それでは前回のあらすじ
天魔対威迅&烈夏。
2人の攻撃は天魔に捌かれてしまうものの、着実にダメージを与えていく。
そしてついに2人の連携が炸裂、天魔に大ダメージを与えることに成功したが、まだまだピンピンしている。
対する2人は体力の限界が近づいていた。
そこで何と、黒葉から再び火柱が!?
それではどうぞ!
side三人称
「お、姉ちゃん、置いていかないで……僕を、1人にしないで……」
火柱の中で弱々しくそう呟いた黒葉。
うっすらと火柱の中から人影が写るが、その人影はフラフラとまるで迷っているかの如く、どこへ行くでもなく、目的もなくただ、歩き始めていた。
あれは誰がどう見ても正気ではなかった。
(能力の暴走? いや、違う。それにしては様子がおかしい)
さすがに黒葉の様子を見て不気味に思った威迅は1歩後ずさった。
「動かれると困るんだ。父さんから言いつけられているからな!」
立ち上がってどこかへとフラフラと行こうとしている黒葉を見て止めようと月刃が動き出し、目にも止まらぬ速度で黒葉の正面に立ちはだかった。
ここで使う能力は硬化、咲夜のナイフを防いでいた硬化と同じ能力だった。
スピードと硬度が合わされば何者でも砕くことが出来る一撃となる。
だが――
「月刃、やめろ!」
「どらぁっ!」
硬化した拳をとてつもないスピードで炎の中の黒葉へと叩きつける。
月刃の考えではこれで黒葉のことを殴り飛ばして再び気絶させることができる――はずだった。
「お姉ちゃんは、どこだぁぁぁぁぁっ!」
「ぐ、ぐあああああっ!」
再び爆発するように燃え上がった灼熱の炎は硬化し、あらゆるものに体勢を手に入れることが出来る月刃の力をも焼き付くし、吹き飛ばして見せた。
月刃のパワーに黒葉の炎が勝ったのだ。
「お姉ちゃん、お姉ちゃん、お姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃん――1人にしないで……もう嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。もう誰も、失いたくない……」
虚ろな感じでずっと呟き続けている黒葉を見て烈夏と威迅の2人は確信した。
さっき大勢の人々が雷に貫かれてしまったことがきっかけで黒葉のトラウマが呼び起こされてしまった。
黒葉のトラウマとは大切な人が死ぬこと。
記憶を失ったとしても、そのトラウマは決して消えることは無い。
それが今、呼び起こされた!
「あああああああああああああああああああああああああっ!!??」
「ち、あいつ、錯乱してやがる!」
黒葉を覆い尽くす炎はまるで雪姫を守るように囲い、そして残った炎が黒葉へと纏わりつき、黒葉の手にする刀を覆って炎の剣となった。
周囲の温度は既に人間が耐えられる温度を超えており、威迅や烈夏、そして天魔までもが汗を流す。
「お姉ちゃんを、返せぇぇぇッッッ!!」
全力で振り下ろされる黒葉の刀の軌道はそのまま斬撃として飛び、炎を纏ったまま天魔へと襲いかかった。
その間にいた烈夏と威迅は慌てて回避するが、天魔はそのまま大剣を横に薙ぎ払うように振ることで炎の斬撃をかき消して見せた。
だが、錯乱して暴れ回っている黒葉の攻撃の重さは天魔にとっては予想外で、少しだけ後ろに後ずさりさせられた。
そこで黒葉は間髪いれることは無く、地面を蹴って天魔へと飛びかかり、その勢いを利用して刀を奮った。
双剣でもなんでもない一撃だ。
今は暴走状態で体の限界なんか考えずに攻撃しているから攻撃力が上がっているとはいえ、それだけでは説明のつかない攻撃力の高さに天魔は笑みを浮かべた。
「修行、していたのか」
天魔は振り下ろされる黒葉の刀に大剣をぶつけることによって攻撃を相殺し、更には弾いて見せた。
「それにしても全く火力が衰えないな。大雨の中だと言うのに」
普通、こんな雨の中にいたら火は消えてしまってもおかしくは無いのだが、黒葉の纏っている炎は弱くなるどころか逆に雨を蒸発させてしまっていた。
「うがぁぁぁぁぁっ!?」
「……白愛の父さん」
「なんだい?」
「今が好機だとは思わないか? ……っす」
「まぁ、僕も今思っていたところだよ」
錯乱しているとはいえ、今ならさっきまでとは比べて1人仲間が増えた状態で戦うことが出来る。
これ以上の好機、この先あるかどうか分からないものだ。
2人同時に刀を構えると、黒葉に合わせるように飛び出した。
今の黒葉は錯乱して押せ押せモードだ。
そんな黒葉と合わせるのだから2人は必然的にサポートへと回る。
カキィィン!
