【3章投稿中】東方妖滅録   作:ミズヤ

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 はい!どうもみなさん!ミズヤです

 という事でミズヤ6周年記念第3弾。ラストですね。

 前回と合わせて威迅のことが何となくわかってくる話になっています!

 是非見ていってください!



 それでは前回のあらすじ

 雪姫、ルーミア、フランの三人で思い出話をする。

 一方天音は一足先に風呂から上がると、威迅が待ち構えており、月刃の居場所を聞いたが、天音がわからないと言ったら以外にも素直に引いたのだった。



 それではどうぞ!


第117話 咲夜と威迅

side三人称

 

「それじゃあ、よろしくお願いしますね。お兄ちゃんの事」

「わかりました」

 

 咲夜は茉衣からお願いされると、玄関から家の外に出て行った。

 

 温泉に入った翌日、今日は威迅が朝から出かけて行ってしまったのだ。

 そして妖夢と威迅の傷はまだ完全には治っていなく、鈴仙にも安静にするように言われているため、修行バカである威迅が隠れて修行をしないように見張っててと咲夜は頼まれたのである。

 その理屈は分かるし、見張っていなければ行けないと言うのも正解だ。だが、咲夜は茉衣の目的に別の意図があることを感じていた。

 

(絶対に泥棒猫である私を黒葉から遠ざけようとしてるわね)

 

 それはもう分かりきっていることではあるが、咲夜も家に泊めさせて貰っている以上、お願いを断ることは出来ないため、素直に威迅の事を尾行する事にした。

 

「あ、では、私はそろそろ帰らせてもらいますね。主が待ってますので」

「そう言えば妖夢は白玉楼の庭師だったね」

「そうそう。なので皆さん、お世話になりました。色々ありましたけど、楽しかったです!」

 

 妖夢は冥界に存在する白玉楼という屋敷で従者兼庭師として働いている。

 今回は普段働き詰めである彼女の主、西行寺幽々子が気を利かせて提案した休暇を利用して旅行に来たのだ。

 

 結構色々あったため、旅行としてはあまり色々見る時間はなかったが、それでも妖夢は満足するくらいの旅行はできていた。

 

「はい! こちらこそ、楽しかったです。またいつでも遊びに来てください」

「はい! また機会があれば寄らせていただきます!」

 

 最後にみんなで挨拶をして妖夢は帰って行った。

 それを見送ると咲夜も威迅を追って歩き出す。

 

 威迅は一応帯刀して歩いてはいるが、特に修行しに森に行ったりなどしている気配は無い。

 なんだが、心做しか気だるげそうに見えるその背中に、咲夜は心配はいらないんじゃないかという考えが浮かんだものの、油断をした隙に修行を始めたら困るため、そのまま威迅について行く。

 

 しばらく経っただろう。

 威迅が歩いていると、突如として猫が路地から飛び出してきた。

 突然飛び出してきた猫は威迅に飛びかかって行っているように見え、いつもの威迅から考えると直ぐに猫を斬り伏せてしまうかと思われる状況。

 さすがに猫を見捨てるのは心が苦しくなってきたため、本当は気づかれないように尾行するつもりだった咲夜は飛び出して威迅を止めようとした。

 

 だが、そんな必要はなかった。

 

「にゃふん……」

「なんだお前」

 

 威迅に飛びかかったかと思われた猫は飛びかかったのではなく、威迅の目の前に立つと、甘えた声を出しながら頬擦りを初めてしまった為、咲夜は目を点にして呆気にとられてしまった。

 あの猫は首輪も着いていないため、野良の猫だ。

 

 すると、その場にしゃがみこみ、その猫の頭を撫で始めたため、咲夜は普段の強気な態度とのギャップに驚いて口をポカーンと開けてしまった。

 

「こいつが欲しいか? くれてやる」

「にゃん!」

 

 そこで取り出すは、なんとパンの耳を細かくちぎったもの。

 それを猫の前に手に乗せて差し出すと、猫はそれを無我夢中に食べ始めた。

 

「そんなに急いで食うなよ。腹減ってたのか? 喉詰まらすぞ」

 

 普段の鋭い目と強面の表情、強い口調からは考えられないほどに慈悲深い威迅の声色に、咲夜は若干の恐怖を覚えていた。

 この世の中にはギャップ萌えという物がある。それは普段との違いからその人物のことが好きになってしまう、可愛く見えてしまうというものなのだが、このギャップが強すぎると咲夜のように恐怖へと様変わりしてしまう。

 

(威迅君は猫が好きなんでしょうか?)

