【3章投稿中】東方妖滅録   作:ミズヤ

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 はい!どうもみなさん!ミズヤです



 それでは前回のあらすじ

 暴れ狂う火柱。

 その火柱が突如として襲いかかってくる。

 しかし、その火柱を天魔は一撃で蒸散させてしまった。

 その中から出てきたのは黒葉だった。

 威迅は慌てて黒葉を回収してから天魔との戦いに挑むが、雷神剣・地でぶっ飛ばされてしまう。

 果たして勝つことは出来るのだろうか?



 それではどうぞ!


第130話 煌めき

side三人称

 

「凄まじい雷だったな」

「えぇ、もしかしたら大勢の怪我人が出たかもしれないわ」

「お兄ちゃん、大丈夫かな……」

 

 烈夏、雪姫、茉衣の三人は先の落雷を見て戦場へと急いで向かっていた。

 狭い隙間を通り、時には家の屋根を飛び移り、雷が落ちた方向へと駆け抜けていく。

 

 だが、それでも医療班は戦場となることが予想されていた入口とは遠い場所に設置されたため、向かうのは少し時間がかかる。

 三人は急いで行くが、どうしても身体能力の違いで茉衣は遅れ気味になってしまう。

 

 烈夏は凄腕の剣士、雪姫は雪女。普通の女の子である茉衣ではついて行く事すら難しい。

 それでも茉衣は自分から戦場で戦っている人を助けに行く救護班に立候補したのだ。

 

(お兄ちゃんが戦っているんだ。なのに、私だけ医療班でのんびりと待っている訳にはいかない! 修行だってしたんだ!)

 

 烈夏や雪姫の様に軽やかに動くことは出来ない。

 威迅の様に能力を持っている訳でも無い。

 普通の人間の少女だ。

 烈夏や雪姫とは違って屋根の上に登るのにも時間がかかる。

 

 だから茉衣は攻撃班に入ることは出来ない。

 でも、違う形で自分も協力したいと茉衣は思っていた。だからこそ救護班に入ったのだ。

 

(2人とも凄い速い。私も急がないと……っ!)

 

「なんだあれは!?」

「龍?」

 

 その時、突如として3人の背後から火で(かたど)られた龍が迫ってきた。

 いや、正確には3人のちょうど頭上を通過して3人が向かっている場所、戦場へと飛んで行ったのだ。

 

「熱ッ」

 

 ちょっと頭上を通っただけで火傷しそうなほどの熱気を浴び、3人とも顔を顰めてしまう。

 特に雪女で烈夏や茉衣よりも熱に弱い雪姫は冷や汗を流して膝を着いてしまった。

 

「雪姫っ!」

「大丈夫。ちょっとクラっとしただけ。雨の冷たさで直ぐに回復したよ」

「っ、なら、良いんだが……」

 

 烈夏を心配させないように笑顔を作りながら立ち上がる雪姫だったが、その顔色はあまり良くなかった。

 そんな雪姫の気持ちを察して烈夏はそれ以上何も言わずにそっと雪姫に手を差し出した。

 

「烈夏さん……」

 

 雪姫は烈夏の手に気がつくと微笑んで烈夏の手を握った。

 傍から見ると完全にイチャイチャしている。戦場でいったい何やってるんだといった感じである。

 

「しっかり捕まってろ」

 

 そう言うと雪姫の手を引いて屋根の上を駆け抜ける烈夏。その後を遅れて茉衣がついて行く。

 

 それから少し走るとようやく前線へとたどり着いた。

 

 3人の視界に映るのは天魔と威迅、それから地面に倒れている黒葉だった。

 烈夏と雪姫は知らないが、茉衣は黒葉が閉じ込められていたことを知っている。そのため、黒葉が今ここで倒れている姿を見て驚愕してしまっていた。

 

(なんで黒葉君がここに!? それに倒れてる。どうして……)

 

