それでは前回のあらすじ
復活した烈夏と天魔の激しい戦い。
あと少しという所で烈夏は再びピンチに至ってしまう。
そこで茉衣が助けに入ることで烈夏は助けられたが、今度は茉衣がピンチになってしまった。
万事休すかとそう思われたのだが、間一髪のところで威迅が助けに入り、ついに天魔にしっかりとしたダメージを与えることに成功した。
果たしてこの戦いの行方は如何に!?
それではどうぞ!
side三人称
茉衣を下ろしたあと、3振りの刀は元の長さにぐぐぐっと縮まっていき、やがて威迅の手の中に1振りの刀として収束する。
これは3振りの刀ではなく、威迅が能力によって三又になった1振りの刀だったのだ。
「お前の能力、分からねぇな。質量保存の法則はどこ行った」
「てめぇに教える義理はねぇ。だが、1つ言うとしたらよ、俺は質量保存の法則には縛られねぇ。地獄の果てまで追い回し、必ずその首を掻っ切ってやるよ」
天魔へと刀を突きつけ、堂々と言い放った威迅。
目が力み、その目と目を合わせるだけで命を刈り取られそうな気がするほどの表情をしている威迅に対し、天魔は俯いて表情が全く見えない。
だが、その実、誰にも見られていないその表情には笑みが浮かび上がっていた。
「今度はぶった斬ってやる!」
「やれるものならやって見せろ、小僧!」
双剣を発動すると威迅は天魔へと駆け出した。
今の一撃でさすがに威迅を相手にする時は真剣にやらなければ致命打を受けてしまうと悟った天魔は雷で形成された大剣、雷神剣に霊力を纏わせた。
そして2人の剣がぶつかり合ったその瞬間、衝撃波とも突風とも少し違う空気が周囲に爆発。
周囲にいた精神力の低い者たちは時が止まったかのように硬直し、意識を一瞬だけ刈り取られてしまった。
そのとてつもない衝撃に思わずぶつかり合った2人も同時に背後へ飛ばされ、共に剣を地面に突き刺すことによってその場に留まった。
だが、2人共それに間髪入れずに再び走り出し、再び両者の剣が激突した。
「オラァッ!」
だが、今度威力で勝ったのは威迅の方だった。
威迅の双剣の威力は天魔の雷神剣を弾き飛ばし、更に威迅は懐に斬りこむ。
そこで威迅はさっきの敗因を思い出した。
あれは威迅が油断したことが原因だ。
天魔の雷神剣は天魔が能力で雷を操って作ったものであるから自由自在に作り出すことが出来る。
今度はしっかりとそれがわかっている為、威迅は警戒を怠らず、気配を感じて多めに横にぶっ飛んでその場から退避した。
その次の瞬間、威迅の居た場所には雷神剣が振り下ろされており、小規模なクレーターが出来上がっていた。
「同じ手は食らわねぇよ!」
威迅は思い切り地面を蹴って体を無理矢理方向転換すると、天魔へと斬りかかる。
さすがに地面に突き刺さった大剣を直ぐに引き抜いて振り回せる訳もなく、天魔は威迅へ蹴りを放った。
「ぐっ!」
何とかその蹴りは防御したものの、その威力は凄まじく、蹴り飛ばされてしまった。
次は天魔の番だった。
まるでさっきの烈夏の攻撃を再現するかのように雷神剣を手放して消滅させると一瞬でもう一度雷神剣を作り出し、一瞬にしてぶっ飛んでいく威迅に追いついて見せた。
それにはさすがに威迅もギョッとしてしまうが、何とか防御しようと体の前に刀を構えて受け止める体勢に入った。
「《雷神剣・地》!!」
そんな威迅に繰り出される地面に叩きつける高威力技が放たれ、そして威迅は受け止めることは一切できなく、その一撃をモロに食らってしまった。
「ぐ、かはっ!」
ズターン、ゴロゴロ、ズシャーン!