 

「食い終わったか? じゃあな」

「にゃうん!」

 

 威迅は猫が全て食べ終わるのを確認すると、立ち上がって再び移動を開始した。

 それを見て咲夜も威迅を追って歩き始めた。

 

「それにしても、意外な事実を知ってしまったわね」

 

 威迅が猫好きという事実を知ってしまった咲夜はもう、その事が頭から離れなくなってしまっていた。

 

 再びしばらく歩くと、ついに威迅は店内へと入って行った。

 どうやら喫茶店のような店のようで、道に面している壁はガラス張りとなっていて、外から中の様子がよく見える。

 その店内で、威迅は都合よくガラス張りの壁際に案内されていたため、咲夜は店内に入ることなく外から様子を伺うことにした。

 

(それにしても、この店は何なのかしら。喫茶店みたいだけど、猫の絵が看板に書いてある)

 

 咲夜が看板に疑問を持ちつつ様子を伺っていると、テーブルの下から威迅の股の間に1匹の猫が顔を出した。

 そしてその猫を威迅はゆっくりと持ち上げると自分の膝の上に乗せて運ばれてきた抹茶を啜る。

 

 その様子は誰の目から見てもご満悦といった感じだ。

 

(威迅君もあんな顔するんだ。妹である茉衣さんを見るときですらキツイ表情になるのに。と言うよりも、茉衣さんを見るときが一番キツイ気がする)

 

 すると、やがて威迅のテーブルに1品届いた。

 先程昼食をみんなで食べたばかりのため、ガッツリご飯を食べるという訳では無いが、咲夜は運ばれてきたものを見て再び咲夜は呆気にとられてしまった。

 

「で、でっかいフルーツパフェ」

 

 威迅のイメージにそぐわない程にゴロゴロと大量にフルーツがあしらわれたフルーツパフェが威迅の前に置かれると、ゆっくりとスプーンで一口一口掬って食べ始めた。

 よく甘いもの好きな女の子とかはパフェを食べているところは咲夜も見た事があるが、これほどでかいパフェは見たことがないというレベルのものだった。

 

 さすがにあの量は咲夜では食べきることが出来ない。

 そもそも、咲夜は甘いものはそこまで好きでは無いというのはあるが、好きだとしてもなかなか食べるのが大変そうだと思うほどのものだった。

 

 そこで威迅は優雅に抹茶を飲み干して口を拭くと、立ち上がって勘定をし始めた。

 

「え、はやっ」

 

 なんと、威迅はもうパフェを食べ終えたのだ。

 頭ほどの大きさのある器に山盛りになっていたパフェがどこへやら。

 ちょっと咲夜が目を離した隙に器の中身が空っぽになっていた。

 

(甘いものが好きだったなんて意外ね)

 

 咲夜は今日一日だけで威迅の意外な部分をいくつも知り、もうおなかいっぱいといった状態だった。

 

 だが、咲夜がそんな状態だとはつゆ知らず、威迅は再び歩き始めると、今度はなんと、森の中へと入っていってしまった。

 

「まさか、ついに修行を!?」

 

 鈴仙に、茉衣に絶対に修行をさせるなと言われているため、咲夜は威迅に修行をさせないために急いで威迅を追っていく。

 咲夜の尾行ならば威迅に全く気が付かれずに尾行することも可能だ。

 

 時を止めつつ、徐々に威迅に接近していくと、そこにはやはり刀を抜いている威迅が存在した。

 やはり威迅は隠れて修行するつもりだったと判断した咲夜は慌てて飛び出そうとしたが、思わず足を止めてしまった。

 

「殺す、殺す、殺す、殺すぅっ!!」

 

 そこにいた威迅はさっきまでご満悦の表情をしながら特大パフェを食べていたとは思えないほどに荒々しく、殺気を振りまきながら刀を振っていた。

 その刀は鞭のようにしなったかと思いきや、急に硬化して森の木々を串刺しにするなど、まるで刀が意志を持って動いているようだった。

 だが、この威迅の刀はただの普通の刀だ。つまりはこの刀の動きは威迅の能力によるものであるということが分かる。

 

「銀河月刃、あいつだけは俺がこの手で!」

 

(銀河月刃? それってあいつの事よね)

 

