【3章投稿中】東方妖滅録   作:ミズヤ

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 はい!どうもみなさん!ミズヤです



 それでは前回のあらすじ

 天音の口から語られる天魔の力、そして銀河家の秘密。

 聞けば聞くほど重い家庭事情が湧いてくるため、さすがに咲夜も聞くのが申し訳なくなってきてしまう。

 その中で天音の口から黒葉が銀河家の生まれだということが明かされた。

 ただ、天音が物心ついたころにはすでに今の状況で、昔のことをあまり聞いたことがないため、そこまで多くの情報を聞き出すことはできなかった。

 そして空気が変な風に重苦しくなってきたとき、茉衣が食事を持ってきたため、食事にすることになった。



 それではどうぞ!


第114話 温泉

side三人称

 

 食事をした後、みんなは風呂に入ることにし、威迅が風呂の準備をしようと風呂場に向かって行った。

 そこでせっかく一緒にいるからと夕飯まで共にしていた烈夏と雪姫が立ち上がって荷物を手に取った。

 

「ここらへんで僕らはお暇させてもらうよ。お夕飯まで用意してくれてありがとう、茉衣ちゃん」

「いえいえ、こちらこそ、助けてくれてありがとうございました」

「困ったときはいつでも呼んでね、茉衣ちゃん」

「はい! ありがとうございます」

 

 烈夏と雪姫の二人は玄関に出て、そのまま宿泊している宿へ帰ろうとしたその時、威迅が風呂場から面倒くさそうな表情で出てきてリビングへと入って行ったため、二人もその様子が気になって威迅の後に続いてリビングに戻った。

 そこで威迅の口から告げられた一言を聞いて茉衣は頭を抱えてしまった。

 

「茉衣、浴槽が木っ端微塵だ。どうやら家をぶっ壊された衝撃で壊れたみたいだ」

「え、うそ、どうしよう……」

「どうしようって、今日はどうしようもねぇぞ。明日爺さんにでも頼みに行く。今日のところは温泉でも入りに行くしかねぇな」

「え、それならあたしがなお――むぐむぐ」

 

 威迅の言葉に対して直すと言いかけた天音の口を茉衣が両手で覆って塞いだ。

 

「そうだね、温泉に行きましょう!」

 

 茉衣は威迅の口から温泉に行くという言葉が出てきた瞬間、久しぶりに温泉に行きたいと思ったのだが、天音に修理されてしまったら、温泉に行かなくてもいいという話になってしまう可能性があったため、茉衣は慌てて天音の口を塞いだのだ。

 

 この人里には有名な温泉がある。

 様々な効能があるが、その中の1つには治癒促進という効能があり、今回の戦いで傷ついた体を癒すにはピッタリのため、温泉に行くと言うのは理にかなっている。

 特に威迅と妖夢の2人の傷は酷く、日常生活を送る分には問題は無いが、激しい運動をすると傷が開いてしまう可能性があるから修行とかは治るまでは絶対にするなと鈴仙に釘を刺されている。

 

「そう言えば折角旅行に来たのに何故かいつの間にか忙しくなってて温泉にも入れてなかったですね」

 

 妖夢は妖夢の主である幽々子が妖夢に気を利かせて休暇を与えたことで、この里に旅行に来ていたはずなのだ。

 いつの間にか修行をするという流れになっていたが、妖夢としてはもうそろそろ帰らなければ行けないため、最後に温泉に入りたいという気持ちが湧いてきていた。

 

「それじゃあ、全員で温泉に行こうか」

「温泉代は烈夏さんが出してくれるみたいですよ」

「ぐっ、雪姫、お前なぁ……。まぁ、黒葉が世話になったみたいだし、それはいいが……。それじゃ、温泉に行こう」

『やったぁぁぁーーー!!!!』

 

 雪姫の言葉によって全員の温泉代を出すということに決まり、みんなが賛同したことによって今日は温泉に行くということになった。

 だが、約1名のみ乗り気では無い人物がいた。銀河天音だった。

 

「え、えー……っと、あ、あたしはこれで失礼するね」

「ちょっと待なさい」

「っ!」

「信頼は、裸の付き合いで生まれるものですよ?」

「ちょ、待って待って! いやぁぁぁぁぁ!?」

 

 天音は拒み叫び泣いていたが、咲夜の手によってズルズルと引きずられて温泉へ強制連行された。

 

 温泉に着いたら当然男湯と女湯に別れることとなるのだが、このグループは男女比が酷い事になっている。

 男3人に対し、女が8人という比率になっているため、男湯に入っていく人物は少ないが、女湯に入っていく人数が多いため、さすがに8人も入ったら脱衣所はそこそこ空間が制限されてしまった。

 

「私、温泉に来たのは初めて!」

「ふふ、お嬢様が嬉しそうで、わたくしも嬉しいです」

 

 フランは今までずっと引きこもっていたため、外に出たことはなく、さすがに紅魔館内で誰もいない時間帯にお風呂に入ったりとかはしていたが、温泉に入りに出掛けたことは1度も無かったので、フランは目を輝かせて楽しんで居る。

 それはフラン以外のメンバーも似たようなもので、意外と幻想郷には温泉や銭湯などの温泉施設が少ないため、温泉に行く機会があまり無いのである。

 そのため、ほとんどのメンバーは楽しそう、嬉しそうにしているのだが、約1名のみため息をついてなかなか服を脱ごうとしない人物が居た。銀河天音である。

 

「すみません。もしかしてお風呂は嫌いでしたか?」

「いえ、お風呂自体は好きなんですが、こう言う裸の付き合い? みたいなものが少し苦手で……」

 

