【3章投稿中】東方妖滅録   作:ミズヤ

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 はい!どうもみなさん!ミズヤです



 それでは前回のあらすじ

 突如として料理対決をすることになりました。

 そして威迅の口から咲夜に黒葉の動体視力について明かされる。



 それではどうぞ!


第119話 料理対決

side三人称

 

 フランは生粋のお嬢様だ。そのため、今まで1度も料理をしたことがなく、あんまり期待することが出来ない。

 だが、本人はものすごく張り切っているため、みんなは難しいことは特に考えることはせずにフランの料理を待つことにした。

 さすがに食べられないものが出てくることはないだろうと考えた結果である。

 

「何を作ろーかな♪」

 

 とても上機嫌に冷蔵庫を吟味するフラン。

 背中に生えているクリスタルがぶら下がった枝のような見た目の羽も若干動いている。

 

 咲夜はその様子を微笑ましく、それと共に心配しながら見守っていた。

 初めて料理をするのだから、指を包丁で切ってしまわないか、火傷したりしないか、咲夜は気が気じゃなかった。

 

 しかし、咲夜のそんな考えはつゆ知らず、フランはどんどんと料理を進めていく。

 工程的にはどうやらスープを作っている様子だ。

 そこにちぎった野菜や肉などを細かくして入れていく。

 まるで手慣れた動きのように見えるが、よく見てみると包丁の扱い方が危なっかしかったりする。その度に咲夜はあわあわとしてしまうのだ。

 

「ん? 誰か怪我した?」

「いきなりどうしたの、お姉ちゃん」

「いや、なんか、血の臭いがした気がして……気の所為?」

 

 鈴仙は一瞬血の臭いがした気がしたが、気の所為であろうと自分を納得させた。

 

 それから少ししてフランの料理が出来上がったようで、フランは器にスープを入れてテーブルに持ってきた。

 

「はい、召し上がれ!」

「トマトスープか」

「普通に美味しそう」

 

 3人ともスープを取り皿にわけてスプーンで一口掬って飲んでみる。

 すると、黒葉以外の2人は口に入れた瞬間に固まってしまい、顔がどんどんと青ざめていく。

 

「美味しいです」

 

 だが、黒葉は普通に出されたスープを美味しいと言いながら飲んでいく。

 そんな黒葉の様子を目を見開いて驚いた様子で威迅も鈴仙も見る。

 

(うっそだろ。不味いってもんじゃねぇぞ。鉄の味がしやがるんだが)

(これ、血? 血の味がする、なんで!?)

 

 何とか2人とも飲み込むことには成功したが、その表情は真っ青で、とても生気があるようには見えない状態になってしまっていた。

 

「て、てめぇ、ゴスロリ! 何入れやがった」

「ご、ゴスロリ!? ゴスロリって何よ!! 何入れたって、お肉と野菜と――輸血パック?」

「なんてもん入れやがるこの糞ガキ!!!!」

 

 輸血パックを入れたという話を聞いた途端にフランに襲いかかろうとした威迅を羽交い締めにして茉衣は押さえ込んだ。

 当のフランはなんで威迅がここまで怒っているのか分かっていない様子で、ポカンとしてしまっている。

 食用輸血パックは吸血鬼のご飯になるため、ダメだとは考えなかったのだ。

 それにしても吸血鬼が飲むのは食用のもので、通常の輸血パックなど、吸血鬼だとしても少々えぐみが残ってしまっていてあまり好まれるものでは無い。

 

「妹様、輸血パックなんてどこで手に入れたんですか?」

「え、白愛から貰った」

「白愛様?」

「い、いやいや、私だってこんなことに使うとは思ってなかったんですよ? 吸血鬼さんなので、定期的に摂取しないとダメなのかなと思って渡してしまいました、すみませんでした!」

 

 咲夜に睨まれて弁明をしようとする鈴仙だったが、咲夜の無言の圧に負けてしまい、すごい勢いで土下座をした。

 これにより、威迅と鈴仙の2人にとっては食べられない料理という物が完成してしまった訳だが、ただ1人だけ美味しいと言って食べてる人物がいる。

 そう、黒葉だ。

 

「美味しい」

 

 黒葉は自分が忘れているだけで、その体は人間ではなく、吸血鬼の体だ。

 そのため、輸血パックの血の味が好物となっているのだ。

 

「ち、俺たちの気も知らねぇで美味そうに食いやがって……」

「あ、あはは……本当にすみません」

 

 とりあえず黒葉にとっては美味しいものではあったが、威迅と鈴仙にとっては論外の料理となったため、暫定最下位になった。

 責任感の強い鈴仙はこのことについてずっと謝り続けた。

 

