえ、皆さんには事情がありますし、それに本来なら自分の身は自分で守らなければいけなかったんですから」

「あぁ、そうだ。自分の身は自分で守らなきゃならねぇ。わかってるのか、茉衣ぃ」

「ひ、ご、ごめんなさい」

 

 威迅がほほをつつきながら言うと、茉衣は肩をすくめて謝った。

 その姿はとても仲のいい兄妹というもので、はたから見ると大変微笑ましい光景だった。

 

「とりあえず、刀がかさばるから家事中に邪魔だというんだったらこれくらい持っとけ」

「これは……」

「スタンガンだ。人を殺せるほどの威力はねぇが、さっき戦った盗賊程度の人間や自我の無い妖怪程度だったら一瞬で気絶させることが出来る」

「ありがとう、お兄ちゃん」

「さて、とりあえず、こいつをどうするかだな。俺は野宿でいいが、茉衣がいるしなぁ」

「私も野宿でも大丈夫だけど」

「ばか、お前の身に何かあったらどうすんだ」

「ご、ごめんなさい」

 

 スタンガンを手渡して再度家の壁に目を向けた威迅はため息をこぼしてこの現状に黄昏てしまう。

 全員がため息をついて黄昏ていると黒葉がおもむろに一歩前に出た。

 

「それなら僕の家に――」

「それにしても困りましたねぇ……泊まる場所がほかに宛がありませんし、この時間からじゃ宿を取れるかどうか……」

「僕らも手助けしてあげたいけどねぇ」

「ごめんなさい。私たちがとっている宿は満員みたいで……」

 

 黒葉が自分の家に招待しようとしたため、咲夜がそれを食い気味に止め、止まるところがないところをアピールしたところ、黒葉は自分の言葉を遮られてしまったため、それを講義するようにほほを膨らませる。

 烈夏と雪姫は帰ってくるまでの間に事情を咲夜から聞かされたため、咲夜の話に乗って黒葉の家のことについては触れずに話を進めていく。

 

 現在、烈夏と雪姫は里の中心部で宿をとって生活をしているが、人気宿のため、観光客などが殺到してなかなか空かないというのが現実なのだ。

 そのため、烈夏と雪姫のところにお世話になるということもできない。

 

「ちょっと避けてもらってもいいですか?」

 

 そう言って前に出たのは天音だった。

 天音が前に出たことによって鈴仙、ルーミア、フランもこの場に天音が居ることに気が付いて驚きの声を上げた。

 

「あ、あなた、どうしてここに!?」

「何が目的!」

「私たちに近づいてどうするつもりなの!?」

「あぁ、そうだった……」

 

 咲夜はちょっと前まではこのまま天音と一緒に居たら面倒なことになりそうだなっていうのは気が付いていたはずなのに、司に気を取られていたせいでそのことがすっかり頭の中から抜け落ちてしまっていた。

 どう説明したものかと咲夜が頭を悩ませていると、天音は三人に威嚇されているにも関わらず物怖じしないでさらに一歩前へと出た。

 

「安心して、今は危害を加える気はないよ」

「それは、あとで危害を加えるってこと?」

「それはあなたたち次第かな? でも、その前にちょっと待っててね、これを今何とかするから」

「何とかって、どうするの?」

「こうするの。修復しなさい」

 

 ルーミアの問いに答え、天音が周囲に散乱した木片に声をかけたその瞬間、木片は独りでに動き出して次々と大きく開いた壁の穴を埋め始めた。

 どうなっているのか正直わからない光景にこの場にいる皆は唖然とするしかなかった。

 ただ、一つわかることは天音の能力は――

 

「この子の能力は、めちゃくちゃね」




 はい!第109話終了

 ついに決別編スタート。

 これが終われば第二章終了なのですが、ここまで長かったですね。

 この決別編も長くなると思われますのでお付き合いいただければと思います。

 それでは!

 さようなら

銀河天音はどっち陣営だと思いますか?

  • 味方
  • 中立
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。