【3章投稿中】東方妖滅録   作:ミズヤ

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 はい!どうもみなさん!ミズヤです



 それでは前回のあらすじ

 咲夜と人里に買い出しに来ていた黒葉。

 帰り際に咲夜と別れて一人で帰ることになったのだが、そこで一人でいる女の子に遭遇。

 そこに自我の無い妖怪が襲いかかってきた。

 黒葉は女の子を庇って逃がしたのだが、果たして黒葉は妖怪に勝つことは出来るのだろうか。



 それではどうぞ!


第12話 自分への怒り

side黒葉

 

 俺は刀を抜いて妖怪をじっと観察する。

 すると妖怪はすごい勢いで走ってきて俺に飛びかかってきた。

 

「っ!」

 

 そして爪で引っ掻いてこようとしてきたので、刀で弾くと妖怪は横のようへと飛んで行った。

 しかし、直ぐに方向転換してこっちへ向かってくるので今度は回避して斬りかかった。

 

 すると今までとは違って少し手応えがあったあと、妖怪の背中から少し血が出てきた。

 

「確実に強くなっている。咲夜には感謝だな」

 

 だが、それでもこの妖怪相手にギリギリの戦いなのは確かだ。攻撃を捌くだけでも一苦労だ。

 元の戦闘センスが無いのだろう。少し戦っただけでコンディションはバッチリのはずなのに息が上がってしまっていた。

 

「俺はまだ勝てないのかよ……はは」

 

 自虐的な笑みが溢れてくる。

 弱い自分に腹が立ってくる。

 

 こんな所で死んではいられない!

 

「はぁっ!」

 

 妖怪は声を上げて俺に飛びかかってくる。

 それに合わせて俺は刀を振った、その瞬間だった。

 

 刀が燃え上がったのだ。そしてその刀は真っ直ぐ妖怪の首へと向かって行って、俺の刀はその妖怪の首を一刀両断した。

 すると妖怪はパタリと倒れて動かなくなった。

 

「はぁ……はぁ……はぁ……」

 

 肩で息をしながら倒れて動かなくなった妖怪を見て刀を鞘に収めた。

 勝った、俺は妖怪に勝ったんだ。

 これは夜だったことが功を奏したのだろう。それに満月に近い月が出ている。それが俺を勝利に導いた。

 

 それに今の炎。

 もう燃えてはいないが、さっき刀が燃えていた。今のは一体……。

 

 だが、もう疲れてしまった。

 買い物袋を拾って帰ろうとすると一人の目と目が合ってしまった。

 

「師匠?」

「どうしたんですか、その傷は!?」

 

 咲夜だ。

 俺を見つけると慌てた様子でこっちに駆け寄ってきて足元に倒れている妖怪を見つけたようだった。

 

「もしかして妖怪に襲われて」

「確かに襲われたが、ちゃんと勝ったぞ」

「何馬鹿なことをやってるんですか!」

 

 俺がサムズアップをすると返ってきたのはお叱りの言葉だった。

 そんな言葉が帰ってくるとは思っていなかったので俺は驚いてしまう。

 

「なんで妖怪とまともに戦ってるんですか。あなたはまだ弱い。夜、月が出ているからと言って勝てる保証はどこにもないんですよ。なんで逃げなかったんですか。あなたでも吸血鬼なんですから自我の無い妖怪の追跡くらいだったら簡単に振り切ることができるんですよ!」

「悪い」

 

 咲夜の声からわかる。これは本気で俺のことを心配してくれている声だった。

 まだ会ってから日も浅いのに咲夜は本気で俺の事を心配してくれているのだ。だから言い返す気も起きなかった。

 

「でもまぁ、生きているのだからそれでいいとします。先に返すんじゃありませんでした。少し時間がかかるけど待ってもらうべきでしたね」

 

 俺は倒す対象として見ているが、咲夜がいい人だということは知っている。だが、今回の件で更に咲夜がいい人だということを思い知ってしまった。

 今まで倒す対象としか見ていなかったが、ここまでいい人だと知ってしまって俺はいざと言う時にみんなを殺す決心をつけることが出来るんだろうか。

 

「そういえば咲夜は人里で何をしてきたんだ?」

「あぁ、これです。吸血鬼の目ならこの暗さでも見えますよね」

 

 そう言って渡してきたのは一枚の紙だった。

 そこに書いていたのは転入申請書という文字。それは寺子屋に通うために必要となる書類だった。

 

「え、なんで」

「だって、通いたいんでしょ?」

「でも金が……」

「大丈夫、お嬢様ならきっと喜んでお金を出してくれます」

 

 確かにレミリアなら喜んで金を出してくれそうだけど、なんだか悪いような気がする。

 別に寺子屋に通う義務はない。それならば働いた方が紅魔館のためになる。

 

「……あなたってお嬢様を殺したいと言う割にはお嬢様たちのことを考えていますよね」

「まぁ、一応世話になってるから」

 

 自分でもなんでか分からない。

 ただ、どうでもいい人のことは心配しない。だから俺の中でなにか変わってきているのは事実だ。

 くそ、レミリアにどんどんと心を侵略されて行ってるみたいで気分は最悪だ。

 

「でも、遠慮はしないでください。お嬢様も遠慮しないで欲しいと思っているはずですよ」

「だが、そうしたら仕事はどうするんだ? 俺も仕事があるんだが」

「仕事は心配しないで大丈夫。元々あなたがいないでも回っていたから、仕事は休みの日にでも手伝ってくれればいいわ」

 

 咲夜は俺のことを考えてくれたのだろう。

 そう思うと悪い気はしないし、寺子屋には通いたかったので、そんなふうに言われると通いたいと思う気持ちが強くなってきてしまう。

 とりあえずレミリアに話を通してみないと分からない。

 

「咲夜、ありがとう」

「いえいえ」

「だが、どうしてそこまでしてくれるんだ? 出会ってからまだ日にちも浅いだろ」

「……あなたはもう紅魔館の一員じゃない。なら、これは当然のことよ」

 

 俺が紅魔館の一員だから。俺がいつかみんなを殺そうとするかもしれないというのにそんなに世話を焼いてくれるのか。

 あぁ、俺は一生この人には勝てないかもしれないと考えさせられた。

 

 そして俺たちは買い物袋を持って帰路に着くのだった。




 はい!第12話終了

 黒葉が妖怪に勝利しました。

 これまで負け続けだったので初めての勝利だったようです。

 そして刀が燃えたのは今後重要になってきます。

 それでは!

 さようなら
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