 ちょっと前までは修行をする威迅を止めようとしていた咲夜だったが、威迅の独り言に興味を抱いたことで、もう少し話を聞くために木の裏に隠れて盗み聞く事にした。

 

「あいつのパワー、スピードは凄まじかった。こんなんじゃダメだ。もっと早く」

 

 威迅の刀のしなやかさ、そしてスピードの緩急による錯覚で本来より早く見える技。

 どれをとっても高レベルと言える技たちだ。

 だが、咲夜が見てもこのレベルじゃ月刃には勝てないだろうと思っていた。

 

 月刃のスピードは目にも止まらない。

 それに加えてまだ底を見せきっていないであろう実力を加味すると今の威迅と咲夜が2人で戦っても勝てるかどうか怪しいレベルである。

 それは威迅自信でも分かっているため、かなり焦っていると言うのが見て取れる。

 

「はぁ……はぁ……ぐっ」

「っ」

 

 威迅が苦しそうに胸を押さえた瞬間、周囲に濃密な霊力が解き放たれた。

 それは一瞬だけで、直ぐに収まったものの、咲夜に影響を与えるのには十分な程だった。

 思わず咲夜はその場に座り込んでしまったのだ。

 

(殺気? いや、違う。だけど、もっと恐ろしい、そんな力を感じる)

 

 殺気ではないが、死を感じるほどの何かが威迅の中には居る。

 だが、この気配は別のタイミングでも感じることがあった力だった。

 

「妹様と同じ」

 

 そう、これは能力の暴走だ。

 能力が暴走する条件は人それぞれなのだが、フランも威迅も2人とも感情が高ぶったことで暴走してしまっている。

 能力の暴走はこの暴走に完全に飲み込まれてしまったら意識が能力に飲み込まれてしまってもう死ぬまで止まらなくなってしまう。

 だが、逆にこの暴走を支配することが出来たら更なる強大な力を手に入れることが出来る。

 

「もし、もし、この力を威迅君が制御できるようになったら、もしかしたら月刃にも勝てるかもしれない」

 

 しかし、これは月刃に勝てる力を手に入れるチャンスと共に、危険な賭けでもある。

 能力が暴走するということは能力に自我が芽生えるほどの強力な能力という事になる。

 こんな力に飲み込まれてしまったら倒すのも一苦労だ。

 

 今の所、威迅は強力な精神力で自我を保ち、能力を封じ込めているようだが、これもいつ暴走するか分からない。

 

「くそ、大人しく力を寄越しやがれ」

 

 少しすぅはぁと深呼吸をした後、威迅は近くに転がっていた丸太の上に腰をかけ、水を取り出して飲み始めた。

 

(威迅君はすごく焦っている。戦い方も荒っぽく感じたし、少し荒れているわね)

 

 自分と敵は同じだと知ったことで咲夜は威迅に協力したいという気持ちが芽生え、隠れていることをやめて威迅の前に歩いていった。

 すると、歩いてくる咲夜の姿を見て、威迅は顔をしかめる。

 

「茉衣の差し金か? 言っとくが俺は」

「分かっていますよ。反抗期、なんですよね? やるなと言われたらやりたくなる」

「ぶふぅっ!? なんだてめぇ、いきなり現れるなり何言ってやがんだ!」

 

 威迅は咲夜の発言に思わず口に含んでいた水を吹き出してしまった。

 

「まぁまぁ、私にも考えがありますので。なので今回のことは内緒にしてあげます」

「ああ? よく分からんが、内緒にしてくれるっつーなら助かるな」

「その代わり、一緒に修行しませんか?」

「メイド、てめぇが俺の修行に着いてこられるなら勝手にしろ」

「では、私、十六夜咲夜は勝手にさせていただきますね?」

 

 こうして咲夜と威迅は共に修行をすることにした。

 時間を忘れて修行をしていたため、二人が帰る頃には真っ暗になっていたため、茉衣に修行をしていたのではと疑われたが、2人とも口裏を合わせて修行をしていないと言ったため、茉衣には気付かれずに済んだ。




 はい!第117話終了

 今回のことで少し咲夜の中で威迅のイメージが切り替わりましたね。

 ちなみに威迅はそこまで甘いもの好きって訳では無いですが、フルーツ系が大好物です。

 今回のこの話も僕が早く書きたかった話の1つです。

 それでは!

 さようなら

銀河天音はどっち陣営だと思いますか?

  • 味方
  • 中立
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