思わず白目を向いて意識を飛ばしそうになり、その場に手足を投げ出して倒れてしまう。
だが、まだ意識は飛んでいない。そんな威迅にトドメをさそうともう一度剣を構える天魔。
さすがにもう一回食らったらどうなるか分からない。
一瞬だけであるが、意識が朦朧としたため、反応に遅れてしまった威迅がこの状況で回避する方法は無い。
だが、それでも威迅が絶望することは無かった。
天魔の背後から迫ってきている人影が見えたからだ。
「豪剣《破滅》!」
「っ!」
背後から迫ってきた烈夏が技を使ったところで天魔も烈夏に気が付いて振り返るが、時すでに遅し。
今度は烈夏の振り下ろしが天魔に直撃した。
「ぐぅっ!」
双剣の力が載った一撃にたまらず天魔は吹っ飛び、2人から少し離れた位置で着地した。
相変わらず倒れない天魔ではあるが、2人の攻撃によって着々と傷が増えて行っていることはは確かだった。
「大丈夫かい?」
「問題ない……っす」
威迅は立ち上がると烈夏の真横に並んで複雑そうな表情を浮かべた。
烈夏は白愛の父親であるからして威迅にとっては扱いにくい相手なのだ。
その証拠にいつも荒々しい口調をしている威迅が珍しく塩らしくなっている。
「親父、助けようか?」
「いや、お前は来るな。ちょうど良いとこなんだ」
2人の連携にぶっ飛ばされたばかりだと言うのに天魔は口角を上げて楽しそうな表情をしている。
そんな父親の姿を見てつまらなさそうに壁に体を預けて欠伸をする月刃。
でも実際、烈夏も威迅も実力は高いが、そんな2人が合わさったとしても天魔がピンチになる絵面は思い浮かばないため、月刃は仕方がなく黒葉と雪姫の監視を続行することにした。
月刃は気がついている。
雪姫が気を失ったフリをしてずっと逃げ出す機会を伺っているということを……。
月刃も月刃で樹海が使えるため、雪姫が動き出したら直ぐに気付いてしまう。
そんなことをもちろん雪姫が知る由もないが!嫌な予感がしてずっとピクリとも体を動かすことが出来ずにいた。
その事は烈夏達も承知済みだ。
だから何とか天魔と戦いつつも月刃の隙を作ることが出来ないかと常に考えている。
しかし、天魔は考え事をしながら相手できるような強さじゃない。
「戦いの最中に考え事とはいい度胸じゃねぇか」
天魔はその場で2人に向けて剣を振るうと、2人には決してリーチが届かない距離ではあるが、切っ先から衝撃波が発生し、2人へと襲いかかった。
霊力斬ではない、単純な剣の威力による衝撃波だ。
2人は何とか回避したものの、その衝撃波は2人の背後の方まで飛んでいき、次々と背後の建物を縦にぶった斬っていく。
やがて威力が弱くなり、衝撃波は消えて止まったものの、その被害は甚大で、多くの建物が一刀両断されてしまった。
「化け物だな」
「今のをまともに食らってたら今僕らはまともに立っていなかっただろうね」
今の攻撃を見て天魔のことを化け物だと称する威迅たちだったが、全くもって戦意が喪失したりなどはしていない。
未だに力強く天魔のことを見据えている。
「さぁ来い! お前らの実力はそんなもんじゃないんだろう!?」
「言われなくても!」
「そのつもりだ!」
天魔の煽り文句に威迅と烈夏は同時に走り出した。
もちろん天魔にダメージを与えるには双剣が必要不可欠なため、双剣を発動しつつ、2人はクロスするように位置を入れ替えて同時に別方向へと回り込んだ。
「なるほど、左右からの同時攻撃か」
「豪剣《地割》ぃぃぃぃ!!」
「おらああああああああ!!」
左右から同時に放たれる凄まじい威力の斬撃。
普通ならこれでゲームセットなのだが、相手は天魔だ。
烈夏側の左手を真横におもむろに伸ばしたと思うとその掌に突如として雷が集まってきたかと思うと、その雷は形を形成し、大盾へと変化した。
天魔は烈夏の攻撃を大盾で完璧に防いでみせると、盾で烈夏の事を弾き飛ばして見せた。
「ぐうううう!」
次に威迅側の右手で軽々と大剣を振るうと威迅の攻撃にぶつけた。
「お、重てぇッ!」
今までのとは違い、今回の一撃は体を捻って威力をつけた攻撃だった。
もちろん重く、威迅はパワー負けしてしまって、そのまま地面に叩きつけられてしまった。
「ぐあっ!」
「《雷神剣・地》」
そこで威迅に襲いかかる叩きつける斬撃。威迅は回避することは出来ずにモロにその一撃を食らってしまった。
雷が体を貫く衝撃、凄まじい威力の斬撃。
そんなのを食らってしまった威迅の体はボロボロになり、大量の骨がズタズタになった。
意識を保つのもやっと。だがそれでも威迅は立ち上がった。
「フラッフラだなぁ」