「それじゃあ次は私!」

 

 次に名乗り出たのはルーミアだった。

 どうやらルーミアも今まで料理という料理をしたことはないようだった。

 ただ、さすがに人間の社会の中でも生きて来た身のため、人間が何を食べることが出来て食べることが出来ないのかというのは把握しているはずである。

 そのため、フランのように輸血パックを入れるというような無知ゆえの暴挙に走るということはないはずである。

 

 ――はずである。

 

「おい、なんか、鍋から紫色の煙が上がってねぇか? 金髪のやつ、ゴスロリみたいに変なもん入れてねぇよな」

「今ずっと見てましたが、変なものは入れてないはずなんですけどね」

 

 威迅の問いに近くで見ていた茉衣が苦笑いを浮かべながら言った。

 特に変なものとか、特別なものとか何も入れていないというのにボコボコと変に沸騰して紫色の煙をあげている鍋の中身。

 それを目の当たりにして3人は恐怖を抱いていた。

 

「ね、ねぇ、あれ食べたら、今日が私達の最期の日になったりしないわよね!?」

「お、お姉ちゃん落ち着いて! 大丈夫、変なものは入ってないって話だし、あっても美味しくない程度だよ!」

「だといいがなぁ」

 

 そうしてしばらく経過し、やっとルーミアは鍋の中身を皿に盛って3人の前に差し出した。

 それは紫色のドロっとした液体で、紫色の湯気がツンと鼻を刺すような強烈な刺激臭を放っていた。

 

「こ、これは?」

「シチュー」

「え?」

「シチュー」

 

 鈴仙は目に若干の涙を浮かべながら再度自分の前に置かれたシチューへと目を向けてみる。

 これはどう見てもシチューには見えないなにかだった。

 むしろ毒物の類だと言われた方が納得出来るレベル。

 

「うさぎ、てめぇから食っていいぞ」

「それって、あなたが食べたくないだけじゃないですか!?」

「うるせぇ、てめぇから食え!」

「むぐっ!」

 

 鈴仙が抗議をすると、威迅は鈴仙の口が開いた瞬間にスプーンで救ったシチューを口の中へ放り込んだ。

 すると、その瞬間、みるみるうちに顔色が悪くなっていき、やがて鈴仙は白目を向いて泡を吹いてその場に倒れてしまった。

 

「やはり毒物の類か。普通の食材のみで毒物を作り上げんのは一種の才能だぞ」

「そんなことを言ってる場合じゃ! お姉ちゃん、しっかりしてお姉ちゃん!」

「っ! はぁはぁ……死ぬかと思った……」

 

 気絶した鈴仙だったが、すぐに復活した。

 今まで幾度となく永琳の試薬を飲まされては三途の川を渡りかけてきた経験があるため、毒物に対して耐性が出来てきているのだ。

 

「そんなぁ……」

「ルーミアちゃん……」

 

 明らかにショックを受けるルーミアに少し情を抱く黒葉。

 黒葉の最大の弱点はその優しさだ。

 そのため、ルーミアに対して情を抱いてしまった黒葉は――

 

「ちょ、黒葉君正気!?」

 

 今まで静かに様子を見守っていた天音が大声を出して止めようとしたが、時すでに遅しだった。

 なんと黒葉は毒物シチューを一気にその体に流し込んだのだ。

 

「ぐふっ、ごち、そう、さま……おいし、かった……」

 

 黒葉はそのまま倒れそうになってしまうが、鈴仙は構えていたのか、咄嗟に飛び出して黒葉を受け止めると薬を1錠口の中に放り込んで水を流し込んだ。

 この錠剤は解毒薬。

 鈴仙はこの旅でもしものことがあった時のためにと色々な薬を永琳から託されているのだ。

 

「た、助かった……」

 

 毒が体から抜けたことですぐに目を覚ました黒葉の顔は青紫色になってしまっていた。

 相当な恐怖体験を味わったためである。

 

「ごめんね……」

 

 黒葉が体を張ってシチューを完食したものの、ルーミアには結局罪悪感が残ってしまった。

 

「それじゃあ、最後はあたしだね。腕によりをかけて作るよ!」

「……メイド、あいつの事を注意深く監視しといてくれ」

「あら、私に頼むんですね」

「ここではあんたが最適解だと判断したからだ」

「はいはい」

 

 張り切ってキッチンに立つ天音を警戒し、威迅は咲夜に監視を依頼した。

 天音は本来敵陣営の人物だ。

 いつ何時変なものを入れるか分かったものじゃない。そして、それを天音は容易にできる位置にいる。

 警戒するに越したことはない。

 

(あら、手慣れた手つきね)

 

