それでは前回のあらすじ
外出する威迅が修行しないかと見張る咲夜。
威迅はそのイメージにそぐわない行動ばかりをとるので咲夜は驚愕してしまう。
そして最後に森へ向かった威迅は修行を始めてしまう。
咲夜は当然止めようとするが、威迅が焦っている理由は月刃を倒したいからだと判明したため、咲夜は月刃の修行に協力することにした。
それではどうぞ!
side三人称
「料理対決?」
「そう、私たちの中で誰が1番料理上手なのか決めようじゃないかってね」
今は夕食の時間。
茉衣と咲夜が一昨日、昨日と同じようにご飯を作ろうとしていると天音が料理対決を提案してきた。
もちろん、咲夜も茉衣も普通に作った方が早いため、乗り気では無いのだが、天音はルーミアとフランも連れて来ていて、2人とも乗り気の様子だった。
「これで勝ったら黒葉を独り占め……」
「何をしようかな〜」
(あ、この2人、買収されたわね)
一瞬にして2人と天音の間に何があったのか察した咲夜は苦笑いを浮かべた。
天音はルーミアとフランの2人に対して勝者には夕食後、黒葉と2人で過ごしていいという条件を出した。
天音の能力は生きているものには命令することが出来ないが、心に訴えかけて説得する効果はあるため、突然この人と遊んであげてと言っても説得できてしまうのだ。
一種のマインドコントロールと言っても良いだろう。
これができる天音だからこそルーミアとフランは乗っかったのだ。
これで2対3で多数決ならば料理対決決行という事になる。
そのため、咲夜と茉衣も諦めて料理対決に加わることにした。
ちなみに鈴仙に関しては白愛の設定である飯まず設定を守るために今回は参加しないで審査員側に回ることにした。
「なんで俺まで審査員に……」
「たまにはこういうのもいいじゃないですか」
「よかねぇよ」
確かに今この状況だったら自体を把握していれば誰だって審査員を辞退する。
何せ、選手側にあの天音が居るのだから。
そして察しの良い威迅は咲夜達と敵対している相手だということも察しているため、毒を盛らないとは限らないと考えている。
選手は咲夜、茉衣、天音、ルーミア、フランの5人。審査員は黒葉、威迅、鈴仙の3人となった。
景品は黒葉と2人で過ごす権利。
咲夜以外の4人は燃え上がっていた。
咲夜と茉衣の2人は昨日、一昨日と料理をしており、それによって料理上手だという事が判明しているからいいが、残りの3人に関しては全く分からない。
フランの料理も紅魔館に居たら料理人達かメイドたちが作っているため、咲夜ですら知らない。
まずは茉衣が先行して料理を作っていく。だが、残りの人達の料理も食べられるように量は控えめだ。
この家はあまり大きくはなく、キッチンも1つしかないため、他のメンバーはその間、待機ということになっている。
その間に咲夜は威迅の元へと近づいてきた。
「威迅君、少し良いかしら?」
「なんだ」
威迅はその場で顔も向けずに話そうとしたが、咲夜が黒葉の居ないところで話したいとアピールしたことで仕方がなく立ち上がって2人で廊下へと出た。
「威迅君、聞きたいことがあるのだけど、盗賊のアジトで黒葉に見て指示をするように言ってたけどあれは何?」
「なんだ、お前らずっと一緒にいたのに知らないのか?」
「私たちと行動してた時はあんなに動体視力が良くなかったのだけど」
黒葉が紅魔館にいた頃は特段動体視力がいいと言うわけではなく、普通なものだった。
そのため、相手の攻撃に反応が遅れてしまったり、相手のことを見失ったりしていた。
だが、盗賊のアジトでの黒葉の動体視力は明らかに常軌を逸していた。
明らかに
だが、黒葉は炎を操っていたはずなのだ。
「あー……」
「能力、なのよね」
「いんや。あれは能力じゃない。だがまぁ、あれを能力と定義するんなら『見る程度の能力』とかになるのか?」
「能力じゃない!? でも、そんな」
驚愕する咲夜に対し、冷静な口調で言葉を続ける威迅。
咲夜に対しては先程の修行から物腰が多少柔らかくなっているため、きつい口調ではない。
「あいつはあの力を使うのに霊力なんか使っちゃいない。ただ、ものすごい集中をしている」