「まずい! 黒葉がやられるぞ!」

「えぇ、わかってるわ」

 

 茉衣はこの状況に頭の整理が追いつかなくて動けなくなってしまっているが、烈夏と雪姫の2人は的確に状況を見極めて天魔に黒葉がやられそうになっているのを見て直ぐに駆け出した。

 しかし、それでも黒葉を助け出すにはスピードが足りない。

 ダメかと思われたが、天魔の大剣が振り下ろされる前に威迅の刀が黒葉の体に巻き付き、黒葉を回収した。

 

 その光景を見て直ぐに烈夏は方向転換した。

 状況を判断し、そして黒葉は威迅に任せてまずは他の重傷者を助け出すのが先決だと判断したのだ。

 

(黒葉は威迅君と雪姫に任せておけば大丈夫だろう。それにしても何が起こったんだ。みんながあっちこっちに吹っ飛ばされている。気絶した後に突風か何かでぶっ飛ばされたのか?)

 

 広範囲に散り散りになってしまっていて、少し離れたところでは他の救護班の人たちが怪我人を回収して行っているのが見える。

 こうして多くの救護班のみんなと協力して怪我人を回収していくのだ。

 

 そして烈夏も同じように1人の怪我人の元へと駆け寄ると、しゃがみこんで状態を確認する。

 

(意識は朦朧としているようだが、息はある。切り傷はなし。どうやらぶっ飛ばされた時に体を強く打ったみたいだな。骨はまず確実に折れている。それから雷に撃たれたからか、リヒテンベルク図形が出来ている。これなら急いで処置をすれば命に別状は無いだろう)

 

 軽く状態を見てそう判断した烈夏はあまり衝撃を与えないようにそっと怪我人を抱えて医療班へ向けて走り出そうとしたその時、烈夏は視界の端に映った光景に気がついて思わず足を止めてしまった。

 そして弾かれるようにそっちの方向へと顔を向ける。

 

「ぐああああああああああああああああああああああ」

「お兄ちゃん!!」

 

 ズダダダダダダダダダダダダ。

 凄まじい轟音を鳴らして地面を抉りながら吹っ飛ばされていく威迅。

 天魔に挑んでやられてしまったのだ。

 

 その光景を見てさっきまで唖然としていた茉衣が息を吹き返したかのように慌てる。

 

 さっきまで黒葉のことを威迅に任せようと思っていた烈夏も焦りを抱いていた。

 雪姫は雪女の能力はあるものの、1人で戦えるほどの力は持っていない。戦い方はサポーターなのだ。

 1人にはしておけない、そう思った烈夏は近くをたまたま通りかかった救護班の1人に声をかけた。

 

「佐久間、ちょっと待って」

「あぁ、冬夏さん。どうしました?」

「この人を頼めないか?」

「え? いいですけど、どうしたんですか?」

「僕は、あいつをやる」

 

 近くを通りかかった佐久間に怪我人を任せると刀に手をかけて覚悟を決めた。

 威迅が居なくなった以上、雪姫や黒葉を守るためには自分が戦わなければいけないと考えたのだ。

 

「ちょちょちょ、ちょっと待って! あいつの強さ見ましたよね!? 能力がある狂犬ですらやられたのに能力がないあんたじゃ無理っすよ!!」

 

 そう、烈夏は能力を持たない無能力者だ。

 能力がある相手だとどうしても後手に回ってしまうことが多い。

 それを補うために雪姫が一緒に戦ってくれているのだが、今黒葉の近くを雪姫が離れてしまったら黒葉が危ない。

 

 烈夏は覚悟を決める。

 雪姫と共に行動するようになってからは1人で戦いに挑むのは初めてだった。

 つまり、約20年振りだ。かなりのブランクがある。

 

 それも心配要素だったが、烈夏には死ぬという事象への恐怖というものが薄いため、そんなに天魔に挑むことへの不安はなかった。

 数少ない心残りとしては自分が死ねば雪姫や黒葉を取り残してしまうということだった。

 

