それでは前回のあらすじ
レミリアの部屋に行った黒葉は吸血鬼の戦い方を教えてもらった。
だが、黒葉は霊力の操作が苦手なため、血液操作が出来なかった。
そのため、比較的簡単なインパクトやインパクトクローを練習することになった。
そして今日は咲夜と人里デートだ。
それではどうぞ!
side黒葉
少し歩くと人里にたどり着いた。
だが、この景色は見たことが無い景色だ。どうやら俺の住んでいた人里とは別の人里のようだ。
前住んでいた人里は落ち着いた雰囲気があって好きだったが、こっちの人里は人里で賑やかでとてもいい雰囲気だ。
それに何より、ここには俺の事を知っている人は誰もいない。知っている人に会うっていう事を危惧しなくても良いわけだ。
元の人里では俺は最弱として知られていたから会ったら面倒なことになっていた。
だけど、それを気にしなくていいのは気楽だ。
「あら、さっきまで憂鬱そうだったのに、すっかり元気ね。お上りさんになってるわよ」
「あ、」
言われて俺はこの人里に来て浮かれていたって言うことに気がついた。
ちなみに今は夕方なので吸血鬼である俺が普通に出歩いても黒い服を来ていればある程度大丈夫。
「そうだ、少し待っていてください」
「ん? 分かった」
そう言うとどこかへ歩いていってしまう咲夜。
どうしたんだろうと思っていると一分ぐらいした時に突然目の前に現れた。
「うわっ!」
「人の顔を見てうわってなんですか」
「いや、いきなり現れたら誰だってうわってなるよ!」
未だに咲夜のこの能力がどんな能力なのかを知らない。瞬間移動が近いと思っているんだが、どうやら違うみたいなんだよな。
「それより、はい」
「え、これは?」
「
そう言われても少し見た目がグロいので少し抵抗があるが、せっかく買ってきてくれたんだからと一口食べてみる。
「あ、美味い」
凄く美味しかった。
見た目こそグロいものの味は絶品。一口食べた今ではそのグロさは気にならないほどになっていた。
二口、三口と食べていく。
美味しかったのであっという間に食べ終わってしまった。
「それじゃあ、本当に買い物に行きましょうか。今のは部下への労いということにしておいて」
「分かった。ありがとう」
「……」
すると咲夜は驚いた顔で固まってしまったので俺は訝しげに咲夜を見る。
「どうしたんだ?」
「いえ、あなたからお礼の言葉が出るなんて」
「いや、俺だって礼くらいはする」
どうやら失礼な理由で驚いていたようだ。
確かに咲夜達のことは毛嫌いしているものの、礼くらいは言う。それがどんなに嫌いな人相手でも。姉ちゃんがそうだったように。
それから俺たちは色んな店を回って買い出しをした。
俺は右腕しかないのでそんなにいっぱいは持てないものの、それでもいいと言ってくれたので俺は少し手伝いで持つ感じで荷物を受け取る。
「いっぱい買ったな」
「住んでいる人数は結構いるので食材は結構必要なんです」
確かに従業員用の部屋もめちゃくちゃあった。俺はその中の一部屋を使わせてもらっているんだが、他にも出入りしているメイドさんたちが結構いた。
あの人数を考えると妥当な量なのだろう。
「結構暗くなってきましたね。帰りましょうか」
「だな」
その時、寺子屋らしきものが視界に入った。
俺は前の人里では寺子屋に通っていたんだが、最後まで通っていないので、俺は卒業していないことになっている。
寺子屋の前ではもう帰るのだろう、先生らしき人が出てきているのが見える。
「寺子屋に興味があるんですか?」
「あ、いや、別に」
どうやら寺子屋を見ていることに気が付かれたようだ。
そして咄嗟に興味無いと言ったものの、それは嘘だった。出来ることならばまた寺子屋に通いたい。
だけど、今俺がお世話になっているのは紅魔館だ。仕事もしないといけないし、何より金銭面で迷惑をかけてしまう。
それだけは避けたい。
「うーん……ちょっと、先に帰ってて貰えますか? 帰り道は分かりますよね」
「あぁ、分かるけど」
「じゃあ、お願いします」
それだけ言うと咲夜は突然消えてしまった。
どこに行ったんだろうか。だけど、とりあえず言われた通りに一人で帰るか。
そして人里を出て森の中を歩いていく。
夜の森を一人で歩くのはすこし心細いが、今の俺は吸血鬼だ。その事が俺に自信をつけてくれて歩くことが出来る。
その時、近くの草むらから物音がした。葉っぱが擦れる音に紛れて足音が聞こえてくる。
俺は咄嗟に買い物袋を置いて刀の柄を握って警戒する。
「あれ? 妖怪なのか〜?」
そこから出てきたのは金髪の女の子だった。
こんな夜の森で女の子一人、何をしているんだ?
夜は妖怪の活動時間だ。こんな夜に森の中をうろついていたら危なすぎる。
「こんなところで何をしているんだ?」
「捜し物なのだ」
「俺も手伝おうか?」
「大丈夫なのだ。もう諦めて今日は帰るのだ」
そうか、確かにこれ以上この森の中にいるよりはマシなのかもしれない。妖怪に襲われる前に帰るのが吉だ。
「そうか、気をつけて帰ろよ」
「分かったのだー」
その瞬間、俺の視界には驚くべきものが映った。
なんとオオカミ型の妖怪が女の子に飛びかかってきていたのだ。
女の子が危ない。そう考えた瞬間、咄嗟に女の子を抱き寄せていた。
そして妖怪の爪を背中で受け止める。
その瞬間、背中に焼けるような激痛が走った。当たり前だ。何の防御をするでもなくその攻撃を背中で受けてしまったのだから。
「逃げろ」
「え?」
「いいから逃げろ! 早く!」
俺は思わず声を荒らげてしまう。
その声に一瞬驚いたようだけど、俺が腕を話すと女の子は走ってその場を後にした。
これで思う存分相手ができる。片腕だけで女の子を庇いつつ妖怪と戦うのは流石に厳しい。
この妖怪は自我のない妖怪だ。そしてあの夜に見た妖怪に酷似している。
この場所であの日の借りを返すことにしよう。姉ちゃんの敵討ちだ。
はい!第11話終了
金髪の女の子、口調で誰かわかったことでしょう。
黒葉は妖怪のことを嫌っているのに、あんなに庇ったりしているのは正体に気がついていないからです。
それとどうして襲われているかと言うと、自我の無い妖怪は種族構わず襲うからです。
それでは!
さようなら