【3章投稿中】東方妖滅録   作:ミズヤ

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 はい!どうもみなさん!ミズヤです



 それでは前回のあらすじ

 烈夏、雪姫、茉衣が前線まで来ると、威迅と天魔が戦っていた。

 烈夏は雪姫と威迅に倒れている黒葉を任せて救護活動をしようとしたが、威迅が天魔にぶっ飛ばされてしまう。

 雪姫だけではあまり戦えない。

 だから烈夏は天魔に挑んで足止めをすることにした。



 それではどうぞ!


第131話 双の豪

side三人称

 

「よし、行くぞ! 俺達も続くんだ!」

 

「俺達も組長に貢献するぞ!!」

 

 それぞれ両陣営共に声かけをして士気を高め、ぶつかり合う攻撃班と天魔組構成員達。

 常に戦いの訓練を受け続けてきていた構成員達は確かに強いが、攻撃班もメンバーも負けてはいない。

 

 ほとんどは刀を打つ為の玉鋼などは自分で調達してきている。

 そのため、妖怪が巣食っている洞窟や森の中に行くことも少なくはなく、自衛のために戦闘訓練は欠かすことはなかった。

 

 両者共に互角。

 斬って斬られての攻防。

 

 そんな攻防が烈夏と天魔を円形状に囲うように行われていた。

 

「あの馬鹿どもも本格的に戦い始めた。俺も少し真面目にやるか」

「あぁ、僕たちを舐めない方がいい。僕たちはいつだってお前の首を狙っているんだからな」

 

 真面目に戦う宣言をする天魔に軽く笑みを浮かべながら刀を向ける烈夏。

 はたから見たら余裕そうに見える烈夏だが、その実はあまり余裕がなかった。

 

 天魔達は攻める側で誰かを守るとか考えなくてもいいが、烈夏達は防衛戦だ。

 できる限り住人たちは守らなければいけない。

 だからこそいつかボロが出てしまうんじゃないかと常にビクビクしながら戦うことになる。

 

「ふぅ………………すぅ…………っ!」

 

 深く息を吐いてゆっくりと吸って緊張を紛らわせる。

 

(落ち着け、乱されるな。自分のペースに持ち込むんだ)

 

 烈夏は刀を構えると烈夏に向かって走り始める。

 大雨によって地面がぬかるんでおり、足が取られやすくなっていて走りにくくなっている。

 だがそれでも、烈夏の走る速度は普段と比べて落ちることは無い。

 それよりも普段よりも全力を出して走っているのか、いつもよりも速いくらいだ。

 

「速いな」

「それはどうも!」

 

 ガキィィィンッ!

 

 常人では捉えられない程の速度で繰り出される一撃を天魔は防いでみせると今度は天魔が烈夏の事を叩き切るかのように力強く大剣を振り下ろす。

 だが、烈夏は何もせずにやられるようなヤワではない。

 そのまま攻撃を弾かれた時の衝撃を利用して真横に転がって大剣を回避した。

 

「はぁぁぁぁぁっ!」

「ぐっ!」

 

 体勢を一瞬で整えた烈夏は直ぐに天魔の懐に入り込んで刀を振るう。

 さすがに烈夏の速い一撃だ。

 天魔も完璧に防ぐことは出来ず、防御はしたものの、10メートルほどぶっ飛ばされて踏みとどまった。

 

「はぁ……はぁ…………くはっ、やっぱり入んねぇか」

 

 烈夏は天魔を斬った箇所を見て空笑いするしか無かった。

 やはり全く切り傷などついていなくて天魔へのダメージはあまりないようだった。

 

 さらに、今のやり取りで息を切らしている烈夏とは違い、全くもって疲れている様子はない。

 

「全く……能力を使っていないとは思えない力だな」

「僕も能力を使えたらいいんだけどな」

 

 腹を擦りながら言う天魔に対して自虐的な笑みを浮かべて言う烈夏。

 

(あの鋼鉄の筋肉を斬るには中途半端な斬撃じゃダメだ。本気を出すしかない。だが、あいつも全く本気を出していない。僕があいつ相手にどれだけ耐えられるか)