「ものすごい集中?」
「あいつは生まれながらにとてつもなく動体視力が良い奴なんだと思う。だが、その力を使うには人智を超えた集中力が必要だ」
「人智を超えた集中力……? でも、それって」
「あぁ、自分が戦っている時にそれほど集中するのは至難の業だ。だからこそ、あいつは自分が戦っている時にこの力を使うことは出来ない」
自分で戦っている時はどうしても雑念が入ってしまう。
ああする、こうすると常に何かしらを考えて行動することになってしまう。
そうなると人智を超えた集中力を保つことなど出来なくなってしまう。
だから今まで自分で戦っていた黒葉にはこの動体視力を使えなかったのだ。
「あいつの体は戦うように出来ていない。だが、もしあの力をあいつが戦いながら使えるようになりゃ、考えただけで恐ろしいもんだ」
それだけを言い残すと威迅は再びリビングへと戻って行った。
この少し話している間に茉衣の料理は完成したようで、テーブルの上には茉衣の料理が置かれていた。
茉衣が作ったのはこの後色々食べることを考えて作ったのか、サラダだった。
レタスやトマト、少量の焼いたひき肉に和風ドレッシングを和えたものだった。
「さぁ、召し上がれ」
威迅も座ると目の前に置かれた取り皿に三人とも自分の分を取り分けて一口食べた。
「……なんか普通に美味い」
「うん、飛び抜けてるわけではないけど、普通に美味しい」
「さっぱりしてて美味しいよ」
レタスやトマトのみずみずしさや酸味がひき肉と和風ドレッシングにとてもよく合うのだが、置きに行った美味しさという感じで、特筆してものすごく美味しいって訳では無い味だった。
「そ、そんな……私は無意識に置きに行った?」
3人の感想を聞いて茉衣はその場に手をついて打ちひしがれてしまった。
普段の料理ならば置きに行った美味しさってのでいいのだが、これは料理対決。
他にも料理が得意な人がいたら、簡単に抜かれてしまうくらいの美味しさとなっているのだ。
しかもここには料理が得意な咲夜もいるため、茉衣の優勝は実質無くなってしまったようなものだった。
「次は私ね」
次は咲夜。
茉衣と入れ替わるようにキッチンに立つと、冷蔵庫の中身を軽く確認して、手際よく使う食材をいくつか取り出すと、早速料理を始めた。
と思いきや僅か30秒程で咲夜は何かを皿の上に乗せてテーブルにまで持ってきた。
どういうことだ? と全員思って確認してみると、威迅はそれを見て頭を抱えた。
「お前、これはなんだ」
「
「……お前、それって料理対決で出すもんか?」
「冷奴美味しいので」
「はぁ……そうか、確かにお前は最初からこの料理対決に乗り気じゃなかったもんな」
とりあえず出されたものだからと鈴仙と黒葉は自分の取り皿に少し取った。
だが、威迅は全く取り分けようとする素振りすら見せない。
「あー、お兄ちゃん。豆腐苦手ですから」
「おいっ!」
勝手に暴露した妹に抗議しようとする威迅だが、やがて観念したように豆腐を自分の取り皿に取り分けて箸で一口取った。
「食えばいいんだろ、食えば!」
半分ヤケになりながら威迅は箸で取った豆腐を口の中に入れ、やはり渋い表情をした。
対して黒葉と鈴仙は普通に食べており、茉衣と同じく、安定して美味しいのだが、創意工夫の観点で見ると、茉衣の方が圧倒的だったため、順位的には茉衣の方が上になった。
「咲夜さん、もしかして勝ちを譲ってくれたんですか?」
「別に、私は早くこの面倒な料理対決を終わらせたかっただけですので」
茉衣が聞くと優しく微笑みながら言った。
「次は私だね!」
咲夜の次はフランの番だった。
はい!第118話終了
ついに威迅の口から黒葉の動体視力の件が明かされましたね。
黒葉の動体視力は文豪ストレイドッグスの乱歩さんと同じように能力ではないんですよね。
ものすごい集中力が必要なので使用後はとんでもない疲労が襲いかかってくることになります。
そしてこの人智を超えた集中力ってのはこの物語の中でも重要なキーワードとなっているため、覚えておいてください。
それでは!
さようなら
銀河天音はどっち陣営だと思いますか?
-
味方
-
敵
-
中立