「でも、ここでみんな殺されるよりはマシだ」

 

 能力は使えないが霊力はあるし、もちろんこの霊力を操ることだってできる。

 何も出来ないわけじゃない。

 

「次はお前か?」

「あぁ、僕は冬夏烈夏だ。あんたは?」

「銀河天魔だ。それにしても、そうか。冬夏か。あの一族は女しか生まれないはずだが……となるとお前は婿か」

「そうだな。だから僕は雪姫さんには頭が上がらないんだよ。だから、この里を守るっていう雪姫さんへの約束も絶対に守らにゃならんわけだ」

「そうか、せいぜい頑張ることだな!」

 

 天魔は言い終わると同時に剣を地面に叩きつけて烈夏へと衝撃波を放つが、烈夏はその衝撃波にビクともすることがなく、逆に衝撃波の風圧に逆らって走り出し、カウンターを決めに行く。

 

 白愛の最初の師匠はやはり父親である烈夏だ。

 その烈夏が教えたのは剣術と言うよりかは体捌き、実践においての動き方。

 筋肉の上手い使い方。体のバネを最大限に生かす方法などなどだ。

 

 そのお陰で疾風の白愛と呼ばれるほどのスピードを白愛は手に入れることが出来た。

 そしてそれを教えた彼もまた、それ相応のスピードを誇る。

 

「なっ!」

 

 烈夏はとてつもない衝撃波の向かい風となっていたはずだ。

 だと言うのに、常人が追い風で走るよりもずっと速い動きで天魔の眼前にまで迫ってきていた。

 もう既に刀は振りかぶっており、あとは振るだけ。

 天魔の肉体を切り裂くまで王手がかかった。

 

(速い。向かい風だと言うのになんというスピード。普通ならぶっ飛ばされていてもおかしくないというのに。この烈夏とかいう男、侮れない)

 

「豪剣《(きら)めき》」

 

 眼前に迫った烈夏が刀を振り抜くまでの速度はまさに瞬きの間だった。

 天魔が大剣を振る時間は与えられず、一瞬て振り抜かれた烈夏の刀は天魔の肉体をぶっ飛ばした。

 

 天魔が威迅をぶっ飛ばした時ほどのものでは無いが、ぶっ飛ばされた天魔は森の木に激突して止まった。

 そんな様子に周囲で見ていた人々は釘付けにされてしまう。

 

 まさか無能力者の烈夏の一撃が天魔をぶっ飛ばすとは誰も思っていなかった。ただ1人、天魔の妻である雪姫以外は。

 

 しかしそんなことよりも問題なことが1つあった。

 上半身裸の天魔の肉体。そこには何と、全く切り傷が着いていなかったのだ。

 もちろん上半身裸ということで鎧の類を着込んでいる訳でもない。

 

 ただ、異常に天魔の筋肉が硬すぎるのだ。

 

「おいおい、筋肉アーマーとか聞いてないぞ」

「今のは効いたぞ」

「おいおい嘘つけ。全く傷1つ無いじゃねぇか」

 

 木に叩きつけられて平然と膝を着くことも無く地面に立つ天魔に苦笑いを浮かべる烈夏。

 この筋肉アーマーを貫けるほどの攻撃力が無ければ天魔へダメージを与えることは出来ない。

 

「でもまぁ、ダメージが入らないとしてもここを譲る気は毛頭ない」

「そうか、なら、()ろうか」




 はい!第130話終了

 天魔の前には烈夏が立ち塞がります。

 烈夏は体の使い方とか色々と熟知しているので白愛以上に素早い動きが可能となっています。

 ただ、白愛は才能でその差を埋めているので、実質的に白愛の方が強いわけですが。

 それでは!

 さようなら

銀河天音はどっち陣営だと思いますか?

  • 味方
  • 中立
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