 

 烈夏と天魔は再び向かい合って互いに刀と剣を構えると同時に走り出した。

 2人とも全力で地面を蹴って走り出したため、2人が元いた場所には小さいクレーターが出来上がる。

 

 天魔は大剣を下に構え、斬り上げる体勢となった。

 対する烈夏は刀を右手で思いっきり後ろへと振りかぶって逆手の状態で構える。

 

 2人の得物には2人の霊力がこれでもかと纏われていて、2人が走った後に2人の霊力の色が残像として残る。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

 

 そしてついに2人の攻撃はぶつかり合う――

 

「豪剣《双陣》」

「雷神剣・(かい)

 

 ガギィィィィン、ズターン、ゴロゴロゴロ、ズシャーン。

 

 金属同士がぶつかり合う音、それから雷が落ちる凄まじい轟音が周囲に鳴り響いた。

 雷色に染まった光が烈夏と天魔の2人を包み込み、外からでは全く中の様子を確認できない。

 

 やがて段々と光が薄くなり、中の様子が見えるようになると、その中の光景を見て雪姫が叫んだ。

 

「烈夏さん!!!」

 

 何と、その中から見えた光景というのは、その場で剣を振り上げたまま立っている天魔と地面に大量の血を流しながら倒れ伏している烈夏の姿だった。

 この状況、誰が見ても勝敗は明らかだ。

 

「貴様は強かった。せめて能力があれば少しは違ったやもしれん」

「へへ、そりゃどうも」

「冬夏烈夏、お前の名は俺の脳に刻んでおこう」

 

 それだけ言うと天魔は黒葉と雪姫の元へと向かおうとした。

 だが、天魔が剣を下ろしたその瞬間――

 

 パキィィィン

 

 今まで上に掲げていたからこそ耐えられていたのだろう。

 下ろした瞬間に刀身は根元の方から全て粉々に砕け散った。

 更には天魔の腹に切り傷が出現し、この戦いで初めて天魔は己の肉体から血を流した。

 

「これが能力を持たぬ男の力量か。末恐ろしいな」

 

 烈夏は双剣を使った。

 1度じゃ斬れないなら2度斬ればいい。そう考えたからこそ双剣を使って天魔の大剣を粉々に割り、天魔に傷をつけることに成功したのだ。

 だがしかし、天魔の攻撃の威力は剣が壊れたからと言って衰えるものでは無い。

 そのまま烈夏も攻撃を食らってしまい、倒れたのだ。

 

 雷色の光は天魔の大剣が破壊されたことによって生み出された光の乱反射によるものだったのだ。

 

 これによって天魔へとダメージを与えることには成功した。

 だが、それでも傷は浅い。

 天魔を倒すには全然足りない。

 

 天魔は烈夏を一瞥すると、ゆっくりと歩いて雪姫と黒葉へと歩き始めた。

 

「黒葉はやらせない……っ!」

 

 烈夏が敗北したため、雪姫が黒葉を守らなければいけない。

 天魔と戦う覚悟をした雪姫は天魔へと手を向けると周囲に冷気を解き放つ。

 

「《凍結(アイス・ロック)》」

 

 周囲に解き放たれた冷気によってどんどんと温度が下がっていき、降り注ぐ雨や地面に出来た水溜まりがどんどんと凍りついていく。

 もう雪姫の周囲は降ってくるものが雨では無い、雹だ。

 大量の氷の塊が降り注いでくる。

 

「その能力は……む?」

 

 天魔はまた1歩2人へ向けて踏み出そうとしたが、足が前に出ることはなく、突然のことにバランスを崩しかけた。

 何と、天魔の靴は地面の水と共に凍りついてしまっていたのだ。

 

「どうですか、私の冷気は」

「あの小娘と同じ能力か」

 

 さっきから雨を浴びている天魔の肉体はどんどんと凍りついて行って動けなくなっていく。

 だが、少しでも冷気の出力を弱めたら一瞬で氷が破壊されてしまって拘束が解けてしまうほどのパワー。

 

(多分烈夏さんは死んではいない。あの人があれしきのことでやられるわけが無い。酷い出血だけど、早く治療をすれば治るはず。なら、今私がすることは少しでも長くあの天魔(怪物)を足止めすることっ!)