 とても8歳とは思えないほどに手慣れた手つきに咲夜は少し感心してしまう。

 そこら辺の料理人達よりかはさすがに劣るだろうが、一般人にしては凄まじく手際がいい。

 

 玉ねぎ、人参、じゃがいも、豚肉を手際よく切っていって沸騰したお湯の入った鍋の中へ次々と放り込んでいく。

 

(あら、あれは)

 

 しばらく待っているとようやく天音は料理を作り終えたようで、鍋の中身を皿に盛って3人の前に置いた。

 それを見て3人は目を見開く。

 

「シチューだ」

「シチューね」

「これ、シチューだよ」

 

 なんと、天音が作った料理もルーミアと同じくシチューだった。

 だが、ルーミアとは違うのはちゃんと白く、完璧なホワイトシチューになっているという点だ。

 臭いに関しても、ツンとくる刺激臭は無く、その代わりに食欲をそそる臭いが漂ってきて、この前にも2品はまともに食べているはずなのに3人はお腹を鳴らしてしまう。

 今まで食べたものが全てリセットされたかのように3人は空腹になってしまったのだ。

 

「おい、うさぎ、毒味してみろ」

「なんで命令口調!? それに毒味とか嫌なんですけど!?」

 

 と言いつつも、責任感の強い鈴仙はここで自分が毒味をしなかったことで2人に何かがあったらと考えて覚悟を決め、出されたシチューをスプーンで掬って目をぎゅっと瞑りながら口の中へ勢いよく放り込んだ。

 その様子を威迅は固唾を呑んで見守り、どういうことなのか分からない黒葉は2人の様子を見て不思議そうに首を傾げる。

 

「っ!?」

「おい、どうした!!」

 

 突如として口を抑えて目を見開いて驚愕する鈴仙に本当に毒が入っていたのではないかと考えて狼狽する威迅。

 

「てめぇ、こんな敵陣のど真ん中で堂々とやるなんて、覚悟は出来てるんだろうなぁ!」

 

 刀に手をかける威迅。

 だが、そんな威迅の手を鈴仙が掴んで止めた。

 

「ち、違いますよ。美味しいんです……」

「あ?」

「美味しいんですよ!! すごく!! なんですかこのコク。異常ですよ! 店出せますよ店!」

「ふっふーん。そうでしょそうでしょ〜。あたしは料理できる系美少女なんですよ〜」

「自分で言うのはどうかと思うけどね」

 

 天音のセリフにツッコむ咲夜。

 

 鈴仙が美味しいと言ったので威迅も一口食べてみることにし、スプーンで一口口に入れた瞬間、威迅も驚きのあまり、目を見開いてしまった。

 美味すぎるのだ。

 ゴロゴロと入った具材、信じられないほどにコクのあるホワイトソース、全てがマッチしている。

 

「確かに美味いな」

「これ美味しいよ!」

「確か冬夏黒葉君の好物、でしたよね?」

「そうだね。すごく美味しくて幸せだよ」

 

 本当に美味しそうに食べる黒葉を見てルーミアは悔しさにハンカチを加えて震えていた。

 ルーミアも黒葉の好物をずっと一緒に食事している間に見極めていて、黒葉の点を購入希望です取るためにシチューを作ったのだが、失敗してしまったのだ。

 そのため、同じことをした天音に敗北してしまったので悔しさでいっぱいになっている。

 

「それじゃあ、天音が優勝って事でいいかしら?」

「うん」

「あぁ」

「ですね」

 

 咲夜の言葉に3人が頷いたことによって天音が優勝となった。

 

「それじゃあ、冬夏黒葉君との夜デートはあたしが貰っていくね〜」

「え、夜デート?」

「そうそう。この勝負の優勝賞品は君との夜デートだから」

「え、えぇぇぇぇぇぇぇっ!?」

 

 黒葉はこの勝負の優勝賞品がなんだったのか全く知らなかったため、自分が賭けられていたとは微塵も思っていなかったが故に大声を上げて驚愕した。

 そもそもこの賞品は天音が勝手に言い出したものなのだから黒葉が知らなくて当たり前である。

 

「冬夏黒葉君はあたしとデート、してくれないの?」

「まぁ、いいですが……もう夜なのでそこそこでお願いしますね」




 はい!第119話終了

 フランは人間の常識不足、ルーミアはダークマターって感じでしたね。

 天音は普通に料理ができます。

 銀河家は料理できる人がいなくて料理人なんかも雇っていなかったため、天音が必死に料理を覚えた感じですね。

 さて、次回は黒葉と天音の夜デートから始まります。

 それでは!

 さようなら

銀河天音はどっち陣営だと思いますか?

  • 味方
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