刀を杖代わりに地面に突き刺して立ち、その絵に頭を乗せることによってやっとその体を支えている。
誰がどう見てももう戦える体じゃなかった。
「はぁ……はぁ……」
「まずはお前から殺してやろう」
「死ぬのはてめぇだ、化け物っ」
フラッフラで戦えるようには見えない、誰が見ても絶望的な状況だったはずだ。
しかし、威迅が俯きつつもニヤリと口角をあげた次の瞬間、突如として天魔の周囲の地面から大量の触手のようなものが飛び出してきた。
いや、触手では無く、触手のようにうねうねと動いている大量の刀身だった。
そう、これをやったのは威迅だ。
「こ、これは!?」
驚いているうちに天魔は大量の刀によってがっちりと手足を拘束されて全く身動きが取れない状態になった。
威迅はフラフラで刀を杖代わりにして立たなければ立てないのだと天魔に思わせておいて地面の中に刀を伸ばしていたのだ。
さすがに天魔と言えどもいくつもの刀に絡みつかれてしまったらこの拘束を解くにも一苦労だ。
それでもいつかは天魔のパワーで破壊されるだろう。
でも、威迅にとっては数秒持ってくれればそれで良かった。
なにせ、威迅からは烈夏が走ってくるのが見えていたのだから。
「くらいやがれ!」
「何ぃっ!?」
「豪剣《
烈夏は突きの構えをすると天魔を攻撃範囲内に入れて上空へと飛び上がり、天魔の真上までやってくると空気をも切り裂く勢いで目にも止まらぬ速さの連続突きを放った。
ズダダダダダダダダダ、ゴガガガガガガガガガガ
まるでドリルか何かが大岩を削っているのでは無いかと思うほどの轟音が周囲に響き渡る。
事実、烈夏のこの粉最は掘削にでも使うことが出来るほどの威力を誇っている。
さすがにこの威力の技を受け、天魔はその場に倒れ込むが、そのあともまだまだ連続攻撃を続けていく。
どんどんとどんどんと天魔の居る地面が陥没していき、まるで本当に掘削機で掘ったかのような地形に変化していく。
やっと烈夏は攻撃を辞めた。連続で攻撃を続けたせいで体力が底を尽きたのだ。
「っ!」
烈夏が地面に着地しようとしたその瞬間、地面沿いに斬撃が放たれたため、一瞬だけ霊力を足から噴出することで落下エネルギーを相殺し空中に留まり、斬撃を回避して見せた。
どうやらこれだけやったとしても天魔を倒すまでには至らなかったようだ。
「お前、飛べるのか」
「いや、飛ぶなんて大層なもんじゃない。精々ジャンプする位だ」
「もう少し霊力の操作を何とかしたら飛べそうだがな」
ゆっくりと立ち上がる天魔に再び烈夏と威迅は攻撃を仕掛けようと刀を構える。
だが、もう既に2人の体力は限界が近い。
もうそろそろ決着をつけなければまずいことは2人共理解はしているが、それにしては天魔へのダメージが少ない。
今の粉最で天魔にダメージを与えることは出来たが、倒すまでには至れなかった。
何とかしなければ……2人共焦りつつももう一度攻撃を仕掛けようとしたその瞬間だった。
ボバァァァァァン
何かが爆発したような轟音が響き渡った。
「これはさっきと同じ音……ということはもしかして!?」
さっき火柱が上がった時と同じ音だったことから全員驚きのあまり弾かれるように音の聞こえた方へと目を向けてみると、そこにはさっきと同じように火柱が上がっていた。
これにはさすがに月刃も動かざるを得ず、その場から飛び退いた。
「なんだこりゃ」
さっきまで咲夜と森で戦っていた月刃は火柱のことは知らない。
だが、さっきまでそこには黒葉と雪姫が居て、それを見張っていたのだから何が起こったのかは予想が着く。
「まさか、太陽か!?」
炎が黒葉と雪姫を覆い尽くしているため、内部の様子は分からないが、どんどんと内部で霊力が膨れ上がっているのだけは感じる。
だがそれはとても不安定なもので、まるで蝋燭の火のように儚いものだった。
「お、姉ちゃん、置いていかないで……僕を、1人にしないで……」
はい!第136話終了
威迅と烈夏は強いです。天魔がおかしいんですよ!
そして黒葉復活。
果たしてこの戦いはどうなるのでしょうか?
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それでは!
さようなら
銀河天音はどっち陣営だと思いますか?
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味方
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敵
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中立