 

 誰かが烈夏を医療班に連れていってくれる事を願って天魔の事を凍らせていく。

 天魔ならたとえ全身を氷漬けにしたとしても一瞬で氷を割って動き出すだろう。

 

(烈夏さんが勝てなかった相手に私1人で勝てるわけないってわかってる! でも――)

 

 バリィィィン

 

 その瞬間、雪姫にとって1番聞きたくない音が聞こえてきた。

 

「この程度で俺を止められると思ったか?」

 

 何と雪姫は全く冷気の出力を弱めた訳では無い。むしろ強くしていたというのに天魔は氷を割って動き出してしまった。

 バリバリバリと代表に付いた氷をバキバキに割りつつ徐々に徐々に雪姫へと近づいていく天魔。

 

「お前の冷気はその程度か……」

 

 ダメだ。

 自分の力では足止めをすることすら叶わない。そう思った雪姫は黒葉を抱えてこの場から逃げ出そうとしたが――

 

 ズターン。

 

「く、か、はっ」

 

 黒葉を抱える前に雪姫に雷が落ち、黒葉をその腕に抱え込むことすら出来ずにその場に倒れてしまった。

 意識こそギリギリで保ったものの、身体中が痺れて少しも動けなくなってしまう。

 

 先程、天魔は手を天高く掲げて雷を大量に落としていたが、今度の雷はノーモーションで落としてきた。

 つまり、1つ雷を落とすくらいならモーションも必要ないということだ。

 モーションが無ければ雷が落ちてくるタイミングを見計らうことが出来ない。

 いつ落ちてくるか分からない雷に注意しつつ天魔のパワーを突破しなければいけない。

 

 ()()だ。

 その言葉が雪姫の頭の中を過ぎる。

 

「く、くぅ……」

 

 何とか呻き声を漏らしながら黒葉へと近寄ろうとする雪姫だが、ナメクジ程度の速さでしか動けない。

 

(く、来る)

 

 動けない状態で天魔が近づいてくる恐怖は計り知れないものがあった。

 それでも雪姫は強くあり、絶対に諦めるもんかとばかりに手を伸ばした。

 

「待って!」

 

 その時、突如として天魔の方から女の子の声が聞こえてきたため、弾かれるように雪姫はそっちへと顔を向けた。

 いや、実際には天魔よりもずっと手前側。

 雪姫の目の前からだった。

 

 そこには足を産まれたての子鹿のようにガクガクと震わせながら刀を構えて天魔の事を見据えている茉衣の姿があった。

 怖いのだろう。

 しかし、恐怖しながらも茉衣は雪姫と黒葉を助けたいと思って飛び出してきたのだ。

 

 内心ちょっと後悔しているのは内緒である。

 

「こここ、ここここ、こここここここ!」

「お前は鶏か?」

「こ、こここ、ここから先には、いいい、行かせません!」

 

 震えた声、弱々しい声だが、茉衣はしっかりと『ここから先には行かせない』と凄まじいオーラを放つ天魔に向かって言い放った。

 

 茉衣もわかっている。

 自分じゃこの状況をどうにもできないって。

 この中で1番弱い自分が30秒も時間を稼ぐことが出来るわけがないって。

 

 でも、ほんの少し。

 ほんの数秒でも時間を稼ぐことが出来たら状況が変わる、そう信じてここに立つ。

 

(絶対にお兄ちゃんが帰ってくるまで時間を稼ぐ!)




 はい!第131話終了

 ランダムに色んな戦いを書くって言ってましたけど、こっちの戦いばっかりになっていますね。

 咲夜と月刃の戦いは次回書こうと思います。

 それでは!

 さようなら

銀河天音はどっち陣営だと思いますか?

  • 味方
  • 中立
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