黒葉と天魔の刃が弾きあった瞬間を狙って烈夏と威迅も攻撃を仕掛ける。
威迅は鞭のように畝らせて天魔へと伸ばし、烈夏は居合の構えをとる。
「もう一度てめぇのそのデケェ図体を地面に擦り付けさせてやるよ!」
鞭のように伸ばされた威迅の刀は天魔に近づくほどに次々と枝分かれをし、大量の刀が天魔へと襲いかかる。
これら一振一振が岩をいとも容易く割る威力を誇る。
こんなものをまともに食らったら大ダメージは必至だ。
だが、それを止めるのは用意だった。
「ぐああああっ!」
ノーモーションで威迅に向けて落雷する。
このノーモーション落雷は動いていない相手だとほぼほぼ回避することは出来ない。
それこそ超スピード、もしくは時を止めることが出来なければ必中だ。
雷のダメージを何とか意識を保って耐えきった威迅だったが、一瞬刀を止めてしまったことによってほんの一瞬ではあるが隙が出来てしまった。
「《雷神剣・海》」
「させるか! 豪剣《煌めき》」
天魔の切り上げの衝撃波を横凪の一閃で受け止める烈夏。
今度の煌めきは双剣の力が載っているため、かき消すことに成功し、そのまま天魔に向かって突き進む。
「止めたか……だが、お前たちの体力はもう限界だろう!」
「あぁ、だからこの攻撃でお前を沈めることが出来なかったら僕の負けだ!」
ブォン――
炎が燃え上がる轟音と共に黒葉が烈夏と共に併走する。
まさかこうやって黒葉と共に戦う日が来るとは思っていなかった烈夏は笑みを浮かべ、今までで最大の力を刀に込める。
ダンッ!
黒葉は地面を蹴って飛び上がると天魔へ向かって刀を振るう――それと同時に烈夏も霊力を込めると、烈夏の刀は赤黒いオーラを纏い、それを烈夏は振りかぶった。
「なに!?」
「あああああああああああああああああああっ!」
「豪剣・奥義っ!」
その瞬間、空間が縦に裂けたような感覚がこの場にいる全員に走った。
烈夏の刀のパワーが凄まじすぎて空気を置き去りにし、刀が通った場所が一瞬ではあるが、真空状態となる。
豪の剣。
これは全身の筋肉という筋肉をフル活用し、パワーに特化した技だ。
天魔程の強靭な肉体であっても切り裂くことは不可能では無い。
「《黒の復讐》!!!」
その一撃は天魔の《雷神剣・地》や《雷神剣・海》と同等の威力を誇る正真正銘の必殺技。
そんな烈夏の一撃と黒葉の炎の刀が同時に襲いかかる。
普通ならこれでおしまいなのだが――
「ふんっ!」
「ぐあっ!」
天魔も剣に霊力を流し込んで赤黒いオーラを纏わせて薙ぎ払うと、黒葉と烈夏の刀とぶつかり合う。
いや、黒葉と天魔の刃はぶつかり合っているが、烈夏と天魔の刃は触れ合ってはいなかった。
触れ合うことはなく、押しあっている。そして赤黒い衝撃波が周囲に放たれ、黒葉も巻き込まれて吹っ飛ばされてしまった。
「お前もこれが使えるなんてな」
「へ、これでも能力は使えないが、妖怪退治はお手の物なんだぜ」
「お前ほどの力があれば余裕だろうな!」
異様な光景だった。
なにせ2人共全く触れ合ってなどいないのだから。
2人の力は拮抗している、周りにいた者にはそう見えたが、実際は違った。
「なかなかの力だが、それでも俺には及ばん」
「……だろうね」
その次の瞬間、天魔の一撃に烈夏は吹き飛ばされてしまい、胸を大きく剣で切り裂かれてしまった。
「がはっ」
やはり烈夏の力では天魔に押し勝つことは出来なかったのだ。
それは烈夏自信も剣をぶつけ会った瞬間に察した。
今まで何とか出血を筋肉を駆使して止め、筋肉を有効活用して戦ってきたが、ついに烈夏も体力の限界が来てしまい、力無く地面に倒れ込んで意識を手放してしまった。
「うあああああああああああああ!」
直後、黒葉が再び天魔へと立ち向かって刀を構える。
轟々と燃え盛る黒葉、それを見て再び大剣を構える天魔。
その結果はもう誰の目から見ても明らかなものだった。
「お前は頭を冷やしてこい!」
「あああああああああああっ!!」
「《雷神剣・
黒葉の振り下ろしの一撃に対し、天魔は横凪の一閃を放つ。
勝負は一瞬だった。
2人の攻撃がぶつかりあったその瞬間、黒葉は天魔の力に押し負けて一瞬にしてぶっ飛ばされてしまったのだ。
多くの家屋を破壊しながらぶっ飛ばされる。それは正しく初めて天魔にぶっ飛ばされた時のリプレイでも見ているかのような光景だった。
そしてそのまま黒葉は里の奥深くの方にまでぶっ飛ばされてしまうのだった。
はい!第137話終了
天魔戦はとりあえず一区切りと言ったところです。
烈夏も黒葉も敗北し、この場に残されたのは威迅、茉衣、雪姫の3人。
果たしてどうなるのでしょうか?
そしてぶっ飛ばされた黒葉の運命や如何に!?
それでは!
さようなら
銀河天音はどっち陣営だと思いますか?
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味方
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敵
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中立