 苦笑いを浮かべる天音だったが、やがて覚悟を決めたのか、天音も服を脱ぎ始めた。

 服を脱ぎ終え、前をタオルで隠して周囲を見回してみると、既にみんな温泉に入りに行ってしまっていて、脱衣所には天音1人しか居なかった。

 この状況で天音はここで帰れば誰にも気が付かれずに帰ることが出来るんじゃないかと頭に過ぎるが、首を振ってその考えを否定した。

 

「みんなと仲間になるためには必要だから」

 

 そして天音も温泉へと入りに行った。

 

「あ、ちゃんと逃げなかったのね」

「まぁ、逃げたところで皆さんからの信頼は得られないので」

「……お気遣いありがとうございます」

「あなたに感謝されるのってなんか不思議な気分ね」

 

 咲夜は天音から裸の付き合いが苦手だと告げられてみんながいるところでは服も脱ぎ辛いのではないかと考えてみんなを連れて一足先に温泉に向かったのだ。

 それに関しては昔から人の感情に敏感だった天音は直ぐに気がついていた。

 

「それにしても咲夜はスタイルがいいね。私なんてこんなちんちくりんだからさ」

「あなたはまだ8歳でしょ? これからよ」

「だと、いいんですけどね」

 

 天音は苦笑いを浮かべつつ、体を洗い始める。

 

「ねぇ、雪姫さん。黒葉を拾った経緯を教えて」

「ふふふ、気になるの?」

「私も気になる!」

 

 天音と咲夜が話していた頃、ルーミアとフランは黒葉が冬夏家入りした当時のことを雪姫に聞いていた。

 雪姫は当時のことを思い出しているのだろう、懐かしそうに天井を仰いで語り始めた。

 

「そうねぇ。まぁ、拾ったってよりかは押し付けられたが正しい気がするわね。霧雨魔理沙って知ってる?」

「うん」

「あの子は白愛ととても仲良くしてくれていたんだけどね、大体5年前にあの子が突然5歳の男の子を拾ってきたの。それは酷い姿だったわ。魔理沙ちゃんも木の枝とか砂埃とか色々なものが絡まって髪もボサボサになってたんだけど、それよりも酷い状態だった。体のあちこちに痣があって、霊力が枯渇しかけていた。今にも死にそうな状態。そんな子を魔理沙ちゃんは白愛に預けてどこかに行ったのよ」

「そんな状態になるまで……」

 

 今から5年前という事は黒葉が大体5歳位の年齢の頃だ。

 そんな年齢の人間の子供がそんな状態になってしまっていたら当然狼狽えてしまう。

 当然白愛は狼狽え、目を回していたところで雪姫は黒葉を両手に大事に抱えて膝をつき、気絶している白愛を見つけたのだという。

 

「それはそれはびっくりしたわ。とてつもなく衰弱しきっていて、あと少し対処が遅れれば黒葉の命は無かった」

 

 雪姫の言葉を聞いてルーミアとフランの2人は緊張に喉を鳴らした。

 あと少し遅れれば黒葉は死んでいたかもしれない。死んでいたという事は自分たちにも出会わなかったという事なので、今自分たちもここに居なかったかもしれない。

 そして何より、黒葉が自分たちの大切な存在が今ここに居なかったかもしれないと考えると、胸がキューっと苦しくなる思いだった。

 

「烈夏さんはね、今でこそ鍛冶師をやってるけど、昔は里の小さな診療所の医師だったってこともあって直ぐに処置ができて、その後は問題なく回復したわ」

「「よかったぁぁぁ……」」

 

 緊張した面持ちだった2人だが、問題なく回復したという言葉を聞いて安堵する。

 そんな2人をみてか、雪姫も1回ニコッと笑ってから再び話し始めた。

 

「それで、しばらく経った頃、私たちはついに何があったのか聞いたのよ。もちろん、そんなことがあったあとだし、思い出すのは辛いだろうと思って聞くのはやめておこうと思ったんだけど、でもどうしても気になった。だから聞いたのだけど、黒葉はこっちに来てベッドの上で目を覚ました以前の記憶がすっかり無くなってしまっていたの」

「え、それって今みたいな感じ?」

「記憶退行なんかじゃないわ。本当の記憶喪失」

 

 黒葉は目を覚ましてからどうして自分はここに居るのだろうと思った。

 それと同時に自分は何者で、どこから来たのか、それも全く分からなかった。

 ただ1つ分かることといえば、この家の人達はみんな優しいというこの1点のみだった。

 

「烈夏さんの話によると、過去の強いトラウマが記憶を押さえつけているらしいの」

「過去の強いトラウマ?」

「それが何かまでは分からないけど、それが原因で黒葉は記憶を失っていた。だから黒葉はうちで引き取ろうと思ったわ。でも、正直身元不明の男の子を引き取るのってリスクがあるから烈夏さんに反対されてしまったのよ……」

「え、じゃあどうして?」

 

 今でこそ大切な息子として黒葉を扱っている烈夏だったが、最初は黒葉を引き取ることに反対していたということを聞いて二人は驚いてしまった。

 

「私と白愛の二人で説得したのよ。そしたら烈夏さんはようやく折れてくれて、苦い顔をしながらも黒葉に新しい名前をつけてくれたのよ。それこそ、今の黒葉って名前をね」




 はい!第114話終了

 温泉編は1話にまとめようと思ったのですが、想像以上に書きたいことが多かったため、分けることにしました。

 ちなみに威迅と妖夢は鈴仙が出した薬によってだいぶ回復したのですが、大事を取って安静にしておくように言われています。

 酷い火傷だったのですが、薬のおかげで日常生活や温泉に入るくらいなら問題はないです。

 修行は絶対にするなと止められていますが……

 それでは!

 さようなら

銀河天音はどっち陣営だと思いますか?

  • 味方
  • 中立
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